ダンゲロスSS上海
時間がないので無題ということで
最終更新:
dangerousss_shanghai
-
view
序
何者にも縛られず、この広い空を飛び回るツバメのように自由であって欲しい。
孤児として生まれた少女はそのような願いを込められて飛燕と名付けられた。
といっても両親には会ったことがないのだから、どこまで事実なのかは分からない。
あくまでもそうらしいという噂程度の話だった。
といっても両親には会ったことがないのだから、どこまで事実なのかは分からない。
あくまでもそうらしいという噂程度の話だった。
覚えているのはずっと一人で、生活していたと言うことだった。
ただ、自由に生きろという願いならきっと叶えられているのだろう。
自由に生きているのだから。
自由に生きているのだから。
一
カジノでの騒動の後、A子は、追手から逃れるために貧民街に潜伏していた。
「お腹がすいたなぁ」
靴の下に隠したなけなしの金も使い果たして、ついに素寒貧になってしまった。
食事を買うようなお金もない。そしてこの状態でも普通に腹は減る。
空腹は身体にとても堪えるのだ。
食事を買うようなお金もない。そしてこの状態でも普通に腹は減る。
空腹は身体にとても堪えるのだ。
下手なところに行くと、魔幇の追手に追いかけ回されるせいで、金策もできず行く果てもなく貧民街を彷徨い歩いていたのだ。
「ど、どうしようかな。ダイヤも手に入れられそうにないし」
ダイヤをボスに返却して許してもらう計画だったが、結局、清王朝のダイヤは劉炎嵐が持って行ってしまった。
手に入れるとするなら、力尽くで奪い取るしかないだろう。
手に入れるとするなら、力尽くで奪い取るしかないだろう。
「いやいや、む、無理無理無理無理ですから、そんなの」
劉は優勝候補を倒しまくって、今では上海大賽の有力候補に躍り出ている。喧嘩なんてしたことがないA子が勝てるわけがない。
彼に喧嘩を売るぐらいなら、それなら魔幇の追手を返り討ちにする方がよっぽどましだろう。
それだって、A子には荷が重すぎるのだが。
彼に喧嘩を売るぐらいなら、それなら魔幇の追手を返り討ちにする方がよっぽどましだろう。
それだって、A子には荷が重すぎるのだが。
それに自分のために怒ってくれた相手に喧嘩を売りたくはない。
A子は怠惰でダメ人間かもしれないが、恩知らずではありたくないのだ。
A子は怠惰でダメ人間かもしれないが、恩知らずではありたくないのだ。
「はぁ」
溜息とともに困り果てたA子が壁により掛かる。
すると、目の前にあった何もない壁から突然黒髪の少女の顔が現れた。
すると、目の前にあった何もない壁から突然黒髪の少女の顔が現れた。
「ひ、ひえっ!な、なに!?」
A子が目を白黒させながら慌て蓋めいていると、顔だけの少女がそのまま壁から飛び出して、全身をその場に現した。
短く黒い髪のチャイナドレス風チュニックを着た飄々とした雰囲気の少女であった。
短く黒い髪のチャイナドレス風チュニックを着た飄々とした雰囲気の少女であった。
「も、もしかして私を追ってきた魔人!?」
突然現れた謎の少女に驚いて、腰を抜かしたA子。
「す、すみませんすみません。こ、殺さないで下さい。け、け、け、警備をサボったのは悪気があった訳じゃないんです」
目の魔に現れた少女が自分を始末しに来た魔幇の追手だと勘違いをしたA子。
その場で頭を地面に擦り付け、少女に向かって土下座を始めた。
その場で頭を地面に擦り付け、少女に向かって土下座を始めた。
「何の話?」
突然土下座を始めて命乞いを始めたA子に困惑する少女。
「わ、私を殺しに来た刺客じゃないんですか?」
「全然違うけど。なんでそんなことしないといけないの?」
「全然違うけど。なんでそんなことしないといけないの?」
あっさりと否定する少女。
「ほ、本当に?」
「本当だよ。別に殺しなんて楽しくないし」
「本当だよ。別に殺しなんて楽しくないし」
スリルはあるかも知れないけど、と少女が付け加える。
