④
頭痛と吐き気。
この数日間悩まされてきたが、今日は特に酷い。
この大事な時期に、体調不良を知られたくはないので、旋寮院には行っていない。
長年の経験から薬草には詳しいので、自分で煎じた薬湯を飲み続けているが、効果はない。
あと、数時間後には、「北の教会」最後の聖掟となる第三次大聖伐が発令される。
長かった。
ここまでたどり着くには本当に長かった。
空中要塞の攻略。
南の王国との同盟と、破棄。
反乱者の粛清。
赤該咳の流行。
ケステ・ジャイムの逝去。
ベルザインの襲撃による積層型多重錬成印の崩壊と、`赤布の錬金術師'の喪失。
そして、ライナス・バルクへの異端審問と、死。
予定通りの事もあれば、予定外の事もあった。
だが、全てを乗り越え、「北の教会」は最後の一撃を放とうとしている。
指導者たるライナス・バルグは、己の死すら、最終目的へ至るための手札の一つにしていた。
自分は、常にその為の準備をしていた。
自分は、常にライナス・バルグを支えていた。
頭痛と吐き気が更に悪化する。
朦朧とする意識が、通常の思考力では至ることのない、ある領域へと導く。
ライナスの死後、「北の教会」が存続し、この日が迎えられるのは、自分が責務を果たしたからだと言っていいだろう。
完璧主義にして秘密主義だったライナスが、遣るべき事を、自分にだけ伝えていたからだ。
そうだ、ライナスは自分を最も信頼していた。
誰よりも、自分の能力を認めていた。
自分ですら、信用していなかった、この俺を。
まて、何を考えている?
そこで、堪えきれず、嘔吐した。
自分を苦しめているものの正体に気づいたからだ
頭痛と吐き気。
この数日間悩まされてきたが、今日は特に酷い。
この大事な時期に、体調不良を知られたくはないので、旋寮院には行っていない。
長年の経験から薬草には詳しいので、自分で煎じた薬湯を飲み続けているが、効果はない。
あと、数時間後には、「北の教会」最後の聖掟となる第三次大聖伐が発令される。
長かった。
ここまでたどり着くには本当に長かった。
空中要塞の攻略。
南の王国との同盟と、破棄。
反乱者の粛清。
赤該咳の流行。
ケステ・ジャイムの逝去。
ベルザインの襲撃による積層型多重錬成印の崩壊と、`赤布の錬金術師'の喪失。
そして、ライナス・バルクへの異端審問と、死。
予定通りの事もあれば、予定外の事もあった。
だが、全てを乗り越え、「北の教会」は最後の一撃を放とうとしている。
指導者たるライナス・バルグは、己の死すら、最終目的へ至るための手札の一つにしていた。
自分は、常にその為の準備をしていた。
自分は、常にライナス・バルグを支えていた。
頭痛と吐き気が更に悪化する。
朦朧とする意識が、通常の思考力では至ることのない、ある領域へと導く。
ライナスの死後、「北の教会」が存続し、この日が迎えられるのは、自分が責務を果たしたからだと言っていいだろう。
完璧主義にして秘密主義だったライナスが、遣るべき事を、自分にだけ伝えていたからだ。
そうだ、ライナスは自分を最も信頼していた。
誰よりも、自分の能力を認めていた。
自分ですら、信用していなかった、この俺を。
まて、何を考えている?
そこで、堪えきれず、嘔吐した。
自分を苦しめているものの正体に気づいたからだ
‘生前’のライナス・バルグと最後の会話を交わしたのは、この俺だ。
最後の言葉を聞いたのは俺だ。
最後の言葉を聞いたのは俺だ。
俺は、失望しているのか?
ライナスが、俺を次期指導者に指名しなかった事に。
俺は、嫉妬しているのか?
「彼」が、新たな指導者となった事に。
世界の命運を前にして、俺は何を考えている?
必死で否定するが、それでも吐き気は収まらなず、吐瀉物にまみれ、のたうち回った。
死せるライナス・バルグが、いけるルナン・クライトスを苦しめる。
ライナスが、俺を次期指導者に指名しなかった事に。
俺は、嫉妬しているのか?
「彼」が、新たな指導者となった事に。
世界の命運を前にして、俺は何を考えている?
必死で否定するが、それでも吐き気は収まらなず、吐瀉物にまみれ、のたうち回った。
死せるライナス・バルグが、いけるルナン・クライトスを苦しめる。