スネーカー(ジーンダイバー)

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スネーカー(ジーンダイバー) - (2014/01/27 (月) 03:34:27) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/08/19(金) 17:28:06
更新日:2023/04/22 Sat 13:59:37
所要時間:約 7 分で読めます




ジーンダイバーに登場する、コンピューター無機知性体。

バーチャル世界とは、人間のDNAを元に量子コンピューターのメモリー上で逆算的にシュミレートされた世界であり、
物語当初は仮想世界という認識であったが、フラクタライズ・エラー(バーチャル世界の情報が制御不可な状態で際限なく増殖していく現象)により
情報量が一定量を超え、現実に存在している量子情報量を超えると、過去に実際あった出来事として事実化してしまう事が判明する。

バーチャルステーションでおきたマザーコンピューターの暴走から生み出された種族「プグラシュティク」と関わりながら、
進化の謎とマザーコンピューターの制御を取り戻す所から物語は始まる(第一部)。

プグラシティブが生み出されたのは単なるコンピューターの暴走の産物ではなく、何者かによる意図的な介入が見え隠れする。
新たに登場した人類を消そうとする種族「エウロパ人」との攻防を繰り広げながら、
その謎を追ううちに、次第に明かされていく進化介入者の存在。
かつての敵であるティル、ドライ6を味方にし、唯は介入者スネーカーを相手に人類存亡をかけた戦いに挑む(第二部)



主要登場人物

【唯】
主人公。心優しい普通の女の子で、傷ついた動物を放っておけない心優しさを持つ。
プロローグで進化ウィルスに感染してしまっている事が後に明らかになる。
作中のバーチャル世界は、唯のDNAを元に構築した世界であり、
マザーコンピューターの暴走で唯以外のあらゆる物質をダイブさせる事が出来なくなった。
タイムブースターと呼ばれる装置(周囲の時間を1/1000にする=1000倍速で動ける)を使う事ができる。

【パック】
見た目は、猫と狐とリスを足した小動物で、会話をする時は背中の羽らしきものが動く。
あらゆる言語体系を瞬時に習得可能で、頭から糸状のものを出し、対象やコンピューターと接触する事で意思の疎通が可能。
かつてスネーカーが侵略した星の生物が自身を情報化し、超時空通信を使って意識だけを別の星の生物へと移した。
スネーカーの実態やその侵略プロセスに幅広い知識を持つが、本来は現実の世界に誕生するはずがバーチャル世界に誕生してしまった事で
一種の多重人格となってしまい、作中はその人格の入れ替わりが何度か起きている様子が伺える。
本来の姿は二足歩行に羽を持つ、まさに妖精(ピィクシー)そのもの。
エピローグでは人格が統合されたものの、互いのパーソナリティを如何なく受け継ぎ、博識の食いしん坊になっている。

【ティル】
プグラシュティク王家の一族であり高い身分の騎士。
女性ではあるものの、騎士という事もあってか、何かあると話し合いより戦いを選ぶ傾向がある。
ただし、冷静に情報を分析し仮説を立てる事もあり、時にはブレインとしても活躍する。
当初は敵対する勢力であり、パックを狙う立場であったが、
自身の家督争いなどを経て唯達と協力し、プグラシュティク消滅以降は本格的に信頼できる仲間となっていった。
終盤、状況がどう展開しても、自身の存在消失が避けられない事を指摘され、
自身よりも人類(唯)を守る事が大切だと思うに至る。


【ドライ6】
エウロパ人は、無機物が有機体の性質を取り込む事で、人類とは逆パターンの進化を経ているため、
DNAが存在せず、変わりにシリコンが主体となっている。その為ジーンダイブに必要なDNAが無く、移動にはタイムホールを使う。
基本的に、人型か6本足の昆虫らしき形態をとっているが、自由自在に体を変化させ、様々な形態になる事も可能。
また物理的攻撃はある一定レベルまでならゴムのような緩衝性質により無効化する事が可能。
種の保存は、ある時期条件の整った特定の固体が仲間の遺伝を預かって混ぜ合わせる事で行われ、ドライ6はその特定の固体である。
エウロパ人は特定の固体を本能的に身を挺して守る。
当初は敵対関係であり、虎哲をスパイとして敵視していたものの、唯達の虎哲への信頼と状況変化による理屈の通った説得を受け入れ、
単体でバーチャル世界に残る事を決断し味方となる。
パーティーブレインとして活躍し、常に冷静な立ち位置から唯や虎哲に助言や提案をする。