「で、何したの?マフィアに追われるなんて」
「わ、私が何かしたわけじゃ。」
「わ、私が何かしたわけじゃ。」
「ふーん、本当になにも入ってないね」
いつの間にか、少女の手にはA子の財布が握られていた。財布を開いて中を調べている。
「あっ、わ、私の財布。いつの間に」
いつの間にか少女によって懐から抜き取られていた。
「か、返して下さい」
「別にいいよ」
「別にいいよ」
さして興味もなさそうにA子の財布を放り投げる少女。
それを両手で受け止めるA子。
それを両手で受け止めるA子。
「えっ」
何もはいってなかったはずの財布になぜか重みがある。
中を改めてみるとなぜか大金がはいっていた。
中を改めてみるとなぜか大金がはいっていた。
「困ってたんでしょ。あげる。どうせ私のじゃないし」
「い、い、いや、いくらなんでももらえませんよ。こ、こんな大金。そ、それに私のじゃないってどういう・・・・・・」
「い、い、いや、いくらなんでももらえませんよ。こ、こんな大金。そ、それに私のじゃないってどういう・・・・・・」
先ほどまでは存在しなかった異常な大金に目を白黒させたA子が、それを返そうとするが、少女はそれを無視して立ち去ろうとした。
「じゃあね。多分もう会うことはないだろうけど」
「ま、待って」
「ま、待って」
慌ててA子が少女の腕を掴もうとしたが、その前に少女の身体が壁をすり抜け、そのまま消えていった。
最初から誰もいなかったかのようにA子だけが取り残された。
最初から誰もいなかったかのようにA子だけが取り残された。
「ど、ど、ど、どうしよう。返した方がいいよね」
お札の束が財布の中に
その時、大きな腹の音が貧民街に響いた。
二
喬芽芽はホテルの浴室でシャワーを浴びていた。
シャワーヘッドから絶え間なくお湯が降り注ぎ、身体を温めていく。
お湯は肩から胸元へ、ゆっくりと滑り落ちていった。身体に付着していた汚れが洗い流されていく。
シャワーヘッドから絶え間なくお湯が降り注ぎ、身体を温めていく。
お湯は肩から胸元へ、ゆっくりと滑り落ちていった。身体に付着していた汚れが洗い流されていく。
「本当にひどいめにあったわね」
いつものツインテール姿と違い、ほどけた髪をかき上げる芽芽。
立ち上がった湯気は、鏡を曇らせ、芽芽の姿をぼやけさせるが、記憶はぼやけない。
温かいお湯を浴びながら目を閉じると嫌でも思い出してしまう。
立ち上がった湯気は、鏡を曇らせ、芽芽の姿をぼやけさせるが、記憶はぼやけない。
温かいお湯を浴びながら目を閉じると嫌でも思い出してしまう。
アマゾンもろくでもなかったが、一番の問題はうんこであった。
そのままカルミアの車に乗ったり歩いて帰るわけには行かないので、ホテルのシャワーを借りて汚物を洗い流すことにした。
そのままカルミアの車に乗ったり歩いて帰るわけには行かないので、ホテルのシャワーを借りて汚物を洗い流すことにした。
汚染された服もホテルにある適当なものに着替える予定だ。
何があっても芽芽のカワイイは揺るがないが、だからといって他人に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
何があっても芽芽のカワイイは揺るがないが、だからといって他人に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
「まあいいわ。収穫はあったわけだし」
蛇口を閉じる。
シャワーが止まると辺りを静寂が包んだ。
タオルに手を伸ばし、芽芽は浴室を後にした。
シャワーが止まると辺りを静寂が包んだ。
タオルに手を伸ばし、芽芽は浴室を後にした。
浴室から出てきた芽芽は外で待っていたカルミアのところに向かう。
カルミアと芽芽は予約をした店で食事をすることにした。
カルミアが選んだのは小さな料理屋であった。
路地裏の小さく質素な店舗に見合わない人気店で利用には予約が必須とされている。
