戦力が欲しい。
それがシャルティア・ブラッドフォールンの率直な心境だった。
何しろ、スキルは戦闘・移動用の物は使用回数が底をついている。
一応魅了スキルや鮮血の貯蔵庫などのヴァンパイアとしての種族スキルの一部と、
ワルキューレのクラススキルである死せる勇者の魂(エインヘリヤル)は使用可能で在るモノの、
前者は強者との戦闘ではどれもこれも役に立つとは言い難く。
後者は使用すればまず間違いなく、乃亜がハンデとして半日は使用不能にするであろう、
正真正銘の切り札だ。おいそれと切れるカードではない。
それがシャルティア・ブラッドフォールンの率直な心境だった。
何しろ、スキルは戦闘・移動用の物は使用回数が底をついている。
一応魅了スキルや鮮血の貯蔵庫などのヴァンパイアとしての種族スキルの一部と、
ワルキューレのクラススキルである死せる勇者の魂(エインヘリヤル)は使用可能で在るモノの、
前者は強者との戦闘ではどれもこれも役に立つとは言い難く。
後者は使用すればまず間違いなく、乃亜がハンデとして半日は使用不能にするであろう、
正真正銘の切り札だ。おいそれと切れるカードではない。
(私以外のナザリックの知己が参加していれば………)
忌々しい事に、アルベドが参加していないであろうことは予想がついていた。
乙女の物とはかけ離れた、駄肉そのものの肢体をした女だからだ。
デミウルゴス、コキュートス、セバスなどは語るべくもない。
だが、自分とそう変わらないチビ助のマーレやアウラはいてもいいのではないか。
せめてエントマのでもいれば、露払いとしては頼れたものを。
乃亜への不満が連なる中、一つの可能性に行き当たる。
乙女の物とはかけ離れた、駄肉そのものの肢体をした女だからだ。
デミウルゴス、コキュートス、セバスなどは語るべくもない。
だが、自分とそう変わらないチビ助のマーレやアウラはいてもいいのではないか。
せめてエントマのでもいれば、露払いとしては頼れたものを。
乃亜への不満が連なる中、一つの可能性に行き当たる。
(待って。もしや、大墳墓ではまた私が攫われたと騒ぎになっているんじゃあ………)
シャルティア、またしても独りかどわかされ、行方不明となる。
そう報告を受けた時の至高の御方、アインズ・ウール・ゴウン。
忠誠を誓った主の落胆した表情を想像するだけで、忸怩たる思いが噴きあがる。
自分一人が連れ去れた失態が再び浮き彫りとなり、今度こそ無能の烙印は免れないだろう。
そう報告を受けた時の至高の御方、アインズ・ウール・ゴウン。
忠誠を誓った主の落胆した表情を想像するだけで、忸怩たる思いが噴きあがる。
自分一人が連れ去れた失態が再び浮き彫りとなり、今度こそ無能の烙印は免れないだろう。
(手ぶらでは帰れない……)
親指の爪を噛み締めながら、頭を悩ませる。
願望の成就。アインズ様とペペロンチーノ様の再会。
最低でもその権利を得て帰還しなければ、この失態に次ぐ失態の汚名を雪げない。
孫悟飯戦の大敗と、自身が孤軍である事を認識した事によって。
シャルティアは、追い詰められていた。
願望の成就。アインズ様とペペロンチーノ様の再会。
最低でもその権利を得て帰還しなければ、この失態に次ぐ失態の汚名を雪げない。
孫悟飯戦の大敗と、自身が孤軍である事を認識した事によって。
シャルティアは、追い詰められていた。
(落ち着け、冷静に。先ずは自身のコンディションを整える事が最優先)
ナザリックの守護者がいないことが確定した以上、恐らくは今後も孤軍となる。
となれば、早急に己の状態だけでも整えなければ。
支給されたランドセルから出した闇の賜物を使用する。
これでこの支給品は使い切ってしまうが、背に腹は代えられない。
使用して数十秒で効果が表れ、シャルティアの肉体の損傷とダメージを癒していく。
元々吸血鬼の再生能力の高さとの相乗効果で、HPに関しては完全回復することができた。
しかし、スキルの使用回数とMPの残量に関しては如何ともしがたい。
特にMPは乃亜のハンデだろう、普段と比べれば回復速度が二割程まで落ち込んでいた。
となれば、早急に己の状態だけでも整えなければ。
支給されたランドセルから出した闇の賜物を使用する。
これでこの支給品は使い切ってしまうが、背に腹は代えられない。
使用して数十秒で効果が表れ、シャルティアの肉体の損傷とダメージを癒していく。
元々吸血鬼の再生能力の高さとの相乗効果で、HPに関しては完全回復することができた。
しかし、スキルの使用回数とMPの残量に関しては如何ともしがたい。
特にMPは乃亜のハンデだろう、普段と比べれば回復速度が二割程まで落ち込んでいた。
(スキルに関しては兎も角、せめて魔力は都合がつけば────)
臍を?む思いで、安定したMPの補給方法を思索する。
その果てに、シャルティアは二度目の放送前に得た戦利品の存在を思い出した。
背負っていたランドセルの中に勢いよく手を突き入れ、目当てのアイテムを引きずり出す。
その果てに、シャルティアは二度目の放送前に得た戦利品の存在を思い出した。
背負っていたランドセルの中に勢いよく手を突き入れ、目当てのアイテムを引きずり出す。
『………っ!ぷはっ…!こ、ここは!?』
「はぁい☆鞄の中の居心地はどうでありんしたか?」
「はぁい☆鞄の中の居心地はどうでありんしたか?」
取り出したるは一本の桃色ステッキ。
ファンシーな装飾が成されたそれは、彼の魔導元帥が作り上げた愉快型魔術礼装。
マジカルステッキ・カレイドルビーを、シャルティアは鷲掴みにして。
愛らしく残酷な笑みを、未だ状況が呑み込めていない様子のステッキへと向けた。
ファンシーな装飾が成されたそれは、彼の魔導元帥が作り上げた愉快型魔術礼装。
マジカルステッキ・カレイドルビーを、シャルティアは鷲掴みにして。
愛らしく残酷な笑みを、未だ状況が呑み込めていない様子のステッキへと向けた。
『あ……貴方は!?くっ……離しなさい!離せー!!』
「まぁまぁ、そういけずな事はいいなんし。仲良くするでありんす」
「まぁまぁ、そういけずな事はいいなんし。仲良くするでありんす」
シャルティアの笑顔を見て状況を把握したのか、うねうねとルビーが暴れる。
だが、上級サーヴァントに匹敵する怪力の前には意味をなさず。
無駄な抵抗を続けるルビーに、シャルティアは思い至った考えを告げる。
だが、上級サーヴァントに匹敵する怪力の前には意味をなさず。
無駄な抵抗を続けるルビーに、シャルティアは思い至った考えを告げる。
「ぬしを私の装備として使ってあげるでありんす。感謝してもいいよぇ?」
ニッコリと微笑みながら告げられた言葉に、わなわなとルビーの柄が震える。
そして、激昂した。ふざけるなと。美遊さんを殺しておいてよくもと。
貴方に使われるぐらいなら、破壊された方がマシだと。
元よりルビーも小太りの少年を殺した時点で覚悟はできている、さぁやるならやれ。
普段のふざけた態度とはかけ離れた覚悟と矜持を見せるルビーだったが。
だがシャルティアがそれを慮る義理は当然ない。無意味だった。
そして、激昂した。ふざけるなと。美遊さんを殺しておいてよくもと。
貴方に使われるぐらいなら、破壊された方がマシだと。
元よりルビーも小太りの少年を殺した時点で覚悟はできている、さぁやるならやれ。
普段のふざけた態度とはかけ離れた覚悟と矜持を見せるルビーだったが。
だがシャルティアがそれを慮る義理は当然ない。無意味だった。
「成程、ご立派な覚悟でありんすね…………人殺しが使っていた道具にしては」
『うるさい!貴方が何と言おうと────っ!?……な、なんで、それを』
『うるさい!貴方が何と言おうと────っ!?……な、なんで、それを』
ステッキであるため、彼女が今どんな表情をしているか伺えないものの。
もし彼女に顔があれば、きっと激しく狼狽しているに違いない。
そう確信させるほど、シャルティアの手の中のルビーの様相は、動揺に満ちていた。
もし彼女に顔があれば、きっと激しく狼狽しているに違いない。
そう確信させるほど、シャルティアの手の中のルビーの様相は、動揺に満ちていた。
「おや?カマをかけただけでありんしたが、どうやら図星だったみたいねぇ?」
『はうっ』
『はうっ』
そう言ってシャルティアは、ルビーの柄についた、固まった血痕を?がし、一舐めする。
舌の上に広がった血の味は、少し前に戦い殺した美遊という少女の物とは間違いなく違う。
となればこれは返り血であると考えるのが妥当だろう。
無論それで美遊という少女が人を殺したという証拠にはならない。
流血を伴う結果だとしても殺してはいないかもしれないし、正当防衛かもしれない。
しかし、少し前に出会った日番谷という少年からの証言。
彼の話に出てきた美遊らしき少女は、まず間違いなくマーダー行為を行っていた。
それ故にカマをかけてみたのだが……どうやら当たり玉を引き当てたらしい。
舌の上に広がった血の味は、少し前に戦い殺した美遊という少女の物とは間違いなく違う。
となればこれは返り血であると考えるのが妥当だろう。
無論それで美遊という少女が人を殺したという証拠にはならない。
流血を伴う結果だとしても殺してはいないかもしれないし、正当防衛かもしれない。
しかし、少し前に出会った日番谷という少年からの証言。
彼の話に出てきた美遊らしき少女は、まず間違いなくマーダー行為を行っていた。
それ故にカマをかけてみたのだが……どうやら当たり玉を引き当てたらしい。
「何を考えて殺したのかは知りんせんが──どうせマーダーが使っていた杖。
それなら、私に使われても何も問題はないわよぇ?」
『美、美遊さんを貴方なんかと一緒にしないでください!』
それなら、私に使われても何も問題はないわよぇ?」
『美、美遊さんを貴方なんかと一緒にしないでください!』
ルビーは必死すぎるほど必死に、シャルティアの言葉に食って掛かる。
美遊・エーデルフェルトはイリヤさんの親友だ。
元よりやりたくて人を殺した訳じゃない。
彼女は目の前の吸血種の様な殺しを楽しめる様な人では断じてない。
美遊さんは悪くない。悪いのはこんな殺し合いを仕組んだ乃亜と。
彼女が道を誤るのを止められなかった、自分だ。
美遊・エーデルフェルトはイリヤさんの親友だ。
元よりやりたくて人を殺した訳じゃない。
彼女は目の前の吸血種の様な殺しを楽しめる様な人では断じてない。
美遊さんは悪くない。悪いのはこんな殺し合いを仕組んだ乃亜と。
彼女が道を誤るのを止められなかった、自分だ。
───あれ、でも。
美遊・エーデルフェルトが殺し合いに乗ったのはイリヤを助けるためで。
そのイリヤは健在のまま、此処にいた。
それは、やはり。美遊は、自分は。
殺さなくともいい少年を、殺してしまったということか?
それは、数刻前に美遊・エーデルフェルトが行きついた結論であり。
遅れてルビーも行きついた袋小路だった。
そのイリヤは健在のまま、此処にいた。
それは、やはり。美遊は、自分は。
殺さなくともいい少年を、殺してしまったということか?
