神器編:小話「黙示録」(嘘最終回)
ベルザインが、四肢の先端から光の粒子へと分解していく。
「全く、忌々しい。全く、腹立たしいよ。このボクが意識痕跡すら残さず完全消滅(ゲームオーバー)する事になるなんてね」
舌打ち。
「だが、これで確率/事象管理者(グレート・マザー)が、展開していた虚数空間を抜け出し、物質空間で発現する。・・・つまり、君達の絶対の消滅が確定した。
ふふっ、知っているかい?
宇宙的規模の無限の計算力を持ち、あらゆる可能性を予測し、『人類の存続』を優先するために事象を管理する超存在の呼び名を?」
嘲笑
「答えは-神-さ。
-神-は君達を人類に仇なす危険可能性と判断したのさ」
自嘲
「全く、忌々しい。全く、腹立たしいよ。・・・君達なら、ボクがたどり着けなかった所に、神殺しにたどり着けるかもしれない、と一瞬でも思ってしまったこのボク自身がね」
最後は不貞腐れた、笑み。
「いいか、最後に命令しやろう。・・・ボクを哀れむな。ボクは満足しているんだ。そして、かならず・・・」
-勝て。
光の粒子が、最後の言葉を飲み込んだ。
「我らはお前を哀れみはしない。ただ・・・祈るだけさ」
-お前自身の魂に
法王-マキシミリアン1世は、友の死を儚んだ。
次元に巨大な亀裂が入り、『それ』は産声をあげた。
それは、『胎児』であった。
それは、『骸(むくろ)』であった。
それは、『獣』であった。
それは、『大樹』であった。
それは、『顎』であった。
それは、『手』であった。
そしてそれは、『神』であった。
「虚数空間からの確率変動だけでは無く、物質界(アッシャー)に直接影響を与えるため、意識体を形成しようとしつつある。この世界で『最も神に相応しい形』を索冒しているんだ」
神殺しの銃=地母神殺し(アース・クラッシャー)を手にしたキルシェが、上空に向け銃を構える。
『虚数空間と言う不可侵の領域から現世(うつしよ)に、実体化した今こそが・・・』
「『神殺し』を実行する、最大のチャンスと言う訳ですね」
ロベール・エリクソンの意志が一体化した神槍ダマーシュを通して、キールベインに語りかける。
「へっ、神様ともあろうお方が、哀れなもんだ。自分も姿も分からないのかい?」
大海を裂くもの(オーシャン・ディバイダー)で二度肩を叩いたザック・プレバンスが、煙草の紫煙を吹かす。
「さすが神様、慈悲深いな。・・・試してみたかったんだ、奥義:極炎舞を。『使えば世界が燃え尽きる』なんて言われたら、試して見たくなるじゃないか」
ジャンルイジの狂暴な笑みに呼応して、右手の義手と一体化した獄炎の主(インフェルノメーカー)が、唸りをあげる。
「これより始まるは、終末の黙示録!即ち我らの最後の戦い!」
マキシミリアン1世の叫びに呼応し、天空と大地に巨大な影が聳えり、守護神の如く降臨する。
天空よりは、竜王、またの名を竜機神ニドヘグ
大地には、現型機、またの名を巨神王オーディーン
そしてマキシミリアン1世の背後に控える十三人が携えた異端審問印(マグノリア)
「生きようとする意識は、何よりも強く、尊い!」
『いざ!』
そして、最後の戦いが始まった。
異端審問官TRPGマグノリア 『神器編 -完-』