エリディブス : ……エルピス?
ふむ、確かにそれは私たちの時代にあったものだ。
エリディブス : もっとも、私が知るのは花の名前ではなく、
「ある場所」の名前としてだが。
エリディブス : エルピスは、創造魔法で生み出された生物の実験場だった。
そこで生態を調べ、認可された種だけが、
世界に解き放たれたんだ。
エリディブス : そして、もうひとつ……。
先の話に出たオリジナルのファダニエルが、
十四人委員会に入る前、そこの所長を務めていた。
エリディブス : そのころの……座に就く前の彼の名は「ヘルメス」という。
エリディブス : とはいえ、それらの事実と終末の関係性はわからない。
エリディブス : 君が持ってきてくれた記憶のクリスタルは、
あくまで十四人委員会に関するもの……
就任前の情報には乏しいんだ。
エリディブス : エルピス自体も、かつての終末で壊れ、残骸すら残っていない。
何か秘された事実があったのだとしても、
君が行って暴くことは……
エリディブス : いや……君はエルピスにいた……。
私はそれを……見た覚えがある……。
エリディブス : おかしい、そんなはずはない……。
この記憶の断片は、なんだ……?
エリディブス : これは……どうして……こんなにも…………。
エリディブス : ……すまない、記憶が混濁したようだ。
だが、おかげでひとつ、思いついた手がある。
エリディブス : 君が過去の……
ヘルメスが所長をしていた時代のエルピスに行く、という手だ。

エリディブス : 恐らく、誰の目にも見えないし、声すらも届かない……。
エリディブス : よしんば干渉できたとしても、
君がやれるのは、せいぜい見聞きすることだけだ。
根本的な解決は望めないだろう。
エリディブス : なぜなら、君が帰ってくる「ここ」は、
あくまで終末が起きたという歴史を辿った世界……
エリディブス : 過去で何をしたところで、悲劇をなかったことにはできない。
今の苦しみをなくしてはくれないんだ。
エリディブス : ……それでも行くのか?
敵であった私に、命を委ねてまで。
エリディブス : わかった……。
ならば私も、調停者の最後の責務として、
君を送り届けるとしよう。

『指し示されたエルピス』


エリディブス : よし、それで準備は完了だ。
間もなく門が開く……星見の間の方に移動してくれ。
エリディブス : いい調子だ。
エーテルも順調に流れ込んでいる。
エリディブス : これなら、私の魂も含めて使い切ってくれるだろう。
エリディブス : 何を驚く。
言っただろう、これが「最後の」責務だと。
エリディブス : ゾディアークが散った今、私がここで永く微睡む理由はない。
エリディブス : 私は還る……そしてまた、会いたい人たちがいるんだ。
夢ではなくて、大地の上で。
エリディブス : だから、振り返らずに行くがいい。
君が「光の戦士」なら……。


――ハイデリンよ 私は先に逝く
真なる者 旧き人も 残すところは君だけだろう

最後のひとりは いちばん寂しい
その役回りを譲ることが ゾディアークからの意趣返しだ

残された者の意地で 君と新たな英雄のやり方で
この星を どうか――


『指し示されたエルピス』


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懐かしい雰囲気の青年 : ねえキミ……それ、視えてるでしょ?
聞き覚えのある声の青年 : ……視えてない。
私には何も、視えてない。
懐かしい雰囲気の青年 : えー、そんなわけないでしょ。
懐かしい雰囲気の青年 : ほら!
薄くてちょっとわかりにくいけど、
魂の色がアゼムとすごくよく似てる。
懐かしい雰囲気の青年 : もしかして、彼が創ったものかな?
使い魔だとしたら、魂持ちなんて珍しいね。
聞き覚えのある声の青年 : ……知るか。
あいつ関連なら厄介だ。
似て異なるものなら、さらに厄介だ。
聞き覚えのある声の青年 : 結論、関わらないにかぎる。
さあ行くぞ。
懐かしい雰囲気の青年 : うーん、何か訴えようとしてるみたいだけど、
これじゃあ会話もままならないね。
懐かしい雰囲気の青年 : キミ、少し存在を補強してあげなよ。
どうせ魔力余ってるでしょう?
聞き覚えのある声の青年 : お前、人をなんだと思ってるんだ……。
懐かしい雰囲気の青年 : もちろん、善良なる親友だとも!
こうして遠路遥々つきあってるんだから、
頼みのひとつくらい、聞いてくれるに違いない!
聞き覚えのある声の青年 : ……おい、目を閉じていろ。
さもないと酔うぞ。

聞き覚えのある声の青年 : もう目を開けてもいいぞ。
懐かしい雰囲気の青年 : フフ、フフフフ……待って……。
ちょっとまだ小さくないかい……?
聞き覚えのある声の青年 : 頭部の大きさからして、こんなところだろう。
これ以上だと圧が強すぎる。
懐かしい雰囲気の青年 : なるほど……フフ……。
ヒュトロダエウス : ということで……はじめまして!
ワタシはヒュトロダエウス、創造物管理局の局長さ。
ヒュトロダエウス : 隣にいるのがエメトセルク。
正真正銘、十四人委員会の一員だよ。
ヒュトロダエウス : キミの名前は?
言葉、わかるかな……?
ヒュトロダエウス : いいね、会話ができるなんて優秀だ。
ワタシもそう呼ばせてもらうとするよ。
ヒュトロダエウス : それで、キミはどこからきたの?
あれだけ不安定だったんだ、
ここで創造されたものではなさそうだけど……。
ヒュトロダエウス : わからない……あるいは、答えられないのかな……?
よし、じゃあ質問を変えてしまおう。
ヒュトロダエウス : キミはどうしてここへ?
何をしたいんだい?

