オブジェクトクラス(SCP Foundation)

登録日:2016/10/27 Thu 14:35:50
更新日:2025/02/01 Sat 13:54:27
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では分類後は危険性が変わるか?という問いはもう皆さんお分かりですね? ・・・はい、変わりません。
ですので、Safeであっても研究員の皆さんは常に危険と隣り合わせだということを忘れないでください。
エージェントの皆さんはSafeの話と合わせて、オブジェクトの外見に関係なく常に警戒してください。
Safeは言ってしまえば拳銃、テロリストの持ち物でない核兵器、瓶詰の毒薬などと考えてください。


ここでは、SCP Foundationの重要なファクターの一つ、オブジェクトクラスについて解説する。


概要

SCP Foundation(以後『財団』)は、様々な異常性をもつ物品、場所、生物、言葉、数式、現象、法則、概念その他もろもろ(以後、『オブジェクト』)を収容するために作られた組織である。
当然財団職員はそれらを収容し、それらの能力や危険性、技術などを研究したり、あるいは収容違反が起きた時に対処したりといった仕事をすることになる。

そこで通常の研究施設と同様、そのオブジェクトをどう収容したらいいかという、マニュアルが個々に決められている。
これが報告書において『特別収容プロトコル(Special Containment Procedures)』としてまとめられているのだが、その収容方法には程度に応じてレベルが定められている。
これこそが『オブジェクトクラス』というわけである。

さて、上記の文章はTale『若き新人への講義』からの引用である。
新人財団職員もそうなのだが、読者たる我々はつい「オブジェクトクラスは危険度の指標である」と勘違いしがちである。
その中でも、特に「Safe」は勘違いのもとになりやすい(Safeという単語が安全という意味をもつからというのも大きいが)。
特に初期のオブジェクトでは「Safeより危険だからEuclid」「Euclidより危険だからKeter」としていることが多いのが話をややこしくしている。
しかし「破壊力や致死性は皆無、でも収容不可能だからKeter」や「収容体制が確立しているのでsafe、だが収容違反で大惨事」というオブジェクトも一定数存在する。
つまるところ現在は「Safeだからと言って無害・友好的なわけではない」「Keterだからと言って有害・敵対的なわけではない」という設定が主流。
その理念からも汲み取れるように、財団にとっては「異常存在が収容を離れ衆目に晒される」事こそが憂慮すべき「危険」なのである。

オブジェクトクラスとは、つまるところ収容対象の「安全性」ではなく「制御可能性」を端的に表したものだと見なすのが正解であろう。



さて、ここからはSCP-ENで多く用いられている基準をもとに解説していく。

オブジェクトクラスの分類は3つに分けられており、最も基本的で大抵のオブジェクトが属する"主要なオブジェクトクラス"、用例は少なく特別な収容要件がある事を示す"副次的なオブジェクトクラス"、そもそも収容の必要がなかったり決められていなかったりとより特殊な状態のオブジェクトクラスが属する"非標準のオブジェクトクラス"が存在する。
それぞれのクラス分類に則して順に説明をしていこう。

主要なオブジェクトクラス

「Safe」「Euclid」「Keter」の3つが属する。
大抵はこのオブジェクトクラスをあてはめますよということで、しばしば「S/E/K分類」と呼ばれる。

Safe(セーフ)

しっかり収容していれば安全なオブジェクト。
そう、「しっかり収容していれば」。
仮に「Safe」というオブジェクトクラスであっても、オブジェクトそれ自体が安全とは限らない。

仮に核弾頭がその場にむき出しで置かれていたら危険だろう。だがきちんと管理して、メンテナンスして、しっかりしまいこんであれば?
…そう、それならば核弾頭であっても安全である。
Safeの名にふさわしく全く破壊力のないオブジェクトも多々あるが(面白いだけ、とか)、油断すると普通に地球を数回はぶっ壊せる品物も多数ある。

SCPのことがよくわからない!という人はとりあえず
  • 起動すると大惨事になるが勝手に動き出すことはない
  • 勝手に動き出しても大きな被害が出そうにない
といったオブジェクトはSafeと覚えておけばイメージがつかみやすいだろう。

