コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

俺が死ぬまで治らない

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BANG!BANG!BANG!
この世界における神、海馬乃亜の放送から十五分後。
既に新たな戦端が、このバトルロワイアルに開かれていた。
踊り手は不死王(ノスフェラトゥ)アーカード。
白い外套を纏った少女の姿でありながら、齢百を超える怪物はその手の二丁拳銃を乱射する。


「どうした、人間(ヒューマン)。逃げてばかりでは私の心臓には届かんぞ」


対する敵手は、眼帯の少年。
否定者狩りの否定者、リップ=トリスタン。
リップからすれば、この戦いは望む開幕ではなかった。
まずは穏便に接触し、目の前の少女が何か情報を持っていないか聞き出した後、襲うか見逃すかを決める筈だった。
だが、アーカードと名乗った少女は、リップが纏う血の気配を見逃さなかった。
彼が、この殺し合いに乗った人間だという事もすぐに見破った。
その結果が、このトリガーハッピーな状況だ。


(こいつ…見た目通りの年じゃないな。不老の否定能力でも持ってるのか?)


リップが選んだのは、先ず自らが持つ古代遺物により飛行し回避に専念したうえで相手の出方を伺う事だった。
何しろ、目の前の敵が扱うのは屈強な成人男性でも取り扱いに苦労しそうな二丁の姉妹拳銃だ。
膂力も相当なものだと予想される。この時点で接近戦の選択肢はない。
今の自分は、情けない事に筋力も相当落ちているのだから。

BANG!!

アーカードの持つ、悪魔殺しの二丁拳銃がリップを捕らえる。
完全に被弾コースだ。今からは躱せない。
命中すれば、リップの幼い体躯に間違いなく風穴を開けるだろう。
だが、彼の顔に焦りはなかった。
静かにその手のマントを、銃弾への楯とする。


「!?」


アーカードの黒い瞳が僅かに歪む。
ひらり。そんな擬音が付きそうな程にあっさりと。
銃弾の軌道が、リップの左右の空間へと逸らされていたからだ。


「ハハ、眉唾だと思ったけど、意外と役に立つね」


リップに与えられた、支給品の効果だった。
22世紀のテクノロジーによって作り出された『ひらりマント』は見事弾の軌道を変えていたのだ。
だが、拳銃弾の威力もさるもの。
生半可な攻撃なら相手に跳ね返せるマントも、斜めの角度で弾く事が精いっぱいだった。
それでも、使用感は掴んだ。
要は相棒であるラトラの否定能力のような物だ。ならば、使いこなせる。
マントの陰で笑みを浮かべていると、敵手の少女が煽る様に口火を切って来る。


「走狗よ。逃げてばかりか?浅ましくあの餓鬼に媚びへつらうんじゃあ無かったのかね?
逃げて隠れて尻尾を振るだけしか能のない野良犬では、飼い主も喜ばないだろう」

「言ってろよ自称ブラム・ストーカー女が。お前はその犬っころに負けるんだから」


対するリップも冷徹に言葉を返しながら、タイミングを計る。
あの膂力の持ち主に接近戦を仕掛ければ、攻撃が通ったとしても相打ちになる恐れがある。
それでは奴を殺せても意味がない。
故に今の彼は古代遺物での攻撃を未だ行っていなかった。
ただ飛行とひらりマントによる回避に専念し、機を伺う。
狙うは遠距離攻撃。それも身のこなしで勝る相手を捕らえるための大技だ。
だが筋力の低下と制限により、直ぐには撃てない。
空気を圧縮し、溜める必要があった。
その工程は既に終わったものの、外せば次に撃てるのには更なる時間と、相手の警戒を掻い潜る必要が出てくる。軽はずみには撃てない。
その思考から静かに、冷徹に、スナイパーの様に。リップ=トリスタンは撃発の時を待つ。


(クク、さぁどうする人間(ヒューマン)。どうやってこの吸血鬼の心臓を穿って見せる。
どうやってこの化け物である私を滅ぼそうとする。早く見せて見ろ!!ハリー!ハリー!ハリー!!)


リップが何某かの自分を殺すための策を持っている事は、アーカードも分かっていた。
だから、口では嘲るような言葉を吐きつつ、瞳の色は犬とみなした人間に向けるそれではない。
むしろ、闘争への期待が一秒ごとに膨らんでいる。そんな狂気を滲ませていた。
場のボルテージは膨れ上がり、臨界点を迎える時はもうすぐそこに迫っていた。


「──拘束制御術式解放、第三号、第二号、第一号」


瞬間、その時は来る。
このまま銃撃をしていては埒が明かぬと判断したアーカードはその手の拳銃を地面に放った。
無手になった両手で構えを取り、静かに、歌うように。
これまで敵対してきた人間、化け物達を絶望に追いやってきた術式の調べを奏でようとする。
その瞬間の事だった。
キ イ イ イ イ イ 、という風切り音を彼が聞いたのは。


────走刃脚(ブレードランナー)!!


