殺生丸様と永遠に一緒(犬夜叉)

登録日:2020/11/23 (Mon) 21:45:15
更新日:2021/01/01 Fri 08:00:55
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※注意※
この項目には、『犬夜叉』本編及び『半妖の夜叉姫』の一部ネタバレを含みます。

『殺生丸様と永遠に一緒』は、アニメ『犬夜叉』のエピソード名である。
原作には登場しないアニメオリジナルエピソードで、無印編第162話、2004年8月9日に放送された。
脚本は千葉克彦が担当。


【ストーリー】

ある夜、奈落の行方の手がかりを追っていた殺生丸は偶然夜盗が村を襲撃する場に遭遇する。
素通りしようとする殺生丸に襲いかかる夜盗達だったが、当然敵うはずもなく全滅させられてしまう。
そこへ、騒ぎを聞きつけた法師・雲涯とその部下達が駆けつける。
雲涯は殺生丸に村を襲ったかどうか問うが殺生丸は碌に答えず去ろうとする。
殺生丸を逃がさまいと雲涯は攻撃するも逃げられ、その後に残された焼かれた村と夜盗達の遺体にどっちが村を襲ったのか?と雲涯は疑問を抱く。

翌日、犬夜叉一行が立ち寄ったとある村では、子供達が一夜にして残らず消えてしまう事件が起きていた。
一行が捜索に乗り出そうとするも、既に村に依頼された雲涯達がその捜索にあたっていた。

同じ頃、いつものように邪見と共に殺生丸の帰りを待っていたりんだったが、ふとした会話の最中にいづれ訪れる殺生丸との別れ「」を思い知らされ苦悩する。

その晩、怪しげな笛の音色に誘われてりんが姿を消してしまう。
村の子供達を攫った妖怪・音獄鬼の仕業だったのだ。
邪見から話を聞いた殺生丸は単身りんを救いに向かうが、雲涯達もまた、音獄鬼のもとへと向かっている最中だった…。


【登場人物】

ご存知犬耳主人公。
当日は朔の日だったので当初雲涯達と出会った際は半妖だと気付かれなかったが、相変わらずの喧嘩腰だったため、弥勒曰く、朔の日でなければひと悶着あっただろうとの事。
今回ぐらいタイトルコールを他のキャラにやらせろと思った人は少なくないはず。

ご存知転生系ヒロイン。
例によってセーラー服姿なのだが、雲涯には巫女として判別された。
今回の話に直接関わる機会は少ないが、りんが直面した問題は彼女にも関わりうるテーマである。

ご存知子狐妖怪。
雲涯相手にいきったりもするが彼の厳しいまなじりに終始ビビっていた。

ご存知不良法師。
いつものやり口で一宿にあずかろうとするが、雲涯の名を聞くと自分達の出る幕はないといった具合にかぶりを振っていた。

ご存知妖怪退治屋。
彼女もまた雲涯の名前を知っている様子で、七宝や雲母を咎められた際は庇う発言をした。

  • 雲母
ご存知珊瑚の相棒の猫又。

ご存知殺生丸様。
今回の事実上の主役。
単身奈落の手がかりを探していた最中に夜盗の襲撃に巻き込まれるも難なく蹴散らすが、雲涯に見つかり目を付けられる。
その翌晩、邪見からりんが攫われた事を知ると単身助けに向かう。
しかし、洞窟には既に雲涯達がたどり着いており…。

ご存知殺生丸のお供その1。
今回の事実上のヒロイン。
ふと殺生丸の行く末について邪見に尋ねるが、その中で妖怪である彼らとは違い人間である自分の方が先に死んでしまう事を知らされ、それを受け入れられず不貞腐れる。
音獄鬼の笛の音色に誘われ攫われ、村の子供達と同じ洞窟に閉じ込められてしまう。
それでも殺生丸が来てくれるのを信じ、まったく物怖じせず洞窟に留まるが…。

ご存知殺生丸のお供その2。
奈落を倒したのちの殺生丸の行く末を「帝国の樹立」という形でりんや視聴者に分かりやすく語ってくれる*1
しかし、何十何百年かかるかわからぬ建国の時までついてこようとするりんに対しては流石に無茶だと彼なりに気遣い窘める。
攫われたりんを探すうち殺生丸と合流するもすぐに置いて行かれてしまい、このままでは将来の大臣の地位が危うくなるとふらふらになりながら探し回っていた。