それは、数刻前に美遊・エーデルフェルトが行きついた結論であり。
遅れてルビーも行きついた袋小路だった。
『…………違う、違う──!美遊さんは、私、は───!』
「あ、ちょっと、暴れるんじゃありんせん」
「あ、ちょっと、暴れるんじゃありんせん」
普段のふざけた態度は消え失せて。
自分の取り返しのつかない、防げたかもしれない失敗を認識してしまったルビーは最早、シャルティアの手の中で暴れる事しかできなかった。
みしみしと軋んだのは、彼女の心か、それともボディか。それは定かではなかったが、
シャルティアが折角手に入れた戦利品が壊れる事を良しとするはずもない。
自分の取り返しのつかない、防げたかもしれない失敗を認識してしまったルビーは最早、シャルティアの手の中で暴れる事しかできなかった。
みしみしと軋んだのは、彼女の心か、それともボディか。それは定かではなかったが、
シャルティアが折角手に入れた戦利品が壊れる事を良しとするはずもない。
「あーもう、喧しい。道具は道具らしく、大人しく使われときなさいね?」
いい加減付き合うのも面倒になったと言わんばかりに。
シャルティアは自身の瞳を妖しく煌めかせた。
そして、現状の彼女でも使用できる魅了魔法を発動する。
シャルティアは自身の瞳を妖しく煌めかせた。
そして、現状の彼女でも使用できる魅了魔法を発動する。
『し、しまっ────!』
最高位の魔術礼装であるマジカルステッキに、本来魅了など通るはずもない。
例えそれをかけた相手が、稀代の吸血姫シャルティアであったとしてもだ。
だが、現状のルビーは、乃亜によって調整が加えられてしまっている。
その上、彼女の精神は犯した失敗で追い詰められ、巨大な陥穽が生じてしまっていた。
故に、シャルティアの側からしても物は試しと放った魅了の効果を弾く事叶わず。
ルビーの意識が、霞がかって薄れていく。
例えそれをかけた相手が、稀代の吸血姫シャルティアであったとしてもだ。
だが、現状のルビーは、乃亜によって調整が加えられてしまっている。
その上、彼女の精神は犯した失敗で追い詰められ、巨大な陥穽が生じてしまっていた。
故に、シャルティアの側からしても物は試しと放った魅了の効果を弾く事叶わず。
ルビーの意識が、霞がかって薄れていく。
「安心しなんし、使うのは私でありんすから。ぬしが殺す訳ではありんせん────」
ルビーが最後に聞いた、シャルティアが発したその言葉は。
罪の意識を和らげようという気遣いから口にされた言葉ではない。
犯した罪から目を背けさせ、道具として扱いやすくするためのマインドコントロールだ。
罪の意識を和らげようという気遣いから口にされた言葉ではない。
犯した罪から目を背けさせ、道具として扱いやすくするためのマインドコントロールだ。
(イ…イリヤさん………ごめんなさい…………)
それはルビーにも分かっていたけれど、現状の彼女に拒む手段も精神力もなかった。
最後にできたことといえば、元の持ち主であり、相棒の少女への謝罪で。
そのまま彼女の意識は、茫洋とした闇の中へと溶けていく。
後は、操り人形と化した一本の杖だけが残った。
最後にできたことといえば、元の持ち主であり、相棒の少女への謝罪で。
そのまま彼女の意識は、茫洋とした闇の中へと溶けていく。
後は、操り人形と化した一本の杖だけが残った。
「道具が使い手に逆らうな、という考えはどうやら乃亜も同じらしいでありんすねぇ」
意志を奪われ、物言わぬステッキとなったルビーを見下ろして。
酷薄な笑みのままに、シャルティアは独り言ちた。
そして、残存する魔力で魔法を一つ行使する。
酷薄な笑みのままに、シャルティアは独り言ちた。
そして、残存する魔力で魔法を一つ行使する。
───《オール・アプレイザル・マジックアイテム/道具上位鑑定》
ルビーが物言わぬ杖になってしまった以上、自力で使い方を理解する他ない。
手に持っただけではあの小娘どもの様に姿が変わらず、バフの恩恵を受けられないからだ。
支給品の説明書も手元にはなく、この魔法が無ければ扱い方は分からなかっただろう。
手に持っただけではあの小娘どもの様に姿が変わらず、バフの恩恵を受けられないからだ。
支給品の説明書も手元にはなく、この魔法が無ければ扱い方は分からなかっただろう。
「ふむふむ…ここに血を塗る……と」
得られた情報は本当に簡素な物だったが、一応契約の方法は分かった。
鑑定魔法で得た情報を元に、指先に切り込みを入れて、己の血液を塗りたくる。
そして、もう一度握り締めた瞬間、契約を成す光がシャルティアを包み込んだ。
もう一つ変身に必要な、乙女のラヴパワーなる怪訝な要素は無視できたらしい。
それとも、アインズ様への愛が要素を満たしたのか。
鑑定魔法で得た情報を元に、指先に切り込みを入れて、己の血液を塗りたくる。
そして、もう一度握り締めた瞬間、契約を成す光がシャルティアを包み込んだ。
もう一つ変身に必要な、乙女のラヴパワーなる怪訝な要素は無視できたらしい。
それとも、アインズ様への愛が要素を満たしたのか。
『コンパクトフルオープン、境界回廊最大展開、真性カレイドルビー…』
『────プリズマシャルティア爆誕!』
感情の抜け落ちた機械的な音声から、これ以上なく胡乱な文字列を並べて。
シャルティアの纏っていた漆黒のドレスが眩い光の粒子となり、変貌を遂げる。
数秒後、赤と黒を基調とし、フリフリ且つ煽情的なコスチュームが彼女の身を包んだ。
シャルティアの纏っていた漆黒のドレスが眩い光の粒子となり、変貌を遂げる。
数秒後、赤と黒を基調とし、フリフリ且つ煽情的なコスチュームが彼女の身を包んだ。
「おお…成程、これは悪くないでありんすね」
鑑定スキルを使用した時からこの杖が神器(ゴッズ)級装備なのは分かっていたが。
これ程の逸品だとは、思っても見なかった。
変身を遂げた瞬間全身に力が満ち、杖を起点に魔力が流れ込んでくる。
ただの子供が、自分と一応戦いになるレベルまで強化されるのを鑑みれば当然ではあるが。
それでも期待以上の性能だったと言ってもいい。
これ程の逸品だとは、思っても見なかった。
変身を遂げた瞬間全身に力が満ち、杖を起点に魔力が流れ込んでくる。
ただの子供が、自分と一応戦いになるレベルまで強化されるのを鑑みれば当然ではあるが。
それでも期待以上の性能だったと言ってもいい。
「……クク…ッ!フフ…あははははははは!!」
返す返す愉快だった。
自分の邪魔をしてきた、イリヤの親友である美遊とかいう黒髪の小娘は、
イリヤの敵である自分に、左手だけでなく便利な武装までプレゼントしてくれたのだ。
つくづく自分の養分として優秀な小娘だと、褒めてやりたい気分だった。
自分の邪魔をしてきた、イリヤの親友である美遊とかいう黒髪の小娘は、
イリヤの敵である自分に、左手だけでなく便利な武装までプレゼントしてくれたのだ。
つくづく自分の養分として優秀な小娘だと、褒めてやりたい気分だった。
「しかし…衣装のセンスはペペロンチーノ様には遠く及ばないでありんすね。
もっと私に似合う、気品と貞淑さと妖艶さのある恰好に──」
もっと私に似合う、気品と貞淑さと妖艶さのある恰好に──」
ともあれ、ステッキから流れ込んでくる魔力でMPの補給については目途がついた。
後は、デザインをもっと趣味に会う物に変えられれば言うことは無いのだが。
そう考えて、何とかコスチュームのデザインを変える方法はないか模索しようとした、その時の事だった。
後は、デザインをもっと趣味に会う物に変えられれば言うことは無いのだが。
そう考えて、何とかコスチュームのデザインを変える方法はないか模索しようとした、その時の事だった。
「─────…!?」
元々人外のスペックを誇り、更にステッキの補助が付いた彼女の知覚機能が。
近辺に、強者の気配を感じ取ったのは。
孫悟飯の物ではない。この気配、別の強者の物だ。
シャルティアは、僅かな時間思索を行い、
近辺に、強者の気配を感じ取ったのは。
孫悟飯の物ではない。この気配、別の強者の物だ。
シャルティアは、僅かな時間思索を行い、
「ふむ───鬼が出るか蛇が出るか」
その結論に至った。また、孫悟飯の様な輩と出会うかもしれないが。
今の自分にはツキがある。この流れを逃すべきではない。
そう判断して、シャルティアはふわりと空中を舞った。
普段は飛行魔法で空中戦を行うシャルティアではあるが、
それを用いずに空中を散歩するのは、これまでに余りない経験であった。
若干の新鮮さを感じながら、吸血姫は息を潜めつつ気配の下へと飛んでいく
その姿は、容姿だけなら見惚れるほどに美しい物だった。
今の自分にはツキがある。この流れを逃すべきではない。
そう判断して、シャルティアはふわりと空中を舞った。
普段は飛行魔法で空中戦を行うシャルティアではあるが、
それを用いずに空中を散歩するのは、これまでに余りない経験であった。
若干の新鮮さを感じながら、吸血姫は息を潜めつつ気配の下へと飛んでいく
その姿は、容姿だけなら見惚れるほどに美しい物だった。
□ □ □
無表情、無感情に。
妖精騎士ランスロット。暗い沼のメリュジーヌは。
石造りの中央司令部、その建物の頂上付近で。
建物の影で身を休ませながら、人間達の証拠隠滅作業を眺めていた。
妖精騎士ランスロット。暗い沼のメリュジーヌは。
石造りの中央司令部、その建物の頂上付近で。
建物の影で身を休ませながら、人間達の証拠隠滅作業を眺めていた。
当然と言えば当然の話だ。
如何にブック・オブ・ジ・エンドの効果を受けていたとはいえ。
彼女が標的の逃げて行った方角を確認していない筈もなく。
そして、戦闘後と言えど、子供の足でも一時間から二時間程で辿りつけてしまう距離。
最強の妖精騎士の飛行速度であれば、一分とかからず追いつけてしまう。
だが彼女は逃がした標的を補足してから、暫くは手を出すことは無かった。
少し前に戦ったサトシと呼ばれていた少年と、彼の相棒の電気鼠。
彼等が放った雷撃の痺れがまだ体に残留していたからだ。
ダメージの方はカードで回復したが、痺れ残して戦闘に至るのは望ましくない。
同時に、明確に襲った彼らをそのまま逃がすのも面白くなかった。
結果選んだのは察知されない上空で滞空しつつ、追跡監視するという選択肢。
まさかもう追いついてきているとは夢にも思わない少年二人と、
新たに加わった様子の玉ねぎ頭の少年は、メリュジーヌの姿に気づくことはなかった。
如何にブック・オブ・ジ・エンドの効果を受けていたとはいえ。
彼女が標的の逃げて行った方角を確認していない筈もなく。
そして、戦闘後と言えど、子供の足でも一時間から二時間程で辿りつけてしまう距離。
最強の妖精騎士の飛行速度であれば、一分とかからず追いつけてしまう。
だが彼女は逃がした標的を補足してから、暫くは手を出すことは無かった。
少し前に戦ったサトシと呼ばれていた少年と、彼の相棒の電気鼠。
彼等が放った雷撃の痺れがまだ体に残留していたからだ。
ダメージの方はカードで回復したが、痺れ残して戦闘に至るのは望ましくない。
同時に、明確に襲った彼らをそのまま逃がすのも面白くなかった。
結果選んだのは察知されない上空で滞空しつつ、追跡監視するという選択肢。
まさかもう追いついてきているとは夢にも思わない少年二人と、
新たに加わった様子の玉ねぎ頭の少年は、メリュジーヌの姿に気づくことはなかった。
その後、三人はそこから更に見覚えのある金髪の少女と長髪の子供とも合流した。
人数は総勢五名となり、生き残りの人数を考慮すれば中々の大所帯であるが。
