ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

日ハ沈ム、駒ハ踊ル

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日ハ沈ム、駒ハ踊ル ◆WAWBD2hzCI




「………………皆、聞いてくれ」

悪夢のような電話が終わった。
一人の殺人鬼との会話と取引。己の妹の仇との駆け引きが終結した直後の話。
重々しい沈黙を破るように、棗恭介は仲間という名の手駒に語る。
最初は情報交換。烏月と横の繋がりがあることや、赤毛の青年が殺し合いに乗っていることなど。

それらひとつひとつを丁寧に、しかし幾つか大事なことは話さずに。
恭介は『これまで通り』に棗恭介を演じ続け、そして最後に彼は語った。
これから先の行動。彼が考え出したミッションを。

「これから手分けして仲間を集めたい。本拠地はここで、再集合は第四回放送前だ」

場所はカジノ、セキュリティーコントロールルーム。
一人の青年が四人の少年少女に告げる。今回のミッション、もっと多くの仲間集めを。
ある意味でここには十分すぎるメンバーがいる。
リーダーである棗恭介を初めとして、トルティニタ・フィーネ。如月双七。羽藤桂。アル・アジフの五人。

きっかけはアルの提案。
尾花という狐を捜し出したいという提案だった。
もちろんアル自身の考えというわけではなく、桂への思いやりがそうさせたのだ。
双七やトルタは一緒に行動しようと言ってくれたが、桂たちが遠慮したのに加えて恭介がミッションを発表。

「桂、アルたちは南部を捜索。尾花って狐と一緒に仲間になってくれそうな奴を連れてきてくれ」
「うん、分かったよ。何かあったら携帯で電話すればいいんだよね?」
「そうだ。俺たちのほうの携帯はトルタに任せてる。出来れば随時報告してくれると助かるな」
「うむ。妾たちに任せておけ」

これで南部方面は決定。
捜索範囲もあまりないし、それほど危険ではないはずだと恭介は思う。
第四回放送前。つまりはそれまでなら何時でも帰ってきてくれて構わない、という意思だ。
前回のようにガチガチにルールを決めるべきではない。連絡手段が取れる以上、柔軟な対応が必要だった。

よほど尾花が心配なのか、詳しいミッションを確認することもなく桂とアルは出発する。
無事に帰って来い、と恭介は言った。双七は桂に対して少し目を逸らしながらも、再会を約束した。

「さて……」

二人を見送った後、恭介は振り返る。
トルタが心配そうに自分を見ていたのに恭介は気づいた。
だが、恭介は気づかない振りをしたまま、次は双七のほうへと視線を向けた。

「如月。それにトルタ……」
「ああ」
「お前たちは待機だ。俺が北を捜索する。そろそろ俺が偵察の番だしな」
「えっ……?」

息を呑む音が聞こえた、気がした。
双七はもちろん、トルタもその決断に驚いていた。特にトルタは息が止まったかと思うほどに。
そんな様子にも構わず、恭介はミッションの説明を続ける。

「どういう、こと……?」
「安心してくれ、同じく第四回放送前には戻る。北部は広いから、せいぜいがエリアのひとつやふたつを捜索するぐらいだ」
「違う、そういうことじゃない……そうじゃないよ!」

恭介が単独で行動する意味。
本人はただの散策のようなものだ、と告げたその真意を薄々ながらトルタは気づいていた。
あの電話を思い出す。
まるで別人のように殺人鬼に接し、道化を演じ続けた彼の痛々しい姿を思い出す。

そして第四回放送までの時間延長。
これの意味。恭介はできるだけ幅広い場所まで足を伸ばしたいのだ。
何のためか。理樹やクリスを捜すためならいい。だが、妹を殺した殺人鬼を追おうとしているなら止めるべきだ。

「トルタ。お前はもちろん待機だ。その足で散策や探索なんて出来ない。だから本部役をやってもらう」
「わ、私だってスターブライトがいれば!」
「馬に乗る奴は目立つし、肝心のスターブライトを狙撃でもされたら終わりだ。トルタが散策に向かうメリットがない」

トルタは少し悔しそうに俯いた。
狙撃されたという事実、足を撃ち抜かれたという意味からも恭介の言葉は正論だ。
だからこそ、トルタは悔しかった。
本部役という一番安全な役しか出来ない、己の不甲斐なさが悔しかった。

