1-3 「異能力審問官」
■ 背景:
暗闇から、一人の男が現れた。
そしておもむろに走り出す。
その表情は張り詰めていた。
二つばかりの路地を駆け抜けると、息を切らして立ち止まった。
そして後ろを振り返り、笑みを浮かべる。
「逃げ切った。・・・俺を捉えられる奴はいない。たとえ、異端審問官でも」
しかし男の言葉を打ち消すようかのように、君の静かな声が薄暗い路地に響いた。
「子供の頃、かくれんぼで、私は鬼をやらせてもらえなかった。・・・誰がどこに隠れていても、すぐに見つけてしまうからね」
振り返った男は、君の身を包む黒い神父服と、胸の異端審問印を見て、驚愕の表情を浮かべる。
「なぜだ!なぜ俺の・・・」
「『‘転移の力’が通用しない』かな?空間移動能力を持ってしても、私からは逃げられんよ」
男は間合いを取ろうと、後ずさりをはじめる。
「逃げ過ぎたのも裏目にでてしまったようだな。狭く高い構造別に囲まれたこの場所では、お前の能力は使えまい」
「まだだ!まだ・・・」
「いや・・・」
冷汗を脂汗に変えながら吐き出した男の言葉を封じ。最後の通告を行う。
「あきらめろ」
「ふざけるな!」
叫ぶと同時に、男は懐からナイフを取り出すと、君に向かって投げつける。
ナイフは一度闇に消え、右の民家の窓から再び現れた。
君はそのナイフを無造作に叩き落すと、第一種封印弾を装填した。
「死角からの一撃を・・・」
「言っただろう」
君は手にした銃を、男に向けながら言った。
「‘かくれんぼ’は得意なんだ」