メリュジーヌの見立てから言って、全員を相手取ってもまず負けない集団だった。
一番強いのは金髪の少女だが、自分と戦うには弱すぎる。
唯一気を付けるべきは、自分を退けたカード使いと同じと思わしき長髪の少年か。
彼さえ真っ先に潰せば、後は問題にならない。
例え目を瞑って、両手を縛っていても皆殺しにできる。
慢心ではなく冷徹な観察眼で、メリュジーヌは一同を観察し続けた。
人数は総勢五名となり、生き残りの人数を考慮すれば中々の大所帯であるが。
メリュジーヌの見立てから言って、全員を相手取ってもまず負けない集団だった。
一番強いのは金髪の少女だが、自分と戦うには弱すぎる。
唯一気を付けるべきは、自分を退けたカード使いと同じと思わしき長髪の少年か。
彼さえ真っ先に潰せば、後は問題にならない。
例え目を瞑って、両手を縛っていても皆殺しにできる。
慢心ではなく冷徹な観察眼で、メリュジーヌは一同を観察し続けた。
程なくして、一行がF-6にある中央司令部という施設に身を寄せたため、
メリュジーヌもそれに合わせて建物の影に身を潜める事を選んだ。
オーロラの剣として、数百年間汚れ仕事を担ってきた身だ、隠密行動も慣れた物で。
五人の中で最も強者と見られる金髪の少女ですら、メリュジーヌに気づく事は無かった。
しかしメリュジーヌ側も流石に建物の中の一行の様子は伺えなかったため、そこで思索に耽る時間が生まれる。
メリュジーヌもそれに合わせて建物の影に身を潜める事を選んだ。
オーロラの剣として、数百年間汚れ仕事を担ってきた身だ、隠密行動も慣れた物で。
五人の中で最も強者と見られる金髪の少女ですら、メリュジーヌに気づく事は無かった。
しかしメリュジーヌ側も流石に建物の中の一行の様子は伺えなかったため、そこで思索に耽る時間が生まれる。
(さて、どうするかな)
完全な休息とはいかなかったが、龍の回復速度は人のそれを遥かに凌駕する。
痺れは抜けきったため、今なら攻め込むことも可能だろう。
だが、精神的にはもう少し休んでも良かったし、沙都子との待ち合わせもある。
どうするべきか通信を試みたが、通信機の向こうは丁度取り込み中の様子だった。
それを踏まえて、もう一度眼下の少年を見下ろす。
ほんの一時間程前に、中央司令部に共に入って行った玉ねぎ頭の少年を埋める少年少女。
同じくらいの背格好で、共に邪悪な笑みで土をかけて行く様は姉弟の様だ。
見張られているとも知らず、自分こそ強者であり支配者なのだという顔を浮かべる少年。
確か、ディオと呼ばれていたか。
彼の顔を見ていて脳裏を過るのは、牙の氏族の様な獣耳を生やした少年だった。
痺れは抜けきったため、今なら攻め込むことも可能だろう。
だが、精神的にはもう少し休んでも良かったし、沙都子との待ち合わせもある。
どうするべきか通信を試みたが、通信機の向こうは丁度取り込み中の様子だった。
それを踏まえて、もう一度眼下の少年を見下ろす。
ほんの一時間程前に、中央司令部に共に入って行った玉ねぎ頭の少年を埋める少年少女。
同じくらいの背格好で、共に邪悪な笑みで土をかけて行く様は姉弟の様だ。
見張られているとも知らず、自分こそ強者であり支配者なのだという顔を浮かべる少年。
確か、ディオと呼ばれていたか。
彼の顔を見ていて脳裏を過るのは、牙の氏族の様な獣耳を生やした少年だった。
───命を賭すならば、その理由をお聞かせいただきたい。
自分を戦士の端くれだと自称し、己が殺し合いに賭ける願いを尋ねてきた少年。
彼の言葉は今のメリュジーヌにとって、何一つ響く者が無かった。
金髪の少年少女には争った形跡がない、つまり、仲間割れから殺害した線は薄いだろう。
もし玉ねぎ頭の少年が密かに抱いていた叛意を露わに襲ったのなら、他の二人もいなければおかしい。
彼の言葉は今のメリュジーヌにとって、何一つ響く者が無かった。
金髪の少年少女には争った形跡がない、つまり、仲間割れから殺害した線は薄いだろう。
もし玉ねぎ頭の少年が密かに抱いていた叛意を露わに襲ったのなら、他の二人もいなければおかしい。
(となると、内紛から殺害ではなく謀殺。目的は……首輪か)
冷徹に、興味すら薄いと言った双眸で、妖精騎士は推論を重ねる。
そも、あの玉ねぎ頭の少年なら獣耳の少年や金髪の少女で十分取り押さえられた筈なのだ。
何か支給品などを用いて抵抗し、結果、殺害に踏み切らざるを得なかった可能性もあるが。
それならあの清廉な戦士を自称する少年がいないのは絶対にいおかしい。
玉ねぎ頭の少年の抵抗の末獣耳の少年が怪我を負い、埋葬に参加できないとしても。
埋葬する者達があの様に目論見通りという実に楽し気な笑みを浮かべる筈がない。
金髪の少女の次に戦力として強いのが、あの獣耳の少年なのだから。
そも、あの玉ねぎ頭の少年なら獣耳の少年や金髪の少女で十分取り押さえられた筈なのだ。
何か支給品などを用いて抵抗し、結果、殺害に踏み切らざるを得なかった可能性もあるが。
それならあの清廉な戦士を自称する少年がいないのは絶対にいおかしい。
玉ねぎ頭の少年の抵抗の末獣耳の少年が怪我を負い、埋葬に参加できないとしても。
埋葬する者達があの様に目論見通りという実に楽し気な笑みを浮かべる筈がない。
金髪の少女の次に戦力として強いのが、あの獣耳の少年なのだから。
(あぁ本当に、何も響かない。伽藍洞だ)
となれば、導かれる答えは一つしかない。
獣耳の少年は、同志を首輪目当てに殺して笑みを浮かべる外道を守っているのだろう。
それ自体は尊ぶべき事なのだろうが、恐らくは守っている相手が外道だという自覚がない。
その在り方は戦士と言うより、道化の方が余程近い。
獣耳の少年は、同志を首輪目当てに殺して笑みを浮かべる外道を守っているのだろう。
それ自体は尊ぶべき事なのだろうが、恐らくは守っている相手が外道だという自覚がない。
その在り方は戦士と言うより、道化の方が余程近い。
(もっとも、私も人の事は言えないだろうね)
道化かどうかで言えば、乃亜の甘言に乗り、奇跡を求める自分の方が余程道化だろうから。
その皮肉さに自嘲気に笑みを漏らし、今一度どうするべきかを考える。
自分が襲いマーダーである事が露見している相手と、疑っているであろう相手だ。
殺すことに迷いも躊躇も無い。思考の余地があるのは、このまま単騎で襲撃するか否か。
単騎であっても負けるとは思わないが、相手は四人。先程の様に取り逃がすかもしれない。
なれば沙都子と合流し、カオスを加えた万全の態勢で殲滅に臨む方が確実だろうが。
目を離した隙にどこかに逃げられたり、更に他の対主催と徒党を組まれる恐れもある。
沙都子と未だ連絡が取れない以上、どうするべきか。
考えながら、手甲からアロンダイトの名を冠した外皮を展開する。
その皮肉さに自嘲気に笑みを漏らし、今一度どうするべきかを考える。
自分が襲いマーダーである事が露見している相手と、疑っているであろう相手だ。
殺すことに迷いも躊躇も無い。思考の余地があるのは、このまま単騎で襲撃するか否か。
単騎であっても負けるとは思わないが、相手は四人。先程の様に取り逃がすかもしれない。
なれば沙都子と合流し、カオスを加えた万全の態勢で殲滅に臨む方が確実だろうが。
目を離した隙にどこかに逃げられたり、更に他の対主催と徒党を組まれる恐れもある。
沙都子と未だ連絡が取れない以上、どうするべきか。
考えながら、手甲からアロンダイトの名を冠した外皮を展開する。
「──────!」
彼女の視界の端に、黒い影が映ったのはその直後の事だった。
展開したアロンダイトを、目に映らぬ速度で振り上げる。
マイクがハウリングした様な耳障りな音と共に、メリュジーヌの腕を衝撃が襲った。
それも、一度では終わらない。
鋭く、研ぎ澄まされた剛打が豪雨の如く襲い掛かって来る。
一秒に満たぬ時間で、二十を超える連続攻撃。
例え達人の領域に達した剣士でも、人間であるならこの一合で叩き潰されているだろう。
展開したアロンダイトを、目に映らぬ速度で振り上げる。
マイクがハウリングした様な耳障りな音と共に、メリュジーヌの腕を衝撃が襲った。
それも、一度では終わらない。
鋭く、研ぎ澄まされた剛打が豪雨の如く襲い掛かって来る。
一秒に満たぬ時間で、二十を超える連続攻撃。
例え達人の領域に達した剣士でも、人間であるならこの一合で叩き潰されているだろう。
───相手が、龍。それも最高位の冠位龍から生まれ落ちた妖精騎士でなければ。
襲撃者は強い。メリュジーヌは一瞬で確信した。
何故なら人を遥かに超えた龍としての速度、鋭さ、膂力だけでは最小の音で剣閃を捌けず。
女王モルガンが与えたギフト。妖精騎士ランスロットとしての能力。
無窮の武練の技量を発揮せざるを得なかったからだ。
ただ肉体性能だけで最強を誇る龍から、“技”を引きずり出した。
それは相対者もまた、人智を超越した戦徒である証明に他ならない。
何故なら人を遥かに超えた龍としての速度、鋭さ、膂力だけでは最小の音で剣閃を捌けず。
女王モルガンが与えたギフト。妖精騎士ランスロットとしての能力。
無窮の武練の技量を発揮せざるを得なかったからだ。
ただ肉体性能だけで最強を誇る龍から、“技”を引きずり出した。
それは相対者もまた、人智を超越した戦徒である証明に他ならない。
「……君、名前は?」
時間にして五秒足らず。
交わした剣閃が丁度五十を超えたのを契機として。
まるで鈴の音が鳴った様な高音が鳴り響き、襲撃者が初めて後退する。
メリュジーヌはそれを確認後、眉一つ動かさず、襲撃者に対して誰何の声を挙げた。
変わった漆黒の異装に身を包み、突撃槍を携えた、人ならざる少女へと向けて。
交わした剣閃が丁度五十を超えたのを契機として。
まるで鈴の音が鳴った様な高音が鳴り響き、襲撃者が初めて後退する。
メリュジーヌはそれを確認後、眉一つ動かさず、襲撃者に対して誰何の声を挙げた。
変わった漆黒の異装に身を包み、突撃槍を携えた、人ならざる少女へと向けて。
「…ナザリック地下大墳墓、第一層から三層までを預かる階層守護者。
────シャルティア・ブラッドフォールンと申しんす」
────シャルティア・ブラッドフォールンと申しんす」
漆黒のスカートの端を摘まみ、不敵な微笑を浮かべて。
銀髪の美しい少女は、メリュジーヌに向けて名乗りを上げた。
高位の吸血種。妖精國には存在しない、伝承に伝わる生粋の怪物。
だがそんな、稀代の怪物を前にしても、最強の妖精騎士は動じない。
シャルティアの名乗りに応えるべく、静謐さを纏い、囁く様に騎士としての名を告げる。
銀髪の美しい少女は、メリュジーヌに向けて名乗りを上げた。
高位の吸血種。妖精國には存在しない、伝承に伝わる生粋の怪物。
だがそんな、稀代の怪物を前にしても、最強の妖精騎士は動じない。
シャルティアの名乗りに応えるべく、静謐さを纏い、囁く様に騎士としての名を告げる。
「───妖精國の女王、モルガン陛下より妖精騎士ランスロットの名を着名した。
暗い沼のメリュジーヌ。名簿には、メリュジーヌの名前で載ってる」
暗い沼のメリュジーヌ。名簿には、メリュジーヌの名前で載ってる」
龍と、吸血鬼。
海馬乃亜が作り上げた殺し合いと言う蟲毒、その異聞の空で。
交わる筈のなかった、二人の超越種は相まみえた。
そして、相まみえて早々に、龍は吸血姫へと尋ねる。
先の襲撃は自分と雌雄を決するべく行った物か?と。
尤も、尋ねた時点でその答えは八割がた予想できたものだったが。
そんな龍の予想を裏切る事無く、吸血姫は簡潔に、己の目的を告げた。
海馬乃亜が作り上げた殺し合いと言う蟲毒、その異聞の空で。