ちなみに双七は何となく、桂たちと出逢ったときを思い出していた。
そういえばスターブライトに乗って駆けつけたなぁ、あはは……などとこっそり冷や汗。
急ぐわけではなく、探索的に考えれば馬には乗らないほうが良いことを改めて双七は学ぶのだった。

「そして、如月。お前にはトルタのことを頼みたい」
「……俺が?」
「ああ。お前にトルタを託す。護ってやってくれ。このカジノに篭っていれば安心だろうが、万が一のためにな」

如月双七はお人好しである。
それが恭介の彼に対する分析結果だった。
武術の心得と、金属を引き寄せる異能。そして性格。まさに利用しやすい『駒』だ。
彼なら無条件でトルタのことを護ってくれるに違いない。
双七は刹那の死を悔やんでいる。二度と目の前で女が死ぬことを許容しまい。たとえ、その命を捨ててでも。

人の情や決意すらも利用しようとする己の思考に、恭介は自嘲した。
これでは変わらない。リトルバスターズを謀り続けて来た道化と変わらない。
目的のために何でも利用する。
棗恭介は止まってしまった人生の最期の中で、何も成長することなく踊り続けるのだろう。

今までなら、それで変わりなかった。
目的を履き違えなければ、その考えでも十分だったのだ。

「…………だめ」

トルタがぽつりと語る。
このまま別れてはいけないと告げる本能のままに。

「だめだよ、恭介……今の恭介は、一人になったらだめ。だって……」
「俺を信じられないのか?」
「そうじゃない! そうじゃ、ないけど……」

トルタは思う。今の彼を一人にすることは危険だ、と。
嘘を付くのが巧い彼女だからこそ、同族の嘘は見破ることができた。
彼は目的を履き違えている。
その行動は仲間を捜すためではなく、理樹やクリスを捜すわけではない。そんな気がしていた。

「いいか、トルタ。時間がない。鈴が死んだ以上、理樹の精神状態も心配なんだ」
「それはそうだけど……今の恭介は一人じゃだめだって言ってるのよ! 精神状態が不安定なのは……!」

あなたも一緒でしょ、という言葉はかろうじて呑み込んだ。
それでも聡明な恭介には、彼女が何を言おうとしたのか気づいてしまう。
恭介は改めて自身に問う。自分が今、一番に考えていることはなんなのだろうか、と。

(理樹、を保護して護るためだ……そうに、決まってる)

この黒いもやもやとした気持ちは、大切な親友を安否を知りたいから来るものだ。
この頭が滾るな激情は、理樹を害そうとする奴に向けた敵対心だ。
この苛々した想いも、この復讐という言葉に彩られた殺意も、全ては理樹のため。ただひとつの目的のためだ。

そうに決まってる。
そうに決まっているはずだ。
そうだ、この復讐心は鈴を殺した相手だけに向けられるものではない、はずだ。

「俺は……平常心のままだ」
「………………」

二人揃って、目を逸らした。
言いたいことがはっきりと言えない。それで自分たちの仲が壊れてしまうことをトルタは恐れた。
否定する言葉しか吐けない。ただ、己の復讐心を見破られたような気がして、恭介は目を合わせられなかった。

心は何処かでは分かっているのだ。
トルタの温かさが、優しさが自分の支えとなってくれるその一方で弱さにもなっている現状。
彼女が傍にいては、復讐できない。その温かさが邪魔になってしまう。
だから離れようとした。『ミッション』というもっともらしい理由をつけて、トルタと別れようとしたのだ。

「……恭介は、傷だらけじゃない。襲われても、連絡も取り合えない」
「如月と決めたことだ。今更、俺だけが行けないなんて都合の良いことは言えないだろ」
「そうだけど……」
「カジノのUSBメモリを手に入れるためにも、散策は必要だ。仲間、支給品、首輪。集めるものは多い」

すらすらと、言い訳の言葉が口から飛び出していく。
本当に嘘が巧いと自分でも思った。
ただひとつの問題は、同じく『嘘を吐き続けた者』には通じないという致命的なものだったが。
トルタはゆっくりと首を振る。それは承知できないと言う。

