サベネア島に鎮座する巨大な岩
ラザハンの都は 奇妙にもそこにへばりついている
入り口に掲げられた「真眼」の国章は
彼らの神話を彩る神々の眼───
あらゆる真理を見抜くものとされている
その視線を浴びながら門をくぐれば
島の暑さにも劣らぬ熱気を感じたものだ
商人たちが客を引く声 踊り子の舞踏とともに響く音楽
香と窯からのぼる煙が 空気までも染め上げる
溢れる色に目を回した旅人を
継ぎ接ぎの路が 誘い込んで帰さない
───そんな風景も今は沈み
真眼は果たして いかなる真理を見ていることか
『太守の判断』
最終更新:2023年10月01日 04:19