交わる筈のなかった、二人の超越種は相まみえた。
そして、相まみえて早々に、龍は吸血姫へと尋ねる。
先の襲撃は自分と雌雄を決するべく行った物か?と。
尤も、尋ねた時点でその答えは八割がた予想できたものだったが。
そんな龍の予想を裏切る事無く、吸血姫は簡潔に、己の目的を告げた。
────殺したい相手がいる、と。
□ □ □
シャルティア・ブラッドフォールンは、その騎士を、メリュジーヌを見た瞬間。
刹那の時間で、自分と手を組むに値するのはこの少女だと確信した。
まず、《マナ・エッセンス/魔力の精髄》を使うまでも無く。
至高の御方には届かないとは言え、莫大な魔力を内包している事を感じ取ったからだ。
突出しているのは、それだけではない。
刹那の時間で、自分と手を組むに値するのはこの少女だと確信した。
まず、《マナ・エッセンス/魔力の精髄》を使うまでも無く。
至高の御方には届かないとは言え、莫大な魔力を内包している事を感じ取ったからだ。
突出しているのは、それだけではない。
(私の攻撃をここまで完璧に受け止められるとは、正直予想外でありんした)
殺意はなかったが、手を抜いていた訳では無い。
初見で感じた通りの力量かどうかを計るため、本気で撃ちこんだのだ。
だが、受け止められた。信じがたいことに完璧な奇襲だったにも関わらず。
ほんの僅かに、だが、確かに。後出しだったメリュジーヌが剣を振るう方が早かった。
しかし、剣速の冴えすら些事と思えるほどに異常なのは、その技量。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンとの交戦時。
その時は、シャルティアの突撃槍とイリヤの振るう斧剣が激突する度に轟音が響いていた。
翻ってメリュジーヌと刃を交わした時は、殆ど音が響かなかった。
まず間違いなく、メリュジーヌが見張っていた、屋内にいる人間ども。
その者達が、聞き取れないであろう音量しか剣閃が響くことは無かった。
これが意味する所は、つまり。
ボクサーが扱うスリッピングアウェーの要領で、攻撃を受け流していた事となる。
凡夫なら兎も角、シャルティアの一撃をそんな風に止めるのは人間では不可能な技巧だ。
初見で感じた通りの力量かどうかを計るため、本気で撃ちこんだのだ。
だが、受け止められた。信じがたいことに完璧な奇襲だったにも関わらず。
ほんの僅かに、だが、確かに。後出しだったメリュジーヌが剣を振るう方が早かった。
しかし、剣速の冴えすら些事と思えるほどに異常なのは、その技量。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンとの交戦時。
その時は、シャルティアの突撃槍とイリヤの振るう斧剣が激突する度に轟音が響いていた。
翻ってメリュジーヌと刃を交わした時は、殆ど音が響かなかった。
まず間違いなく、メリュジーヌが見張っていた、屋内にいる人間ども。
その者達が、聞き取れないであろう音量しか剣閃が響くことは無かった。
これが意味する所は、つまり。
ボクサーが扱うスリッピングアウェーの要領で、攻撃を受け流していた事となる。
凡夫なら兎も角、シャルティアの一撃をそんな風に止めるのは人間では不可能な技巧だ。
(種族は…セバスの様な竜人種が一番近いでありんしょうか。それなら強さも頷ける。
だが、不思議とアンデッド種の魔力も感じる様な………)
だが、不思議とアンデッド種の魔力も感じる様な………)
タフネスは種族柄此方の方が上だろう。膂力は撃ち合った感触ではほぼ互角。
だが、速度には明確にメリュジーヌが勝り。技量は完全に自身が後塵を拝する。
それがシャルティアの見立てだった。
魔法やスキルの存在を無視した大雑把な推測だが、相手方も奥の手がある事を考慮すれば。
スキルを消耗した現状の勝率は三割を切り、万全であっても六割には届かない。
例えスポイトランスと真紅の全身鎧を装備した、完全武装の状態であったとしても、だ。
孫悟飯程ではないが、パーフェクトウォリアーを使用したイリヤ以上。
傲慢な気性のシャルティアをして、最上級の評価と警戒を与えざるを得ない戦士だった。
そして、何より。
だが、速度には明確にメリュジーヌが勝り。技量は完全に自身が後塵を拝する。
それがシャルティアの見立てだった。
魔法やスキルの存在を無視した大雑把な推測だが、相手方も奥の手がある事を考慮すれば。
スキルを消耗した現状の勝率は三割を切り、万全であっても六割には届かない。
例えスポイトランスと真紅の全身鎧を装備した、完全武装の状態であったとしても、だ。
孫悟飯程ではないが、パーフェクトウォリアーを使用したイリヤ以上。
傲慢な気性のシャルティアをして、最上級の評価と警戒を与えざるを得ない戦士だった。
そして、何より。
(何といっても顔が良いでありんす)
死体愛好癖(ネクロフィリア)かつ、両刀(バイセクシャル)であるシャルティアにとって。
アルビオンの亡骸から形を得、眉目秀麗なメリュジーヌはド直球でタイプだった。
無論至高の主アインズ・ウール・ゴウンの荘厳さ、美しさには及ばない物の。
一夜の恋人にするならきっと最高の相手となるのは間違いない。
一瞥した瞬間マーダーだと確信するほど全身に満ちた殺意すら。
彼女を惹きたてるアクセントの様にシャルティアは思えてならなかった。
戦闘力、そして容姿。どれをとっても超一流。正に組むには理想の相手と言えた。
だからこそ、解せない点が一つだけ。
アルビオンの亡骸から形を得、眉目秀麗なメリュジーヌはド直球でタイプだった。
無論至高の主アインズ・ウール・ゴウンの荘厳さ、美しさには及ばない物の。
一夜の恋人にするならきっと最高の相手となるのは間違いない。
一瞥した瞬間マーダーだと確信するほど全身に満ちた殺意すら。
彼女を惹きたてるアクセントの様にシャルティアは思えてならなかった。
戦闘力、そして容姿。どれをとっても超一流。正に組むには理想の相手と言えた。
だからこそ、解せない点が一つだけ。
「何故ぬしは人間などに従っているでありんしょう?」
孫悟飯をブチ殺す事を目的とした、共闘の要請は即時に返事はもらえなかったものの。
決して悪い反応ではなかった。睨んだ通りメリュジーヌはマーダーだったらしい。
だが、その後彼女が述べた現状は、人間と行動を共にしているという。
不可解だった。敵ながらナザリックに末路わぬのが惜しいと思える騎士が。
何故、人間の子供などと行動を共にしているのか?
シャルティアの問いかけに対して、メリュジーヌは冷淡に返答した。
決して悪い反応ではなかった。睨んだ通りメリュジーヌはマーダーだったらしい。
だが、その後彼女が述べた現状は、人間と行動を共にしているという。
不可解だった。敵ながらナザリックに末路わぬのが惜しいと思える騎士が。
何故、人間の子供などと行動を共にしているのか?
シャルティアの問いかけに対して、メリュジーヌは冷淡に返答した。
「従ってる訳じゃない、利用しているだけだよ。沙都子は頭が働くからね。
事実──君が返り討ちに遭った、孫悟飯すら手玉に取った女だ」
事実──君が返り討ちに遭った、孫悟飯すら手玉に取った女だ」
その言葉に、シャルティアは一層怪訝な表情を深めた。
狂戦士の如く自分をボコボコにしたあの少年が、ただの人間の少女に手玉に取られる?
悪い冗談もいい所だ。だが、メリュジーヌに冗談や韜晦を述べている様子は無く。
狂戦士の如く自分をボコボコにしたあの少年が、ただの人間の少女に手玉に取られる?
悪い冗談もいい所だ。だが、メリュジーヌに冗談や韜晦を述べている様子は無く。
「君の話では孫悟飯は一切話を聞かず、狂った様に襲い掛かって来たんだろう?
それは、沙都子が話していた、彼に盛った毒の効果と同じだ」
それは、沙都子が話していた、彼に盛った毒の効果と同じだ」
雛見沢症候群というらしい、風土病。
罹患者の凶暴性を引き出し、幻覚や妄想で疑心暗鬼と極度の攻撃性を誘発する悪魔の病。
それを発症させる毒を、北条沙都子と言う少女は孫悟飯に盛ったという。
罹患者の凶暴性を引き出し、幻覚や妄想で疑心暗鬼と極度の攻撃性を誘発する悪魔の病。
それを発症させる毒を、北条沙都子と言う少女は孫悟飯に盛ったという。
「では、あのクソガキは……」
「あぁ、早晩喉を掻きむしって自滅する公算が高いそうだよ。
それが一時間後になるか、はたまたこの殺し合いが終わるまで保つかは分からないけどね」
「それはそれは………」
「あぁ、早晩喉を掻きむしって自滅する公算が高いそうだよ。
それが一時間後になるか、はたまたこの殺し合いが終わるまで保つかは分からないけどね」
「それはそれは………」
良いことを聞きんした、と。シャルティアは邪悪に唇の端を吊り上げる。
全くあのクソガキには酷い目に遭わされたが、放って置いても自滅するなら話は別だ。
人間の少女如きに騙されて、喉を掻きむしり死ぬのを想像するだけで溜飲が下がった。
話を聞いて浮ついた雰囲気を纏うシャルティアに、メリュジーヌは釘を刺す。
全くあのクソガキには酷い目に遭わされたが、放って置いても自滅するなら話は別だ。
人間の少女如きに騙されて、喉を掻きむしり死ぬのを想像するだけで溜飲が下がった。
話を聞いて浮ついた雰囲気を纏うシャルティアに、メリュジーヌは釘を刺す。
「浮かれている所悪いけど、まだ厄介な相手が名簿に載っているには気づいた?」
「う、浮かれてなどおりんせん!私だってちゃあんと把握しているでありんす」
「う、浮かれてなどおりんせん!私だってちゃあんと把握しているでありんす」
メリュジーヌの言葉に、慌てて反論するシャルティア。
そう、彼女だって気づいている。孫悟飯の名前の隣に並ぶ、孫悟空の名前には。
ナザリックのメンバーの名前が無かったのと同じくらい、その文字列を読んだときは不吉な予感を感じたものだ。
そう、彼女だって気づいている。孫悟飯の名前の隣に並ぶ、孫悟空の名前には。
ナザリックのメンバーの名前が無かったのと同じくらい、その文字列を読んだときは不吉な予感を感じたものだ。
「沙都子と、僕のもう一人の仲間の話では…孫悟空は孫悟飯の父親らしい。
そして、強さも───孫悟飯と同じか、それ以上だそうだ」
そして、強さも───孫悟飯と同じか、それ以上だそうだ」
メリュジーヌ述べた孫悟空に対する情報は。
シャルティアにとっても重くのしかかった。
例え孫悟飯が自滅したとしても、その父親が優勝の玉座まで立ち塞がっている。
正しく、目の上の瘤に等しい存在と言えた。
そしてそれは、シャルティアだけでなく、メリュジーヌとっても同じ。だからこそ。
シャルティアにとっても重くのしかかった。
例え孫悟飯が自滅したとしても、その父親が優勝の玉座まで立ち塞がっている。
正しく、目の上の瘤に等しい存在と言えた。
そしてそれは、シャルティアだけでなく、メリュジーヌとっても同じ。だからこそ。
「君の要請は受け入れよう。だが二つ、条件がある」
メリュジーヌは、シャルティアの要請を条件付きで受け入れた。
「一つは、同盟は結ぶが、私達とは別行動を取ること
数時間後に落ち合う場所を決めて、もう一度合流しよう」
数時間後に落ち合う場所を決めて、もう一度合流しよう」
まず単純に、ぞろぞろと連れ立っていては殺す効率が悪い。
加えて、両者共に複数の対主催にマーダーとして認識されている。
連れ立って行動を共にしていたらマーダー同士結託している事が浮き彫りになり、
沙都子のアリバイ作りが無意味となってしまうのだ。
最悪の場合、孫悟空や孫悟飯が話を聞きつけて奇襲を仕掛けてくる恐れすらある。
そして、最大の懸念は。