若干の苛立ち。子供のように駄々をこねるようなことは言わないでくれ、と怒鳴ろうとした。
言えば、恐らくは終わるのかも知れない。
彼女と続けてきた信頼が、脆くも崩れ去るのかも知れない―――――だが、彼の思考はその一瞬、何も考えられなかった。

じゃあ、双七に押し付けろとでも言うのかよ、と。
彼女の優しさに付け込んだ非道な叫びを上げようとした矢先の出来事。
ぽん、と恭介の肩が叩かれた。
それと同時に、一人の青年の声が恭介とトルタの耳へと届いた。


「それじゃ、俺が行くよ」


たった一言の決意表明。
場の空気が霧散した。ばつの悪い、恭介にとってもトルタにとっても嫌な空気が消えていった。
恭介が振り向いた先には、ツンツン頭の青年がいた。
誰かを考えるまでもない。如月双七がそこにいた。笑顔を少し浮かべながら、真っ直ぐな瞳を向けていた。

「如月……」
「この中で一番怪我をしてないのは俺だし、単独行動は結構得意だし。俺が一番適任だ」
「いや、お前は周囲の散策とか偵察を十分にやってるだろう?」
「ああ、だからまた行くことにする。大丈夫、疲れとかはない。第四回放送なら、もう少し遠くまで足を延ばせる」

ああ、と恭介は溜息をついた。
冷静な部分で計算していたのだ。彼がこんなことを申し出るという可能性を。
最善の選択は確かに双七に頼むことだ。護衛以外にも、斥候として利用するのもひとつの手だ。
敢えて口には出さなかったが、彼自身がそう言えば恭介に反論の言葉は用意できなかった。

だから即座にトルタも含めて納得させなければ、と思っていた。
もしくは双七自身がお人好しであろうと、自分の命が大切である人間であると分析したかった。
莫迦な話だ、と恭介は自嘲する。命が大切なら、あのティトゥスとの命懸けの戦いに参加などしないというのに。

「うん。そっちは二人でカジノに待機してほしい。そのほうが死ぬ気で護れるだろ?」
「……トルタを護る自信がないのか?」
「いや……俺にも捜し人がいる。九鬼先生から話も聞かないといけないし、トーニャと会長たちとも合流したいんだ」

だから、と双七は一度区切って。

「二人は、喧嘩しないでほしい。恋人同士なら、仲良くしてほしいんだ」

飛びっきりの爆弾を投下するのだった。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「……………………」
「………………うう……」

カジノ、コントロールルーム。
さっき以上に気まずい雰囲気が恭介とトルタの間に流れていた。
双七はもういない、探索に意気揚々と出発していった。ちなみにスターブライトは今回、お留守番だ。
正真正銘、今は二人きりである。もちろん、新たな来客が現れない限りの話だが。

双七の壮大な勘違い。
確かにそういう風にしようと決めたし、そういう意味では狙い通りのはずだ。
ただ、彼が疑わないように演技していると妙に気恥ずかしかった。ついでに言うと疲れてしまった。

「…………」
「…………」

お互いを気にしないようにしながら、カジノに待機していた。
さっきまでの嫌な雰囲気はなくなっている。
あたふたと演技をしている間に、恭介自身にも少し心の余裕が出来たらしい。
双七が出て行ってしまった以上、トルタ一人をおいて出るわけにはいかない恭介は護衛として留まることを選んだ。

ただ、そうなると時間が余ってしまう。
やることはたくさんある。例えば今回の放送についての考察はまだだし、いらない支給品を選定する必要もある。
最終的にはカジノのUSBメモリを手に入れ、首輪を解析しなければならない。
コインの確保や、侵入者に対する対策などとやることは山積みだ。それをこなして行けば時間も経過するだろう。

だが、その前にやらなければならないことがある。
トルタのことだった。何となく別の意味で気まずい。このままではいけない気がした。

「……なあ、トルタ」
「……ねえ、恭介」

沈黙。
同時に切り出したことにより、気まずさ倍増。

「な、なんだ?」
「あっ……えっと、恭介はなに?」
「いや……特に。トルタはどうした?」
「…………ごめん、特に用事はないんだけど……」

気まずかった。
すごく気まずかった。
あの公開あーん以来の緊張感というか、そういったもの。
しばらくの無言。ふと、今の自分たちの様子が可笑しくなってしまった。

この温かさだ。このくすぐったい雰囲気が自分を弱くする。
恐らくこの地獄の島でリトルバスターズを除けば、もっとも頼りになるパートナー。
彼女の優しさが、信頼が、温かさが、棗恭介の牙を奪っていく。自分を自制させてくれる存在だ。