反対に、基本的に意志を持つオブジェクトには与えられない(例外は結構ごろごろあるのだが)。
これは、意志を持つオブジェクトは基本的にどうなるかわからない(=勝手に動き出すかもしれない)からである。
いつもニコニコしていても、ふとしたときに機嫌が悪くなるかもしれない。
場合によってはそもそもニコニコが演技で、ある日突然「な〜んちゃってwww可笑しくって腹痛いわ〜www」とかしだすかもしれない。

…というか実際『SCP-1048』(元Safe・現Keter)はそれをやらかした。
このキチクマ*1を筆頭に、この手の「元Safe・現Euclid/Keter」は数多いが、
読者は「Safe Euclid」もしくは「Safe Keter」という表記を見たらもう色々と察することとなる。
そういうのは大概、タチが悪い。
まあ元Safeに限らずオブジェクトクラスが変更される時点で大概なのだが

全体的な傾向として、意志を持つオブジェクトなのにSafeだったら、「そのオブジェクトは大した力を持ってない」パターンか、「オブジェクト自体がその能力を有することで当人にとって不幸」なパターンが多い。
まぁ「オブジェクトの影響で判断を誤っている」とか「強力な現実改変能力で勝手に報告書を書き換えている」というメタ視点だからこそ気付けるヤバいパターンもいるが。


Euclid(ユークリッド)

語源は古代の数学者エウクレイデス。おそらく数学書『原論』において「公理・公準」を定めたためであろうと思われる。

S/E/K分類の中での基準となるクラスで、大概のオブジェクトはこのクラス。
というかこれに分類したあと、「収容方法が確立されたら」Safe、「収容方法が一応でも見つかれば」Euclidのまま、「収容方法が思いつかない」ならKeterになる……というヘッドカノンを採用している所も多い。

要は「一応現在は収容できてるけど、正直予断を許さない」ものであり、一番最初に書かれた『SCP-173 - The Sculpture - The Original(彫刻 - オリジナル)』もこれである。

如何せん基本なので数は非常に多く、故にSafeやKeterに比べて傾向らしい傾向がない。
ただそれなりに力を持っていて、かつチートではないという特性上、物語が作りやすいというメリットがある。


Keter(キーター / ケテル)

セフィロトの樹の一番目の「Keter」からとられている。

S/E/K分類で最高の厄介度。
収容難度が著しく高い、ちょっとしたことですぐ逃げられる、常に目の届くところにないとなにしでかすかわからない、あるいはそもそも収容が物理的に不可能、などといったオブジェクト。

ここに属する連中はどいつもこいつも曲者揃いで、中には財団がポリシーとしての「保護」を捨ててまで破壊を命じる『SCP-682 - Hard-to-Destroy Reptile(不死身の爬虫類)』や、そもそも毎回復活するので、復活するたびにぶっ殺さなきゃいけない『SCP-076 - Able(アベル)』のような例もある。
が、先述したとおりオブジェクトクラスとは「収容しにくさ」を示す指標である為、必ずしも凶暴とは限らない。
なんの異常もない普通の銃」とか、「特に何もしないおじさん」とか、オブジェクトそれ自体はあまり危険でなかったり、財団に友好的であったりするものも少なからず存在する。

なお初期のKeterと1000番台以降のKeterは同じKeterでも性質がやや異なっており、
初期は「チート能力を有し、動きまわる敵対的な生物」や「危険な生き物を生成する池」、「破壊力が恐ろしいのに収容方法が見つからない物品(ケーキとか)」が多かったのだが、
1000番台になるにつれて「かつて人間の前に地球を支配していたが、人間によって文明を壊された恨みを持つ類人猿たち」や「本人は敵対的どころか友好的だが、本人ですら能力をコントロールできない」人物(邪神)、
概念そのものを取引する企業」、「そもそも滅ぼすことができない場所」、
そして「実は財団ってとある統合失調症患者の見ている世界ではないのか?」といった世界そのものを疑い始めたオブジェクトまである。
害があったという報告はないが、予測不能な場所に瞬間移動し引き留める方法もない」という理由でKeterを勝ち取ったオブジェクトもあるが。

それから、「収容自体は(おそらく)可能だが逃げ出したり捕まえ損ねて捜索中」というオブジェクトにKeterがあてがわれることもある。
上で挙がっていたキチクマもこれで、そのほかにはSCP-1574やSCP-1440、SCP-030-JPがこれにあたる。

