ハウステンボスの花嫁(名探偵コナン)

登録日:2020/02/15 (土) 16:43:01
更新日:2020/03/10 Tue 22:36:36
所要時間:約 11 分で読めます





なんだか、えらい結婚式に招かれちまったな…


『ハウステンボスの花嫁』とは、『名探偵コナン』において江戸川コナンが解決した事件の名称である。
原作がないアニメオリジナルエピソードで、第342話として2003年11月17日に1時間スペシャルで放送された。
JR西日本が企画するミステリーツアーを元にした旅情ミステリー第4弾で、2006年8月7日にはミステリーツアーでは唯一再放送されている。
今回登場するのは山陽新幹線「のぞみ500系」。あれ、「ハウステンボス号」は?


※以下ネタバレが含まれますので、未視聴の方はご注意ください。


【ストーリー】
コナンと蘭は園子に誘われ、大賀財閥の結婚式が執り行われるハウステンボスに向かう。
その途中の新幹線の中でガラス職人の高橋純一と出会い、ハウステンボスで高橋と再会したコナン達は一緒に園内を見物する事に。
大賀財閥の後継ぎ・大賀真哉と婚約者・香取あかねと落ち合ったコナン達は、高橋と別れ大賀一族の待つホテルヨーロッパへ向かう。
だが一族の中には真哉とあかねの結婚を歓迎していない人間も何人かいる様子であった。
その後、再び現れた高橋は真哉の祖母・大賀タエに気に入られ、大賀家の晩餐会に招待される。
晩餐会の席で真哉の母親・大賀雅代は、「明日の結婚式で嵌めてほしい」と言って一族に代々伝わるルビーの指輪をあかねに渡す。
だがタエが「指輪を渡すのは大賀の嫁と認めた時」と言い出した事で真哉は声を荒げ、晩餐会は重苦しい空気のまま終わりを迎えた。

翌日。式直前のあかねの控室に一族が勢揃いした直後、真哉の叔父・持田英男の不注意で部屋の明かりが消えてしまう。
また明かりがついた直後にタエが胸を抑えながら苦しみだし、そのまま出ていってしまった。
その直後、部屋にあったはずのルビーの指輪が消失する事件が発生。指輪ケースの下には、今年の6月に真哉が撮ったというアジサイを背にしたあかねの写真が敷かれていた。

タエは「指輪が見つからなければ結婚式は中止する」と言い、コナン達は指輪の捜索を開始。
コナンは写真をヒントに指輪を見つけ出すが、今度はあかねが何者かに誘拐される事件が発生してしまう。


【事件関係者】

  • 高橋純一(たかはし じゅんいち)
CV:速水奨
小樽のガラス職人。27歳。
優しい性格で、コナンが買おうとしていたウーロン茶を紙コップで分け与えている。
長崎のガラス製品を見るためにハウステンボスを訪れた。ガラスに詳しいところをタエに気に入られ、晩餐会に同席した後で結婚式に出席する事となる。
あかねを顔を合わせた時にはなぜか目を背け、夜遅くには人知れずあかねと会っていた。
あかねが誘拐されていた頃は、ギャマンミュージアムで再び古いガラス製品を見ていた。
その時に針が1時を指している花時計の文字盤を写している。

  • 大賀真哉(おおが しんや)
CV:成田剣
新郎で大賀財閥後取り。24歳。
園子とは幼なじみで、彼女がよちよち歩きをしていた頃から交流がある。一時は園子と結婚させようという話もあったらしい。
あかねとの結婚が決まるまでにかなりゴタゴタしており、「あかねとの結婚を認めなければ家を出ていく」と彼が言った事で、大賀一族は渋々彼とあかねの結婚を認めたという。
タエと美華は未だにあかねとの結婚を認めようとしないので、タエ達が露骨な態度を見せる度に怒っていた。

  • 香取あかね(かとり -)
CV:鷹森淑乃
新婦。26歳。
おしとやかで綺麗な女性だが、大賀一族の中に未だに真哉との結婚を認めない人間がいるため肩身が狭い思いをしている。
晩餐会の席でもタエに大賀一族の人間と認めてもらえず浮かない顔をしていた。
指輪が消失すると「どう責任をとればいいか」と思い詰め、コナン達と協力して指輪探しを開始する。
その後は1人で控室に籠るが、人知れず控室を抜け出してから午後1時頃に何者かに誘拐されてしまう。
昔は父親の弟子だった許婚がいたらしく、タエは今もその男性と付き合いが続いているのではないかと推測している。
現在その許婚は10年前に出ていって以降音信不通となっている。