路地裏の小さく質素な店舗に見合わない人気店で利用には予約が必須とされている。
二人はお店の中に入った。
店内では青いチャイナ服を着た大きな胸の女性が愛想よく柔らかな笑みを浮かべて接客をしている。
店内では青いチャイナ服を着た大きな胸の女性が愛想よく柔らかな笑みを浮かべて接客をしている。
「いらっしゃいませ。予約していたお客様ですね」
一礼をしながら、甘ったるい媚びるような声で二人を迎える派手な刺繍をした青いチャイナ服の女性。
彼女が、この店のオーナーである姫愛星である。
彼女が、この店のオーナーである姫愛星である。
カウンター席に案内される二人。
愛星に質素なメニューを渡され、注文を行う。
愛星に質素なメニューを渡され、注文を行う。
料理が出来るまでの間、二人はこれからについて話すことにした。
「これからの話ですけれど」
カルミアがテーブルの上に写真を広げる。
写真にはボサボサのロングの黒髪でハイライトのないドブのような黒目をした卑屈そうな女性の姿が映し出されていた。
写真にはボサボサのロングの黒髪でハイライトのないドブのような黒目をした卑屈そうな女性の姿が映し出されていた。
「この娘が例の?」
「ええ、そうですわね」
「ええ、そうですわね」
大戦持A子。
当日ダイヤの警備をしていたはずの女性である。
当日ダイヤの警備をしていたはずの女性である。
「全然ダメね。素体は悪くないかも知れないけど、見た目に気を遣わなさすぎ。もったいないわ」
芽芽がA子の外見を論評する。彼女が他者を評価する第一基準はカワイイである。
「本当にこの娘が?」
とても重要人物であるようにはみえないと芽芽。
「油断できませんわ。あの魔幇から逃げ切ってるんですのよ。弱いはずがありませんわ」
「ふーん、そうなの?」
「芽芽もご存じでしょう?当日の警備に関わっていた関係者が惨たらしく惨殺されたことは。魔幇は見逃すような甘い存在ではありませんわ。きっと、だらしない見た目も周囲を油断させるために違いありませんわ」
「ふーん、そうなの?」
「芽芽もご存じでしょう?当日の警備に関わっていた関係者が惨たらしく惨殺されたことは。魔幇は見逃すような甘い存在ではありませんわ。きっと、だらしない見た目も周囲を油断させるために違いありませんわ」
カルミアはA子のことを魔幇の刺客すら退ける強者であると認識していた。
「そうね。あの魔幇だもんね。油断はしていられないわね」
確かによく分からない部門がちょくちょく存在しているが、魔人だけで構成され、多くの強者を要している魔幇の送り込んだ刺客からも逃げ切っているのだ。
どのような人物かは分からないが、強者である可能性が高い。
どのような人物かは分からないが、強者である可能性が高い。
A子が本当にただ逃げているだけではなく、魔幇が送り込んだ追手を返り討ちにできるほどの実力者であると二人が考えてもおかしくはないだろう。
他にも魔幇の経営するカジノに乗り込んで劉炎嵐を正面から相手取って戦い、逃げ切ったとか、或いは、劉と一緒になってカジノのスロットを崩壊させ、大金をせしめたなどと噂になっていた。
もし、A子本人がこの話を耳にしたならば、泡を吹いて倒れるだろう。
「もしかしたら、なにかを知っているかもしれませんわ。探し出して接触してみましょう」
「そうね」
「そうね」
二人で話し合った結果、次の方針として、警備の一人だったA子を探すことにする。
二人の話が一段落ついたタイミングで二人の席に料理が運ばれてきた。
豚バラ肉を赤褐色のタレで煮込んだ {紅焼肉
}であった。
料理から湯気が立ち上がると、カウンターに甘い香りが広がる。
豚バラ肉を赤褐色のタレで煮込んだ
}であった。
料理から湯気が立ち上がると、カウンターに甘い香りが広がる。
二人は箸を伸ばして、豚バラ肉の大きな塊を掴んだ。口に運ぶと、まずは甘じょっぱいタレが広がり、次に豚肉の脂が溶けていく。
柔らかな肉は十分な噛み応えがあり、サクサクとしている。