読み方だが、本部が「キーター」なのに対して、日本支部では「ケテル」が主流。*2
これについて論争がしばしば起きるが、正直どっちであろうが意味は変わらないので読みたい方で読むこと。自分の読み方を他人に押し付けないように。
……とはいえ、残念ながら変なツッコミを入れてくる連中は少なからずいるので、文字媒体ならばとりあえずアルファベット表記のままにしておくのが無難かと思われる。

副次的なオブジェクトクラス

オブジェクトがもつ特性上「S/E/K分類」の代わりに付けられる必要があるクラスが属する分類。
後述する特殊オブジェクトクラスから正式クラスに格上げとなったクラスがここに入ることもあって、これらのクラスが割り当てられているオブジェクトは一癖も二癖もある難解なオブジェクトであることが多い。

Thaumiel(タウミエル)

セフィロトツリーの対になる邪悪の樹の一番目の「タウミエル」から来ている。

Keterと対を成すような命名からも分かる通り、初期Keterに対する「反Keter」「超Keter」という位置づけのクラス。
とにかく危険な異常存在に対して、「異常には異常をぶつけるんだよ」という発想のもと用いられる最後の切り札。

Keterの定義が変化した後も、本クラスは危険性が実質の要件として残っている。
Safe扱いで低リスクで利用されているSCPとは異なり、財団でも性質を把握しきれていないものも多く、使って何が起こるかも予測しづらい。
そのため、K-クラスシナリオの回避といった本当に止むを得ず、他に手段が無い場合のみ使用が認められ、平時の一般職員には存在すら開示されない財団の最高機密。

名前は『SCP-001 CODE NAME: Roget - Keter Duty(コードネーム:ロジェ - Keter任務)』で初登場したが、
有名にしたのは『SCP-2000 - Deux Ex Machina(機械仕掛けの神)』であろう。
この後「Thaumiel」は正式に使用を認められたオブジェクトクラスになった。
ただしKeterですら手におえないのにそのさらに上というチートすぎる存在は、財団内でもカノンとして選択しない人も多い。
…しないというより、「規模がでかすぎてなかなか書けない」というのが正確か。

なお(当初の定義において)人類にとって終焉をもたらすほうが「Keter」で、人類の切札のほうが「Thaumiel」であるあたり、
どうやら人類は「神がもたらす運命に抗おうとするもの」という捉え方が財団内では主流のようだ。


Apollyon(アポリオン)

財団の敗北宣言を象徴するオブジェクトクラス。
財団のポリシーたる「確保、保護、収容」の全てが不可能であり、かつ世界の終焉に直結しかねないオブジェクト。このクラスはSCP-2317に最初に付与され(現在は変更済)、その後も有名どころだと「SCP-001- S.D.ロックの提言」などが登録されている。少し変わったものだとSCP-4780。
財団が手も足も出せない=「Keterの上位互換的存在」という認識が強く、前述のThaumielも役に立たなかったり(生存した)財団職員が宇宙に逃れたりする事例がほとんど。
元々はThaumielと同じく非標準のクラスだったものの、2021年に正式なクラスとされた。

Archon(アルコン/アルコーン)

収容は可能なものの、何らかの理由により「財団が収容を選ばなかった」アノマリーに対して適用される。
(財団世界の)人々がそれを「常識」として認識してしまっていたり、収容そのものがアノマリーの危険度を上げたりする場合に付与される。
起源については「SCP-001- I・H・ピックマンの提言」で述べられているので参照されたし。
Apollyonと同時に正式クラスに格上げされた。

Ticonderoga(タイコンデロガ)

収容が不可能に近いが、何らかの理由により「財団が収容する必要がない」アノマリーに対して適用される。
Archonと似て非なるクラスであり、これまた人々がそれを「常識」として認識しており、収容すると財団世界の根幹を揺るがしかねないようなオブジェクトに付与される。
暫定的なオブジェクトクラスとされており、アノマリーの今後次第でKeterにもExplaindにもその他にも再分類されることが予見されるクラスでもある。
特殊/物語風クラスから正式クラスに格上げとなったクラスの一つ。