加えて、両者共に複数の対主催にマーダーとして認識されている。
連れ立って行動を共にしていたらマーダー同士結託している事が浮き彫りになり、
沙都子のアリバイ作りが無意味となってしまうのだ。
最悪の場合、孫悟空や孫悟飯が話を聞きつけて奇襲を仕掛けてくる恐れすらある。
そして、最大の懸念は。
「僕は割り切っているけど───君は人間に従うなんて、御免だろう?」
メリュジーヌは、北条沙都子に一定の利用価値を見ている。
彼女の語った言葉は、自暴自棄の極致にあったメリュジーヌの指針となったからだ。
だが、目の前の吸血種は違う。彼女は沙都子を見下している。
いざと言う時に足並みを乱す恐れがあり、それ故の条件と言えた。
そしてそれは、シャルティアにとって受け入れるに何ら問題がない。
ナザリックの階層守護者として、人間の少女になど従える筈もなく。
孫悟飯など規格外の存在はいる者の、単独でも十分この殺し合いを渡って行ける。
強者である自負が彼女にはあったからだ。だから彼女がこの条件を拒む理由は無かった。
こくりと頷いて、もう一つの条件を伝えるように促す。
彼女の語った言葉は、自暴自棄の極致にあったメリュジーヌの指針となったからだ。
だが、目の前の吸血種は違う。彼女は沙都子を見下している。
いざと言う時に足並みを乱す恐れがあり、それ故の条件と言えた。
そしてそれは、シャルティアにとって受け入れるに何ら問題がない。
ナザリックの階層守護者として、人間の少女になど従える筈もなく。
孫悟飯など規格外の存在はいる者の、単独でも十分この殺し合いを渡って行ける。
強者である自負が彼女にはあったからだ。だから彼女がこの条件を拒む理由は無かった。
こくりと頷いて、もう一つの条件を伝えるように促す。
「もう一つは……僕としても、組むに値する相手だという確証が欲しい」
告げるメリュジーヌの声色は、凍てついていた。
「それは、つまり………」
「あぁ」
「あぁ」
シャルティアは、暫し無言で考えを巡らせる。
傷とダメージは支給品により癒し。スキルは未だ使用不能だが、MPの補給源も確保した。
そして、今はメリュジーヌもいる。それを考慮して考えれば……
あの日番谷と言う少年が来ても、二人がかりなら確実に勝てる。
孫悟飯だけは如何ともしがたいが、MPの補給ができる今なら上位転移の魔法で問題ない。
やって来た瞬間逃げの一手を打てば、近いうちに相手は自滅するのだから。
傷とダメージは支給品により癒し。スキルは未だ使用不能だが、MPの補給源も確保した。
そして、今はメリュジーヌもいる。それを考慮して考えれば……
あの日番谷と言う少年が来ても、二人がかりなら確実に勝てる。
孫悟飯だけは如何ともしがたいが、MPの補給ができる今なら上位転移の魔法で問題ない。
やって来た瞬間逃げの一手を打てば、近いうちに相手は自滅するのだから。
「ふむ…そう言うからには其方も今一度力を証明する気はありんすかぇ?」
「構わないよ、首級を挙げる競争と行こうか?」
「構わないよ、首級を挙げる競争と行こうか?」
力を、示す。
それにうってつけな人間どもが今いる施設の屋内にいる事をシャルティアも把握していた。
丁度、栄養補給のジュースが欲しかったところだ。
見込みのある人間がいれば、血を吸って眷属にしてしまうのもいいかもしれない。
だから。
それにうってつけな人間どもが今いる施設の屋内にいる事をシャルティアも把握していた。
丁度、栄養補給のジュースが欲しかったところだ。
見込みのある人間がいれば、血を吸って眷属にしてしまうのもいいかもしれない。
だから。
「───えぇ!丁度栄養補給のジュースが欲しかった所でありんすから」
そう返答したシャルティア・ブラッドフォールンの顔は、輝く様な笑顔だった。
□ □ □
その時、ディオ・ブランドーが中央司令部から出ていたのは偶然だった。
永沢の殺害と、ドロテアとの結託。モクバ達を丸め込む一連の喜劇。
それを終えると、一行は中央司令部からホテルに移動しようとしたが。
その前に、中央司令部は軍事施設だと見受けられたため、
医療品や食料、そして首輪の解析に仕えそうな道具を拝借してから行こう。
モクバかドロテアがそう提案し、ディオもそれに異を唱える事は無かった。
外を見張っていたキウルが、未だこの施設に近づく者はいないと言ったからだ。
十五分後に集合し、ホテルに出発しよう。そう決めて各々は散らばった。
そう、ほんの僅かな時間になる筈だったのだ。各々が別れた時間は。
永沢の殺害と、ドロテアとの結託。モクバ達を丸め込む一連の喜劇。
それを終えると、一行は中央司令部からホテルに移動しようとしたが。
その前に、中央司令部は軍事施設だと見受けられたため、
医療品や食料、そして首輪の解析に仕えそうな道具を拝借してから行こう。
モクバかドロテアがそう提案し、ディオもそれに異を唱える事は無かった。
外を見張っていたキウルが、未だこの施設に近づく者はいないと言ったからだ。
十五分後に集合し、ホテルに出発しよう。そう決めて各々は散らばった。
そう、ほんの僅かな時間になる筈だったのだ。各々が別れた時間は。
「何だ……?」
ドロテアとモクバは首輪の解析に仕えそうな道具を、キウルは武器を。
そしてディオは医療品を探すべく、医務室に足を延ばそうとしたその途中の事だった。
外に、人影が見えた気がしたのは。
施設の奥に向かったドロテアやモクバ、キウルではない。
見えたのは一瞬で、気のせいかとも考えた。
だが、気のせいだと片付けて違和感を放置するのは、ディオからすれば間抜けの所業だ。
今は殺し合いの最中、油断した者から死ぬだから。
そしてディオは医療品を探すべく、医務室に足を延ばそうとしたその途中の事だった。
外に、人影が見えた気がしたのは。
施設の奥に向かったドロテアやモクバ、キウルではない。
見えたのは一瞬で、気のせいかとも考えた。
だが、気のせいだと片付けて違和感を放置するのは、ディオからすれば間抜けの所業だ。
今は殺し合いの最中、油断した者から死ぬだから。
(モクバ達を呼ぶか?しかし、見間違いであれば………)
人影は、今は全く見られない。
少し通路の窓から覗いてみたが、外に人がいる気配はなく。
となれば、ドロテア達を迂闊に呼ぶのは一概に正解とは言えなかった。
気のせいだったとしたら、ドロテア達の時間をただ浪費させたことになる。
そう言った些細な失点を重ねた結果、永沢は無惨な末路を迎えたのだから。
悩んだ末に、少しだけ外に出て確認する事とした。
無論のこと何か危険を感じたら即座に屋内に引っ込み、キウルを呼ぼうと考え。
バシルーラの杖を握り締めながら、恐る恐る施設の外へと踏み出した。
少し通路の窓から覗いてみたが、外に人がいる気配はなく。
となれば、ドロテア達を迂闊に呼ぶのは一概に正解とは言えなかった。
気のせいだったとしたら、ドロテア達の時間をただ浪費させたことになる。
そう言った些細な失点を重ねた結果、永沢は無惨な末路を迎えたのだから。
悩んだ末に、少しだけ外に出て確認する事とした。
無論のこと何か危険を感じたら即座に屋内に引っ込み、キウルを呼ぼうと考え。
バシルーラの杖を握り締めながら、恐る恐る施設の外へと踏み出した。
「…………………気のせいか」
対主催も、マーダーの姿もそこにはなく、特に異変も見られず。
穏やかな日差しと、屋外の新鮮な空気だけがそこにはあった。
すー…と深く深呼吸をした後、再び司令部の中へと戻ろうとする。
ロスした時間の分、急がなければ、そんな事を考えて。
穏やかな日差しと、屋外の新鮮な空気だけがそこにはあった。
すー…と深く深呼吸をした後、再び司令部の中へと戻ろうとする。
ロスした時間の分、急がなければ、そんな事を考えて。
「いえ、気のせいではありんせんぇ?」
一瞬にして全身が凍り付いたのは、その直後の事だった。
ディオ・ブランドーの前に現れた二つの人影。その出現には前兆と言う物がなかった。
突如として、そう文の枕に着くほど唐突な接敵であった。
姿を認めた一人は、煽情的な漆黒の衣装に身を包んだ銀髪の女。
そしてもう一人の姿を認めた瞬間、最悪だ、と。ディオは泣きそうになった。
ディオ・ブランドーの前に現れた二つの人影。その出現には前兆と言う物がなかった。
突如として、そう文の枕に着くほど唐突な接敵であった。
姿を認めた一人は、煽情的な漆黒の衣装に身を包んだ銀髪の女。
そしてもう一人の姿を認めた瞬間、最悪だ、と。ディオは泣きそうになった。
「………メリュジーヌ………!!」
総身に冷たい殺意を漲らせた、メリュジーヌが立っていたからだ。
目の前が真っ暗になるような恐怖と絶望感が、ディオに襲い掛かる。
先ほど永沢を殺害した高揚感など、台風の中のビニール傘の如く飛んで行ってしまった。
しかし、それでもなお。
目の前が真っ暗になるような恐怖と絶望感が、ディオに襲い掛かる。
先ほど永沢を殺害した高揚感など、台風の中のビニール傘の如く飛んで行ってしまった。
しかし、それでもなお。
「────ッッッ!!!」
絶望の淵に在ってなお、ディオ・ブランドーに諦観はなかった。
こんな場所で終われるかッ!その意地だけで、彼はその手の杖を振り上げる。
そのまま卓抜したガンマンの抜き打ち並みのスピードで、バシルーラの杖を振るう。
こんな場所で終われるかッ!その意地だけで、彼はその手の杖を振り上げる。
そのまま卓抜したガンマンの抜き打ち並みのスピードで、バシルーラの杖を振るう。
「喰らえェえええッ!!!」
裂帛の気合を込めて、魔法が放たれる。
ディオは祈るような心持だった。当たってくれ。どうか通じてくれ、と。
そして、運命の女神は彼の願いを聞き入れた。
ディオは祈るような心持だった。当たってくれ。どうか通じてくれ、と。
そして、運命の女神は彼の願いを聞き入れた。
「……………」
目の当たりしてなお、信じがたい光景だった。
ディオが放った魔法の光線が、メリュジーヌに当たったのだ。
それに伴い、メリュジーヌは無言のままに彼方の空に消えていく。
魔法が無効化されるだとか、そう言った事も無かった。
いける。当たりさえすればやれる。
確信と共に、ディオはまた杖を振るった。今度は黒衣を纏った、銀髪の女へと向けて。
メリュジーヌとどういう関係だったかは知らないが、どうせロクな奴ではない。
ディオが放った魔法の光線が、メリュジーヌに当たったのだ。
それに伴い、メリュジーヌは無言のままに彼方の空に消えていく。
魔法が無効化されるだとか、そう言った事も無かった。
いける。当たりさえすればやれる。
確信と共に、ディオはまた杖を振るった。今度は黒衣を纏った、銀髪の女へと向けて。
メリュジーヌとどういう関係だったかは知らないが、どうせロクな奴ではない。
「おや」
また当たった。そして黒衣の女も惚けた声を漏らし、あっさりとその姿を消す。
拍子抜けな程だった。だが辺りを見回して見ても、やはり二人の姿はない。
やり過ごしたのだ。僅かな高揚感が、胸の奥からこみ上げてくる。
だが今は、喜びに浸っている場合ではない。
最早この地は死地。一刻も早く離れねばならないのだから。
弾かれた様に、司令部の中へと身を翻す。
拍子抜けな程だった。だが辺りを見回して見ても、やはり二人の姿はない。
やり過ごしたのだ。僅かな高揚感が、胸の奥からこみ上げてくる。
だが今は、喜びに浸っている場合ではない。
最早この地は死地。一刻も早く離れねばならないのだから。
弾かれた様に、司令部の中へと身を翻す。
「早くキウルのウスノロ達にッ!」
「伝えて、どうしんす?」
「伝えて、どうしんす?」
─────は?