柔らかな肉は十分な噛み応えがあり、サクサクとしている。
紅焼肉は酥而不爛、肥而不膩が最上であるとされている。即ち、「柔らかいが煮崩れてはいない。脂っこいのにしつこくない」という状態を指す。この紅焼肉はそれが十分に満たされていた。
「おいしいわね」
「そうですわね」
「そうですわね」
芽芽もカルミアも満足そうに料理の感想を口にする。
「ありがとうございます。みんなに愛されることを目指してるんですよ」
二人の言葉に嬉しそうな表情で調理場で鍋を振る愛星が返事を返す。
二人は鍋底まで綺麗に平らげて、店を出た。
三
上海に存在する名門中華料理店。
表向きはごく普通の中華料理店だが、マフィアの幹部であるジャニス・チャンが経営している。
表向きはごく普通の中華料理店だが、マフィアの幹部であるジャニス・チャンが経営している。
「ジャニス様。静梅です」
古めかしい扉をノックするチャイナドレスのスレンダーな女性。
組織内で発生した問題の報告のためヤオ・ジンメイ はジャニスの執務室を訪れていた。
この中華料理店の看板娘でもある彼女は、ジャニスの信頼する側近の一人だ。
若くして武を修めた中国武術の達人であり、「大仁大勇」という号名を持っている。
組織内で発生した問題の報告のため
この中華料理店の看板娘でもある彼女は、ジャニスの信頼する側近の一人だ。
若くして武を修めた中国武術の達人であり、「大仁大勇」という号名を持っている。
ジャニスの許可を受け入室した静梅は、ジャニスに恭しく礼をして報告を始めた。
「例のこそ泥のことはご存じだと思いますが、うちでも被害が発生しました」
「巷を騒がせている例の怪盗気取りだな」
「巷を騒がせている例の怪盗気取りだな」
「はい。警備をしていた部下によると、謎の女が壁や金庫をすり抜けていき、金庫の中に入れていたはずの宝石が煙のように消えていたとのことです」
「下手人はどうなった」
「申し訳ありません。部下や解決屋を使っておりますが、未だに捕獲は出来ておりません。上海中のマフィアや富豪が同じような問題に苦慮しているらしく、あの魔幇も例外ではないようです」
「そうか。何としても捕獲しろ。嘗められるわけにはいかないからな」
「そうか。何としても捕獲しろ。嘗められるわけにはいかないからな」
得体の知れない泥棒ごときに好きにさせていては、マフィアのメンツがたたない。それに魔幇も苦慮しているとなれば、その犯人を捕獲したとなれば、ジャニス達が一目置かれる可能性が高いだろう。
「清王朝のダイヤと共に調査せよ」
「はっ」
「はっ」
再び恭しく礼をして立ち去る静梅。
四
廃墟のような粗末な小屋の屋根の隙間から朝の光が差し込む。割れた窓の外からは埃っぽい空気が流れ込んでくる。
「う、うーん」
大戦持A子は大きな伸びをして、目を覚ました。
少女との遭遇から数日後、A子は適当な空き家に潜み、日常を過ごしていた。
快適とは言いがたいが、雨などをやり過ごすには困らない。
たまに野犬の遠吠えらしきものが聞こえてくるのが、犬が苦手なA子の悩みの種である。
少女との遭遇から数日後、A子は適当な空き家に潜み、日常を過ごしていた。
快適とは言いがたいが、雨などをやり過ごすには困らない。
たまに野犬の遠吠えらしきものが聞こえてくるのが、犬が苦手なA子の悩みの種である。
壊れて既に機能していない扉から外へ出る。
「お姉ちゃん遊ぼう」
小さな声が勢いよく外から聞こえてきた。小さな子供達の声だ。
「えーい」
「わ、わぁ・・・」
「わ、わぁ・・・」
飛びついてきた子供に押し倒されるA子。その子はボロボロの靴と、少し薄汚れた服を着ているが、A子を見るその瞳は輝いていた。
他にも数人の子供達がA子を囲んでいた。
他にも数人の子供達がA子を囲んでいた。
それから、しばらく貧民街には子供と遊ぶA子の姿があった。
子供達がどこからか拾ってきたボールでサッカーのまねごとをしてみるだけ。