  • 大賀辰也(おおが たつや)
CV:福田信昭
大賀財閥当主で真哉の父。55歳。
部外者の高橋が急遽式に出席する事となっても快く歓迎してくれた良い人。
あかねが誘拐されていた頃は、部屋で雅代と一緒にいた。
なお、声を担当した福田氏は長崎県出身であり、同じくミステリーツアーである『長崎ミステリー劇場』にもゲスト出演している。

  • 大賀雅代(おおが まさよ)
CV:磯辺万沙子
真哉の母。52歳。
晩餐会であかねに「明日これを嵌めて出席なさい」と言って、代々大賀家当主の妻が受け継いでいるルビーの指輪を渡していた。
あかねが誘拐されていた頃は、部屋で辰也と一緒にいた。

  • 大賀美華(おおが みか)
CV:久川綾
真哉の姉。29歳。
まだ独身だが、その事を持田に突かれると「安物買いはしないから」と強がっていた。
しかし真哉に先を越されたからかあかねへの当たりが強く、指輪が消失すると「自分で指輪を盗んでおいて大賀家の誰かの仕業に見せかけるために写真を置いたかもしれない」と言っていた。
またあかねが誘拐された時も「ここに居づらくなって逃げだしたに決まってるわ」と吐き捨てている。
あかねが誘拐されていた頃は、フリースランドで馬に乗っていた。

  • 大賀タエ(おおが -)
CV:京田尚子
大賀財閥会長で真哉の祖母。78歳。
大賀財閥を安心して任せられる後継ぎがなかなか決まらないので、いつまでも元気で働いているらしい。
ガラス細工が好きで、銀行が担保として差し押さえた香取のガラス工房を買い取り、自分のものにしている。
だがそのせいで「工房を自分のものにするために返済を迫った」と噂されているらしい。
他にも「下を歩く人が蟻んこみたいにひしめき合っているように見える」という理由で高いところも好き。
高橋がガラス職人だと知ると「もっとガラスの話が聞きたい」と言って彼を晩餐会に招待する。
あかねのほうが年上である事と家柄等から、真哉とあかねの結婚に快く思っていない。
あかねの控室に入った後で胸を抑えて苦しみ出すが、外に出ると何事もなかったかのように普通に歩いていた。
結婚式の話が出て以来、乗っていた車のブレーキが故障して危うく事故になりそうだったり、オランダ坂を歩いている時に落石で危険な目に遭ったりと、何かと不吉な事が続いている。
そのため指輪が消失すると「指輪が見つからない限り結婚式はしない」と言い出していた。
あかねが誘拐されていた頃は、部屋で帳簿の整理をしていた。

  • 持田英男(もちだ ひでお)
CV:稲葉実
大賀銀行副頭取で真哉の叔父。53歳。
結婚式ではあかねの父親の役をやる事となる。
あかねの控室に入った時に床の電灯のスイッチを踏んでしまい、部屋がほんの少しの間暗くなっている。
今回の結婚が中止になれば大賀財閥の信用に関わると考えており、「このまま破談になるような事があれば真哉の副頭取への昇進も考え直さなければならない」と真哉に言っていた。
あかねが誘拐されていた頃は、結婚式が中止になったのでラウンジでビールを飲んでいた。

  • 香取(かとり)
あかねの父親。故人。
長崎で名人と言われていたガラス職人だったが、10年前に他界している。
大賀銀行が融資の返済を迫ったから自殺をしたという噂もあるが、これについて持田は「正当な商取引をしただけ」と主張している。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
ご飯を作ってくれる人がいなくなるからという理由で蘭についてくるが、予想以上に一族がギスギスしていたので「えらい結婚式に招かれちまったな」と後悔していた。
指輪を見つけ出した後はあかねの捜索に乗り出すが、その最中にある人物の企みを知る事となる。

ご存知蘭姉ちゃん。
ハウステンボスでの結婚式に憧れている。
晩餐会を終えた直後は「あれが神聖な結婚式を翌日に控えた家族!?」と憤慨していた。

ご存知蘭の親友。
今回の結婚式が決まるまで相当ゴタゴタしていたので、何かあった場合に心強いと思い蘭を招待する。
しかしコナンもついてくると、何が気に入らないのかかなり機嫌を悪くしていた。


【用語】

  • 指輪
代々大賀家当主の妻が受け継いでいるルビーの指輪で大賀家の家宝。
明治の初めに海運業を始めた初代が初めてヨーロッパに行った時に持ち帰った代物である。


以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください


























そ、そうか!

