&font(#6495ED){登録日}:2010/05/22(土) 23:21:02 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 7 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){ ―少女に与えられたのは、&font(#ffffff){__________} &font(#ffffff){__________}大きな銃と小さな幸せ。― } GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー・ガール)は月刊コミック電撃大王にて連載されていた漫画。 作者は相田裕。 元は作者自身の同人活動だったが、商業誌に移籍という形で連載がスタート。 萌え・エンタメ特化の雑誌である電撃大王での連載だが、その内容は幼女が銃を振り回すだけの萌え漫画とは程遠く、人によっては胸糞悪くなる内容も含まれる。 なにしろ主役陣営自体が「&bold(){行き場のない傷ついた少女に寿命が削れる程の改造&洗脳を施し、戦闘員として前線に出す}」という、別な作品なら悪の組織として追及されそうなエゲツナイ所業を行っているので…。 某新聞の書評欄に載った際には、「問題作である。(中略)この物語は私たちを試す。」とかなりドぎついことを書かれた。 イタリアの社会問題、少女の苦悩などシリアスな展開がストーリーをより深いものにした。 複雑な内容の割に読みやすく、引き込まれやすい設定なので、ぜひご一読してみては。 2回アニメ化されている。 GUNSLINGER GIRL(第一期) GUNSLINGER GIRL-IL TEATRINO-(第二期) 一期は作画が少し微妙だが、音楽が深く、心に染みる。 伏線の回収などもすばらしく、監督たちのこだわりが随所に見られる良作。 二期は作画が少ないが、OP曲ED曲の両方が良曲。 しかし資金不足だったのか、銃声などの効果音の類がチープになってしまったのが残念。また、絵が萌え絵っぽくなっておりファンの間では[[黒歴史]]。 またスタッフや声優が一新された。 これらの変化は一期が好みに合わなかった作者の介入によるものらしい。 *◆ストーリー 現代イタリアを中心としたヨーロッパが舞台。 イタリアは国内で地域対立、思想対立を抱えていて、テロ、暗殺などの暴力活動が絶えずおこなわれていた。 政府が運営する公益法人『社会福祉公社』は障害者への様々な支援が目的… しかしその実態は、身体に重度の障害を持つ少女を集め&ruby(サイボーグ){[[義体>改造人間(サイボーグ)]]}化し、反社会勢力の暗殺など非合法活動をしていた。 少女は自由に動く身体を得る引き換えに、自らの危険を顧みることなく、銃を持って戦わさせられる運命を背負う。 *~用語~ ◆五共和国派 イタリア北部独立運動の極右テログループ。通称パダーニャ。 イタリアを五つの共和国に分離独立させるのが目的。 イタリア南北問題、伝統的な地域主義と、欧州に広まる反グローバル主義を背景に持つ。 現実世界のイタリアでも北部同盟という政党が「三分割、自治権拡大、北部の独立」という主張をしている。イタリア北部独立運動=五共和国派ではない。 ◆社会福祉公社 物語の中心メンバーが所属している国家機関。 表向きは義体から得られた技術、データで障害者の福祉を行う公社。実体は国内で頻発する五共和国派によるテロに対抗するための秘密諜報機関。 誕生した切っ掛けは五共和国派が引き起こしたあるテロであり、物語が進んだ終盤では「&bold(){打倒五共和国派}」という目的を明確化させている。 子供を暗殺者に仕立て上げ、五共和国派のメンバー、それに協力する議員、軍人を暗殺する。 公安部、作戦一課、作戦二課があり、義体の運用は二課が行う。物語の中心も二課である。 ◆義体 &bold(){本作の根幹を為す技術及びその産物}。 表向きは怪我等で障害を負った人々への治療として開発が進むサイボーグ技術だが、社会福祉公社は「義体技術の実験」と「対五共和国派対策」という理由から、裏でその技術を流用。 