能力使用の解除が終わるまでの僅かな一瞬を、殺人者となる事を選んだ人間が切り込む。
放つは、UMAの身体でさえ滅ぼしうる、固定化された空気の刃。


───フルムーンサルト!!


超高圧縮された必殺の刃が、不死王(ノーライフキング)へと向けて放たれる。
成程、もったいぶっただけの事はある。
この刃が当たれば、人間ならば即死だろう。
アーカードは口の端を下弦の月の様に持ち上げて、そう評した。
ず。と、
能力制限の解放より0.3秒ほど早く、空気の刃が、アーカードを捕らえる。
彼女の胴体が袈裟懸けに両断されたのは、その直後の事だった。
どさっと切り落とされた胴体と、腕が地面に転がる。


「やるじゃあないか───ヒューマン」


アーカードは笑う。
何時も彼はこうしていた。
ヘルシング家が百年以上かけて作り上げた、最強のアンデットとして。
相手の殺意を、まるで恋人の愛撫かの様に受け止めて。
その上で蘇る。傷を瞬時に再生し、立ち上がり、次の殺し手を求める。
私を滅ぼせるものは何処にいる。
人間でいられなかった弱い化け物を殺せる者は何処にいる。
そう──アーサー・ホルムウッド、キンシー・モリス、ジャック・セワード。
そして――エイブラハム・ヴァン・ヘルシングの様な。
人の身で、諦めを踏破した者ども。
それだけを求めて、彼は百年以上化け物として君臨してきた。
そして、今回も。


「いいぞ、面白くなってきた。闘争はこれからだ。夜はこれからだ───」


見込み通り。殺し合いに乗ったというこの人間(ヒューマン)は、自分を滅ぼしうる牙を秘めていた。
闘争とはこうでなくてはならない。
さぁ今度は此方の番だ。再生し、立ち上がり、そして此方の能力を開帳する。
喜色を顔中に浮かべて。正しく怪物の形相で彼女は立ち上がろうとした。
そして───できなかった。
再生は一向に始まらない。
切り裂かれた胴体も腕もそのままだ。再生が始まる気配は一向に無かった。
おかしい。先ほど魔人王を名乗る化け物(フリークス)と戦った時は、速度は落ちていたが問題なく再生していた筈だ。


「無駄だよ。お前に付いたその傷は──」


瞠目するアーカードの上空で、ホバリングしながら。
冷たい視線で見下ろし、無駄である、と。リップはそう告げた。
そして、不死王を詰ませるための、一手を放つ。



「────俺が死ぬまで治らない」



U
N
REPAIR───不治───
あらゆる治療行為の一切を禁止する、リップ=トリスタンの能力。
それが、アーカードの再生の一切を『否定』していた。
故に、吸血鬼はその肉体を癒せない。
総身を影とすることも。
霧に変える事も。
蝙蝠に変える事も。
それらは全て、アーカードにとって治療行為に当たるから。
故に、下半身と両手を切断された吸血鬼は、地を這いずる。


「何の否定者だったのかは知らないが…攻撃を避けなかったのを見るに、
治すタイプの能力だったらしいな。だがこれで勝負アリだ」


語りながらリップは上空にて周囲を睥睨する。
辺りに近づく者はいないか確認する必要があったからだ。
此処に来る以前、子供の姿になる原因となった戦いで、不死の否定者と彼は戦った。
初撃に成功し、勝利を確信した所で、傍らにいた不運が不死を介錯する事で不治の条件をすり抜け、復活して見せた事がある。
同じ轍は踏まないと、解釈しようとする第三者の姿が無いか確認する。
そんな人間はいなかった。
これで、能力制約外の相手による、介錯からの復活を恐れる心配はない。


「だが、ちんたらしてると誰かお邪魔虫が来るかもしれない。これで決めさせてもらう」


そう言って、リップは再び空へと舞い上がる。
相手の能力が何なのかは分からない。
もしかすれば本当に吸血鬼なのかもしれない。
けれど、それでも不治の刃で全身を切り刻めばそれで事足りるだろう。
そう考え、とどめの一撃を放つべく再び走刃脚に空気を籠める。