その声を聴いた瞬間、再び全身の血の気が引いた。
だってその声は、今一番聞こえてはならない声だったのだから。
だが、振り返ると共に目に飛び込んできた少女の姿が、あらゆる可能性を否定する。
楽し気に槍を携えてほほ笑む、銀髪の少女がそこにいた。
その声を聴いた瞬間、再び全身の血の気が引いた。
だってその声は、今一番聞こえてはならない声だったのだから。
だが、振り返ると共に目に飛び込んできた少女の姿が、あらゆる可能性を否定する。
楽し気に槍を携えてほほ笑む、銀髪の少女がそこにいた。
「な、何故………」
「何故かって…ぬしの撃った魔法に合わせて、上位転移の魔法を使っただけでありんす。
移動阻害の完全耐性はこういう使い方もできるの、勉強になりんしたか?」
「何故かって…ぬしの撃った魔法に合わせて、上位転移の魔法を使っただけでありんす。
移動阻害の完全耐性はこういう使い方もできるの、勉強になりんしたか?」
バシルーラの魔法を受けると同時に、シャルティアは魔法を使った。
《グレーター・テレポーテーション/上位転移》の魔法を。
通常なら先に受けていたバシルーラの効果が優先されるだろう。しかし。
シャルティアには移動の妨害に関する魔法やスキルの完全耐性を有している。
そして、彼女の耐性は転移魔法と激突したバシルーラの効果を、妨害と判定した。
結果、バシルーラの効果は相殺、無効化され。
正常に発動した転移魔法でディオの後方に表れたのだった。
そういった経緯でバシルーラの効果を無効化したと得意げに語るシャルティアに対して。
ディオにはシャルティアが何を言っているかさっぱり分からなかった。
ただ分かるのは、頼みの綱のバシルーラの杖は効果がない、という事だけ。
《グレーター・テレポーテーション/上位転移》の魔法を。
通常なら先に受けていたバシルーラの効果が優先されるだろう。しかし。
シャルティアには移動の妨害に関する魔法やスキルの完全耐性を有している。
そして、彼女の耐性は転移魔法と激突したバシルーラの効果を、妨害と判定した。
結果、バシルーラの効果は相殺、無効化され。
正常に発動した転移魔法でディオの後方に表れたのだった。
そういった経緯でバシルーラの効果を無効化したと得意げに語るシャルティアに対して。
ディオにはシャルティアが何を言っているかさっぱり分からなかった。
ただ分かるのは、頼みの綱のバシルーラの杖は効果がない、という事だけ。
「な……ぁ…」
そして彼は、更なる絶望へと叩き落される事となる。
耳鳴りに似た風切り音。それを伴って。
中央司令部の上空に何か光るものが現れたからだ。
蒼く光るその飛翔物体は流れ星の様で。
しかしディオにとっては恐怖と絶望の凶星に他ならない。
上空に表れた禍つ星は、一瞬空中で停止した後、一直線に大地へと降り注いでくる。
そして、黒衣の少女の傍らに、音もなく降り立った。
流れ星の正体は、今最もディオが会いたくない殺戮者(マーダー)の姿を形どっており。
今度はより色濃い絶望と共に、ディオはその名を呼んだ。
メリュジーヌ、と。
耳鳴りに似た風切り音。それを伴って。
中央司令部の上空に何か光るものが現れたからだ。
蒼く光るその飛翔物体は流れ星の様で。
しかしディオにとっては恐怖と絶望の凶星に他ならない。
上空に表れた禍つ星は、一瞬空中で停止した後、一直線に大地へと降り注いでくる。
そして、黒衣の少女の傍らに、音もなく降り立った。
流れ星の正体は、今最もディオが会いたくない殺戮者(マーダー)の姿を形どっており。
今度はより色濃い絶望と共に、ディオはその名を呼んだ。
メリュジーヌ、と。
「ぬし、どうしてわざわざあの程度の魔術に当たってあげたでありんすか?」
「別に、躱しても構わなかった。だけど………」
「別に、躱しても構わなかった。だけど………」
───此方の方が、手間が省けると思ってね。
そう言って、メリュジーヌは冷たい視線を目前のちっぽけな人間へと向ける。
ヒトを超えた超越者に射すくめられ、ディオは乾いた吐息を吐き出す事しかできない。
推察するに、メリュジーヌはただ飛行して戻ってきたのだろう。
バシルーラの力に真っ向から逆らって飛んできたのか。
それとも、飛ばされた先で真っすぐここを目指してやって来たかは分からない。
だがどちらにせよ、バシルーラはメリュジーヌには通用しない。
無駄だと思い知らせるために、ワザと受けて見せたのだ。
そして、その効果は抜群だった。
諦めの悪いディオをして、何をしても無駄だと諦観が過るほどの衝撃を与えていた。
そう言って、メリュジーヌは冷たい視線を目前のちっぽけな人間へと向ける。
ヒトを超えた超越者に射すくめられ、ディオは乾いた吐息を吐き出す事しかできない。
推察するに、メリュジーヌはただ飛行して戻ってきたのだろう。
バシルーラの力に真っ向から逆らって飛んできたのか。
それとも、飛ばされた先で真っすぐここを目指してやって来たかは分からない。
だがどちらにせよ、バシルーラはメリュジーヌには通用しない。
無駄だと思い知らせるために、ワザと受けて見せたのだ。
そして、その効果は抜群だった。
諦めの悪いディオをして、何をしても無駄だと諦観が過るほどの衝撃を与えていた。
「く………ま、待てッ!!」
だが、ディオは膝を折らない。
絶望的な状況下でも、諦める様ではこの男は本来辿る歴史で邪悪の化身。
悪のカリスマなどと呼ばれてはいないのだから。
ゆっくりと歩み寄って来るメリュジーヌ達の前に腕を突き出し、制止する。
そして、大きく後ずさりながら必死の交渉を試みた。
絶望的な状況下でも、諦める様ではこの男は本来辿る歴史で邪悪の化身。
悪のカリスマなどと呼ばれてはいないのだから。
ゆっくりと歩み寄って来るメリュジーヌ達の前に腕を突き出し、制止する。
そして、大きく後ずさりながら必死の交渉を試みた。
「僕の仲間に海馬モクバという乃亜の近親者がいるッ!奴の情報も当然あるッ!
その上奴は首輪を外せるかもしれないッ!僕を殺せば、それらが全てご破算だぞッッ!!」
その上奴は首輪を外せるかもしれないッ!僕を殺せば、それらが全てご破算だぞッッ!!」
乃亜や首輪の情報が欲しいのなら、手荒な真似はやめろ下賤の売女どもがッ!
そう叫びそうになるのを堪えて、何とか手持ちのカードでディオは保身を試みた。
いかなマーダーとて、乃亜や首輪に対する情報は無視できない筈。
その推測から出た言葉であり、そしてそれは的を射ていた。
メリュジーヌの傍らに立つ、銀髪の少女が反応を示したからだ。
そう叫びそうになるのを堪えて、何とか手持ちのカードでディオは保身を試みた。
いかなマーダーとて、乃亜や首輪に対する情報は無視できない筈。
その推測から出た言葉であり、そしてそれは的を射ていた。
メリュジーヌの傍らに立つ、銀髪の少女が反応を示したからだ。
「ふーん………では、そのモクバという子からは色々話を聞かないとね?」
そう言いつつも、彼女の手の突撃槍が下がる気配は無い。
ディオの全身が震える。冷や汗が止まらなくなり、表情は真っ青だ。
もう破れかぶれだった。
ディオの全身が震える。冷や汗が止まらなくなり、表情は真っ青だ。
もう破れかぶれだった。
「と、止まれッ!それ以上僕に近づくなッ!!僕を傷つければ、当然───!」
ディオの悲鳴にも似た怒号を受けても、銀髪の少女はどこ吹く風で。
揶揄うように、諭すように、ディオの指示に従う理由が無いことを告げる。
揶揄うように、諭すように、ディオの指示に従う理由が無いことを告げる。
「そうは言っても…私達はぬしらで力を示す約束で和議を結んだでありんす。
それを破れば隣のメリュジーヌが敵になるかもしれない。そんなリスクを私に負えと?」
それを破れば隣のメリュジーヌが敵になるかもしれない。そんなリスクを私に負えと?」
頬に手を当て、メリュジーヌの方を一瞥しながら銀髪の少女はディオにそう語った。
ディオ達を敵に回すリスクと、妖精騎士を敵に回すリスク、何方が上かは明白だ。
立場が逆ならディオだって同じ選択をしただろう。
だが、それならメリュジーヌが心変わりすれば銀髪の少女の意見も変わる筈。
ディオがそう考え、メリュジーヌが先んじて興味は無いと返したのはほぼ同時だった。
ディオ達を敵に回すリスクと、妖精騎士を敵に回すリスク、何方が上かは明白だ。
立場が逆ならディオだって同じ選択をしただろう。
だが、それならメリュジーヌが心変わりすれば銀髪の少女の意見も変わる筈。
ディオがそう考え、メリュジーヌが先んじて興味は無いと返したのはほぼ同時だった。
「僕はシャルティアの様に元の世界に帰りたいと思っている訳じゃない。
願いさえ叶えばそれでいい。何人も殺して、自分だけ助かろうなんて思っていないさ」
願いさえ叶えばそれでいい。何人も殺して、自分だけ助かろうなんて思っていないさ」
メリュジーヌの願望の成就は、奇跡に縋る以外になく。
同時に、願望の成就さえ叶えば、此処で終わってもいい。
妖精國は滅び、生き残った所で帰るべき故郷は何処にもないからだ。
何より、愛(オーロラ)のない世界に、未練など無い。
例え首輪を外せず、願いを叶えた後に乃亜が首輪を爆破したとしても、それでよかった。
むしろ、自刃する手間が省けるというものだ。
同時に、願望の成就さえ叶えば、此処で終わってもいい。
妖精國は滅び、生き残った所で帰るべき故郷は何処にもないからだ。
何より、愛(オーロラ)のない世界に、未練など無い。
例え首輪を外せず、願いを叶えた後に乃亜が首輪を爆破したとしても、それでよかった。
むしろ、自刃する手間が省けるというものだ。
「そして何より……君たちは信用に値しない」
「確かに、首輪目的で仲間を殺すような相手はねぇ?」
「確かに、首輪目的で仲間を殺すような相手はねぇ?」
一部始終を見ていたメリュジーヌも。
メリュジーヌから話を聞かされたシャルティアというらしい銀髪の少女も。
ディオ達一向に対する信頼度は皆無に等しかった。
こう言って勧誘を行うのも苦し紛れ、この場を切り抜けるための方便でしかないだろう。
もし孫悟飯のような参加者と合流すれば、即座に自分たちを売ってもおかしくない。
シャルティアや沙都子、メリュジーヌが手を結ぼうとしているのも。
孫悟空という共通の敵と、お互いが複数の対主催にマーダーとして認識されている為、
容易にお互いを裏切る事ができないという立場に依る物が大きいのだから。
メリュジーヌから話を聞かされたシャルティアというらしい銀髪の少女も。
ディオ達一向に対する信頼度は皆無に等しかった。
こう言って勧誘を行うのも苦し紛れ、この場を切り抜けるための方便でしかないだろう。
もし孫悟飯のような参加者と合流すれば、即座に自分たちを売ってもおかしくない。
シャルティアや沙都子、メリュジーヌが手を結ぼうとしているのも。
孫悟空という共通の敵と、お互いが複数の対主催にマーダーとして認識されている為、
容易にお互いを裏切る事ができないという立場に依る物が大きいのだから。
(ぐぐッ…!?こ、こいつら……話が通じん!)
