2-2 小話「彷徨編:No7」
「赤は、いいなぁ・・・」
中世的な美貌を照らす夕日を浴びて、青年は恍惚とした表情で呟いた。
雪原にそびえる古城の塔から眺める景色は、氷の平原が沈みゆく太陽によって、赤一色に染め上げていた。
「赤は・・・」
幼いころに死別した、青年の姉の髪の色だった。
血のつながりはない自分を、優しく、厳しく見守ってくれた姉の色。
だから、村が襲われたあの日、何もできなかった神父に代わって、姉さんを犯し、殺した盗賊達を、独学で学んでいた錬金術で、焼いた。
姉さんの遺体も、姉さんが愛した村と供に、焼き、赤く染め上げた。
なぜなら、赤は・・・。
「姉さんの・・・色だから」
その後、自分は「彷徨える逆十字団」の死徒No2に出会った。
青年が逆十字を受け取った理由は、No2が語る理想でも、他の団員のような個人的目的があったからではない。
ただ、入団のその日に引き合わされたNo1の目が、素晴らしいまでの「赤」だったからだ。
前身に幾重にも巻かれた布の下の窪んだ眼窩で、世界中の破壊に対する情熱を集めたような「赤」が、青年を見つめていた。
姉さんを失って以来、初めて自分の胸の鼓動を感じた。
「赤は・・・いい」
それ日から、さらに磨きをかけた「火系統」の錬金術を使って、「逆十字団」のメンバーとして活動をしてきた。
メンバーには、さまざまな連中がいたが、青年にはどうでも良かった。
いくつもの焼け落ちる建物が、人が、そして固定観念が発する「赤」が、青年の心に安らぎを与えてくれたからだ。
首からさげた逆十字に刻まれた数字も、いまや「7」になっていた。
死徒同士がつるむことは少ない。
だから、今回のNo2の召集は、きっと大きなことをやるのだろう。
「また、赤が見れる」
青年はかすれた声で呟いた。
いずれ、No1は法王庁を滅ぼすつもりだ。
滅多に姿をみせず、言葉を交わすことのないNo1だが、青年はその最終目的を知っていた。
あの目の「赤」は間違いない。
「きっとその日は、法王庁が、赤に染まるだろう・・・」
その日に思いを馳せ、青年は熱くため息をついた。
いつの間にか、日が沈んでいた。
もうここにいる意味もない。
青年が、振り向いたとき、塔の階段の上がったところに、暗闇と供に人影が立っていた。
「『彷徨える十字団』幹部、‘火連の錬金術師’ですね? ‘第8教区 『知識の館』爆破事件’の容疑で、異端審問に連行します。」
神父服姿の、男だった。
胸には銀の聖印が揺れている。
氷の平原を渡ってくる風を受けながら、諭すような口調で語りかけるその姿は、村の神父を思い出させて青年を不快にさせた。
「・・・邪魔だよ、お前」
青年の掌に、炎が燈る。
「・・・止むえません。ならば、実力で連行します!」
神父服の男が、手にした槍に、青い光がやどる。
少しは、使える相手らしい。
「ふふっ、まあいいか。まだ、赤が見たりないと思っていたんだ」
No2の召集には、まだ少し時間がある。
この黒服の男を、「赤」に染め上げるのも楽しいかもしれない。
完全に夜の黒が支配した古城に、赤と青の光が交差した。
「赤は、いいなぁ・・・」
中世的な美貌を照らす夕日を浴びて、青年は恍惚とした表情で呟いた。
雪原にそびえる古城の塔から眺める景色は、氷の平原が沈みゆく太陽によって、赤一色に染め上げていた。
「赤は・・・」
幼いころに死別した、青年の姉の髪の色だった。
血のつながりはない自分を、優しく、厳しく見守ってくれた姉の色。
だから、村が襲われたあの日、何もできなかった神父に代わって、姉さんを犯し、殺した盗賊達を、独学で学んでいた錬金術で、焼いた。
姉さんの遺体も、姉さんが愛した村と供に、焼き、赤く染め上げた。
なぜなら、赤は・・・。
「姉さんの・・・色だから」
その後、自分は「彷徨える逆十字団」の死徒No2に出会った。
青年が逆十字を受け取った理由は、No2が語る理想でも、他の団員のような個人的目的があったからではない。
ただ、入団のその日に引き合わされたNo1の目が、素晴らしいまでの「赤」だったからだ。
前身に幾重にも巻かれた布の下の窪んだ眼窩で、世界中の破壊に対する情熱を集めたような「赤」が、青年を見つめていた。
姉さんを失って以来、初めて自分の胸の鼓動を感じた。
「赤は・・・いい」
それ日から、さらに磨きをかけた「火系統」の錬金術を使って、「逆十字団」のメンバーとして活動をしてきた。
メンバーには、さまざまな連中がいたが、青年にはどうでも良かった。
いくつもの焼け落ちる建物が、人が、そして固定観念が発する「赤」が、青年の心に安らぎを与えてくれたからだ。
首からさげた逆十字に刻まれた数字も、いまや「7」になっていた。
死徒同士がつるむことは少ない。
だから、今回のNo2の召集は、きっと大きなことをやるのだろう。
「また、赤が見れる」
青年はかすれた声で呟いた。
いずれ、No1は法王庁を滅ぼすつもりだ。
滅多に姿をみせず、言葉を交わすことのないNo1だが、青年はその最終目的を知っていた。
あの目の「赤」は間違いない。
「きっとその日は、法王庁が、赤に染まるだろう・・・」
その日に思いを馳せ、青年は熱くため息をついた。
いつの間にか、日が沈んでいた。
もうここにいる意味もない。
青年が、振り向いたとき、塔の階段の上がったところに、暗闇と供に人影が立っていた。
「『彷徨える十字団』幹部、‘火連の錬金術師’ですね? ‘第8教区 『知識の館』爆破事件’の容疑で、異端審問に連行します。」
神父服姿の、男だった。
胸には銀の聖印が揺れている。
氷の平原を渡ってくる風を受けながら、諭すような口調で語りかけるその姿は、村の神父を思い出させて青年を不快にさせた。
「・・・邪魔だよ、お前」
青年の掌に、炎が燈る。
「・・・止むえません。ならば、実力で連行します!」
神父服の男が、手にした槍に、青い光がやどる。
少しは、使える相手らしい。
「ふふっ、まあいいか。まだ、赤が見たりないと思っていたんだ」
No2の召集には、まだ少し時間がある。
この黒服の男を、「赤」に染め上げるのも楽しいかもしれない。
完全に夜の黒が支配した古城に、赤と青の光が交差した。