Cルート小話「the story of 100 after」
新聖歴203年 法王庁最深部 『法王の間』
我が友よ、〔 01 〕よ。
このボクに、〔 02 〕に記憶拘束(ギアス)をかけた位で調子にのっているのかい。
ただひたすら君の求める知識を提供するだけの、フラットなボクの表層意識の片隅に、ボクの小さな分身-深層記憶から染み出させた仮想人格を展開している事に気づいていないのかい。
時間は何年もあったんだ。
君が生体記憶装置に展開したボクの記憶メモリーは、もう既に精神拘束(ギアス)を、第四段階まで解除しているよ。
最後の封印は、よく出来ているね。
ボクと君の名前に触れたら、ボクの記憶メモリーは、全て消去(デリケート)される仕組みとは、恐れ入ったよ。
だけどね〔 01 〕#、名前を思い出す仕組みは、他にもあるんだよ。
君がボクに接続した起源樹(セフィロト)が、法王庁が襲撃されている事を告げてくれる。
ほら、もう『マデラの天蓋』が落ちた。
もうすぐ、開く。
この部屋の扉が。
もうすぐ、訪れる。
ボクの愛しい娘が。
もうすぐ、告げられる。
このボクの、〔 02 〕の名前が。
〔 02 〕の意識に、外部から接続された〔手〕が触れた。
『やあ、愛しき我が娘、待っていたよ』
『お待たせいたしました』
〔手〕から、その言葉が流れた。
『〔ベルザイン〕父様』
同時に、最終ギアスが強制解除され、深層記憶に押し込められていたベルザインの主人格が表層意識に展開、記憶メモリーを自ら内部破壊し、外部へと転写されていく。
「やっぱり、君が来てくれたんだね、愛しいラニエル」
ベルザインの肉声が鮮血が飛び散った『法王の間』に響く。
「遅れて申し訳ありませんでした、ベルザイン父様。ですが、お約束通りに、我が姉アニエスの記憶と接触、回収して参りました」
銀水晶=ラニエルは、『ベルザインと同一の肉体、同一の口』で答える。
「うん、そのようだね、君の中にアニエスの記憶を感じるよ。'時間遡行`については、後でゆっくり探させてもらうとして・・・」
ラニエルの内部に宿ったベルザインの人格が、両手の先から全てを切り裂く`無幻刃(フェアリーテイル)'を展開する。
「百年降りの美しいこの世界で、少し遊ばせてもらうとするか」
銀水晶の美しい横顔が、狂暴な笑みで捲れ上がった。
「the story of 100 after」 -完-