  • 雲涯 CV:小村哲生
妖怪退治を専門に請け負っている法師。
数名の部下達と共に各地を回っており、弥勒や珊瑚もその名は耳にしているなどかなり高名な様子。
妖怪嫌いで知られており、七宝や雲母、果ては妖刀である鉄砕牙にもいい反応を示さなかった*2
厳格さが目立つ一方で、妖怪に対抗する術を持たない村人や子供達に対しては優しく接するなど、仁徳に満ちた人物でもあり、また妖怪嫌いと言っても殺生丸と初遭遇時には村を襲ったのが殺生丸だと決めつけていきなり攻撃したりせずに問いかけたり、犬夜叉一行に対しても厳しい物言いはしたが侮蔑などの発言は一切していないなど理性的な人物でもある。
あくまで人間と妖怪は生きていくうえでどこかで境界を引かなければならないと考えているともいえる。

妖怪退治専門の法師としての実力は独鈷を投げて爆破、的確な指示による部下達との連携で相手を包囲し反撃の隙を与えることなく倒す、地面を長距離抉る破壊光線のような威力の法力を放てる等々、弥勒が自分たちのでる幕がないと言うのも納得の強さ。

村の依頼で捜索に当たっている最中、夜盗に襲われた別の村付近で殺生丸と遭遇し、その出で立ちからただの妖怪ではないと警戒する。
さらに翌日、山中で山菜を採っていたりんを見つけ連れ戻そうとするが、阿吽に乗ってりんは逃げてしまう。
その晩には、野宿中の犬夜叉一行に遭遇するも、妖怪を連れた彼らには手厳しい言葉を残した。

やがて、音獄鬼の洞窟を見つけると無事子供達を救出するのだが…。

  • 村の子供達
音獄鬼に攫われた子供達。
洞窟に閉じ込められていたため逃げる事もできず、いづれ妖怪に食われてしまうと震え泣いていた。
しかし、まったく動じないどころか(彼女の経験上)人間である夜盗の方がよっぽど怖いと語るりんには皆驚いていた。

  • 音獄鬼 CV:石住昭彦
一連の誘拐事件の犯人。
青白い肌をした鬼で、笛の音で子供を操り攫う。
攫った子供は自分で食うわけではなく、他の妖怪に売り渡すらしい。
りんを攫ったのち、洞窟の入り口に居座って休んでいたが、目を覚ますと外に子供達の姿が見えたため、逃げられたと思い連れ戻そうとする。
しかし、それは雲涯達が仕掛けた罠のカカシで、気付いた時には雲涯達に包囲され、法力によって滅されてしまった。






以下、ネタバレに注意






何をバカなことを。こんな山中に一人でいたら、生きてはゆけないのだぞ!

生きるもん!生きていけるもん!私は大丈夫だもん!



音獄鬼は倒され子供達も無事救い出されるが、りんは一人洞窟で殺生丸を待とうとする。
りんが今朝見かけた娘だと気付いた雲涯は、彼女を村へ戻そうと強引に連れ出す。
だがりんはそれを必死に拒み、何度も殺生丸の名を呼ぶ。

物陰で成り行きに任せていた殺生丸だったが、何度も自分を呼ぶりんの叫びに遂に動く。
気配に気付いた雲涯が独鈷を飛ばすも、爆風を物ともせず殺生丸は姿を現す。
昨晩の妖怪だと気付いた雲涯は殺生丸がりんをたぶらかしたのだと思い込み、子供達を洞窟に避難させると殺生丸を包囲し法力で追い詰めようとする。
しかし、ピクリとも動じない殺生丸に今度は音獄鬼にも用いた呪符と法具を使う。
一瞬顔をしかめ闘鬼神に手を伸ばす殺生丸だったが、りんと目があった瞬間思い留まると、半化けの姿に変化し妖気を放つ。
法力を打ち破られたうえ法具も破壊され、部下達は反動で吹き飛ばされ気絶してしまう。
流石の雲涯も、今まで見たこともない強大な妖力に肝を潰し腰が抜けてしまう。

ちょうど物陰では、邪見から話を聞いていた犬夜叉一行が一触即発の事態になるのではないかと危惧し駆けつけ様子をうかがっていた。
だが殺生丸は、りんに

好きにしろ。

とだけ言うと元来た道を戻っていく。
無論りんはついていこうとするのだが、雲涯が手を取り引き止める。

待て、あれは物の怪だ。妖怪だぞ。人の子がついてゆく相手ではない!

