ゴールデンカムイ
概要
『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、2014年38号から2022年22・23合併号まで連載された野田サトルによる日本の漫画。
作風と死概念
明治末期、日露戦争終結直後の北海道・樺太を舞台とした、アイヌ文化にまつわる金塊を巡るサバイバルバトル漫画。
野田のデビュー作『スピナマラダ!』が1年程で打ち切られ、次回はヒット作で見返してやるという意気込みを原動力に本作の制作を開始。担当編集との打ち合わせを通して、野田の曽祖父の話をベースとした漫画を書きたいと言い、担当より「明治北海道が舞台の狩猟漫画ならどうか?」と提案された。しかし、狩猟だけではネタ切れが早いため、野田が興味を惹かれた北海道史の「熊害(ゆうがい)」、「土方歳三」、「脱獄王」、「埋蔵金伝説」、「アイヌ」という題材をブレンドしながら物語を構築した。構築期間だけでも約2年間もかかり、作者と担当の忍耐力をここに讃える。
本作執筆のために、アイヌの人々に取材・監修をお願いした。彼らに「強いアイヌ族」を要望され、迫害や差別といった暗い背景がない「明るく、おもしろいアイヌ」を表現するべく、アイヌの風習や文化による食文化を通して北海道の自然や生態系にありがたみ、アイヌ語のコントを描いている。
本作の死亡キャラ各々は物語を進展させる役割を担っており、読者に感銘を与える感動的エピソードとして語られる。「愛」と「信念」を貫いた最期は金塊争奪戦の生存者たちの死生観に別々の影響を与えており、彼らが各々の遺志を継いで最終的に歩んだ人生を因果関係として紐解くと面白い。最終章・函館編にも主要キャラの死亡ラッシュが加速しており、リアルタイムで「誰が生き残り?」「誰が死ぬのか?」と様々な考察が活発化したのも記憶に懐かしいだろう。本作の性質上で物語の詳細を語ることはできないが、是非ともアイヌ文化を学びながら読んでほしい。
死亡キャラ一覧
金塊を巡る旅の始まり(1巻 ー 5巻)
網走監獄編(6巻 ー 14巻)
樺太編(15巻 ー 21巻)
札幌編(22巻 ー 27巻)
最終章・函館編(28巻 ー 31巻)
最終更新:2025年01月20日 13:01