事故や事件等で障害を負い心も傷つき、かついなくなっても誤魔化すのに手間が掛からない少女達を「福祉」という名目で引き取り&footnote(この時点で少女達は公には「死亡」扱いされており、殆どの場合名前も生身の時とは違うものにされてしまう。義体化以前にテレビで取り上げられた等の理由である程度世間に顔が知れている場合、外見をの大幅な改造が行われる。)、戦闘用の改造を施し暗殺・都市戦闘用兵士とし、 かつ大義名分としては「少女の心を救うため」、実質的には「戦闘員として組織に忠誠を誓わせるため」に&bold(){「条件付け」と言われる洗脳・記憶封鎖処置}を施す事で、公社への反逆を事前阻止することに成功。 但し「条件付け」の副作用による脳への負荷や実験段階にある大規模改造により&bold(){義体化した少女達の寿命は削られており}、作中に登場する義体達は戦闘で死ななくても皆&bold(){余命数年}を運命づけられている。 また、素体となった少女そのものの性格や条件付けの強度次第で精神的に不安定になりやすい場合も多く、スタッフによるメンタルケアは必須となっている。 社会福祉公社そのものが政府直轄の組織とはいえ、義体の製造/メンテナンスコストも非常に高く上層部の悩みの種となっており、 作中では臓器や骨格を人工物への全置換から補強程度に抑えるなどの改造の工程の簡略化やメンテナンスに於けるマンパワーの削減という点からコストダウンを模索していた。 ぶっちゃけ公社上層部から見ると「消耗品」扱いらしいが、一方で任務の無い時は専用の寮(24時間監視カメラ付き)でそれなりにのんびりとした日常を過ごせ、たまにだが担当官が外に連れ出すこともある。 ◆条件付け 公社が義体に施す特殊な処置…というより&bold(){洗脳・記憶封印処置}。&bold(){本作の根幹を為すもう一つの技術}にして、義体の寿命が短い最大の理由でもある。 義体の脳に薬物・催眠等によって「対となる『兄弟』(フラテッロ)への信愛」・「戦闘に関する躊躇いのなさ」等正の動機を刷り込み、一方で戦闘に必要なく公社に反逆する芽にもなりかねない「過去の記憶」や「余計な感情」等を封印・抑圧。 結果義体達は程度の差はあれ初期設定された『兄弟』こと公社担当官に忠誠と親愛を誓い、『兄弟』のためならどんな死地をも厭わず殺しをも躊躇わず、『兄弟』のために生きることが人生の目的となる。 だがその副作用は大きく、時間が経過するにつれ以前の事が思い出せない記憶障害や味覚障害等が発生。「条件付け」を強くすればそうした症状への恐れすらも抑圧出来てしまうが、中には薬物自体への依存症になるケースも。 また改造後も負傷の修理やメンテナンス等で「条件付け」用の薬物を使用するため、怪我をすればする程脳への負荷も増しより寿命が削れることに…。 ただ義体に設定された動機が「&bold(){担当官への愛情}」であるゆえに、そこまで人情を抑圧出来ない一部担当官と義体間では「条件付けによる感情は本心か」なんて疑問も浮上し、1巻ラストでは&bold(){愛情が暴走したゆえの悲劇が起こったことが判明}。 また終盤では余命少ない義体の一部に、&bold(){封印されたはずの過去の記憶がフラッシュバックする}という予想外の症状が発生している。 *~主な登場人物~ **◆義体 ◇[[ヘンリエッタ>ヘンリエッタ(GUNSLINGER GIRL)]] 主な装備 [[FN P90]] 本作のヒロイン… なのだが、物語が進行するにつれて若干空気気味。 連続殺人犯の一家殺害事件の被害者で、一晩中暴行や強姦を受けて瀕死の状態を義体化される。 右目を抉られ、左手の肘から下を欠損し、右足の膝から下も欠損していた 優秀な義体だが『条件付け』と呼ばれる短命の危険がある洗脳を軽めに設定されているため、情緒不安定で暴走しやすい。 義体になる前は髪の毛が長かった 全義体中最も耳がいい。 ◇[[リコ>リコ(GUNSLINGER GIRL)]] 主な装備 [[ドラグノフ>ドラグノフ式狙撃銃]] [[CZ75>CZE CZ75]] 生まれつき慢性疲労症候群による全身麻痺患者で、11歳の誕生日に義体化され自由を得る。 