3話か4話くらい ①
「実力の違いを理解するのも、強さの一つ」
ある傭兵から聞いた戦場の格言だ。
「実力が下の相手なら勝機を逃がすな。
生き残る為に、確実に仕留めろ。
実力が上の相手なら・・・」
「逃げろ。逃げて、逃げて、生き残っていればお前の勝ちだ」
一理はあると理解している。
イルグナーはなだらかな坂道を下りながら、‘時越えの錬金術師’と対峙した時の恐怖を思い出す。
― ◇ ― ◇ ― ◇ ―
地勢は抑えた。
潅木地に‘爆気’を配置し、アニエスを持ち構えた。
先手も取った。
名乗りもあげず、アニエスに襲い掛かった。
超戦闘集団である‘ベルザインの子供達’の中でも最強と謳われているアニエス。
敬愛する師であり、忠誠を誓う主である‘殲滅軍師’ベルザインの命令は、突如として離反したアニエスの首を持ち帰る事。
イルグナーの‘爆気’が生み出す大爆発。
アニエスは爆炎に飲み込まれる。
命令を託される事で、師の信頼を実感する。
命令を実行する事で、師に忠誠を示す事が出来る。
そこには、至上の幸福があった。
アニエスの首を持ち帰れば、ベルザインは更に喜ぶ。
師の喜びも、イルグナーの幸福である。
だが、アニエス相手で一瞬で逆転された。
錬金術師としての天性の才を、絶え間ない研磨により開花させたアニエスのみが使用する‘時間練成’。
爆炎は、アニエスの周囲数歩の手前で‘時間を凍結’される。
「チッ」
再度、手のひらより‘爆気’を放とうとするイルグナーだが、アニエスが眼前から消える。
高速移動!?
違う。
舞い上がる土ぼこりも。
揺れる木の葉も。
全ての動きが速い。
「俺が、遅いのか!?」
「その通り。君の周囲の時間速を3乗に減速させた」
アニエスの怜悧な言葉は背後からだった。
ただでは死ねない。
せめて、道連れ。
敗北を覚悟し、イルグナーは体内で‘爆気’を練る。
最大の自爆技も、アニエスの‘時間停止’相手にどこまで通用するか。
「一つ聞いておきたい
何故、街中で私を狙われなかった。君の能力では、野外より市街地の方が適しているだろう?」
「・・・知るか」
イルグナーは悪態で答える。
答えられないといった方が正しい。
ごく自然にこの場所を選んだ。
それだけだ。
「それだけか?」
背後から白い腕が、イルグナーの首に伸びる。
「本当に・・・」
優雅に、そして滑らかに首に巻きつく。
「・・・それだけか?」
本当に、それだけだ。
答えようとしてイルグナーは言葉に詰まる。
何だ?
俺は、何を迷っている?
「・・・まあいい」
アニエスは、腕を解きイルグナーの正面に回った。
細身の長身に、豊かな金髪が揺れる。
「私もまだ、やり残している事があるからな。
悪いが行かせてもらう
減速した時間は過行値に応じて復元する、心配するな」
「待て!何故殺さない!」
「君と同じだ」
振り替えった金髪の奥で、冷徹な美貌が揺れていた。
「知った事じゃない」
つづく
鷹安さんの原案では
「主人公が戦いを止めたい →冷酷なアニエスたんが感化され変わっていく」
でしたが
「ヒロインに出会い、変わっていく主人公」
のパターンの方が自分は得意なようです。
「クズが、ちょっとはましなクズになる」
「プライドを持たずに生きていた奴が、‘安いプライド’に全力を賭ける」
みたいな話が好きなのです。
242 :鉛 :11/07/22 00:38:34 ID:A3x5f1y+
>「クズが、ちょっとはましなクズになる」
>「プライドを持たずに生きていた奴が、‘安いプライド’に全力を賭ける」
>みたいな話が好きなのです。
大好物です。
243 :鷹安 :11/07/22 08:44:18 ID:r3sD4I3V
そんな見え見えの餌にAA(ry
>原案
この頃、Fate0にはまっていて「バトルロワイアルもの面白え!」とぱく・・・げふん、リスペクトした記憶がある。
トリガーハッピーは読者の味方のかませ犬。
イメージ的にFateのアサシン、甲賀忍法帳のてんぜんさん。
要は相手の能力や攻撃を受けてくれる空気の読めるプロレスラーみたいな感じ。
登場キャラ分くらいは生き返ってくれるw
彼の奪命小剣だが、自分の血縁の命でないとストック不可・・・っていう設定だった気がする。
そこらのモブを殺しても命はストックされません。
命は平等では無いのです、げははは(悪役顔で)