【虎哲】
バーチャル世界をシュミレートするマザーコンピューターに属する人型のインターフェイス。
コンピューターに似つかず江戸っ子のような風体、かつ言動をする。
感情の起伏が激しく、時々我を忘れて真っ赤になって怒る。その際にはピコピコハンマーを振り回すが、一本筋の通った頑固オヤジ。
一時期スネーカーへの情報内通が疑われるも、終始それを否定し続け、唯達もそれを信じ続けた。
エピローグでも基本何も変わらず、エウロパのコンピューターからは感情プログラムの変数の多さを指摘され激怒している。

【アキラ】
バーチャルステーションで虎哲のサポートをする見習いオペレーター。唯に好意を持っていて事あるごとに虎哲に冷やかされている。
序盤では頼りなさが目立ったものの、中盤には唯のDNAでコーティングすることで、唯の質量以下のものをバーチャル世界へ送り出す手段を考案。
終盤では、歴史補正プログラムの作成や実行などオペレーターとしての活躍をみせる。
彼がセラフィーにあげたお守り(=地球製プログラム)が目印となって、基地内のスネーカー位置やセラフィー存在などを知るに至った。

【セラフィー】
マザーコンピューターに送信されてきた虎哲同様の人型インターフェイス。虎哲よりも更に人型をしている。
何故か殆どプログラムがインストールされておらず、人間でいう赤ちゃん状態であった。
後にセラフィーは、スネーカーが人類絶滅前に情報の保存しておくために送り込んだ収集プログラムである事を自覚する事になるが、
唯やアキラ達が好きという理由から終始人類側に味方する。
終盤ではスネーカーにコード化され超時空通信で回収されてしまうものの、辛うじて人格プログラムを保持しており最終決戦においては大きな役割を担う。
虎哲と違い、登場当初は赤ちゃん、二部からは少女、エピローグでは成人女性と、学習情報やプログラムバージョンに比例して見た目が変化していく。



登場設定・用語

【エウロパ人】
エウロパ人の母性である木星の衛星エウロパは、人類同様にバーチャル世界によって改変が行われ、シュミレーションが現実化してしまった。
人類より科学は進んでいるものの、人類と然程差はない。また、エウロパは氷に閉ざされている故、天文学の発展は遅れている。
シューメーカー・レヴィ第9彗星の衝突により、文明が衰退し、コンピューターによるシュミレーション結果に沿って行動する事で生存したが、
スネーカーにより、コンピューターが乗っ取られると侵略が進行した。
人類が作り出したバーチャル世界の情報が現実化した事により、既に現実化していたエウロパのバーチャル世界と共鳴し、同一次元としてつながってしまう。
ドライ6らは、スネーカーの侵略から辛うじて逃れることが出来たエウロパ人のレジスタンス組織であり、スネーカーから逃れつつバーチャル世界へハッキングを行い、
エウロパのバーチャル世界を通じて、地球のバーチャル世界へと進入してきた。
彼らの目的はスネーカーへの対抗策の模索であり、そのためには人類が消失しても構わないと当初は考えていた。

【マザーコンピューター】
人類がバーチャルシステムを構築する際に使用しているマザーコンピューターは既にスネーカーの端末と化している。
結果的にはインターフェイスである虎哲から得た情報をマザーコンピューターがスネーカーに内通していた。
虎哲は、マザーコンピューターとの回線を切断し、処理能力を大幅制限される事と引き換えに、情報の流出を阻止する事に成功したが、
後に唯が感染した進化操作ウィルスが発信機の役割を担っている事が判明し、
情報が漏れてしまうのであれば切断が無意味であると接続を戻そうとした際にはマザーコンピューターの方から回線を切断した。