子供達がどこからか拾ってきたボールでサッカーのまねごとをしてみるだけ。
「ふ、ふへへ」
ものぐさでインドア派のA子は最初は子供達に無理矢理付き合わされる形で参加していたのだが、いつの間にか楽しくなってきていた。
貧民街には特に娯楽もないため、楽しみといって他はないだろう。
貧民街には特に娯楽もないため、楽しみといって他はないだろう。
「今日もやってるね」
「あっ、る、陸ちゃん」
「あっ、る、陸ちゃん」
子供達と遊ぶA子に声をかけたのはルー・フェイイェン だった。
「感心しちゃうよ。逃亡生活だって言うのに子供達と遊んでてさ」
「そ、そうですか。か、感心しますか私」
「別に褒めてないんだけど」
「ふ、ふへへへ、すみません」
「そ、そうですか。か、感心しますか私」
「別に褒めてないんだけど」
「ふ、ふへへへ、すみません」
A子に呆れる飛燕。
「る、陸ちゃんも遊びませんか?」
「私は仕事の準備があるから」
「私は仕事の準備があるから」
子供達との遊びに誘うA子に断りを入れる飛燕。
飛燕の手には挨拶代わりといった様子でまたA子の財布が握られている。
飛燕の手には挨拶代わりといった様子でまたA子の財布が握られている。
「隙だらけだよ。よくこの魔都上海で生きてこられたね。これが芝居だったら拍手喝采ものかもね」
飛燕が財布をA子の方に放り投げる。中身は以前に飛燕に出会ったときのまま。
正確には空腹に耐えきれず少し使ってしまっている。
正確には空腹に耐えきれず少し使ってしまっている。
A子はあの時、もらったお金を飛燕に返却しようとしたが、受け取ろうとしなかった。
既に渡したものだし、A子がここに暮らすつもりなら口止め料が必要だと飛燕が言う。
既に渡したものだし、A子がここに暮らすつもりなら口止め料が必要だと飛燕が言う。
飛燕の年齢に見合わない大金を持ち合わせ、それを「場所代」や「口止め料」として譲り渡したりしている。
A子にも彼女の仕事が後ろ暗いものであることは分かった。彼女の日常的な「癖」から推測するとおそらくは窃盗。
A子にも彼女の仕事が後ろ暗いものであることは分かった。彼女の日常的な「癖」から推測するとおそらくは窃盗。
それでも彼女は気のいい人間であると思うし、
日本にいたときは、ゲームや漫画の遊び三昧で暮らしており、仕事をさぼった末にマフィアに追われて逃亡している自分あ批判できることだろうかとA子は思わなくもない。
日本にいたときは、ゲームや漫画の遊び三昧で暮らしており、仕事をさぼった末にマフィアに追われて逃亡している自分あ批判できることだろうかとA子は思わなくもない。
ここでの生活はそれほど悪くはない気がする。
ほとぼりが冷めるまで隠れていよう。
A子は子供達と遊びながらそう思った。
A子は子供達と遊びながらそう思った。
五
「本当にここにいるの?」
「間違いありませんわ。それらしい人物がこちらの周辺にいたという目撃情報がありましたもの」
「間違いありませんわ。それらしい人物がこちらの周辺にいたという目撃情報がありましたもの」
カルミアの元にA子がここにいるという目撃情報が入ったというので、芽芽はカルミアと一緒に貧民街を訪れていた。
しばらく貧民街を歩き回り、芽芽とカルミアは貧民街の子供と遊んでいるA子を発見する事に成功した。
「いたわ。彼女ね」
ごく普通にA子に近づき、芽芽が声をかけた。
「貴女、大戦持A子ね。清王朝のダイヤの警備をしてた」
「ぴにゃあああああああ」
「ぴにゃあああああああ」
不意に声をかけられて奇声をあげるA子。
彼女の素性を知っている。
さらに自分がダイヤの警備をしていたことまで把握している。
なら今度はきっと勘違いではない。今度こそ命を狙う魔幇の刺客に違いない。とあーA子は判断した。
さらに自分がダイヤの警備をしていたことまで把握している。
なら今度はきっと勘違いではない。今度こそ命を狙う魔幇の刺客に違いない。とあーA子は判断した。
逃げないといけない。【加速】を使用しないと。
逃げる?