「…………ねえ、恭介」

復讐心は今までどおり、心の奥底で燃え続けている。
鈴の死を冒涜した亡霊の存在。『ファントム』をこれ以上ないほど最悪に殺してやりたい。
キャルという少女を保護し、ツヴァイと再会させた上で殺してやりたい。
再会を喜び合う二人の仲を最悪の方法で離別させ、自分の絶望を味わわせてやりたいという気持ちは揺らがない。

だけど、そうして磨こうとした牙を彼女が押し留めている。
それが心地よくて、それと同時に不安だった。
仮にもしもの話だが、彼女を失ってしまったとき……棗恭介はどうなってしまうのか、というひとつの過程。

答えは出ない。
考えたくもないから、目を逸らすことにした。
トルタは笑っていた。少し照れくさそうにしながら、それでも温かい心を提供していた。


「少しだけ話そう? それだけでも、きっと楽になると思うから」


言葉が荒んだ心に染み渡っていく。
彼女が恭介を道を正そうとし、おかげで彼の道はまだ揺らがない。

否。

残酷な現実は違う。
揺らがないとしている彼らの目的は、既に瓦解しているという現実を認識できていなかった。
トルタはクリスのために全てを捨てると誓ったはずだった。
恭介は理樹と鈴のために全てを捨てると誓ったはずだった。

だが、今のこの現実は歪んでいる。
クリスのために全てを捨てるなら、今すぐにでもクリスを捜索するべきだ。
残った理樹のためなら、鈴を殺されたことへの復讐など考えるべきではない。
大いなる矛盾。彼らは薄々気づきながら、目を逸らしている。


「……ああ、そうだな。それもいい」


継ぎ接ぎの理想。
歪み始める誓約。
だからこその不安、互いを失ったときの絶望はいかなるものか。

それは誰にも分からない。
未来を紡がない限り、その答えには至れない。



【G-6/カジノのセキュリティコントロールルーム/1日目 午後】

【チーム:BOYDOESN'TCRYMEETSLIARGIRL】
共通方針、(数字)は恭介とトルタのみの方針
1:カジノを拠点として近郊の施設を探索。
2:他の対主催のメンバーと接触。
3:そこから情報を得る。
4:自分に危害が出ないように、相手のプロファイリングを元に他の対主催の悪評、もしくは真実を伝える。
(5):十分な情報を得たらそのメンバーと別れる。もし理樹、クリスがいるメンバーなら合流。その後隠れながら邪魔な対主催メンバーを排除。
6:もし中々合流できない場合、もっとも安全だと思われるチームに合流。(戦力の面で、信頼関係も含め)
(7):序盤は積極的には人を殺さない。基本同士討ちを狙う。情報最優先。終盤は対主催の中心になりなるべくマーダー排除。のち疲労した対主催から狙う。
(8):最悪クリス、理樹がどちらかが死亡した場合は片方のサポートに徹する。両方死亡した場合は互いに優勝を狙う。二人になった場合一騎打ち。
(9):ただし、完璧に脱出ができる状況になったらそのまま対主催に変更。
(10):また、主催の動向や信憑性次第でも対主催に変更。
11:カジノ近郊を行動範囲にしていることを信頼できる人間に託し、理樹、クリスに伝えてもらう。
12:脱出や首輪、主催者の目的についても真剣に考察する。
13:信頼できる対主催を見つけた場合、カジノに集め、絶対の信頼関係を築く。
14:携帯電話を利用し、不認知の参加者と接触。その際はカジノを拠点にしている事は告げない。
(15):双七を斥候及び護衛として上手く利用。思惑を悟られないようにする。
16:本部組は連絡役と景品確保、考察などをし、斥候組が連れてきた仲間たちと交流する。
17:カジノの景品の確保。特にUSBメモリを狙う。