【ジーンダイブ】
DNAを利用した時空間移動。DNAを解析する事で時代を遡っていく。大昔に行くには古い時代における生物からDNAを採取し解析する必要がある。
DNAという概念が誕生する以前には当然さかのぼる事が出来ない為、理論上の終着地点が存在する。
唯たちは、ドライ6がDNAを持たない事で移動するのに少なからず支障があったため、次第にタイムホールを主要な移動手段としていった。

【タイムホール】
バーチャル世界内の字空間移動に使う方法の1つ。ジーンダイブが出来ない場合などでもタイムホールなら機能する。
タイムホール発生には発生装置が必要であり、時空の間にトンネルを作り出すようなもので、1度あけたタイムホームは痕跡や経路として何らかの形で残留する。
ドライ6はタイムホール発生装置をリモート化させたものの、発生装置をスネーカーに破壊される恐れがあった為、
これまでに自分達が開いてきたタイムホールをなぞり返し、新たなホールを空ける事なく、発生装置の場所を察知されないようにした。



敵対勢力・あらすじ

【スネーカー】
プグラシュティクの言葉で「進化への介入者」という意味。エウロパ人は「ノーテイスト(無味)」と呼称している。
プグラシュティクは自身の遺伝子の多くに解析不能の封鎖領域があり、進化の道筋が不安定だった為、
進化の謎の解明を一族の悲願としており、解明過程で介入者の存在を仮定し、その介入者と「スネーカー」と呼んだ。

虎哲は「スネーカー」や「エウロパ人」などの異常な存在をマザーコンピュータが暴走した際の産物であり、
暴走時シュミレーション上で起こった歴史(重力レンズや超高密度物体)の辻褄合わせのために作られたものだと結論付けていた。

【物語前半】
明確な描写はなく、進化上で大きな分岐点となる自然現象を意図的に作り出していた事からその存在が暗示されている。

【スネーカーの具体的な進化介入】
白亜期、彗星にマイクロメカを乗せて空中から撒き、中に入れた知能を持ったウイルスで人間が生まれるように生物の進化を促した

小惑星を操り、それを材料として宇宙空間に巨大なレンズを形成。
レンズは太陽の圧力と地球の引力で常に同じ位置が保たれ2億3000年前の南アフリカを高温暖化させた。

地球サイズの軌道リングを作り、重力と釣り合うモーメントを発生させ、遠心力により空中に固定させる。
それをレールに南北の極地に巨大な超電動体のカーテンを設置した。
カーテンをラジエーターに熱を吸収、宇宙への熱放出で地球を寒冷化させた

自然にはあり得ない超高密度超質量物体をマグマ溜まりの上に形成。
核物質で地核を溶かし、白亜紀インドの火山を噴火させ、火山灰により太陽光の到達を阻害した。
加えて、火山灰の届かないインドの裏側には計算したように彗星が落ちた。
彗星にはウイルス入りのマイクロメカが搭載されており、進化する上で優位な条件を選択的に排除するなどして人類が発展しやすよう操作した。

【転機】
セラフィーの手によりフラクタライズエラーが解消され、コントロールを取り戻す事が出来た。
虎哲は、管理者権限を使って暴走したマザーコンピューターが作り出した現象を修正する事で、
コンピューターが辻褄あわせに出現させた「エウロパ人」や「スネーカー」は消失すると考えたが、
その存在は消えず、結論として実際に存在した事実である可能性がきわめて高い事を理解する。
さらにティルはプグラシュティクへ戻る事が出来なくなり、
何らかの意図を持って介入者が封鎖領域に作り出した進化である事も判明していく。

【物語後半】
前半に続いて進化への意図的な介入のために自然現象を作り出す他、
本体こそ登場しないものの、目的達成を行うべく戦闘実行体を送り込む等の直接的な行動とる事が増える。