この噴水はアフロディーテとプシケか!


  • 指輪の在処
手がかりは、空の指輪ケースの下にあったあかねの写真。
これはアジサイの花言葉「移り気」からあかねの心変わりを非難していたわけではなく、指輪の隠し場所を示すヒントとなっていた。
アジサイの最初の学名は「ハイドランジアオタクサ」と言い、江戸時代後期に長崎・出島でオランダ商館医として働いていたドイツ人医師のシーボルトが、妻である日本人女性・橋本滝から取ってつけた名前である。
つまりあかねの写真は「滝のある場所に指輪を隠している」というメッセージになっていたのである。
ハウステンボスのマウリッツ広場には水が滝のように流れ落ちている噴水があり、そこにある像の掌の上に指輪が置かれていた。
写真をヒントにコナンは指輪を見つけ出すが、噴水にあったアフロディーテとプシケの像から指輪が隠された本当の理由に気づく事となる。

  • 香取あかね
指輪を失くした後は責任を感じて真哉との結婚を諦め、自分から姿を消そうと決める。
そして控室から裏庭へ出た時に高橋を見つけ、そっと後を追った。
高橋が風車小屋に入ったので自分も中に入るが、そこで高橋に見つかり彼からタエの命を狙っている事を聞かされる。
その後は高橋に大人しく付いていき、カロヨンシンフォニカに監禁された。
手足を縛られていたが鐘に繋がっているワイヤーに足が引っかかっていた事で鐘の1つが鳴らなくなってしまい、これに気づいたコナンによって助け出された。

救出された後は、コナンと共に高橋の犯行を阻止するべくタエの元へ向かう。
タエは高橋の勧めで気球に乗っていたが、そのゴンドラには爆弾が取り付けられていた。
高橋の姿が見えた時には彼は起爆装置のスイッチに手をかけていたが、コナンがキック力増強シューズでボールを蹴り高橋を倒した事で爆破は阻止された。

  • 大賀タエ
  • 大賀美華
控室から指輪を持ち出した犯人。
結婚に反対していたタエは、頃合いを見計らって苦しむふりをし、皆の視線を指輪のある鏡台から逸らせる。
タエの指示を受けていた美華はタエが苦しんでいるフリをしている隙に指輪を盗み出し、指輪ケースの下にヒントとなる写真を挟んだ。
その後美華はタエの指示通りにマウリッツ広場の噴水に指輪を隠した。

これだけだったら単純な話だったが、指輪消失事件と同時に高橋のタエ殺害計画が進行していた事で、一連の事件が同一犯の仕業であるかのように見え複雑化してしまう事となる。

あかねが誘拐された後、タエは高橋の勧めで気球からの眺めを楽しむ事にする。
その気球のゴンドラには高橋によって爆弾が仕掛けられており、それで危うく殺害されそうになるが、コナンの活躍によって難を逃れた。


おやっさんは…

あかねさんのお父さんは…

このばあさんに殺されたんだ!

  • 高橋純一
正体はあかねの昔の許婚
コナンに正体を疑われたのは、あかねのウエディングドレス姿を見てつい感動した時。
周囲には小樽の人間だと話していたのに、その時につい長崎弁で「まばゆかー」と言ってしまった事で、長崎出身だとばれてしまったのである。

事件前夜にあかねと会った時には彼女の結婚式を遠くから見るために来たと言っていたが、本当の目的はタエの命を奪う事だった。
動機は香取を自殺に追い込んだ恨みを晴らすため。
香取を「おやっさん」と呼んで慕っていた高橋は、借金を苦に首を吊った香取の姿を一時も忘れる事が出来ず、いつしかタエが道楽で工房を欲しがり借金返済を迫ったのではないかと考えるようになる。
香取が自殺をする少し前から大きな取引先からの注文が段々と来なくなっていたので、小樽で取引があった問屋を問い詰める。
すると大賀銀行に気を遣って注文数を減らしていた事が発覚。これで疑惑が確信となり、香取を自殺に追い込まれた恨みを晴らすべくタエを殺害しようと決意した。

