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「異端研究室(仮)」

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第10章・「異端研究室」

10-1 小話「異端研究室」

「なぜだって?決まってるじゃないか!誰しもやるならば一番を目指す。簡単な事だ!」
銃口を向けられ、動かないように言ったにも関わらず、その男の口は軽かった。
「それでも最低限のルールはある。我々が異端を狩るのは、罪の無い人々を守る為だ。
その為に使われるアーティファクトが、誰かを犠牲にして作られてはならないのだ。」
異端審問官、オベリクスは目の前の狂科学者を睨み付ける。
「だとしたら、尚のこと私の研究は進められるべきだ。強力なアーティファクトが量産出来るようになれば、異端の数も減る。
そうすれば犠牲者も少なくて済む。」
「強力なアーティファクトだと?それが貴様の人体実験と関係があるとでも言うつもりか!?」
狂科学者ベルファウストは歪んだ笑いを浮かべる。
「異端審問官殿ならば聞いているだろう?アーティファクトの中のSSカテゴリーに分類されるロストアーティファクトの事を。
その自我プログラムの解明が進めば、ロストアーティファクトはおろか、失われた自動人形(マリオネット)さえも作る事が出来るだろう。」
「正気か!?貴様!」
照準を合わせたまま、オベリクスはさらに距離を詰める。
「あぁ、いたって正常だとも。過去の失われた技術の復活。人間ならば誰しもが求める技術の追求だよ。」
ベルファウストは芝居がかった仕草で礼をする。
「技術の追求?自分の好奇心を満たす為の行為を都合良く言い換えているに過ぎん。
ベルファウスト、貴様を第1級犯罪者として拘束する。抵抗しなければ危害は加えない事を誓約する。」
審問官の言葉に、科学者の目がすうっと細くなる。
「無知がここまで罪だとは・・・。私の研究の邪魔をするな!若造が!」
「!?」
ベルファウストの声と同時に、周囲の遺体が起きあがる。
「完全なマリオネットとまでは行かんが、マネくらいなら出来るのだよ!」
「人間を冒涜する悪魔め!」
乱射されるマシンガンが研究室の資料やら机やらを削り、舞い上がらせる。
たまらずオベリクスは部屋の隅へと転がり、銃弾を避ける。
部屋のあちこちで跳弾が爆ぜる。
(絶え間ない銃撃は、逃げる為の時間稼ぎか!?)
銃撃は続いている。
あの危険な科学者を逃がすわけにはいかない。
オベリクスはポケットから一発の弾丸を取り出す。
「・・・あまり使いたくはないのだがな。」
特殊な封印の施された弾丸をセットする。
銃口だけを射撃の続く研究室へと向ける。
「生まれ変わったら、人を救う医者にでもなるんだな。」
引き金を引く。
一瞬の沈黙。
そして轟音と閃光が辺りを包む。
「・・・。」
オベリクスは反撃が無い事を確認して、顔を覗かせる。
辺りは瓦礫の山があるのみだった。
「・・・くっ。」
突然体を支える力を一気に失い、膝をつく。
超攻撃の反動が体を襲ってくる。
体中を炎が駆けめぐるような激痛に耐えながら、オベリクスは血の付いた服を見つけた。
そしてその血が点々と出口へと繋がっていたことも。
(必ず止めてやる・・・必ず!)
オベリクスの体が倒れた。
そこで彼は気を失った。




一言:好きな話ではあるのですが、‘科学者’という呼称が引っかかるのです
ふむぅ・・・何かいい呼び方は無いものか。

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