義体の中で最も強く『条件付け』を受けているが、それが逆に現状に疑問を持たなくて済み、ストレスを感じずに精神的矛盾を抱えて寿命を短くする事を防いでいる。 明るく好奇心旺盛だが、感情の起伏が少ない。 狙撃の名手。 ◇[[トリエラ>トリエラ(GUNSLINGER GIRL)]] 主な装備 [[M1897>ウィンチェスターM1897]] [[P230>SIGSAUER P230]] 金髪ツインテールでややツンデレ気味。 精神年齢が高く聡明で、知識、教養に優れ、義体のまとめ役。 高身長で成人女性に変装して任務にあたる事もある イタリア語、ドイツ語、フランス語とマルチリンガル。 近接戦闘に長け、散弾銃やサブマシンガン、ナイフや銃剣などを扱う。 スナッフ・ムービーの撮影現場に潜入したヒルシャーらによって片手足を切断され半死半生状態のところを発見され救出、義体化された。 ◇[[クラエス>クラエス(GUNSLINGER GIRL)]] 主な装備 [[VP70>H&K VP70]] メガネをかけている黒髪の少女。 読書や家庭菜園等の多彩な趣味を持ちトリエラ以上の知識と教養がある。 トリエラとは相部屋で女房役のようなものかもしれない。 とある事件が原因で銃が撃てなくなったため、義体のデータ取りのための実験役になっている。 ◇[[アンジェリカ>アンジェリカ(GUNSLINGER GIRL)]] 主な装備 [[AUG>シュタイアーAUG]] 穏やかな性格。両親に保険金目当てに殺され掛かるが、一命を取り留め義体となる。本名アンジェリーナ。 最初に作られた義体で条件付けも手探りだったため、副作用が強く出て入退院を繰り返している。 ◇[[エルザ・デ・シーカ>エルザ・デ・シーカ(GUNSLINGER GIRL)]] (CV能登麻美子) 漫画では既に死亡してから登場した。 映像での描写を見る限り、戦闘力ではトリエラやヘンリエッタに匹敵する程だが、担当官との相性が悪過ぎた。 他の義体達との交流は無いに等しく、作戦の前日に話をしに来たヘンリエッタも追い払われた。 担当官を一方的に溺愛するあまり、社会福祉公社を揺るがす悲劇を起こす。 ◇[[ベアトリーチェ>ベアトリーチェ(GUNSLINGER GIRL)]] 主な装備 マイクロウージー 担当官はおしゃべりだが反対にほとんど話さない かなりの無口だが、アニメ版では腹ペコ属性が追加された。 しかし、全義体中最も鼻が利く。 ◇[[ペトルーシュカ>ペトルーシュカ(GUNSLINGER GIRL)]] 主な装備 スペクトラ M4 アニメに殆ど出なかったかわりにヘンリエッタからヒロインの座を奪いつつある。 ロシアの有名なバレエ学校の生徒だったが、チェルノブイリ原発事故の胎内被曝で骨肉腫になる。 治療のためにイタリアに渡ったが、すでに手遅れで、転移を防ぐために両足切断を余儀無くされ、絶望から投身自殺を図るものの失敗。 意識不明の重体に陥るが実家が彼女の医療費を賄う経済的余裕がなく、社会福祉公社が引き取り義体化。当時案が持ち上がっていた2期生最初の義体となる。 地方のテレビ番組で取り上げられた過去がある背景から外見的特徴を大幅に変更せざるを得なくなり、担当官の意向もあってヘンリエッタ達1期生と違い意図的にハイティーンの外見にデザインされたため、変装をはじめとした様々な任務をソツなくこなす。 またバレリーナだった事もあり非常に身体能力も高い。 **◆担当官 ◇[[ジョゼッフォ・クローチェ>ジョゼッフォ・クローチェ(GUNSLINGER GIRL)]] ヘンリエッタの担当官。通称ジョゼ。 主な装備[[FN Five-seveN>FN Five-seveN]] ヘンリエッタに死んだ妹を重ね溺愛しているが、あくまで義体とそれを利用する担当官であり、兄妹もどきでしかないという微妙な関係に苦悩することも多い。 ◇[[ジャン・クローチェ>ジャン・クローチェ(GUNSLINGER GIRL)]] リコの担当官。ジョゼの兄。 ジョゼ以外の家族と婚約者をテロで失っており、復讐のためジョゼを伴い公社に入った。