【備考】
 ※トルタと恭介が特定人物の優勝狙いであることと、アルと桂と双七の素性以外の情報交換済み。
 ※異なる世界等の理解に時間の掛かる情報は未だ交換していません。
 ※首輪のカメラの存在について知りました。
 ※黒幕がいると思ってます。
 ※監視は『上空』『重要施設』『首輪』の3つから、カメラ及び盗聴器によって行なわれていると考えました。
 ※神宮寺奏、プッチャンの細かい特徴を認識しています。


【棗恭介@リトルバスターズ!】
【装備】SIGSAUERP226(15/15)@現実、トンプソンコンテンダー(弾数1/1)
【所持品】:支給品一式×3、SIGSAUERP226の予備弾3@現実、コンテンダーの弾44発、デジタルカメラ@リトルバスターズ!、アサシンの腕、首輪(ティトゥス)、カジノの見取り図、ゲーム用のメダル(500枚)
【状態】:ツヴァイへの強い憎しみ、脇腹に深い切り傷(処置済み)、胸部に軽い打撲、肉体的疲労(中)
【思考・行動】
基本方針:共通方針の通りに行動し理樹を優勝させる。トルタの生存に力を尽くす。ただし慎重に慎重を期す。
 0:トルタと少しだけ、何かについて話す。
 1:カジノのセキュリティを利用して周辺を警戒。景品の確保。
 2:本部役として待機。
 3:筆談などを用いて殺し合いや首輪についてトルタと考察する。
 4:トルタの過去に興味。トルタを見捨てない。
 5:『トルタの好意に気付いている』フリをし、親密にしても怪しまれないようにする。
 6:ツヴァイの目の前でキャルを殺害し、復讐したい。
 7:『首輪の設計図』をとりあえず集める。その為にデジタルカメラやUSBメモリを閲覧できる機器を探す。
【備考】
 ※トルタを信頼し、共感を抱いてます。
 ※トルタとの間に符丁をいくつか作りました。
  『時間』と『動詞』の組み合わせで意思疎通を行います。
  (『分』:名簿の番号の人間、『待つ』:怪しい など。
  『秒』や『時間』、その他の動詞の意味については詳細不明です)
 ※トルタとはぐれた場合の合言葉は『トルタの知り合い全員の名前』です。
 ※参戦時期は鈴ルートの謙吾との野球対決後、リフレイン以前です。
  故に、リトルバスターズメンバー、特に謙吾に申し訳なさを感じています。
 ※参加者によっては連れてこられた世界や時代が違うと思ってます。
 ※この殺し合いは、『神々のゲーム』であり、自分達はその駒であると考えました。
  ゲームの終了は、『優勝』『優勝以外の何か』を満たした時だと推測しています。
  ただしゲーム終了後の駒の扱いについては疑念を持っています。
  ある程度の信憑性を得るまで、これを誰かに話すつもりは今のところありません。
 ※デジタルカメラに収められた画像データのうちの一つは、『首輪の設計図-A』です。
  外見から分かる範囲での首輪の解説が記されていますが、内部構造については一切言及はありません。
  また、デジタルカメラで閲覧した場合画像が縮小され、文字の殆どが潰れて見えます。拡大はできません。
  記されたデータの信憑性は不明です。
  他に首輪の設計図があるかどうかは不明です。


【トルティニタ=フィーネ@シンフォニック=レイン】
【装備】:SturmRugerGP100(6/6)@現実
【所持品】:支給品一式、SturmRugerGP100の予備弾4@現実、刹那の携帯電話@SchoolDaysL×H、医療品一式、恭介の機械操作指南メモ、カジノの見取り図
【状態】:肉体的疲労(中)、右脚に貫通射創(処置済み)、左脚に盲管射創(処置済み)、モルヒネによる下半身の感覚の麻痺
【思考・行動】
 基本方針:共通方針の通りに行動し、クリスを優勝させる。恭介のサポートに徹する。ただし慎重に慎重を期す。
 0:恭介と少しだけ話し、気分を落ち着かせる。
 1:カジノで待機し、セキュリティを利用して周辺を警戒。景品の確保。
 2:双七を含めた参加者から信頼を勝ち取れるように演技する。
 3:道中、筆談などを用いて殺し合いや首輪について恭介と考察する。
 4:恭介に対して――――?
 5:『恭介に好意を抱いている』フリをし、親密にしても怪しまれないようにする。
 6:恭介を見捨てない。
【備考】
 ※恭介を信頼し、共感してます。
 ※恭介との間に符丁をいくつか作りました。
  『時間』と『動詞』の組み合わせで意思疎通を行います。
  (『分』:名簿の番号の人間、『待つ』:怪しい など。
  『秒』や『時間』、その他の動詞の意味については詳細不明です)
 ※恭介とはぐれた場合の合言葉は『恭介の知り合い全員の名前』です。
 ※登場時期はアルルートのアルが復活した頃です。
 ※神宮寺奏、プッチャンの細かい特徴を認識しています。
 ※参加者によっては連れてこられた世界や時代が違うと思ってます。
 ※怪我の為に走る事はできませんが、時間がたてば多少は歩けるようになる可能性があります。
 ※携帯電話とコントロールルームの操作方法を恭介から聞きました。
 ※刹那の携帯電話には禁止エリア進入アプリがインストールされています。
 ※恭介の過去の話を聞きました。