非標準のオブジェクトクラス

これまた「S/E/K分類」の代わりに付けられるものものや、「S/E/K分類」と併用できるものがある。
異常性が無くなった・まだ収容できていない・まだオブジェクトクラスを決めていないといった上記のいずれにも当てはまらない状態のオブジェクトはここに含まれることになる。

Neutralized(ニュートラライズド)

無力化されたSCP、つまり壊れたり異常性を喪失したり、生物であれば死んだりしたSCPに与えられるオブジェクトクラス。
あくまで「元SCP」だった以上、いつか異常性が戻る(または新しく同じ異常性を持つオブジェクトが確保される)可能性もあるため、念の為に報告書を残す、というものである。

さて、財団は基本ポリシーは「確保・収容し保護すること」であるため、財団自らがSCPを破壊しようとすることは普通はない。でもクソトカゲは死んでくれ
そのため無力化されたSCPというのは大概それに至るまでのエピソードがある、というかそれがメインに近い。
例えば、
「財団職員が適切な取扱方を理解できず、無力化してから気付いたもの」
そのSCPがとある理由から自分から死ぬことを選んだもの
「そのSCPが成立するにいたった事由が解決されたもの」
その危険度をなくすために名も無き英雄が奮闘したもの
「敵対的勢力によって壊されてしまったもの」
などである。

……中には異常を利用した商売をしていたが純粋に経営に失敗して業界から撤退したというなんとも切ない理由で無力化されているものもあるが……。

基本的にこういった特性上、報告書においても物語性の強いオブジェクトが多い。
本部の場合は「無力化してしまった」といった無念なパターンだったり、「彼の犠牲に敬礼」のような無力化したことを褒め称えるもの、「むしろ無力化してからこそが本番」なたち悪いSCPが見受けられる。
日本支部では逆に『SCP-548-JP』や『SCP-241-JP』のような、SCP自体が幸せになったりするパターンもあったりする。

Explained(エクスプレインド)

当初SCPだったが、後に学問の発展などの事由によって説明が可能となったもの。
言わば「異常存在として扱われなくなったモノ達」。Neutralizedとの区別の仕方は「オブジェクト自体が変化した(から収容の必要がなくなった)」ならNeutralized、「オブジェクトは変化していないが収容の必要がなくなった」ならExplained。
具体的には「異常性が解明された」、「周囲の方が変化した」、「そもそも異常性がなかった」など。

ナンバーの末尾に「-EX」とつけられ、専用のページに配置される。
通常のナンバーと区別するために「-EX」をつけているが、後述のARCやDと違いそもそもが「Explainedの記事を書く」という前提で産まれた記事なので、もともと通常のナンバーであった時期は(メタ的には)ない。

一癖も二癖もある記事が多くてひとまとめにしづらいせいか、とあるSCPが非常に有名になった影響から誤った認識(後述)が広まってしまったこともある。
記事数も2019年6月現在でも本部24個、日本支部9個と非常に少ないが、そのぶん一つ一つの記事のクオリティは高い傾向にある。

「異常性の原因が解明されたのでExplaindになりました」という素直なモノなら『SCP-067-EX - "Rurik Inn"("リューリクの宿屋")』、『SCP-4023-EX - A Chemical Compound(化合物)』、『SCP-711-EX - Man From The Future Present(未来現代から来た男)』あたりがこれに該当する。
たとえば『SCP-4023-EX - A Chemical Compound(化合物)』は「性質が科学的に解明されたので現在は財団のフロント企業を通して医薬品として販売してるよ!」というまさかの財テクであり、
『SCP-711-EX - Man From The Future Present(未来現代から来た男)』は「タイムトラベルした黒人男性が持っていた未来の品をSCP認定したけど、気づけばその男性が元いた時代になってジョブズがiPadとして販売してた」なんていう面白い記事だったりする。

はなから異常性なんて無かったことが判明してExplaind認定されたモノなら、『SCP-2600-EX - Furred Trout(毛の生えたマス)』、『SCP-3000-EX - Modified Hospital Beds(改造された医療用ベッド)』や、人種差別に対する痛烈な風刺をふくんだ『SCP-1851-EX - Drapetomania(ドラペトマニア/逃亡奴隷精神病)』など。
最後のは非常に胸糞悪くなる記事であるが、(それが財団関与であったという設定が付加された点を除けば)「現実にこの地球上でたしかにあった差別」であるということを忘れてはいけない。
『SCP-2600-EX - Furred Trout(毛の生えたマス)』なんてひどい話で「ただのカビが生えたマスじゃねえか!」というまさかの誤解。
……というか文章を読む限り、誤解というよりは「異常性じゃないことに気付いたが引き返せなくなって嘘書いた」という品。うーん…
『SCP-1974-EX - Hallucinogenic Dice(幻覚ダイス)』はなんというかTRPGプレイヤーなら納得できるかも。

