概要

「月刊少年マガジン」(講談社)にて1987年5月号から1996年12月号まで連載された、川原正敏による漫画作品。
その後しばらく休載した後、「修羅の門 第弐門」が2010年11月号から2015年7月号まで連載され、これをもって完結となった。
スピンオフとして「修羅の刻」も描かれている。
一子相伝の古武術「陸奥圓明流」の伝承者である主人公「陸奥九十九」が、陸奥圓明流の最強を証明すべく強敵たちに戦いを挑む格闘漫画。

主人公の陸奥九十九は、飄々としたトボケた性格の青年。
しかし彼の中には獣が住んでおり、強敵との戦いで自身が敗北しかねないような状況に陥ると、不気味な笑みを浮かべながらどんな負傷を受けても立ち上がり、(自分が)死ぬまで戦いをやめない戦闘狂と化す。
格闘技者としてはかなり小柄な部類であるが、倍近い体格差のあるプロレスラーの絞め技を筋力だけで剥ぎ取るなど、陸奥圓明流の修行の果てに常人離れした力を秘めている。

そんな彼が戦う理由は上記の通り「陸奥圓明流の最強を証明するため」だが、それは単なる自己顕示や名声のためではなく、厳密には「陸奥圓明流の最強を証明して、自分の代で陸奥圓明流を終わらせるため」である。
陸奥圓明流とは、1000年にわたり一子相伝で現代まで受け継がれてきた「人殺しの技」である。戦乱や革命などの裏で暗躍していた数百年前ならいざ知らず、平和になった現代において殺人技は必要ないのである。
「それならばそもそも戦わなくてもよいのでは?」と思われるかもしれないが、彼が戦う理由は少年期に起きたある出来事に由来する。
彼には「陸奥冬弥」という兄がおり、彼は圓明流史上でも最強と言われる人物だったが、優しすぎる性格のために自分が継承者に向いていないことを自覚していた。そして彼は九十九が15才の時に圓明流の継承を賭けた果し合いを挑み、九十九の「獣」を呼び起こし、九十九によって殺される。
この一件が九十九の心に今も影を落としており、「(兄ならば可能だったはずの)陸奥圓明流の最強を証明すること」「(人を殺してしまうことの辛さを知っているから)陸奥圓明流を終わらせること」を目指すことになった。
これが理由で、九十九は「敗北は死よりも恐ろしいことだ」と認識しており、彼が死ぬまで立ち上がろうとするのもそのためである。
その一方で、彼の中に眠る「獣」が純粋に強敵との戦いを望んでいる部分もある。

本作における死(活人拳と殺人拳)

コミックス31巻(第一門の最終巻)にて、作者のあとがきが掲載されている。これによると、本作は「活人拳へのアンチテーゼ」であるとされている。
活人拳について具体的な説明や定義はされていないが、恐らくは端的に言えば北斗の拳のような、罪のない者や弱い者を救い守るために善の主人公が戦う、という作風である。こういった作品においては、殺人は「良い行い」として許容される(早い話、「悪人は死んで当然」という空気が出来上がる)。
そうではなく、この作品において陸奥圓明流は人助けのために使われるようなものではなくただの「人を殺すための技」でしかなく、人の死はあくまで罪として描かれている。むろん、九十九が殺人を犯して逮捕、あるいは処罰を受けることはない。本作における死の大半は「お互いに命をかけた死闘の結果」に過ぎず、命を賭けた戦いに感動、あるいは称賛する声もあれば、死ぬまで相手を打ちのめす必要があったのかという批判も(作中・作外を問わず)あり、その結果に対する受け取り方は様々である。しかし、少なくとも九十九は人を殺すたびに「自分は殺人者である」という業を背負い、これが増えたぶんだけ彼には「負けられない理由」も増えていく。

死亡したキャラクターの一覧


第一部以前


第一部

該当者なし

第二部


第三部


第四部


第弐門

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最終更新:2025年02月22日 00:35