【刹那の携帯電話@SchoolDaysL×H】
清浦刹那の持つ携帯電話。何人かの人間の電話番号が登録されている他、禁止エリア進入アプリがインストールされている。
このアプリを作動させた場合、このアプリがインストールされた携帯電話から
半径2mまでに存在する首輪は禁止エリアに反応しなくなる。
ただし、効果の持続時間は1時間、3時間、6時間の3種類あるが、それぞれ1回ずつしか使用できない。



     ◇     ◇     ◇     ◇


「さて、と」

如月双七は歓楽街を北東に歩いていた。
以前は東側を捜索し、桂たちと合流できた。次はもう少し遠くに行ってみよう、と考える。
西側で九鬼先生に出逢ったのだが、さすがに一箇所に留まって酒でも飲んでるはずはない……と思いたい。
とにかく探索しながらも、彼はひとつのことについて考える。

(俺の首輪……金属で出来ていると思うんだけど、呼びかけに答えない)

双七の能力は金属引き寄せ(アポーツ)と呼ばれる能力……だと、双七は思っている。
正確には金属と意思疎通ができる能力であり、引き寄せなどは副産物に過ぎない。
それでも、金属と会話することができることそのものは双七も知っていた。
だからこそ、怪訝そうに首をかしげている。何故、この首輪は自分の呼びかけに答えてくれないのか。

それだけではない。
双七には他の全ての金属の言葉も聞こえなかった。
掌から生み出した赤い糸で意思疎通も図るも、効果はない。これも制限らしい。

(あの黒い侍のときは、確かに聞こえていた)

手で掴み、持ち上げる武装の名を双身螺旋刀。
妖を斬るために作られた刀を強引に捻って作り上げた大業物。
ティトゥスの撃破後は双七の手に渡り、ようやく金属と心を通わせることができた……はずだった。
だが、あれ以降、彼からの返事はない。無念を伝える声も、歓喜の叫びも聞こえてこない。

恐らく、殺し合いという状況が生み出した極限の集中力。
あれが一時的に制限を打ち破ったのか。それとも『金属の声が聞こえづらい制限』なのか。

(だったら)

双七は目を瞑る。
集中を研ぎ澄ませ、周囲の金属に糸を繋いで語りかける。
心には師匠の教えを。――――――手に綺麗に、心は熱く、頭は冷静に。

(あのときの戦いの集中力さえあればいい)

外界と自信を切り離す感覚。
夢想する。目の前には強敵を幻想。仮想敵はティトゥスから始まり、最後には九鬼曜鋼までを。
そうして得る緊張感。そして集中力。
そうすることでようやく、金属へと語りかけることに成功した。

「…………聞こえるかな、双身螺旋刀」
『……聞こえるぞ、我が恩人よ』

やった、と思うが集中力は乱さず。
用もないので呼んでごめん、と螺旋刀に一言謝って、次は首輪へと語りかけてみた。
だが、彼は無言を貫き通している。
なんと声をかけようとも、まるで意思がないかのように。

「…………ダメか。もっと、俺の力が強くでもなってくれればなぁ」

無理ならしょうがない、と溜息をつく。
集中力はまだ切らさない。遊園地を通り過ぎ、リゾートエリアのほうまで歩いていく。
周囲の金属に問いかけ、情報を集めていくことにしたのだ。
だが、その長時間も集中力を保つことはできない。駅周辺まで辿り着いたときには、精神的にくたくたの状態だった。