一緒に遊んでいた子供を見捨てて?
逃げる?
一緒に遊んでいた子供を見捨てて?
それはよくないんじゃないかとA子は思った。
子供達を見捨てようとした自分に改めて怒りを感じた。
目の前の女性は劉ほど強そうではない気がする。
不意を打てば、勝てるかもしれない。
不意を打てば、勝てるかもしれない。
A子が芽芽に攻撃を仕掛けた。
こうして哀れなA子は最終的に宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられたのであった。
「ぷぎゃ」
蛙が潰れるような声をあげて、A子は気を失った。
「思ってたより弱くない?死んでたら困るんだけど」
「当たり所が悪くなかったら大丈夫ですわよ。多分」
「当たり所が悪くなかったら大丈夫ですわよ。多分」
A子について、冷静に話し合う二人。
周りの子供達からは、お姉ちゃんを苛めるななどの声が上がっている
周りの子供達からは、お姉ちゃんを苛めるななどの声が上がっている
「何かこっちが悪者みたいな空気なんだけど、やっぱり私がかわいすぎるからかしら」
「流石におめでたすぎる頭をした方がいいですわよ」
「流石におめでたすぎる頭をした方がいいですわよ」
二人は気絶したA子を介抱することにした。
「う、うーん」
「目を覚ましましたわ」
「よかった」
「目を覚ましましたわ」
「よかった」
暫くして、A子が目を覚ました。
「はっ、わ、私を狙った刺客!?」
「違うわよ」
「違うわよ」
カルミアと芽芽がA子に会いに来た事情を説明する。
二人がA子を狙った刺客であるという誤解が解ける。
二人がA子を狙った刺客であるという誤解が解ける。
A子の話によれば、今ダイヤは劉が持っているらしい。
「ふへへ、は、犯人のことはわ、私もよく知りません。な、何せ、当日はサボっていたもんで」
「よくマフィアの警備をサボる気になったわね」
「よくマフィアの警備をサボる気になったわね」
あきれた表情の芽芽とカルミア。
「し、知らなかったんです。か、勝手に祖父が手配したもので」
六
ジャニスの命令を受け、貧民街に陸飛燕のことを調べにきた静梅と愛星が現れた。
飛燕を盗難の犯人と目星をつけて、調査に来たらしい。
飛燕を盗難の犯人と目星をつけて、調査に来たらしい。
「あら、お久しぶりですね、お客様。この前、私の料理をお褒めいただいてありがとうございます」
「貴女、この前の料理人ね。マフィアだったの?」
「貴女、この前の料理人ね。マフィアだったの?」
以前芽芽と会話を交わす愛星。皆に愛されたいという願望を抱えている愛星は、自分を褒めてくれる人間のことを全て覚えている。
「裏の仕事は引退したのですが、ダイヤの件で物騒でしょう。昔の上司に協力しているんです」
愛星は物腰丁寧に事情を説明する。
「ところで今回の用件なのですが」
刺繍を施した真っ青なチャイナドレスから、紙を取り出す。
「こちらの方を我々に譲っていただくとありがたいのですけど。返してもらわないといけないものがありまして」
愛星に差し出された紙には陸飛燕の似顔絵が書かれていた。
青ざめるA子。
青ざめるA子。
「知らないわよ、こんな娘」
「ええそのようですね」
「ええそのようですね」
芽芽の言葉に納得する愛星。
「でも、そちらの方はご存じですよね。顔がそう物語っていますもの」
「隠すとためにならんぞ」
「隠すとためにならんぞ」
「し、知りません。し、知ってても渡しません」
はっきりと拒絶の意を示すA子。
「ジャニス様に逆らうつもりか」
「痛い目をみたいですようですね?」
「痛い目をみたいですようですね?」
A子
「彼女に協力するわ。いいわよね」