元々、苦しい説得だとは思っていた。
だが、ここまで取り付く島もないとは。
言葉に詰まるディオを嘲笑うように、シャルティアは続ける。
だが、ここまで取り付く島もないとは。
言葉に詰まるディオを嘲笑うように、シャルティアは続ける。
「まぁ安心しなんし?私は首輪を外せるという話に興味が無いわけではありんせん」
「なら───」
「あぁ、勘違いしそうな所悪いけれど、私がぬしら下等生物と態々仲良くしてまで…
情報を吐かせる方法が無いって、本当にそう思ってる?」
「なら───」
「あぁ、勘違いしそうな所悪いけれど、私がぬしら下等生物と態々仲良くしてまで…
情報を吐かせる方法が無いって、本当にそう思ってる?」
ディオがその言葉を聞いて思い浮かんだのは拷問という手段だったが。
シャルティアにとって、拷問などするまでもない。
魅了(チャーム)の催眠がただの人間であれば通じるのは眼鏡のガキで確認済み。
血を吸って絶対服従の眷属にしてしまう手もある。
故に、こちらの不興を買えば情報が手に入らなくなるぞ。という脅しは通用しない。
シャルティアにとって、拷問などするまでもない。
魅了(チャーム)の催眠がただの人間であれば通じるのは眼鏡のガキで確認済み。
血を吸って絶対服従の眷属にしてしまう手もある。
故に、こちらの不興を買えば情報が手に入らなくなるぞ。という脅しは通用しない。
「──ハッキリ言ってあげる。
私達がぬしらと“交渉”する必要なんて、何処にもありんせん」
私達がぬしらと“交渉”する必要なんて、何処にもありんせん」
力関係が圧倒的に違う相手に対して、交渉など成立しない。
あるのは屈従か、拒絶からの玉砕の二択だ。
正に絶体絶命。断崖絶壁の淵だった。
あるのは屈従か、拒絶からの玉砕の二択だ。
正に絶体絶命。断崖絶壁の淵だった。
「どうやら理解した様だし、そろそろお喋りは終わりにするとしますかぇ」
獲物の顔が恐怖に浮かぶ様を眺め、獣の笑みでシャルティアが歩み寄ってくる。
この瞬間、ディオは全てを諦めた。
だがそれは己の生存を、という意味ではない。
モクバ達の生存を諦めたのだ。一瞬で彼らを見捨てる決断を、彼は成した。
伸ばしていた手とは反対の密かにポケットに突っ込んでいた手。
その手に握ったカードに念じる。
この瞬間、ディオは全てを諦めた。
だがそれは己の生存を、という意味ではない。
モクバ達の生存を諦めたのだ。一瞬で彼らを見捨てる決断を、彼は成した。
伸ばしていた手とは反対の密かにポケットに突っ込んでいた手。
その手に握ったカードに念じる。
「『感謝』してやるぞ永沢───」
シャルティアが、目前で槍を振りかぶった。
間違いなく、ただの人間の少年であるディオを叩き潰せる一撃。
それを前にしても、ディオはシャルティアから瞳を逸らさなかった。
冷や汗をとめどなく流し、青い顔になりながらも。
その相貌は、真っすぐにシャルティアに向けられていた。
彼女らの背後で、ディオがポケットに手を突っ込んでいる事をメリュジーヌが気付くが、すでに遅い。
間違いなく、ただの人間の少年であるディオを叩き潰せる一撃。
それを前にしても、ディオはシャルティアから瞳を逸らさなかった。
冷や汗をとめどなく流し、青い顔になりながらも。
その相貌は、真っすぐにシャルティアに向けられていた。
彼女らの背後で、ディオがポケットに手を突っ込んでいる事をメリュジーヌが気付くが、すでに遅い。
「貴様が僕の為に、このカードを遺しておいてくれた事をなッ!」
シャルティアの突撃槍が、ディオの頭蓋をカチ割るコンマ数秒前。
コンマ数秒の差で、ディオとシャルティアの間に眩い光が現れる。
光は質量を伴っており、ガァン!と音を立てて突撃槍と激突する。
だが、傷一つない。出現した光の十字架は、致死の一撃から見事ディオを護り通していた。
コンマ数秒の差で、ディオとシャルティアの間に眩い光が現れる。
光は質量を伴っており、ガァン!と音を立てて突撃槍と激突する。
だが、傷一つない。出現した光の十字架は、致死の一撃から見事ディオを護り通していた。
「光の護封剣…!」
ポケットから取り出した青い装飾が成されたそのカードを掲げて。
ディオは会敵から初めて、不敵に笑った。
得意げな下等生物の顔を見せられ、シャルティアは舌打ちを一つ打つ。
ディオは会敵から初めて、不敵に笑った。
得意げな下等生物の顔を見せられ、シャルティアは舌打ちを一つ打つ。
「ここからどんな策を考えているかは知りんせんが、無駄な足掻きを───」
<<魔力の精髄(マナ・エッセンス)>>を使って目の前の光の十字架の検分を行う。
現れた障壁は数秒ごとに魔力が薄れており、三分ほどで完全に消えてなくなる。
それを読み取ったシャルティアは、支給品を用いた無駄な足掻きだと評した。
例え僅かばかりの時間を稼ごうと、目の前の小僧にはどうにもならない。
シャルティア達を倒す事は愚か、走って逃げる事すら不可能だ。
敢えて出来る事があるとしたら───、
現れた障壁は数秒ごとに魔力が薄れており、三分ほどで完全に消えてなくなる。
それを読み取ったシャルティアは、支給品を用いた無駄な足掻きだと評した。
例え僅かばかりの時間を稼ごうと、目の前の小僧にはどうにもならない。
シャルティア達を倒す事は愚か、走って逃げる事すら不可能だ。
敢えて出来る事があるとしたら───、
「策ではないッ!勇気だッ!」
シャルティアの想定通りの行動を、ディオは行った。
彼は先ほどと同じく、必死の形相でバシルーラの杖を振り上げていた。
効かないという現実を受け入れられなかったのか。
それとも、今度は通じる様に何か細工を行ったのか。
一体何方かを考えていたシャルティアだったが、答えは両方とも違う物だった。
彼は先ほどと同じく、必死の形相でバシルーラの杖を振り上げていた。
効かないという現実を受け入れられなかったのか。
それとも、今度は通じる様に何か細工を行ったのか。
一体何方かを考えていたシャルティアだったが、答えは両方とも違う物だった。
「WRYYYYYYYYYY!!!!!!」
「!?」
「!?」
必要な物は勇気である。
ディオが行った、起死回生の一手。
それは、自身にバシルーラの杖を振るう事であった。
これならば、例え目の前の敵にバシルーラの効果が効かなくとも。
同じ結果を導く事ができると、彼は事前にそう読んでいた。
そして、その読みは正しかった。
ディオが行った、起死回生の一手。
それは、自身にバシルーラの杖を振るう事であった。
これならば、例え目の前の敵にバシルーラの効果が効かなくとも。
同じ結果を導く事ができると、彼は事前にそう読んでいた。
そして、その読みは正しかった。
「く──待て!!」
その手があったか。
遅れて意図を理解したシャルティアが槍を振るう。
だが、やはり障壁に阻まれ彼女の殺意は届かない。
ガァン!と更にメリュジーヌもアロンダイトを叩き付けるが、やはり結果は同じだった。
障壁の向こう側で、ディオの身体が浮き上がる。
遅れて意図を理解したシャルティアが槍を振るう。
だが、やはり障壁に阻まれ彼女の殺意は届かない。
ガァン!と更にメリュジーヌもアロンダイトを叩き付けるが、やはり結果は同じだった。
障壁の向こう側で、ディオの身体が浮き上がる。
「これが僕の逃走経路だッ!貴様らはこのディオとの知恵比べに負けたんだッ!!」
高笑いと共に、ディオの肉体が彼方の空へと消えていく。
だが、障壁がある以上二人のマーダーは見送るほかなく。
結局、光の護封剣の効果が切れたのは、ディオの高笑いすら聞こえなくなった後だった。
だが、障壁がある以上二人のマーダーは見送るほかなく。
結局、光の護封剣の効果が切れたのは、ディオの高笑いすら聞こえなくなった後だった。
□ □ □
死地から一人脱出したディオ・ブランドー。
だが、それは文字通り死地から脱出が叶っただけであり。
依然、彼は絶体絶命な状況下に置かれていた。
だが、それは文字通り死地から脱出が叶っただけであり。
依然、彼は絶体絶命な状況下に置かれていた。
「KUAAAAAAAッ!!!!どうするッ!着地ッ!!」
きりもみ回転を行いながら、落下していくが彼にはどうする事も出来ない。
彼はまだ悪の帝王として羽化するよりずっと以前。
石仮面やスタンドの存在すら知らない少年なのだから。
最初から自分にバシルーラの杖を使わず、最後の手段とした理由が此処にあった。
着地の手段を、彼は有していないのだ。
金色の闇とは違い、彼が十メートル以上の高さから落下すれば待つのは死の一文字である。
彼はまだ悪の帝王として羽化するよりずっと以前。
石仮面やスタンドの存在すら知らない少年なのだから。
最初から自分にバシルーラの杖を使わず、最後の手段とした理由が此処にあった。
着地の手段を、彼は有していないのだ。
金色の闇とは違い、彼が十メートル以上の高さから落下すれば待つのは死の一文字である。
「ちぐしょう~~~!!!あの太陽が最期に見る物なんて嫌だ~~~ッ!!!」
すっかり昇った太陽の光を浴びながら、大地へと墜ちていく。
建物や樹に引っかかるのが唯一の希望だったが、そう上手くは運ばなかった。
その上、落下の最中ぐるぐると回転したお陰で三半規管に莫大な負荷を受けており。
建物や樹に引っかかるのが唯一の希望だったが、そう上手くは運ばなかった。
その上、落下の最中ぐるぐると回転したお陰で三半規管に莫大な負荷を受けており。
「く、そ……この、ディオが………!」
落下まで二十秒を切った所で、ディオは意識を失った。
直前に脳裏を過ったのは、彼が幼いころに死んだ母親の死に顔。
その光景を最後に、意識すら手放したディオ・ブランドーの打つ手はたった今尽きた。
それはまるで、永沢を殺した報いであるとでも言うかのような巡り合わせで。
直前に脳裏を過ったのは、彼が幼いころに死んだ母親の死に顔。
その光景を最後に、意識すら手放したディオ・ブランドーの打つ手はたった今尽きた。
それはまるで、永沢を殺した報いであるとでも言うかのような巡り合わせで。
「影分身の術!!」
だがそれでも、彼の悪運はまだ尽きてはいなかった。何故なら。
ディオの落下地点に独り滑り込み。
墜落する彼の身体を、身を挺して受け止める者がいたのだ。
大量の影分身たちが両手を掲げ、落下の衝撃を吸収する。
ぼよんと胴上げの様に一度大きく跳ねた後、外傷なく少年の身体は受け止められた。
ディオの落下地点に独り滑り込み。
墜落する彼の身体を、身を挺して受け止める者がいたのだ。
大量の影分身たちが両手を掲げ、落下の衝撃を吸収する。
ぼよんと胴上げの様に一度大きく跳ねた後、外傷なく少年の身体は受け止められた。
「おいっ!おいっ!大丈夫かお前!しっかりするってばよ!どうしたんだ!」
慎重に今しがた空から降って来た落下物を大地へと降ろし。
頬をパンパン叩きながら、うずまきナルトは少年の状態を検める。
外傷はなく、呼吸も正常だ。ただ気絶しているだけだろう。
それを確認してから、素早くナルトは少年を背負いあげた。
頬をパンパン叩きながら、うずまきナルトは少年の状態を検める。
外傷はなく、呼吸も正常だ。ただ気絶しているだけだろう。
それを確認してから、素早くナルトは少年を背負いあげた。
「一旦エリスの所に戻らねーと……!」
シュライバー戦の疲労とダメージが色濃く、近辺の民家で休んでいる同行者の下へ。
ナルトは脇目もふらずに駆けだした。
その背に背負っているのが、つい先程同行者を私欲の為に殺した男だとも知らないで。
ナルトは脇目もふらずに駆けだした。
その背に背負っているのが、つい先程同行者を私欲の為に殺した男だとも知らないで。
【D-5/1日目/午前】
【うずまきナルト@NARUTO-少年編-】
[状態]:チャクラ消費(中)、疲労(中)、全身にダメージ(治癒中)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品×3、煙玉×4@NARUTO、ファウードの回復液@金色のガッシュ!!、
鏡花水月@BLEACH、ランダム支給品0~2(マニッシュ・ボーイ、セリムの支給品)、
エニグマの紙×3@ジョジョの奇妙な冒険、ねむりだま×1@スーパーマリオRPG、
マニッシュ・ボーイの首輪
[思考・状況]
基本方針:乃亜の言う事には従わない。
0:空から落ちてきた奴(ディオ)を介抱する。
1:火影岩でセリムを待つ。
2: 我愛羅を止めに行きたい。
3:殺し合いを止める方法を探す。
4: 逃げて行ったおにぎり頭を探す。
5:ガムテの奴は次あったらボコボコにしてやるってばよ
[備考]
※螺旋丸習得後、サスケ奪還編直前より参戦です。
※セリム・エリスと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました。
【うずまきナルト@NARUTO-少年編-】
[状態]:チャクラ消費(中)、疲労(中)、全身にダメージ(治癒中)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品×3、煙玉×4@NARUTO、ファウードの回復液@金色のガッシュ!!、
鏡花水月@BLEACH、ランダム支給品0~2(マニッシュ・ボーイ、セリムの支給品)、
エニグマの紙×3@ジョジョの奇妙な冒険、ねむりだま×1@スーパーマリオRPG、
マニッシュ・ボーイの首輪
[思考・状況]
基本方針:乃亜の言う事には従わない。
0:空から落ちてきた奴(ディオ)を介抱する。
1:火影岩でセリムを待つ。
2: 我愛羅を止めに行きたい。
3:殺し合いを止める方法を探す。
4: 逃げて行ったおにぎり頭を探す。
5:ガムテの奴は次あったらボコボコにしてやるってばよ
[備考]
※螺旋丸習得後、サスケ奪還編直前より参戦です。
※セリム・エリスと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました。
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]気絶、精神的疲労(中)、疲労(中)、敏感状態、服は半乾き、怒り、メリュジーヌに恐怖、
強い屈辱(極大)、乃亜やメリュジーヌに対する強い殺意
[装備]バシルーラの杖[残り回数1回]@トルネコの大冒険3(キウルの支給品)
[道具]基本支給品、光の護封剣@遊戯王DM、ランダム支給品0~1(永沢の支給品)
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:…………
1:キウルを利用し上手く立ち回る。
2:先ほどの金髪の痴女やメリュジーヌに警戒。奴らは絶対に許さない。
3:キウルの不死の化け物の話に嫌悪感。
4:海が弱点の参加者でもいるのか?