義体との関係に悩む担当官が多い中で、完全に道具としてリコを扱う。 ◇ヴィクトル・ヒルシャー トリエラの担当官。 殉職した同僚の遺志を継ぎ、トリエラを見守るために公社に入った。 微妙なお年頃のトリエラとの距離の取り方に苦心しており、同じくお年頃なヘンリエッタとの仲が良好なジョゼに相談することもある。 ◇クラウディオ・ラバロ クラエスの担当官。ジャンの元上官で、事故による負傷で杖をつく身となり、やむなく退役した軍警察に戻るためにジャンに勧誘され、『3年間勤め上げる代わりに軍警察復帰の口添えをしてもらう』という条件で公社に入った。 趣味は釣りと読書で、これがクラエスにも影響を与えた。 公社のやり方に疑問を抱き事実をリークしようとしたが、“偶然にも”事故死した。 ◇マルコー・トーニ アンジェリカの担当官。 元警察の特殊部隊員だったが目を負傷し退職。その技術をアンジェに叩き込むが、条件付けの副作用で教えた内容や思い出を忘れていくことを受け入れられず辛くあたったことも。 しかしアンジェが寿命を迎えた時は彼女のために奔走した。 ◇ラウーロ エルザの担当官。原作では死体が映るのみ。ジョゼ曰くエルザには「仕事以外ではまともに取り合わなかった」らしい。 アニメ1期ではその詳細が描かれ、パートナーであるエルザにはひたすらに冷淡・無関心な態度を取っていた。 だがその性格はむしろ陽気で、一見軽薄そうだが、人付き合いを重んじる思慮深い人間。 エルザへの態度は彼女を仕事の道具と割り切るためのもので、義体たちを気の毒がっていたら仕事はできないと語っている。 ある意味で至って「まとも」な感性を持った人物と言えるのだが、それが思わぬ結末に繋がることになる。 ◇アレッサンドロ・リッチ ペトルーシュカの担当官。 元公安の諜報員で、人間観察とナンパの達人。その独特な考え方や技能に2期生のコンセプトが噛み合い、ペトラとは1期生のフラテッロとはまた違った関係を築いている。 **◆五共和国派 ◇[[ピノッキオ>ピノッキオ(GUNSLINGER GIRL)]] 天才的な殺し屋。生身で唯一義体に土をつけた青年。商品としてある家にとらわれていたが五共和国派のクリスティアーノによって助けられる。彼からは実子のように育てられ忠誠を誓うようになり公社と戦うようになる。 初仕事で少女を殺めたことがトラウマとして残っており、気絶させたトリエラに銃を突きつけるも止めを刺せずに、逃走。後にトリエラと再戦することとなる。 ◇クリスティアーノ 五共和国派の一勢力、ミラノ派の中堅幹部。ピノッキオの育て親。ピノッキオを使い派閥の幹部に上り詰める。自身のミスにより派閥の内ゲバに巻き込まれ公社へ自首を決心するが損得勘定以上の愛情を注いだピノッキオを想い国外脱出を図る。 ◇[[フランカとフランコ>フランカとフランコ(GUNSLINGER GIRL)]] 主に五共和国派に協力しているフリーの活動家。 ―追記・修正をしてくれるのが、私の願いです。― #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,11) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - そのうち現実でもEUからの独立派のテロとか起こるかもな -- 名無しさん (2018-01-20 05:39:10) - マルコーさんの元恋人のパトリツィア曰く『社会福祉公社は福祉の仕事の実績もある』って言っていたが表向きの活動は本編ではほぼ出てこないよね。一応『義体の運用データで本当の障害者により高性能な義手義足が提供できるようになる』というのは話題に上がったが -- 名無しさん (2019-09-30 10:59:24) - キャラをすごい大切に描いている漫画。 -- 名無しさん (2021-03-10 19:54:57) - ラストを読むと、ある意味主役と言えるのはトリエラだったのかな -- 名無しさん (2021-06-02 10:46:49) #comment #areaedit(end) }