「フフ───フハハハハハハ───!」


対するアーカードの浮かべるのは、満面の笑みだった。
侮っていたのは確かだ。
所詮、海馬乃亜に頭を垂れ、服従する事を選んだ臆病者だと。
だが、ここまでの牙を隠していたとは。
評価を改めよう。
目の前の眼帯の子供、リップ=トリスタンは。
紛れもなく、私を倒しうる人間(ヒューマン)だ。
そう、化け物を倒すのは、何時だって人間だ。人間でなくてはならない。


「クロムウェルによる承認認識───眼前敵の完全沈黙までの間能力使用」


中断していた詠唱を再開し、これを完遂する。
切断された片腕は、影を変形させる事によってその用途を補う。
喪った腕の変わりにはできないが、印の形を組むだけならば可能だった。
何故なら、これは治療行為ではなく、殺害のための行為。
リップ=トリスタンの言葉が正しいのならば、奴が死ねばこの癒えない傷も解ける。
故に選ぶはクロムウェルによる完全なる制圧。
あの奇妙なマントでも対応できない、純粋な物量で沈黙させる。


「───能力使用限定解除開始……!!」


例え、上半身だけになったとしても。
例え、全身から泉のように血が噴き出したとしても。
例え、芋虫の様に地面を這いずるしかできなくなったとしても───
その程度では、吸血鬼は、死なない!!
アーカードの姿が、変貌を遂げる。
目玉、目玉目玉目玉。蝙蝠、百足、黒狗(ブラック・ドッグ)
夥しく悍ましい黒色の殺意のレギオン。
それは、リップを優に十度は殺して余りある殺意の津波であった。


「……ここまでのモンを隠してたとはね。流石に肝が冷えるな」


リップの頬を、冷たい汗が伝う。
だが、それでもその表情から余裕の二文字は消えていない。
何らかの確信を纏った、そんな表情をしていた。
そして再び、アーカードの耳にキ イ イ イ イ!という風斬り音が伝わる。
それが合図だった。


「オーダーは、見敵必殺(サーチアンドデストロイ)だ」


その号令と共に。
黒色の殺意が、上空の不治(アンリペア)へと殺到する。
制空権を握られていようと影である黒狗達には関係ない。
また、スピードでもこれまでリップが見せた飛行より数段早い。
攻撃を弾く奇妙なマントも、この物量では処理が追い付かないだろう。
殺った。侮りではなく冷静な戦術眼で、アーカードは事実としてそれを判断する。
だが──やはりリップの反応は冷静な物だった。


「安心したよ、アンタが“俺を殺しに来てくれて”
そして──お前の負けだ、アーカード」


言葉と共に。
リップを殺そうと迫っていた漆黒の大津波が。
動きを止めた、そうして、霧散する。


「な、に───!?」


これには流石のアーカードも言葉失った。
防御された様にも、無効化されたようにも見えない。
と言うよりも、まるで自分からクロムウェルを解除したかのような現象が起きた。
何故、という疑問符が浮かぶが、吸血鬼が答えを出す暇を、不治は与えなかった。
冷酷に、冷徹に。詰み(チェック)をかける。


───走刃脚(ブレードランナー)


アーカードの敗因は、ごく単純だ。
それは偏に彼が、敵を殺さずにはいられない化け物(フリークス)であったこと。
彼は既に、リップ=トリスタンから不治の傷を受け、解除条件を聞いている。



そして、その状態でリップの殺害を試みれば、それは治療行為に当たる。



故に不治(アンリペア)は、アーカードの攻撃を否定した。
リップが懸念したのは、アーカードという幼女が、自分が敗北を喫した死の否定者の様な精神性だった場合だ。
あの不死(アンデッド)は自己の治療の為ではなく、不運や不動のため、
他者の防衛・献身行為としてリップを撃ち、不治のルールの誤算を弾き出した。
だが、これは非常に困難だ。
仲間を守るという意志よりも、殺害の意志が強ければ不治の縛りは発動するのだから。
尤も、今のアーカードは単騎だった。故に、そんな思考に至れるはずも無かった。
主(インテグラ)も従僕(セラス)もいない、バトルロワイアルと言う環境そのものが。
不死(アンディ)と吸血鬼(アーカード)の命運を分けた。


────クレセント!!