[備考]
※参戦時期はダニーを殺した後
[状態]気絶、精神的疲労(中)、疲労(中)、敏感状態、服は半乾き、怒り、メリュジーヌに恐怖、
強い屈辱(極大)、乃亜やメリュジーヌに対する強い殺意
[装備]バシルーラの杖[残り回数1回]@トルネコの大冒険3(キウルの支給品)
[道具]基本支給品、光の護封剣@遊戯王DM、ランダム支給品0~1(永沢の支給品)
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:…………
1:キウルを利用し上手く立ち回る。
2:先ほどの金髪の痴女やメリュジーヌに警戒。奴らは絶対に許さない。
3:キウルの不死の化け物の話に嫌悪感。
4:海が弱点の参加者でもいるのか?
[備考]
※参戦時期はダニーを殺した後
□ □ □
ディオが消えて行った空を眺めながら。
メリュジーヌは、何か耳飾りの様な物に話しかけていた。
三十分ほど待っていてくれと、彼女は耳飾りの先にいる相手にそう告げる。
推察するに、今話しているのが件の沙都子とやらか。
聞き耳を立てつつ考えている内に、通信が終わった。
それを見計らって突撃槍を担ぎ、シャルティアはメリュジーヌに尋ねる。
メリュジーヌは、何か耳飾りの様な物に話しかけていた。
三十分ほど待っていてくれと、彼女は耳飾りの先にいる相手にそう告げる。
推察するに、今話しているのが件の沙都子とやらか。
聞き耳を立てつつ考えている内に、通信が終わった。
それを見計らって突撃槍を担ぎ、シャルティアはメリュジーヌに尋ねる。
「………どうするでありんす?今なら追いかけられなくもありんせんが、ムカつくし」
シャルティア達の飛行速度なら、追いかければ追いつかない事は無いだろう。
だが、メリュジーヌは鉄面皮のまま、首を横に振った。
彼一人追いかけた所で、あまり意味はない。
それよりも、彼が言っていた仲間の方が余程襲撃する価値がある。
この勝負は彼の捨て台詞の通り、勝ちを譲ってやろう。
だが、メリュジーヌは鉄面皮のまま、首を横に振った。
彼一人追いかけた所で、あまり意味はない。
それよりも、彼が言っていた仲間の方が余程襲撃する価値がある。
この勝負は彼の捨て台詞の通り、勝ちを譲ってやろう。
「今のを見て分かっただろうけど、カードを扱う相手は真っ先に潰した方がいい。
今の少年の様な弱者が、私達に一矢報いる可能性が一番高い手段だ」
「ふむ…あの程度なら何とでもなる気もするけど…覚えておくでありんす」
今の少年の様な弱者が、私達に一矢報いる可能性が一番高い手段だ」
「ふむ…あの程度なら何とでもなる気もするけど…覚えておくでありんす」
自信家のシャルティアであっても、流石に今しがた出し抜かれたばかりでは否定もできず。
素直にこくりと頷いて、ディオの仲間がまだいるという中央司令部に向き直る。
本番の栄養補給はこれからだ。
戦意を滾らせるシャルティアに対して、メリュジーヌは相変わらず冷淡に声を掛けた。
素直にこくりと頷いて、ディオの仲間がまだいるという中央司令部に向き直る。
本番の栄養補給はこれからだ。
戦意を滾らせるシャルティアに対して、メリュジーヌは相変わらず冷淡に声を掛けた。
「───さて、僕を落胆させることが無いよう頼むよ」
氷の様に冷たく美しい美貌に浮かべるのは、変わらぬ能面のような無表情。
だがその瞳には、目的へと一直線に突き進む破滅の焔が燃えていた。
キィンと金属音染みた音と共に、両手と青紫色の手甲から伸びるのは彼女の外皮。
妖精剣アロンダイト。彼女の妖精騎士としての誉れそのものだ。
だがその瞳には、目的へと一直線に突き進む破滅の焔が燃えていた。
キィンと金属音染みた音と共に、両手と青紫色の手甲から伸びるのは彼女の外皮。
妖精剣アロンダイト。彼女の妖精騎士としての誉れそのものだ。
「そちらこそ、と言っておきんしょう」
自分に向けられた、挑発的ともいえる言葉を。
シャルティアはメリュジーヌの無表情とは対照的な、酷薄な笑みと共に返した。
ナザリックの階層守護者として、挑発は余裕を持って受け止めなければならない。
優雅に、可憐に、そして見る者に畏怖を抱かせる、そんな立ち振る舞いで。
握る槍は神器(ゴッズ)級アイテム、スポイトランス。彼女の忠誠の印。
吸血鬼の戦乙女はその手の突撃槍をぶぅんと振るう。
それによって巻き起こった旋風は、これから起こり得る凶兆を予感させるようだった。
シャルティアはメリュジーヌの無表情とは対照的な、酷薄な笑みと共に返した。
ナザリックの階層守護者として、挑発は余裕を持って受け止めなければならない。
優雅に、可憐に、そして見る者に畏怖を抱かせる、そんな立ち振る舞いで。
握る槍は神器(ゴッズ)級アイテム、スポイトランス。彼女の忠誠の印。
吸血鬼の戦乙女はその手の突撃槍をぶぅんと振るう。
それによって巻き起こった旋風は、これから起こり得る凶兆を予感させるようだった。
「さぁ……残った鼠の駆除の始まりといくでありんす」
斯くして、吸血姫(ドラキュリーナ)と龍(アルビオン)の呉越同舟は成り。
今はただ、己が栄光の為でなく、二体の槍兵は愚かで弱く醜い人間達へと進軍する。
この殺し合いにおいて、彼女達が真に人と歩むことは無い。
今の彼女達にとって、人とは利用するだけの存在なのだから。
ただ己の愛と忠節を、此処にはいない至高の主へと捧ぐ為に。
ヒトを超えた麗しき二槍の怪物は、再び荒れ狂う。
今はただ、己が栄光の為でなく、二体の槍兵は愚かで弱く醜い人間達へと進軍する。
この殺し合いにおいて、彼女達が真に人と歩むことは無い。
今の彼女達にとって、人とは利用するだけの存在なのだから。
ただ己の愛と忠節を、此処にはいない至高の主へと捧ぐ為に。
ヒトを超えた麗しき二槍の怪物は、再び荒れ狂う。
【F-6/1日目/午前/中央司令部】
【メリュジーヌ(妖精騎士ランスロット)@Fate/Grand Order】
[状態]:ダメージ(小)、自暴自棄(極大)、イライラ、ルサルカに対する憎悪
[装備]:『今は知らず、無垢なる湖光』、M61ガトリングガン@ Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品×3、イヤリング型携帯電話@名探偵コナン、ブラック・マジシャン・ガール@ 遊戯王DM、
デザートイーグル@Dies irae、『治療の神ディアン・ケト』@遊戯王DM、Zリング@ポケットモンスター(アニメ)
[思考・状況]基本方針:オーロラの為に、優勝する。
0:沙都子と合流する前に、シャルティアが利用できるか見極める。
1:中央司令部に集う者達を襲う。
2:沙都子の言葉に従う、今は優勝以外何も考えたくない。
3:最後の二人になれば沙都子を殺し、優勝する。
4:ルサルカは生きていれば殺す。
5:カオス…すまない。
6:絶望王に対して……。
[備考]
※第二部六章『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』にて、幕間終了直後より参戦です。
※サーヴァントではない、本人として連れてこられています。
※『誰も知らぬ、無垢なる鼓動(ホロウハート・アルビオン)』は完全に制限されています。元の姿に戻る事は現状不可能です。
[状態]:ダメージ(小)、自暴自棄(極大)、イライラ、ルサルカに対する憎悪
[装備]:『今は知らず、無垢なる湖光』、M61ガトリングガン@ Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品×3、イヤリング型携帯電話@名探偵コナン、ブラック・マジシャン・ガール@ 遊戯王DM、
デザートイーグル@Dies irae、『治療の神ディアン・ケト』@遊戯王DM、Zリング@ポケットモンスター(アニメ)
[思考・状況]基本方針:オーロラの為に、優勝する。
0:沙都子と合流する前に、シャルティアが利用できるか見極める。
1:中央司令部に集う者達を襲う。
2:沙都子の言葉に従う、今は優勝以外何も考えたくない。
3:最後の二人になれば沙都子を殺し、優勝する。
4:ルサルカは生きていれば殺す。
5:カオス…すまない。
6:絶望王に対して……。
[備考]
※第二部六章『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』にて、幕間終了直後より参戦です。
※サーヴァントではない、本人として連れてこられています。
※『誰も知らぬ、無垢なる鼓動(ホロウハート・アルビオン)』は完全に制限されています。元の姿に戻る事は現状不可能です。
【シャルティア・ブラッドフォールン@オーバーロード】
[状態]:怒り(極大)、MP消費(中)(回復中)、
スキル使用不能、プリズマシャルティアに変身中。
[装備]:スポイトランス@オーバーロード、カレイドステッキ・マジカルルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:優勝する
0: メリュジーヌに力を示すのと同時に、彼女が同盟を組むに値するかを見定める。
1:真紅の全身鎧を見つけ出し奪還する。
2:黒髪のガキ(悟飯)はブチ殺したい、が…自滅してくれるならそれはそれで愉快。
3:自分以外の100レベルプレイヤーと100レベルNPCの存在を警戒する。
4:武装を取り戻し次第、エルフ、イリヤ、悟飯に借りを返す。
5:メリュジーヌの容姿はかなりタイプ。
6:可能であれば眷属を作りたい。
[備考]
※アインズ戦直後からの参戦です。
※魔法の威力や効果等が制限により弱体化しています。
※その他スキル等の制限に関しては後続の書き手様にお任せします。
※スキルの使用可能回数の上限に達しました、通常時に戻るまで12時間程時間が必要です。
※日番谷と情報交換しましたが、聞かされたのは交戦したシュライバーと美遊のことのみです。
※マジカルルビーと(強制的)に契約を交わしました。
[状態]:怒り(極大)、MP消費(中)(回復中)、
スキル使用不能、プリズマシャルティアに変身中。
[装備]:スポイトランス@オーバーロード、カレイドステッキ・マジカルルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:優勝する
0: メリュジーヌに力を示すのと同時に、彼女が同盟を組むに値するかを見定める。
1:真紅の全身鎧を見つけ出し奪還する。
2:黒髪のガキ(悟飯)はブチ殺したい、が…自滅してくれるならそれはそれで愉快。
3:自分以外の100レベルプレイヤーと100レベルNPCの存在を警戒する。
4:武装を取り戻し次第、エルフ、イリヤ、悟飯に借りを返す。
5:メリュジーヌの容姿はかなりタイプ。
6:可能であれば眷属を作りたい。
[備考]
※アインズ戦直後からの参戦です。
※魔法の威力や効果等が制限により弱体化しています。
※その他スキル等の制限に関しては後続の書き手様にお任せします。
※スキルの使用可能回数の上限に達しました、通常時に戻るまで12時間程時間が必要です。
※日番谷と情報交換しましたが、聞かされたのは交戦したシュライバーと美遊のことのみです。
※マジカルルビーと(強制的)に契約を交わしました。
【光の護封剣@遊戯王DM】
三ターンの間、相手の攻撃を封じる魔法カード。
本ロワでも使用すれば三分間ほどの間相手の攻撃から身を守ってくれる。
ただし、このカードの発動中は自身も攻撃を仕掛ける事ができない。
一度使用すれば12時間使用不可能。
三ターンの間、相手の攻撃を封じる魔法カード。
本ロワでも使用すれば三分間ほどの間相手の攻撃から身を守ってくれる。
ただし、このカードの発動中は自身も攻撃を仕掛ける事ができない。
一度使用すれば12時間使用不可能。
098:闇の胎動 | 投下順に読む | 100:不規則性エントロピー |
時系列順に読む | ||
079:空と君のあいだには | メリュジーヌ | 102:澆季溷濁(前編) |
090:嘘吐き | シャルティア・ブラッドフォールン | |
072:死ヲ運ブ白キ風 | うずまきナルト | 103:割り切れないのなら、括弧で括って俺を足せ |
094:A ridiculous farce-お行儀の悪い面も見せてよ- | ディオ・ブランドー |