それ以外なら、図抜けて評価が高く非常に有名になったSCP『SCP-8900-EX - Sky Blue Sky(青い、青い空)』、タイトルの時点で驚かされそうな『SCP-1763-EX - How To Write An SCP(SCP記事作成のガイド)』などなど。

日本支部のものなら『SCP-014-JP-EX - 君のその顔が見たくて』あたりが有名どころ。後述のアイスヴァインちゃんをモチーフにしたものだが、あちらとは比べ物にならないくらいエグい記事なので読む際には注意されたし。

これらの記事はいずれも非常に面白いのではあるが、SCP-8900-EXが中でも図抜けて物語性が強く評価が高いため、しばしば「EX=財団の失敗」という誤ったイメージがつきやすい。

Pending(ペンディング)

まだオブジェクトクラスを決定できていないオブジェクトに暫定的に割り振られるクラス。
財団が情報をあまり手に入れられていないためにクラスを決めかねているオブジェクトが相当する。
かつては「オブジェクトクラス:未定」のような形で表現されており特殊/物語風クラス扱いであったが、正式クラスに格上げされたことで統一されたクラスで表現できるようになった。

Uncontained(アンコンテインド)

そもそも財団が収容できていないオブジェクトに割り当てられるクラス。
ただ収容が難しいというだけならKeterで良いのではとなるため、未収容である事を強調するために分類される。例えばかつて収容していたオブジェクトが収容違反したままであるだとか、一刻に早く収容しないと世界に影響を及ぼすといったオブジェクトが該当する。
Pendingと同時期に正式クラスに格上げ。かつてはUnclassedの一部であったが、特殊/物語風クラスが生まれたため準正式クラスとなり、再度正式化と相なった紆余曲折のあるクラス。

特殊/物語風クラス群

非標準オブジェクトクラスの総称。旧称Unclassed。単に特殊クラスと呼ばれることも。
何らかの理由により、「S/E/K分類」を使用していない、もしくは使用できない場合につけられる。
特別なオブジェクトクラスをつける意味を記事内で持たせなくてはならないため、非常に扱いの難しいオブジェクトクラスでもある。

Dammerung」だったり、「Juggernaut」だったりといった「Keter超え」を示しているもの、
「Uncontained」や「Ticonderoga」などS/E/K分類から外れた扱いを指示するもの、
あるいはミーム汚染や情報災害の影響で「Former」だったり「Möbius」だったり権威ある者にふさわしき「Glorious」…
ともうふざけてるだろと言いたくなるような格付けに改変されてしまったものもある。
後述のJokeの中には「Achoo!」なんてのもある。共振パンチ!
さらには「DUEL!」まで登場した。ルールとマナーを守って、楽しく実験しようぜ!

また「そもそも報告書じゃない」SCP-048や「クラスを付与する必要がある(=文書を閲覧している)時点でもはや手遅れ」なSCP-444-JP、クラス自体がつけられていない(None)SCP-2508SCP-2165、「オブジェクトクラスが削除された」SCP-1000-JPなども該当する。
この場合は本当に「オブジェクトクラスがない」ので文字通りにUnclassedである。

Joke(ジョーク)

財団そのものに対するメタネタや本家報告書にはチョット…な冗談の宝庫。
あるいはifの歴史だったり、あるいは投稿にあたってのルールだったり。
ってな感じで振り切ってたりはっちゃけてたりするものが多い。

ナンバーの末尾に「-J」とつけられ、専用のページに配置される。
こちらもExplainedと同じく初めからJoke記事として投稿されている。
厳密には「Joke」はオブジェクトクラスではなく、通常と同じく各報告書毎にS/E/Kなどのクラスが割り振られているが、
便宜上の都合もあり「専用の投稿ページが設けられたクラス」として扱われている。そもそも「Achoo!」とか「DUEL!」みたいに意味を為してないのも多いし。

SCP-710-JP-J - 財団神拳』にいたっては「財団職員が科学的で有用な武術をまとめました」という建前で内容はもはや屁理屈な無茶苦茶さであるが、なぜか日本支部の職員はこれをマスターしている前提になっている。共振パンチ!
SCP-014-JP-J - 『奈落の悪鬼、黒き翼の堕天使アイスヴァイン』』は堕天使の転生者である。
けっして中学二年生のかわいい女の子じゃない、いいね?

