ハイルブロンの怪人

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ハイルブロンの怪人 - (2020/10/01 (木) 09:24:41) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2013/06/30 (日) 02:45:32
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます

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ハイルブロンの怪人とは、
#center(){&font(#ff0000){&bold(){1993年から2008年にかけて、ドイツをはじめヨーロッパ各地で殺人事件を含む40件の犯罪を起こしたとして}}
&font(#ff0000){&bold(){ドイツの警察が血眼になって探した犯罪史に残る連続犯罪の容疑者}}}
である。






#aa(){
  *  *
 *   + うそではないです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *}



















#aa(){

   *  * ・・・・・・
 *   + うそではないです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´д`)E)
  Y   Y  *}


しかし、上に書いたような犯罪者は、「特定の個人としては実在しない」ことが明らかになっている。
&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){誰が真犯人と一度でも書いた?}}} 

じゃあ推理小説や推理ドラマの怪人かというとそうでもない。
間違いなくハイルブロンの怪人はリアルドイツ警察が犯罪史に残る連続犯罪の犯人として血眼になって探していた存在である。

本当の意味で犯罪史に残ったのは、ハイルブロンの怪人の狂気ではなく、このハイルブロンの怪人を捜査した警察のお粗末さと、科学捜査への重大な警鐘であった。




ドイツ連邦共和国、バーデン=ヴュルテンベルク州ハイルブロン。
人口12万人。歴史的建造物の多く、[[ビール]]製造の盛んなのどかな町である。

そんな町で、&font(#ff0000){2007年5月25日に、警官2名が頭を撃たれて倒れていた。}
一人は死亡、生き残ったもう一人も重い障害が残る、凄惨な事件である。

&font(#ff0000){&bold(){警察はここで現場から犯人のDNAを採取。}}
データベースに登録し、このDNAの持ち主を探そうと躍起になった。

&font(#ff0000){&bold(){すると、このDNAが1993年の殺人事件で残されていた犯人のDNAとも一致。その上、フランスやオーストリアでも犯人のDNAが同じ事件がみつかった。}}

すわ、国際的連続殺人!! ドイツの警察は色めきたった。

更に、犯人のDNAは殺人事件だけでなく&font(#ff0000){&bold(){窃盗・薬物取引などの現場からも採取されるという異常事態。}}

DNAから、犯人像は女性、東欧やロシア系の人物であると考えられたが、それ以外の情報は一切不明。
犯行内容もあまりに無秩序で一貫性が見られず、プロファイリングによる捜査も難航。

犯人は&font(#ff0000){&bold(){「ハイルブロンの怪人(Heilbronner Phantom)」}}と呼ばれ、姿を見せない謎の凶悪犯罪者の存在にドイツ国民は恐怖した。

&bold(){&font(#ff0000){2009年1月、ドイツ警察はこのDNAの持ち主に懸賞金30万ユーロをかけ、DNAしか明らかになっていない「ハイルブロンの怪人」逮捕に全力を注いだ。}}









ここまではよかったのだが、その後&bold(){何かがおかしい}事例がちらほら出てきた。


2008年強盗未遂事件で、ハイルブロンの怪人のDNA検出。
&bold(){だが目撃者の目撃証言およびそれを元に作られたモンタージュ写真はどう見ても男。}アレ?
共犯者がいる、性転換手術をしたとか、さまざまな説があがった。

2007年7月、ガキどもが学校に泥棒に侵入した事件。
2009年3月に、そこで&bold(){ガキどもが残したコーラの缶}からなんとハイルブロンの怪人のDNAが登場。
さてはこのガキどもが真犯人か?

と思ったら今度はフランスで&bold(){難民の男性の焼死体}がハイルブロンの怪人のDNAを持っていた。
さては罪の重さに耐えかねて[[自殺]]でもしたか?



&font(#ff0000){&bold(){ここまで重なれば、流石にいくらなんでもおかしいことには気づいた。}}
捜査当局が調べた結果……。











#center(){DNA=犯人のものではなかった。}

ハイルブロンの怪人のDNAは、
#center(){&bold(){捜査でDNAを採取するための綿棒を納入していた業者のおばちゃん}}

のものでした……。

つまり、


#center(){ヨーロッパ中にこのおばちゃんのDNAがついた綿棒が配備される。
↓
ヨーロッパ中でこの綿棒で犯人と思しき人物のDNAを採取。
↓
ヨーロッパ中のDNA鑑定で&bold(){採取前からついていた}おばちゃんのDNAが検出される。}


