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転フェイズ①

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転フェイズ①

「さて、後は駒の諸君の働き次第だ」
-誰が、ライナス・バルグを最初に抑えるか
ウルライヒ自身は、やはり湖畔の英霊との戦闘を優位に進めているガザルドを押すが、機動力に富む'暴風`も裏打ちとしては面白い。
「君はどう予測するかね、洗礼長?」
戯れのつもりで背後に控えているエルロイドに投げ掛けた問い掛け。
だが、返ってきた返答は、予想外に硬質な響きを帯びていた。
「お気付きになりませんか、閣下?」
「何?」
同時に、火薬による爆発音が、空中要塞の強化窓を震わせた。

鉄道騎士団の使命は、アスガルド鉄道の運行を守ること。
その為に、必要なものは三つ。
一つは、鉄道を外敵から守る武力。
一つは、鉄道を整備する技術。
そして、最後の一つは、鉄道の生命線であるレールの維持に欠かせないとのであり、鉄道騎士マーティンが最も優れている技術であった。
即ち、『測量』である。

『来ました!上空グリフォン隊は、第一次到達線を突破!』
測量用の双眼鏡を片手で掴んだまま、見張り台に設置された伝声菅に向かって叫ぶ。
マーティンの見張り台には、二本の伝達菅が設置されている。
一つは、指令部とも言うべき、礼拝堂に通じるもの。
マーティンが叫んだのは、もう一つの伝声菅に対してだ

伝えた先には。

「存外、遅かったな。年寄をあまり待たせるものではない」
伝声菅からのマーティンの合図に、ケステ・ジャイムは口元の皺を更に深くして笑いながら、『導火線』に点火した。
場所は、『北の教会』の厨房。
正確には、厨房立った場所だ。
今は、調理器具は全て撤去され、煙突を改良した『打ち上げ装置』が設置されていた。
点火より数秒で、煙突からの打上音。
更に数秒後に、爆発音。
なんの事はない、打ち上げ花火だ。
爆発音と強い光を嫌う魔獣も多い。
ただし、人を騎乗させるほど手慣づけられたグリフォンは、訓練により耐性が出来ている可能性が高い。
「じゃが、本能までの躾は出来まい。・・・グリフォンが火山帯には生息してない理由は、知っておるのかの」
ケステの呟きは、上空でグリフォンを駈る騎手達に対してか、それとも更に上空のウルライヒに向けたものかは、本人にしか分からない。
『効いてます!第一次到達線で、グリフォン群は、大きく編隊を乱し、混乱中!』
伝声菅を通してマーティンが伝える結果に、ケステは一人、ほくそ笑む。
「可哀想に。鋭敏な嗅覚にはさぞかし堪えるのじゃろう・・・濃縮させた硫黄の刺激臭は」


「さて・・・」

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