そして、断頭の刃は振り下ろされる。
今の上半身だけとなったアーカードなら、心臓ごと、上半身全てを押しつぶす事ができるサイズの刃だった。
ギロチンの様に迫りくる刃を、アーカードは瞬きもせず、ただ見つめて。


「───私が、負ける?」


自分を今一度敗北に至らしめるのは、あのヘルシング卿の様な者だと思っていた。
だがまさか、海馬乃亜の甘言に乗った走狗の徒に負けるとでもいうのか?
だって、化け物を倒すのはいつだって人間だ。素晴らしき人間達ではなければならない。
それが彼の信仰で。
その想いが湧き上がると同時に、激しい既視感を感じる。
あぁ、そうだ。あの時も、きっと私はきっとこう言った───


「私は断じて負けぬ。負ける筈がない。決して────」


それが最後だった。
不治の刃が、白木の杭のように彼の心臓を切り裂いた。
そして、吸血鬼の姿はただ、影に溶けて。
もう、戻らない。
百年以上君臨したその吸血鬼の最期は、遠く忘れていた挫折を経験した、少女の表情をしていた。
……呆れるくらい、単純な話だった。
彼の信仰めいた情念よりも、この場においては純粋な能力の相性。
それによる優劣が、このバトルロワイアルでは優先されただけだった。
不死性を奪われ、己が持つ殺意すら否定された怪物(フリークス)は、眠るしかない。
…実を言えば、“本来の”アーカードが助かる抜け道はもう一つだけあった。
その方法は魂の支配率を操作し、一度他の魂に完全に存在の主権を明け渡すこと。
それができれば、不死と戦神の様に、不治のルールの穴を突く事が理論上可能だった。
だが、そんな方法が実際に行えたかと言えば否だろう。
子供ばかり集めたこの殺し合いで、一時的とはいえ子供の姿以外のカタチを取る事を乃亜が許す筈がないのだから。



故に、鮮血の伝承は此処に終わる。
狂気の少佐が率いた第三帝国の戦闘部隊「最後の大隊」でも。
神罰の地上代行者である神父が所属していたバチカン法王庁特務局第13課「イスカリオテ」でも。
倒すことができなかった悪魔(ドラクル)を討ったのは、たった一人の、この世の理の否定者だった。


【アーカード@HELLSING 死亡】




戦闘を終えて、一息つく。
ただ者ではないと思っていたが、まさかあれほどまでの怪物とは。
ダメージはこれと言って負っていないが、疲れた。精神的に。


「まさか、俺みたいに年誤魔化してる奴ばっかりじゃないだろうな……」


ぼやきながら、散らばった今しがた殺したアーカードの支給品と、首輪を集める。
奴の死体は無かった。もしかしたら本当に吸血鬼だったのかもしれない。
まぁ、首輪が此処にある以上は死んでるだろうし、殺した今となってはどうでもいいが。
兎も角、急いでここを離れなくては。
放送ではこの一時間でもう十四人も死んでいる。
知り合いはいなかったので感慨はないが、思いのほか競争相手は多いのかもしれない。
ぼさぼさはしていられない。


「さて、と…これでよし───!?」


丁度、散らばった支給品を集め終わった時だった。
背筋に、冷たい物が奔る。
視線だけ動かすと、首筋には冷たい刀剣が当てられていた。
そうして、背後から女の声が響く。


「ハァイ?貴方凄いわね。あれ多分死徒よ?もしかしたら真祖かも。
それをハンデや侮りもあったとはいえ、一人で倒しちゃうなんて」

「……それで、アンタは俺に何の用だ?」


クソッ、しくじった。
一戦終えて油断してしまった。
闘った後なんて一番襲われやすい時だってのに。
落ち着け、兎に角傷さえ作ってしまえば───


「あぁ、言っておくけど、貴方の能力は聞かせてもらったわ。
まぁ尤も、この距離なら私の方が一手早いけどね」


心の内で舌打ちする。
この女、さっきの俺の戦いを隠れて見てやがったのか。
つまり不治の能力は既に知られてしまっている。


「……貴女の能力は明確な弱点がある。一対一の戦いなら殆ど無敵だけど…
多対一だと辛いんじゃない?例えばさっきの戦いだって、私があの吸血鬼の女の子を介錯してれば復活してたでしょ?」


女の言う通りだった。
介錯の指摘は勿論、例え一人に傷を負わせても、多人数なら撃ち漏らした者は問題なく俺に攻撃ができる。
当然そんな事俺は答えなかった。応えるメリットがないから当たり前であるが。
だが、沈黙は肯定だと受け取ったのか、背後の女はそのまま続け、本題に入った。
まぁその本題は、女があの吸血鬼を実際に介錯しなかった事から察する事ができたが。


「それでね、提案があるの。私と───」

「組もうっていうんだろ?いいよ。アンタが殺し合いに乗ってるってんなら手を組もう」


女が言い終わる前に。俺は先んじて提案を受けた。


「……まぁそうなんだけど、随分あっさり決めるのね。迷いはないの?」

「迷いも糞も、此処で断ったら俺の首撥ねるつもりだろ、君。
力も身動き一つできない程強いし、何かの能力を持ってるなら戦力に数えられる。
足手まといはいらないが、戦力は俺にとっても欲しいんだ」