収穫はなし。
途中では集まりそうな情報もいくつかあったが、全体的に意思を封じられているような違和感。
周りの金属たちでも自我を持っているのは、ほんの一握りらしかった。

これじゃあ、だめかと溜息をつく。
そろそろ集中力が切れる。少し休まないとどうしようもない、と肩を力を抜こうとした。


『―――――――――ッサ様』


ふと、何者かの声が聞こえた。
双七の耳に届いたのではなく、頭に響く声は金属の声だ。
しかも周囲の金属とは違う、はっきりとした声。
自我を持った思念が確かに双七へと伝わった。慌ててもう少し集中してみる。

声はぶつり、ぶつりと途切れている。
それでも双七は走り出した。儚い声を伝っていく。

『アリッサ様……待っていてください、すぐに』

それは悲痛な叫びだった。
打算もなく、思惑もなく。ただ一人の名前だけを叫び続けていた。
一人の人間だけを想っていた。その気持ちが痛いほどに伝わった。
不思議な違和感。それが金属の意思だと分かっているのに、一人の人間の心を読んでいるような感覚。

島の端っこに出たらしい。
海が見えるその場所で、双七は倒れ伏した一人の少女を発見した。
意識は……あるが、朦朧としているようだ。力の入らない身体で地面を這っていたらしい。
赤い糸は彼女から伸びている。彼女の体からではなく、彼女の頭部に繋がっている。

(なんだ……これ……?)

双七の頭の中に、ひとつの光景が過ぎった。
月が綺麗な夜だった。知らない世界、知らない海岸、知らない少女が罅割れていた。
彼女を慈しむように、切なげに抱きしめる『誰か』がいた。
その誰かの視点を双七は借りて、誰かと心を共有していた。涙は流さず、心の中で虚無を感じながら誰かは泣いていた。

そして、その誰かを更に後ろから抱きしめる人がいた。
眼鏡の青年だった。誰かが心の中で彼の名前を呼んでいた。その名を高村恭司と言った。
夢のような幻想。アリッサという名前と高村先生という呼称が双七の頭の中に流れ込み・・・意図的に、彼は誰かとの接続を断った。
それはメモリーチップから読み取れた思念であり、そして何者も侵してはならない神聖な光景だと思ったからだ。

「おい、アンタ! しっかりしろ!」
「…………うっ……く……」

怪我だらけの身体で、一人の少女が倒れている。
その姿を見た瞬間、もう集中を研ぎ澄ますことなどできなかった。
彼女の身体を抱きかかえる。
抵抗はない。というよりも、抵抗したくとも出来ないらしい。双七の腕の中に少女は収まった。

双七の頭の中に一人の少女の姿が過ぎる。
清浦刹那。目の前で死んでいった、護れなかった少女だ。

「くそっ……!」

繰り返させてたまるものか。
もう、あんな悲しい思いはしたくなかった。
少女を抱きかかえる。まずは怪我の治療をする必要があるだろう。
カジノまで少女を抱えて戻ることはできない。走ってきたせいもあって、些か距離が離れすぎている。

近くに建物でもあればいいのだが、生憎と一番近い施設である遊園地ですら遠い。
せめてトルタから医療品一式でも受け取っておけば、と悔しがるが後の祭りだ。

「待ってろっ……とにかく、治療できるところに連れていくから!」

抱えた少女を励まして、如月双七は走り出す。
出来るだけ震動を与えないように細心の注意を払いながらも、とにかく自分に出来ることを。

彼は気づかない。当然、知る由もない。
少女の名前は深優・グリーア。主催者と繋がりを持ち、殺し合いを肯定した者である。
彼女は呆然としながらも、薄れそうになる意識を必死に繋ぎ止めて思う。

(……照合開始。彼を如月双七と断定……)

どうやら彼は自分を助けようとしているらしい。
今の自分は殺されようが、何をされようが抵抗の出来ない身だ。
そんな状況下で自分を救助しようとする人間と出逢えたことは、僥倖と言ってよかった。

(……エネルギー、残量ほとんどなし。自身の戦闘はしばらく不可能。再稼動の予測は不可……)