「かまいませんわ」
「かまいませんわ」
雇われているカルミアの許可を取り、二人と戦うことを決める芽芽。
芽芽は、A子に飛燕に連絡するように伝える。
A子は精神強襲術【加速】を使って、飛燕を探しにいく。
芽芽は、A子に飛燕に連絡するように伝える。
A子は精神強襲術【加速】を使って、飛燕を探しにいく。
「一人で我々と戦うつもりか?嘗められたものだな」
「残念です。ですが仕方ありませんね」
「残念です。ですが仕方ありませんね」
と愛星が。
「私のお店に来て、料理まで誉めていただいたお客様と戦うのは気が進まないんですけどね」
愛星はくすりと笑いながら、派手な刺繍が施されたチャイナドレスの帯紐を紐解く。細長い鎖の両端に金属製の錘が付いた凶器——流星錘。
普段はドレスの飾りのように見せかけている暗殺者としての彼女の愛用の武器だ。
普段はドレスの飾りのように見せかけている暗殺者としての彼女の愛用の武器だ。
「かわいくない武器ね」
「別にかわいさなんて必要ないでしょ。私自身がかわいいんだもの」
「別にかわいさなんて必要ないでしょ。私自身がかわいいんだもの」
愛星が片方の錘を回し始める。速度を上げていく鎖が周囲を切り裂く音が周囲に響き渡る。そのままリズミカルに加速し、ついに目で追えないほどの旋回速度に達する。
「ふーん、そうね、アンタも十分可愛いわね。でも私ほどじゃないわ」
愛星を見据えつつ、芽芽が言葉を返した。
静梅がかまえる。
静梅がかまえる。
(自分のことを世界の中心と思ってるバカね。身の程知らず)
内心で芽芽を嘲り笑いながら、加速した錘を前方に放った。
「——灼熱的火焔」
愛星の掌から赤い炎が噴出し、瞬時に鎖全体を伝って鉄錘が一瞬で真紅に輝いた。
「ふふっ、熱く愛してあげる。そのまま眠りなさい」
炎を帯びた流星は灼熱の塊とかして一直線に飛び、芽芽に襲いかかる。
が、芽芽に向かった鉄錘はそのまま弾かれ、跳ね返される。
「なっ」
「ふふん、だから、いったでしょ可愛くないって」
が、芽芽に向かった鉄錘はそのまま弾かれ、跳ね返される。
「なっ」
「ふふん、だから、いったでしょ可愛くないって」
無傷であることを得意気にアピールする芽芽。燃え上がった炎も熱せられた鉄錘も芽芽の身体に傷一つつけることは叶わなかった。
「ざけるな!!!」
怒りに震える愛星の手から再び炎とともに鎖が放たれる。真っ直ぐに芽芽の元に鉄錘が飛んでいくが、結果は当然のごとく同じ。
余裕があるのかウインクをしてみせる芽芽。
余裕があるのかウインクをしてみせる芽芽。
「殺してあげる!」
「落ち着け愛星」
「落ち着け愛星」
姚静梅が冷静さを失った愛星に声をかける。
静梅が構える。静梅が拳を放つ。
魔人能力『観察眼』を発動する。芽芽を視界に入れる。
だが、弱点らしきものが見つからない。
魔人能力『観察眼』を発動する。芽芽を視界に入れる。
だが、弱点らしきものが見つからない。
ここから、芽芽の能力が防御系の能力だと静梅は当たりをつける。
また、愛星が炎とともに鉄錘を放った。今度は静梅もまた動いた。
一気に踏み込み、手刀を放とうとする。
一気に踏み込み、手刀を放とうとする。
芽芽が愛星が放った鉄錘を掴んだ。そしてその場で一回転しながら、愛星を振り回した。芽芽のフリルとツインテールが炎とともにふわりと舞い、。
「かわいい演出ありがとう」
キュートに笑顔を見せる芽芽。無理矢理振り回された愛星はそのまま静梅に激突する。
そのまま倒れる二人。
そのまま倒れる二人。
芽芽は愛星と静梅を倒した。
七
愛星と静梅を倒した芽芽達。そこへ二人に連絡を受けていたジャニスが現れる。
「もうしわけありません、ジャニス」