あくまでジョークなので本編世界には登場しない…というわけでもなく『SCP-666-J - Dr.Gerald's Driving Skills(ジェラルド博士の運転スキル)』は、一部Taleにおいてジェラルド博士自らの意志で暗殺に利用していることが示唆されていたり、
「冗談として書かれた記事」である事に意味があるオブジェクトなんかもあったりと、結局の所、その扱いは「著者のヘッドカノンに依存する」というSCP創作の大前提に帰結する。
身も蓋もない話をすれば、そもそもSCP財団に「本編」は無いしね。


ほかにもいろいろ紹介したいものはあるが、まああとで書き上げます。


Archived(アーカイブド)

元々は正規のSCP記事だったが、『SCP Foundation』というシェアード・ワールドの発展から「いつしか世界観にそぐわなくなっていった記事」のなかでも、「ほかの記事に関わりまくってるよこれ!」みたいなものを特別に残してあるもの。
通常のナンバーと区別するために「-ARC」をつけられ、空いたナンバーは新規のオブジェクトに使われる。

今でこそ「財団はDクラスを除いては単なる不注意で失敗とかしたりしない*3」し、「単体で危険なSCPをいくつも掛けあわせたり」しないし、「エヴァンゲリオンやポータルガンはSCPにはならない*4」。
しかしながら、もともと4chanというアングラ寄りの匿名掲示板サイトが発祥なだけあって、初期は割と好き勝手にやっていた。
いまや大御所であるクレフ博士とかクロウ教授とかギアーズ博士とかブライト博士とかだって、初期はむしろ悪ふざけをたくさんやっていた。彼らの設定が基本人外なのはその当時の名残なのだろう、多分。

だからArchivedのものは俗に『lolFoundation(たのしいざいだん)』と皮肉られるような、非常にカオスなことになっている。
財団職員は自分の欲望のままにいくつも掛けあわせて、出来上がったものを乗り物にして走る!
自分たちだけ楽しんでおいて新入職員には禁止するあたりこの博士たちも鬼である。
もしかしたらやりすぎて(世界観的にも創作的にも)懲りたのかもしれないけれど。

Decommisioned(デコミッションド)

「収容しておく意義がない」などの理由で財団によって破壊されたSCPが該当する。
何故か「人型の」「戦闘に特化した」SCPがやたら多い。
これについて取り扱ったレポートは紙の資料として、財団内にある「恥の壁」なるものに貼り出される。言わば「二度とこんなレポートを作ってはいけません」という見せしめとして晒され続けるのである。

メタ的に言えば「ぼくがかんがえたさいきょうの○○」だったり、既出作品のひねりのないパクリ、または劣化コピーだったり、他のSCPをコケにするためだけに産まれたとしか思えないものだったりと、くだらなすぎて残しておく価値無しと判断されたSCPが強制的にこのクラスにされるという、吊るし上げのための隔離クラス。ARCになれなかった報告書の成れの果てともいう。

もっとざっくり言うとSCPにかこつけて自作のメアリー・スーが投稿された際に、それをクソトカゲやエロ猿の餌食にして消し去るための制度。

…だったのだがDecommissioned過程を描いたTaleが人気を博したこともあり、わざとひどい記事を書いて「Decommissionedにしてくれ!」と要望が殺到し、予想していた機能を果たさなかったため廃止された。
なので現在は使用されないが、反面教師として「恥の壁」は残されている。
SCP-083-Dの破壊を描いた「Duke 'till Dawn」は一見の価値があるだろう。

しかし2019年になってこのクラスを通常ナンバーで用いる記事が現れている。
この場合「晒し上げ」の性質はなく、あくまで財団が真面目に、かつ意図的に破壊したオブジェクトである。
詳しくは上記Esoteric/Narrative Classesの個別記事を参照。