深優は思う。
今まで自分で手を下してきたが、そのたびにこうしてエネルギー不足になって無様を晒す。
ウィンフィールドのときも、あの大人数のときもそうだった。
それではアリッサ様を助けることはできない。ここまで生き残っているのは、単に運が良かっただけに過ぎないのだ。

ならばどうすればいいか。
答えは簡単だ。利用すればいい。あくまで実力行使は最終手段と定めるべきだ。
例えば如月双七のように、見ず知らずの人間を助けるお人好し。
彼に偽の情報を与えればいい。場合によっては潜伏し、手を組む必要もあるだろう。

鉄乙女のときのように。
そうして扇動するほうが、何倍も効率が良いと演算の結果が告げていた。

(とにかく今は休息……それから、彼に与える情報の選択……)

人工的に作られた生体アンドロイド
金属と心を通わすことのできる人妖。
思惑はいくつも重なり合い、混ざり合って地獄の島を彩っていく。

時刻は太陽がそろそろ沈み始めようとする時間帯。
日ハ沈ム、駒ハ踊ル。
依存する者、依存される者。利用する者、利用される者。
物語はゆっくりと運命の歯車を回していく。島に集められた駒たちは己の目的のために踊り狂う。



【F-8 平原(マップ上方)/1日目 午後(夕方直前)】

【如月双七@あやかしびと-幻妖異聞録-】
【装備】:クサナギ@舞-HiME運命の系統樹、双身螺旋刀@あやかしびと-幻妖異聞録-
【所持品】:支給品一式×3(食料-2)、予備弾丸18、首輪(リセ)、刹那の制服と下着、ファルの首飾り@シンフォニック=レイン、良月@アカイイト
【状態】:強い決意、肉体疲労(中)、精神疲労(大)、右膝と右肩に貫通射創(処置済み)、左肩裂傷(処置済み)、桂の血に惹かれている。
【思考・行動】
 基本方針:仲間の確保と保護。
 0:とにかく少女を安全な場所に連れて行き、治療する
 1:恭介たちと別れ、第四回放送前にカジノへと戻る
 2:九鬼先生と合流する。できれば愁厳たちとも合流したい
 3:向かってくる敵は迎撃。必要なら手を血で汚すことにも迷いはない
【備考】
 ※双七の能力の制限は使い続けると頭痛がします。
 ※金属との意思疎通が困難になっていますが、集中すれば聞くことができます
 ※贄の血に焦がれています。 見える範囲に居なければ大丈夫です
 ※どこへ向かうかは後続の書き手にお任せします。


【深優・グリーア@舞-HiME運命の系統樹】
【装備】:遠坂家十年分の魔力入り宝石、グロック19(拳銃/弾数7+1/予備48)、SegwayCentaur@現実
【所持品】:支給品一式、拡声器
【状態】:エネルギー残量(10%)、自身の能力での戦闘はしばらく不可能、落ちた衝撃でダメージ、肩に銃創、刀傷、全参加者の顔と名前は記憶済み
【思考・行動】
 基本方針:アリッサを救うために行動する。
 0:休息し、如月双七を利用する。
 1:"優勝を目指すが、積極的な殺しはしない"。
 2:できるだけ"殺し合いが加速するように他の参加者を扇動する"。
 3:ここにいるHiME(玖我なつき、杉浦碧、藤乃静留)を殺す。
 4:必要に応じて内通者は複数人いると思わせる。
【備考】
 ※参加時期は深優ルート中盤、アリッサ死亡以降です。
 ※理樹、千華留たちから情報を得ました。
 ※場合によってはHiME能力に覚醒する可能性があります。
 ※アリッサが本物かどうかは不明です。
 ※ミサイルの残弾数については基本はゼロ、あっても残り1発。
 ※スパイのルールはでたらめです。
 ※衛宮士郎による羽藤桂、アル・アジフを襲撃した一連の顛末を目撃しました。


164:人であったもの/人で無くなったもの 投下順 166:小さな疑問がよぎる時
164:人であったもの/人で無くなったもの 時系列順 163:hope
147:明日への翼 (後編) 深優・グリーア 169:操リ人形ノ輪舞(前編)
150:絶望と救い、そして憎悪 (後編) 如月双七
棗恭介 171:秘密 - da capo/al fine -
トルティニタ・フィーネ
羽藤桂 163:hope
アル・アジフ


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