もちろん、この従業員のおばちゃんはハイルブロンの怪人の一連の犯行とは全く関係がないことは証明されている。

結局、ドイツ警察もこのDNAは事件とは無関係なものと認め、捜査は振り出しに戻ってしまった。
ドイツ警察のこの失態は、新聞に&bold(){「戦後のドイツ警察の歴史で最もお粗末」}&bold(){「我が国の警察職員の頭の中には&font(#ff0000){&bold(){綿}が詰まっているのか}」}と書かれてしまうこととなった。

ハイルブロンの怪人は、確かにハイルブロンで事件を起こした人間としては実在するが、ヨーロッパ中で事件を起こしたというわけではない、&bold(){まさしく&font(#ff0000){DNA鑑定が作り上げた、架空の殺人鬼}}だったのである。





ちなみに、本当の意味でのハイルブロンの怪人は2011年に焼身自殺した人物ではないかと考えられている(使用していた銃が一致したという)。ネオナチ系の犯行だったようである。


この事件は、DNA鑑定の捜査に重大な警鐘を鳴らしている。
DNA鑑定それ自体は、4兆7000億人に一人という非常に高度なレベルで個人の特定が可能であるとされている。
[[地球]]の人口は70億人でしかないから、一卵性の兄弟姉妹でもない限りほぼ個人の特定が可能といっていいだろう。
だが、どれだけDNAの精度が上がろうと、こうしたヒューマンエラーの可能性までなくなるわけではない。

もしこの件で、おばちゃんが犯行と関係ないと証明できなかったら?
&bold(){おばちゃんはヨーロッパを震撼させた連続殺人鬼として冤罪で厳罰に処されていたかもしれないのだ・・・}


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#openclose(show=コメント欄){
- 冤罪死刑ってことだってありえるよ・・・あ、ドイツは死刑制度ないか。  -- 名無しさん  (2013-06-30 05:10:58)
- 綿棒おばちゃん「ホホホ…犯罪がやりやすいように自分のDNAを綿棒に予め混ぜておいたのよ」  -- 名無しさん  (2013-11-23 16:51:34)
- 綿棒仕事しすぎ  -- 名無しさん  (2014-03-18 16:43:10)
- そもそもそんなにDんna  -- 名無しさん  (2014-03-18 17:06:22)
- 本家wikiによると、「真のハイルブロンの怪人」が所属していた組織は過去に色々とやっていたことが判明したとか。捜査の顛末に隠れがちだけどそっちの意味でも衝撃的だったかと。  -- 名無しさん  (2014-06-28 05:13:44)
- 相棒では米沢を嵌めた犯人がこれをもとに事件を起こす。そしてこれによって真の警察不祥事が発覚しその上塗りが判明する。  -- 名無しさん  (2015-04-02 14:45:54)
- CSI:NYでこれを元ネタにしたエピソードあったな。  -- 名無しさん  (2015-04-02 17:41:28)
- 正体がアレでさえなければ切り裂きジャックや怪人二十面相みたいな、ミステリアスな存在感を感じさせてくれるのだが……  -- 名無しさん  (2016-01-05 22:43:40)
- 世界仰天ニュースで知ったな。でもこれって警察の失態よりも綿棒の工場の衛生面の問題の方が大きいんじゃ?素手で触られた綿棒って菌が繁殖してそう  -- 名無しさん  (2016-01-05 22:53:29)
- ↑俺もそう思う。その辺に関連した話とかないのかしら  -- 名無しさん  (2016-01-06 17:51:20)
- ↑  -- 名無しさん  (2016-01-09 16:05:42)
- ↑ 鑑定をするなら、慎重に作らせた特注品を使うとか、そういった配慮をしないで市販の綿棒使ってたのは落ち度大きいぞ。  -- 名無しさん  (2016-01-09 16:09:03)
- ↑その辺は双方にぶれがあって、警察は鑑識用に発注したと言っていて、業者は鑑識に使うとは知らなかったと言っている  -- 名無しさん  (2016-07-25 05:39:31)
- おばちゃーーーん! ↑鑑識に使わないとしても、例えば個人使用にしてもおばちゃんの体液or体組織の付いた綿棒納品した納入業者は…  -- 名無しさん  (2016-09-30 16:10:17)
- 「4兆7000億人に一人」というのは理想的な条件なので、実際そのへんからDNAを採取する場合は完全でないことが多くそこまで精度は高くならない(お互いに完全なDNAを使える親子鑑定などなら理想に近い精度になる)。さらに統計のトリックもあって、まあこのへんはベイズ推定で調べて欲しい。  -- 名無しさん  (2017-06-02 17:07:50)
- 違反コメントを削除しました  -- 名無しさん  (2018-01-25 07:38:07)
- 似たような例として「プラヴォ・ヤズディ」がある こっちの方がもっとマヌケだが  -- 名無しさん  (2018-07-17 08:01:05)
- おばちゃんが冤罪にならなかったのがせめてもの救いか  -- 名無しさん  (2020-09-16 16:36:49)
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