また日本支部は本部での廃止以降に設立されたためこのクラスはない。
付け加えると日本支部では「誰であっても最初は酷いオブジェクトを書く、というかベテランでもやらかす」という考えから「酷い記事を晒しあげるよりもさっさと消してあげて、これから著者に成長してもらってもっと財団に貢献していただく」方針をとっている。
「みんなで成長しようぜ!」みたいな。


Anomalous(アノマラス)

厳密にはオブジェクトクラスでは無いが便宜上此処に記す。
個別項目もあるので、詳しく知りたければそちらも参照してほしい。

異常な存在ではあるが、個別に収容、研究するほどの危険度も価値も無いと判断されたオブジェクトが分類される。
たとえば「ただ壊れないだけのランプ」や「ときどき7の目が出る6面ダイス」とか。

「ウンコ味のカレー」と「カレー味のウンコ」なんとものまであったりと、ぶっちゃけ記事執筆者達の大喜利会場のようになってる。
なお、日本支部はこのAnomalousアイテムが他支部に比べ尋常ではない量が執筆されている。
日本支部での扱いは「記事にするほどではない小ネタ集」的な側面が強い。

基本的には危険度は低いが、「SCPナンバーが付くものとAnomalousアイテムとの境目」というものは厳密には決まっていないため、中には「この異常性って単独で報告書になっててもおかしくないレベルだよね?」というものもある。
実際、Anomalousアイテムに新たな特性が発見され、SCPオブジェクトとして再分類される事もある。
たとえばSCP-916-JPはAnomalousからKeterへ、SCP-1918-JPはThaumielへと再分類された。


鍵のかかった箱テスト(The Locked Box Test)

非公式に、S/E/K分類をする際に使うガイドライン。主に記事の執筆時に用いる。

  • 箱の中に入れて、鍵をかけて放置しても、何も起きなければ、それはおそらくSafe
  • 箱の中に入れて、鍵をかけて放置した時、何が起きるか予測が付かないなら、それはおそらくEuclid
  • 箱の中に入れて、鍵をかけて放置したら、容易く脱走するのならば、それはおそらくKeter
  • それが箱自体なら、それはおそらくThaumiel

後年になってオブジェクトクラスが増えてからは以下のように拡張された。

  • 以前は箱が必要だったが、その必要がなくなったのであれば、それはおそらくNeutralized
    • もしそれが財団による意図的な物であれば、それはおそらくDecommissioned
  • そもそも箱が必要なかったことが判明したならば、それはおそらくExplained
  • 箱の中に入れることが不可能で、かつそれが世界を終わらせようとしているのならば、それはおそらくApollyon
  • 箱の中に入れることが出来る場合でも、あえて入れないことを選んだならば、それはおそらくArchon
  • 箱の中に入れることが不可能だが、何が起きてもあまり問題ないならば、それはおそらくTiconderoga
  • どんな箱に入れるべきかまだわかっていないのならば、それはおそらくPending

もちろんこれはあくまで非公式なものであり、「は?これはEuclidやろ?」と思うようなものでもSafeになっていることはあるし、
「は?これはKeterじゃないの?」というようなものであってもSafeなこともある。
「収容不可能」パターンもあるし、「箱に入れることもできない」ものもKeterと言えるだろうか。
そもそもThaumiel扱いのSCP-2000からして、本当に人類の希望と言えるのかはわからない。
人によってはむしろKeterであると捉えるかもしれない。


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最終更新:2025年02月01日 13:54

*1 「鬼畜なクマ」ないし「キチガイクマ」の意。1048のメタ的な通称の一つ。

*2 日本人は外国語をその語源となる言語の発音で読みたがることが多い。例えば、ギリシャ神話の人物であるHerculesなら、日本人はギリシャ語読みで「ヘラクレス」と読むが、アメリカ人は英語読みで「ハーキュリーズ」と読む。Keterも英語圏の人間は英語読みの「キーター」を、日本人は語源のヘブライ語読みの「ケテル」を好む。読みとしてはどちらも正解で、単なる表記揺れみたいなものである。

*3 ただし異常性の影響を受けたパターンはある

*4 一部オブジェクトはサブカルチャーに関係したりするが、世界内部のものをそのまま持ってくることは今の財団ではやってはいけないことになっている