うさこちゃんときゃらめる

登録日:2023/02/03 (金) 18:19:33
更新日:2023/02/04 Sat 07:40:01
所要時間:約 4 分で読めます






うさこちゃん、そんなことしていいの?




『うさこちゃんときゃらめる』とは、ディック・ブルーナが執筆した絵本及び『ミッフィー(うさこちゃん)』シリーズの絵本。

【概要】


2009年に日本では日本語訳版が福音館書店から出版された。訳はまつおかきょうこ(松岡享子)氏が担当。

原書のタイトルは『nijntie is stout』で、そのまま日本語に訳すと「いたずらなミッフィー」とか「わんぱくなミッフィー」という感じのタイトルになる。
日本語版を出版する際にタイトルについては議論になったとも言われている。

このエピソードは、今なおミッフィーのファンの間ではとんでもない話の内容から今なお語り草となっている。
何故ならばあのミッフィーが万引きをしてしまうという、子供向け絵本のキャラクターとしてはなかなか見られない展開が起きるためである(と言っても、ミッフィー自体は子供向けにしては重い内容のエピソードは少なからずあるが)。
また、今でこそ有名なエピソードとして広まっているが、日本語版のタイトル的にテーマがまさかの万引きということには気が付きにくい。子供に読ませるために何となく手に取ったらテーマがまさかの万引きということで面食らう親もいた模様。

しかし、万引きという罪を犯してしまったミッフィーの心理描写やふわおくさんの対応など、幼児への教育的観点から見るべき点も多いことから高い評価を下す声も少なくない。


【あらすじ(ネタバレ注意!)】


おかあさん(ふわおくさん)に、お店にクッキーを買いにいくのに付いてくるかと聞かれるうさこちゃん(ミッフィー)。
勿論買い物は楽しいからと一緒に付いていくことを決めたうさこちゃん。
行く予定の店は遠くなかったのですぐに親子は到着したが、どのクッキーを買うか決めるために窓から店内を覗く。

おかあさんがクッキーを買っている間にうさこちゃんは店内を回って見ていたが、店内の隅にきゃらめるが置いてあることに気が付く。
赤色や青色など多くの色の包み紙に包まれた大量のきゃらめるを見たうさこちゃんは、美味しそうときゃらめるを欲しがり……「とても とても 悪いこと」をしでかしてしまった。




誰も見ていない時にきゃらめるをこっそりとポケットに入れたのだ……。




しかも万引きしたキャラメルは1個では終わらず、複数個盗んでいた。
その日の夜、うさこちゃんはベッドに入るも眠ることが出来なかった。黙って店内の商品を取るのは犯罪で、当然の様子だった。
翌日、おかあさんはうさこちゃんの様子が変だと察して何かあったのかと娘に問う。
すると、うさこちゃんは小さい声で昨日万引きを犯したことを告白し、その時のきゃらめるが今も服のポケットに入っていることを伝える。


まあ、うさこちゃん、あなた なんて わるいことをしたの!


衝撃の告白に娘を叱るおかあさんは、きゃらめるを今すぐ返しに行こうと促す。
おかあさんに叱られたうさこちゃんは大粒のをこぼした……。

うさこちゃんは店への道中をおかあさんと並んで歩く中、店に行くことに対する憂鬱と羞恥心と後悔の感情に襲われていた。
しかし、絵本のナレーションでは「これは じぶんが したことです」と自業自得であることが語られてしまった。
店に着くとうさこちゃんはきゃらめるを全部返し、こんなことはもう二度としないと店員に告げる。

お話はうさこちゃんの謝罪で終わっており、うさこちゃんに対する店側の反応は描かれていない……。
店が幼い彼女の万引きという行為に対してどのような反応を見せたのか、というのは読み手の解釈次第ということだろうか。


【グッズ展開】


ミッフィーのグッズは多数出ているが、この絵本のシーンもグッズに使われる機会が多い。
重い内容がグッズにされているということでネタにされているが、グッズである以上は金を払って手に入れる商品な訳で、ある意味万引きに対する皮肉な構図になっているとの声も。

マグカップ

『誕生60周年記念 ミッフィー展』においてマグカップが発売された。
マグカップのデザインは外側に眠れないミッフィーが描かれ、内側には万引きをした瞬間のミッフィー、内側底にはきゃらめるが描かれている。
一見すると愛らしいが実は元ネタが重いというギャップから大きな話題を呼んだ商品。

絵本から飛び出たきゃらめる

Dick Bruna TABLE(ディック・ブルーナ テーブル)によってミッフィーが万引きしたきゃらめるが本物のキャラメルとして商品化している
キャラメルは全部で5個となっており、原作でカラフルに描かれた包み紙も再現されていることが特徴。しかもきゃらめるが描かれた塗り絵が出来るカードも同封。
一部からは「万引きキャラメル」というパワーワードに近い名前で呼ばれることもあるが、味に関しては好評。

ウルトラディテールフィギュア No.704 UDF ディック・ブルーナ(シリーズ5) きゃらめるとミッフィー

メディコム・トイからウルトラディテールフィギュアとして表紙のミッフィーが立体化している。2023年7月発売。

【余談】


  • 実はイラストをよく見るとミッフィーがポケットに入れている場面で確認できるきゃらめるの数は2個(赤色と黄色)だが、ラストシーンでは4個(作中で示された全色)に増えている。
    そのため、さり気無い個数の増加と結構豪快に万引きしていたことがネタにされることも。




追記・修正はキャラメルを万引きしない人にお願いします。

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最終更新:2023年02月04日 07:40