ここで突っぱねても殺されるだけだし、俺一人では仮眠を取る事もままならない。
だから、元より適当な優勝狙いの…ノアの言葉を借りるならマーダーと同盟を結ぶ予定は当初からあったのだ。
油断させて後から不治にしてしまうという手もある。
だから、俺は背後の女の申し出を受けた。
不意に、首筋に充てられていた剣が降ろされる。
振り返ると、褐色の肌に桃色の髪の、妙な格好をした女が立っていた。


「──まぁいいわ。商談成立ね。私はクロエ・フォン・アインツベルン。
よろしく頼むわ、不治(アンリペア)くん?」

「その前に一つ聞いておきたい事がある。お前どうやって俺達の目を誤魔化した」

「あぁ、それ?それは私に支給されてたマントの力ね、透明マントって言うらしいわ」


得意げに光学迷彩の様なマントを広げて誇って見せるクロエ。
俺はそのマントを撫でて、納得がいった。
確かにこれで接近されれば、気づくのは困難だろう。


「言っておくけど、この距離なら私の方が早いから。妙な気を起こさないでね?
手を組んで早々、殺しあいたくないもの」


俺の脚を指さしながら、彼女はそう告げてくる。
不治の事も知っているなら、勿論走刃脚の事もお見通しという訳らしい。
相当な自信だ。俺よりも早いという言葉もブラフではないだろう。
さっき首筋に剣を当ててきた時、そう感じた。
いずれ敵対する相手としては厄介だが、協力者としては及第点か。
俺としてもとんだ怪物と一戦交えた直後に、やり合いたくはなかった。


「…兎に角、この場を離れるぞ、君みたいなハゲタカ共が寄ってくる前にな」

「あっ!ひど~い。女の子にそう言う事言う?」

「必要以上になれ合うつもりは無いよ。俺と君の協力体制はあくまで利害の一致だから」


走刃脚で飛び上がり、クロエもそれに続く。
その場を離れながら思うのは、クロエはやはり見込み通り大した身体能力だということ。
この女が何を思い、何を願って殺し合いに臨んでいるのかは知らない。
興味も無い。
ただ俺には俺の目指すべき場所があって、よそ見をしている暇はない。
秋の木漏れ日の中で笑っていた、彼女を救うその日までは。
しかし、アインツベルン、か。
どうやら、お前の道行きはもっと厳しい物になったらしいぞ、イリヤ。


【C-7/1日目/深夜】

【リップ=トリスタン@アンデットアンラック】
[状態]:掌に切り傷、右頬へのダメージ(中)、
[装備]:走刃脚(ブレードランナー)、ひらりマント@ドラえもん
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品2~4(アーカードの物も含む)、エボニー&アイボリー@Devil May Cry、アーカードの首輪。
[思考・状況]
基本方針:優勝し、ラトラの元へと帰る。
1:殺し合いに乗る。ただし、必要以上のリスクは犯さない。
2:クロエと組む。ただし不要になれば切り捨てる。
3:願いを叶える、か…本当かねぇ。
4:もし本当に、イリヤがこの殺し合いを打破する手段を見つけたら…?
[備考]
※参戦時期は6巻、アンデッドアンラック戦終了後、秋(オータム)戦直前です。
※古代遺物(アーティファクト)『ライフ・イズ・ストレンジ』の効果により、子供の姿になっています。

【クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ イリヤ ツヴァイ!】
[状態]:健康、若干自暴自棄気味
[装備]:賢者の石@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品、透明マント@ハリーポッターシリーズ、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:優勝して、これから先も生きていける身体を願う
1:とりあえず、覚悟を決めたいところね。
2:リップ君と組む。できるだけ序盤は自分の負担を抑えられるようにしたい。
3:魔力供給役の女の子が欲しいわね…殺し合いに乗ってる子でいい子いないかな。
3:ニケ君には…ほんの少しだけ期待してるわ。少しだけね。
[備考]
※ツヴァイ第二巻「それは、つまり」終了直後より参戦です。
※魔力が枯渇すれば消滅します。


002:解体し統合せよ 投下順に読む 004:重曹
時系列順に読む
113(候補作採用話):ここから、始めよう リップ=トリスタン 036:かけ違えた世界で
022(候補作採用話):勇者の挑戦 クロエ・フォン・アインツベルン
044(候補作採用話):immortal combat アーカード GAME OVER

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