重騎師の詩

登録日:2011/08/27(土) 07:20:22
更新日:2021/12/27 Mon 12:37:26
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青い大気に満ちたものよ

赤いに覆われたものよ

汝を天地と我は名付ける

風が雄々しく叫べる場所

砂が緩やかに舞える場所

汝を天地と我は見据える

二度と誰かが嘆かぬよう

果て無くつかめぬものよ

広く大きく抱けぬものよ

我は汝と共にあらんとす


川上稔の小説『閉鎖都市 巴里』にて登場した重騎師の在り方を謳った詩。
都市世界において重騎とは量産される軽騎や中騎と異なり、基本的にワンオフであり、貴族でもある重騎師の為に国家や家系の総力を注ぎ造られていた。
そして、それらは中世の合戦場にて旗頭として機能し、彼等が刃を交える時に祖国の言葉にて口にした後に立ち会うのが伝統としていた。
内容は世界の美しさ、広大さ、騎師として民を護らねばならない信念を謳っている。

巴里作中でも要所要所でその詩文が引用されている。
具体的には曇天のなかハインツがG機関にスカウトされる時にこの場には赤い土も風が舞える場所も無いと述べている。
これは、ハインツが美しい世界も護るべき者もないということ事を暗喩している。
現にハインツはモルバン山岳部での所属不明重騎との戦闘で仲間を失い、さらには妻と娘を亡くしている。




二度と誰かが嘆かぬよう戦える方に追記、修正される事を我は願う。

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最終更新:2021年12月27日 12:37