▼ヘルメスを探しにきた

ヒュトロダエウス : ……驚いた。
ワタシたちと同じだなんて。
ヒュトロダエウス : ねえ、やっぱりアゼムの使い魔なんじゃない?
本当は一緒に来たかったとか。
エメトセルク : もしそうだったら自力で乗りこんで来るだろう、あいつの場合。
ヒュトロダエウス : ……おっしゃるとおりで。
ヒュトロダエウス : 失礼したね。
ワタシたちは魂の色が視えるんだけど、
キミのそれが、友人の色によく似ていてさ。
ヒュトロダエウス : 加えて、目的まで一緒だったものだから、
早合点してしまったんだ。
ヒュトロダエウス : ワタシたちは、ここの所長であるヘルメスと話をしにきた。
加えて、彼の働きぶりを知るためエルピスを見学したいんだ。
ヒュトロダエウス : ……厳密には、それはエメトセルクの目的で、
ワタシはただの案内役なんだけど。
仕事上、ここには何度か来たことがあるからね。
ヒュトロダエウス : ということで……
よかったら、キミも一緒に来ないかい?
勘違いのお詫びに、案内するよ。
エメトセルク : おい、そんな素性も得体も知れないものを、
公務に連れていけるわけがないだろう。
ヒュトロダエウス : いいじゃない、怪しいと思うなら余計に、
そばに置いて見ておかないと。
ヒュトロダエウス : それに、不思議な生き物を連れているなんて、
ここじゃむしろ当たり前さ。
ヒュトロダエウス : ようこそ、創造生物たちの実験場……
空の果てのエルピスへ!

エメトセルク : さて……どんな事実が待っているやらだ……。

『指し示されたエルピス』

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&color(#3B4EF0){エメトセルク : さっきから何だ、人の顔をじろじろと……。}

ヒュトロダエウス : うん、気持ちがいいね。
それにほら、空に手が届きそうだ!
ヒュトロダエウス : キミにどこまでの知識があるかわからないから、
案内役として、少し説明をしておこうかな。
ヒュトロダエウス : ワタシたちの扱う創造魔法は、
エーテルを素とし、イデアを設計図として、
無機物から生物まで森羅万象を綾なす技だ。
ヒュトロダエウス : 各自が考案したイデアは、
ワタシの勤め先でもある「創造物管理局」に提出されて、
審査、分別、管理される。
ヒュトロダエウス : ここエルピスには、そのうち「生物」に類するものと、
一部の「魔法生物」に類するものが送られてくる。
そして、さらに詳しく観察、研究されるのさ。
ヒュトロダエウス : フフ……なかなか興味深い施設だろう?
ワタシたちと一緒に、見回ってみようよ。

『指し示されたエルピス』

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『ペタルダは翻る』

ヒュトロダエウス : さてさて……
ワタシたちの探している「ヘルメス」は、ここの所長。
そして彼自身も創造生物の研究をしているんだ。
ヒュトロダエウス : ということで、まずは職員たちの居住地に、
向かおうと思うんだけど……
ヒュトロダエウス : ……うーん、キミのその格好は、どうにも目立ってしまうねぇ。
ヒュトロダエウス : エメトセルクが、一応お忍びというか抜き打ちで来てるから、
もう少し馴染む外見にしてもらった方がいいかな。
キミ、普通のローブを創ることはできるかい?
ヒュトロダエウス : ダメか。
じゃあエメトセルク、キミが代わりに創って……
エメトセルク : 厭だ……私は魔力を分け与えたんだぞ?
拾ったお前が面倒を見ろ。
ヒュトロダエウス : つれないなぁ。
エメトセルクってば、ほぼ無尽蔵みたいな魔力の持ち主だから、
こんなのまったく問題にならないはずなんだけど。
ヒュトロダエウス : よし、じゃあ最終的にはワタシが形を創るとして、
せっかくだし、できるところまでは自分でやってもらおうかな。
そこの階段を下りて「芽吹の玄関」に行こう。


ヒュトロダエウス : 思ったとおり、ちょうど良さそうな相手がいるね。
キミにこの、「エーテルロープ」を渡そう。
ヒュトロダエウス : それを使って、ローブのもととなる生物を捕まえてきてほしい。
ヒュトロダエウス : この場所には「キアネ・ペタルダ」「コーキネ・ペタルダ」、
そして「イアンティネ・ペタルダ」という3種類の蝶がいる。
うち、いずれか2種類を1体ずつ……ってところかな。
ヒュトロダエウス : 「エーテルロープ」は、使用者の魔力に応じた能力を発揮する。
エメトセルクが見た目を繕ったとはいえ、
キミが有するエーテルの量は、人に遠く及ばない……。
ヒュトロダエウス : だから、しっかり蝶を弱らせてから、
「エーテルロープ」で捕まえるんだ。
がんばってね!

エメトセルク : ダメだダメだ、私は手伝わないぞ。
待っててやるだけ、ありがたいと思え。
ヒュトロダエウス : この場所にいる3種類の蝶のうち、2種類を1体ずつ、
しっかり弱らせてから「エーテルロープ」で捕まえるんだ。
がんばってね!

最終更新:2023年10月09日 20:47