手を振りほどき殺生丸の後を追うりんだが、なおも雲涯は説得する。

よせ!人と妖怪とでは生きる世界が違うのだ!

その言葉にりんは邪見に言われた事を思い出し一瞬足を止める。
だが、雲涯の方を振り返ると、まるで「大丈夫だよ。」とでも言うように穏やかな表情で手を振るとそのまま去っていった。
雲涯はただその背を見送る事しかできなかった。

翌朝、子供達を村へ送り届けた雲涯達は村を出立する。
ちょうどこちらも村を出ようとしていた犬夜叉一行と鉢合わせになる。
なおも喧嘩腰の犬夜叉を窘めるかごめに雲涯は一つ問う。

娘よ。何故、お前は妖怪と共にいるのだ?

だが、答えはいい、というように雲涯はそのまま去っていった。

同じ頃、一晩中山野を探し回っていた邪見も無事殺生丸やりんと合流していた。
邪見が阿吽を連れ戻しに行っている間、ふと野原に小さな墓標を見つけたりんは殺生丸に問いかける。

殺生丸様。

なんだ。

いつかりんが死んでも、りんのこと忘れないでいてくれる?

震えを帯びたその言葉に殺生丸は一瞬表情を変えるが、

バカなことを。

と一言だけ返す。
その答えにりんも安心した表情を見せる。

やがて邪見と阿吽が戻ってくると再び殺生丸は歩みを進める。
てっきりりんを攫われた失態で置いて行かれると思っていた邪見だったが、りんが殺生丸の口調を真似て、

知れたこと。ついて行っていいんだよ。

言い、二人もまた歩き出す。

どこか和やかな3人と1匹の光景でこの話は幕引きとなる。


【余談】

アニオリでありながら、人間であるりんと妖怪である殺生丸、二つの異なる種族故に抱える問題に踏み込みつつ、二人の絆を描いた一作として、両者の関係を語る際には必ずといっていいほど話題に上がる。

『犬夜叉』のアニオリ自体、原作では作者の高橋留美子の方針で登場人物達の過去などにはあまり詳しくは触れられない事から、それを補完する形で掘り下げられる描写も多く、好評な物も多い*3のだが、本エピソードはそれらの中でもダントツの支持を得ており、2019年にNHKで行われた『全るーみっくアニメ大投票』の作品別エピソード部門では10位、続編の『半妖の夜叉姫』放送記念に際しての殺生丸とりんのベストエピソード投票においても1位に輝いている。

りんの問いかけに「バカなことを。」と答えた殺生丸だが、のちに冥界でりんが命を落とした際の台詞がその真意を物語っているだろう。
何を思い自身の娘達に「とわ(永遠)」「せつな(刹那)」とそれぞれ正反対の意味を持つ言葉を名前に付けたのかはいずれ明かされるのかもしれない。

「人間の方が怖い」と語ったりんではあるが、実際は何も人間を毛嫌いしているわけではない。
ただ、ずっと側で殺生丸や邪見の姿を見続けてきたからこそ、「それでも…。」という想いがあるのだろう。

殺生丸一行にスポットが当たっているため、今回は出番は少なめだった犬夜叉一行だが、種族の壁という問題は、犬夜叉とかごめ、この二人にも関わる問題である。
半妖とはいえ犬夜叉もまた、数百年を生きるだけの寿命があり、人間であるかごめの方が先に老いて亡くなってしまうだろう。
さらに言えば、こちらには戦国と現代という時代の壁がある。
しかし想いの果てに二人は共に生きていくことを選んだ。
雲涯は「何故、お前は妖怪と共にいるのだ?」と問いを残したが、その答えはかごめもりんも「一緒にいたいから」とごく単純なものなのかもしれない(アニメでは特に、かごめとりんが似ていると語られる描写が度々ある)。


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最終更新:2021年01月01日 08:00