「ごめんなさい、まけちゃったわ」
「ごめんなさい、まけちゃったわ」
とジャニスに報告する二人。
「不覚を取った部下の敵を取らせてもらおうか」
A子と芽芽によるジャニスとのバトルが始まる。
ジャニスが静かに息を吐き、霊気的硬気功を発動させた。
青いオーラが彼女の身体を包み込む。
青いオーラが彼女の身体を包み込む。
「静梅や愛星を倒すほどの強さ。見せてもらおう」
ジャニスが前へ脚を強く踏み込んだ。足下から青い衝撃波が放たれ、地面が震える。
そのままジャニスは前へ飛び込み、連続突きを放った。オーラを纏った拳が芽芽にたたき込まれる。
だが、芽芽は無傷である。
そのままジャニスは前へ飛び込み、連続突きを放った。オーラを纏った拳が芽芽にたたき込まれる。
だが、芽芽は無傷である。
「確かにすごいわね。ま、かわいさでは私ほどじゃないんだけど」
「いつまでそのような減らず口を叩いていられるかな」
「いつまでそのような減らず口を叩いていられるかな」
さらにジャニスのミニスカートが翻り、オーラを纏った脚が青い残光を残しながら弧を描く。
高速の回転蹴りが、芽芽の頭部を狙う。
高速の回転蹴りが、芽芽の頭部を狙う。
芽芽の頭部に脚が直撃する。首をかしげた表情を見せる芽芽。
芽芽がジャニスに反撃する。芽芽の厚底のブーツで蹴る。ジャニスがガードする。
さらに、芽芽が攻撃を続ける。鮮やかなツインテールが動きとともにキュートに揺れる。
さらに一進一退の攻防が繰り広げられる。最終的に芽芽はジャニスを倒した。
八
飛燕を見つけ出したA子。
「別に庇ってくれなくてもよかったのに」
事情を説明された飛燕が口を開いた。
「勝手に逃げるよ。知ってるでしょ。私の能力。そんな奴らに捕まえっこないさ」
近所の民家の壁をすり抜けて見せる飛燕。
「そ、そうかもしれないですけど、嫌だと思ったら」
「バカだね」
「バカだね」
飛燕が笑う。
「だ、だって友達じゃないですか」
「友達?会って数日しか経ってないのに?」
「と、友達だと思ったらも、もう友達ですよ」
「そうかもね」
夕日が沈んでいく中、二人は笑っていた
「友達?会って数日しか経ってないのに?」
「と、友達だと思ったらも、もう友達ですよ」
「そうかもね」
夕日が沈んでいく中、二人は笑っていた
九
エピローグ
エピローグ
貧民街での戦いが終わった。
ジャニスとその部下達を返り討ちにした芽芽達。
ジャニスとその部下達を返り討ちにした芽芽達。
倒れているジャニスの元にカルミアが歩いて行く。
「ふん、何の用だ。敗者をあざ笑いに来たのか」
「いえ、協力の提案ですのよ」
「いえ、協力の提案ですのよ」
カルミアがジャニスに告げる。
「利害は一致しているはずですわ。貴女も私もダイヤをきっかけにより上海において上の地位を目指したい。なら」
「なるほど。私達も自分たちの勢力に組み込みたいというわけだな」
「どう受け取ってもらっても結構。貴女にも悪い話ではないでしょう」
「どうせ敗者に選択肢などない。なら」
「なるほど。私達も自分たちの勢力に組み込みたいというわけだな」
「どう受け取ってもらっても結構。貴女にも悪い話ではないでしょう」
「どうせ敗者に選択肢などない。なら」
手を伸ばすカルミアとそれを受けるジャニス。
そのまま握手をする二人。
こうして、カルミアとジャニスは協力関係を結ぶことになった。
そのまま握手をする二人。
こうして、カルミアとジャニスは協力関係を結ぶことになった。
A子と陸飛燕もやってきた。
貧民街で繰り広げられた騒動は最終的に大団円で幕を閉じた。
貧民街で繰り広げられた騒動は最終的に大団円で幕を閉じた。
終わり。