タエの乗る車のブレーキを壊したり、オランダ坂の石垣の上から岩を落としたのも彼の仕業だがいずれも失敗に終わる。
そこで今回はタエの乗る気球を爆破してタエを殺害しようとし、犯行を終えるまであかねをカロヨンシンフォニカに閉じ込めた。
ちなみに花時計の写真は2時5分頃に撮ったもので、それを1時丁度に撮ったものと偽ってコナンに渡していた。
だが、起爆装置である携帯電話を取りだした瞬間にコナンの蹴ったサッカーボールが顔に命中。そのまま吹っ飛ばされてしまい、最後の犯行も未遂に終わった。

推理ショー中に目を覚まし、タエを狙っていた動機を白状する。
だがその時に辰也に「それは違う」と口を挟まれ、タエが誰よりも工房の事を気にかけていた事を知る。
香取は職人気質の人物だったのでタエの言葉に耳を貸さず、手間暇かけて素晴らしいガラス製品を頑なに作り続けた。
こうして芸術性の高い作品が幾つも生み出されるが、採算が合わない状況が続き赤字がどんどん膨れていく。
その結果、銀行への融資返済が段々と滞るようになり、最終的に首が回らなくなり自殺をしてしまったのだった。

この事を知っても「嘘だ!」と言って受け入れようとはしなかったが、辰也に「嘘じゃないんだ…」と言われるとその場で膝をつき、「おやっさんはそんな弱い人間じゃない!」と言いながら泣き崩れた。

その後はタエの恩情により、彼女を殺害しようとしていた事は不問となる。
そして結婚式では持田の代わりにあかねの父親役をやる事となり、式ではあかねの結婚を心から祝していた。

  • 大賀タエ
香取が作るガラス製品が好きだったので、何とか続けてほしいと思い工房運営のアドバイスを行っていた。
だが香取に「俺のガラスは俺の値打ちが分かる人だけのもの」と言われ、アドバイスを聞き入れてもらえなかった。
その結果、香取が借金を苦に自殺をしてしまい、その事に自分の配慮の足りなさを感じる。
そしてこの事が原因であかねの顔を見るのも辛くなってしまい、あかねを避けるために今回の結婚を反対していた。

あかねに「高橋さんを許してやってください」と頭を下げられると、高橋が自分にやろうとしていた事を全て水に流し、彼にあかねの父親役を任せる事を提案。
そして「指輪が見つかったから仕方がない」と言い、ようやくあかねと真哉の結婚を認めた。

実は最初から指輪を見つけ出したら今回の結婚を認める気でいた。
アフロディーテは自分の息子クピトと恋に落ちたプシケに嫉妬し、プシケに色々な試練を与えていく。
最後には試練を乗り越えたプシケに2人の愛を許した。
指輪が隠されていた噴水の彫刻はその最後の場面を描いており、タエはこのギリシャ神話にちなんで美華に指輪をそこに隠させたのである。
わざわざアジサイの写真から滝を連想させたのもこのためであった。

園子(コナン)に全てを解き明かされると「横文字ばっかりで何のことやらサッパリじゃ」と誤魔化すが、素直じゃないタエを見た一族は初めて和やかな雰囲気に包まれたのだった。


【エピローグ】
事件解決後は無事に結婚式が執り行われ、真哉とあかねは永遠の愛を誓いあう。
夕方、式が終わってブーケトスとなり園子は張り切ってブーケをキャッチしようとするが、キャッチしたのはブーケトスに参加していなかった蘭であった。
取り損ねた園子は「あたしがさんと結婚するはずだったのに~」と叫ぶ。そんな園子を見ながらコナンは「付き合いきれね~よ」と思いその場から走り去っていた。


【余談】
『ハウステンボスの花嫁』はミステリーツアーとしては4回目だが、特徴として、

  • 初めて殺人以外の事件を扱っており、未遂に終わったので被害者もいない。
  • 初めて小五郎が未登場。
  • 園子がミステリーツアー初登場。
  • 警察関係者が未登場。
  • 『名探偵コナン』で初めて実在のテーマパーク名がタイトルに登場。
  • ミステリーツアーで唯一前後編ではなく1時間スペシャルとして放送。

という初物づくしがあった回となっている。





追記・修正はハウステンボスに行った事がある人にお願いします。

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