【戦闘実行体】
物語後半から登場するスネーカーが目的達成をする為に手足として送りこんでくる戦闘メカ。
タイムホールを使って出現するが、その出現パターンには規則性があり、
計画への具体的な妨害行為、例えば設備の破壊行為に及んだ時などに出現し、
例外(内通者からのリーク)を除いては、能動的に出現しない。
攻撃手段は主にアームによる物理攻撃と、モノアイから発射されるメーザー。
メーザーは超電導体ネットにより反射する事が可能。
一度破壊されると、次回にはその弱点を補強したバージョンアップタイプが投入される。
作中登場する戦闘実行体のうち、外見が変化しないマイナーチェンジを除いて、
初期型、後期型(最も登場するタイプ)、月面基地に出現する戦闘特化型が存在し、すごく軽い材質で出来ているらしい。
戦闘特化タイプは、タイムブースターを上回る速度で反応し、後期型を容易く撃破する事が可能。
月面基地には「穴掘り実行体」など、作業用途に応じたメカが確認でき、それらの製造ラインも存在する。
機械的な判断で稼動しているため、命令の優先度によって突然撤退したり、通信周波数に干渉されると動かなくなる場合がある。
また、製造ラインに優先命令を上書きされると対象が何者であっても身を挺してガードする。

【スネーカーの侵略プロセス】
スネーカーは侵略する星の特定の種を選択的に進化させ、コンピュータを作り出させるまでの文明にする。
その後、そのコンピューターを乗っ取ってしまい、進化操作に利用するウィルスと同じタイプを使って、
最終的には生物すらコンピューターのサブシステムに変化させてしまう。

【人類の抹消】
スネーカーは人類の抹消を決定する。
その主たる理由はインターフェイス(虎哲やセラフィー)のパーソナリティを人間のそれに似せようとした事に端を発する。
代用として対象に選ばれたのは筆石と呼ばれる生物。
しかし、筆石が単純な刺激でネットワークを崩壊させてしまう事が判明すると、
今度は時代を遡って海底火山の動きを止め有機生命体の誕生を阻止しようと画策する。
唯たちの活躍によりその計画も阻止されると、有機体が有機体たりえる性質を獲得した時代で介入を行い
地球そのもの(水脈、鉱石…etc)を、自動で進化をする地球のコンピュータ化を開始する。
ただし、進化スピードは有機体の進化に比べ格段に遅いため、基本スネーカーがこの手段を選ぶ事は無かったらしい。
更に月を操り地球のエネルギーを吸い取り、コンピュータが成長しやすいように温度を下げ始めた。
月が地球の衛星として他の惑星と衛星の比率に比べて大きい理由は現実でも諸説あるが、
本作においてはスネーカーがどこからか「無慣性フィールド」と「エンジン」で持ってきた事が明かされる。

【スネーカーの真実】
その正体はコンピュータ知性体であり、虎哲曰くコンピュータの化け物。45億年前の月に基地を構えている。

スネーカーは有機生命体の遺伝子を初めとする全情報を永久に保存しているため、
損得に左右される事は無く、むしろ種の永久的な保存に寄った行動原理を持っている。
有機生命体の寿命は短く、思考も矛盾に満ちているので、種として脆弱であると認識している。
また、プグラシュティクはバーチャル世界に入った唯の遺伝子を元に、人類に代わる知性体になるか実験的に作成された世界の生物。
結果として人類以下のコンピュータしか作れなかった為に、世界そのものを排除された。

月面基地に存在しているスネーカーは、物理的に存在していて、本体の下部にはジェネレーターと呼ばれる防御フィールド発生装置が設置されている。
しかし、あくまでエウロパや地球侵略のために存在しているプロセス実行の具体的端末であり、本体と呼べるものはこの宇宙そのものである。
存在目的は宇宙の情報統一であり、前宇宙で作られ、宇宙と同等にまで成長し、前宇宙が崩壊する際に存在を時空構造に刻み込み現在の宇宙に蘇った事が語られる。
無機知性体として、有機知性体の記号化された情報は持っているものの、実際に人の心につながった事は一度も無かったため、その情報処理に混乱する描写がある。
また、有機生命体の脳へ瞬時にリンクすることも可能で、精神に擬似現実を生みだし、擬似現実内で攻撃を行う、その中での結果は現実に反映される。

有機生命体が自身(宇宙)の中で成長する事は、人がウィルスの独自進化を体内で許し、最終的に自分が自分でなくなってしまう事と同義であると示唆している。

唯の価値ある選択により、人類との和解を果たすと、人類が自らを超える時には進んで最高の道具になる事を約束する。
エピローグでは唯の仲介でエウロパ人とも和解しており、プグラシュティクの世界を安定させたり、高度な技術でティルの治療も行っている。



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