【あらすじ】
かつて、戦争があった。
ひとつのコロニーの独立運動に端を発した紛争が、地球全土を巻き込む全面戦争となった。
戦争が膠着状態となって8ヶ月。
宇宙革命軍は地球に甚大な被害を及ぼすコロニー落としを切り札に地球政府に降伏を迫った。これに対して連邦軍は、極秘に開発していた決戦兵器、モビルスーツ『
ガンダム』を投入、徹底抗戦の構えを取った。
だが、それが人類史上最大の悲劇の引き金となった。
新兵器に動揺し、勝利を焦った革命軍が作戦を強行。連邦軍もこれに一歩も退くことなく応戦。その結果30基以上のコロニーが地球に落下してしまった。戦いは泥沼化し、ついに人類すべての故郷である地球に致命的なダメージを与えてしまった。百億を誇った人口のほとんどは失われた。もはや戦争に勝ちも負けもなかった。
……そして、15年の時が流れた…。
戦後15年(A.W.(アフター.ウォー.)0015)、地球環境はようやく安定期に入った。
しかし治安は悪化し、自分の身は自分で守るという弱肉強食の世界となってしまっていた。
戦争で孤児となった主人公「
ガロード・ラン」は、荒廃した地球で一人ジャンク屋やモビルスーツ狩りを生業として逞しく生きていた。そこにバルチャー艦『フリーデン』に誘拐された「
ティファ・アディール」という少女を取り戻してほしいという紳士から依頼が来る。
フリーデンに潜入しティファを探していたところ、偶然妙な操縦桿を発見する。ついでとしてそれを頂いたガロードはティファを見つけ無事脱出。合流ポイントにて依頼者と会うが、依頼者を見て激しく怯えたティファを連れて逃走。
ティファに導かれたガロードは、旧連邦軍の置き土産、『
ガンダムX』を発見する。フリーデンで頂いた操縦桿(Gコン)を取り付けたことで見事に起動に成功、追跡していたMSを撃破した。
紆余曲折あるものの、その後二人はフリーデン艦長
ジャミル・ニートと共に、「ニュータイプ」と呼ばれる人々を探す旅に出るのだった。
【作品解説】
TVシリーズ第7作で、「
新機動戦記ガンダムW」の後継番組。通称:GX。
シリーズの各話サブタイトルは全て登場人物のセリフから引用されている。
ニュータイプやコロニー落としといった
初代ガンダムを意識した設定が随所にみられる。これは
ガンダムXの世界観が初代ガンダムの戦争が最悪のかたちで終わっていたらという裏設定があるからである。
これまでニュータイプ等、特殊な能力を持つ人間が登場する作品では主人公もニュータイプ等の特殊能力を持っている事が当然だったが、本シリーズの主人公ガロードはそれらの作品と異なり特異な能力を持たない初の主人公となり、それがストーリー上でも重要な意味を持つ。しかし、猛吹雪の中でビット兵器を全て撃ち落とす・超長距離からのツインサテライトキャノン狙撃・初めての宇宙戦にもかかわらずものの数分で慣らすことができる等、特殊能力は無いものの十分人間離れした能力を発揮し、劇中でもジャミルらからパイロットとしての操縦センスや順応性は天才的と評されている。
世界中が敵になったとしてもティファを守りたいという姿勢と、実力でニュータイプの未来予知を度々覆した事で「オールドタイプはニュータイプに劣る」という
ガンダムファンの見解を覆した。
そのまっすぐぷりはファンだけでなくスタッフ、声優陣からも評価されている。
劇中終盤のD.O.M.E.の台詞にある「『ニュータイプは人類の革新』というのは人々の幻想」という発言は往年のNT議論に一つの回答を示している。またこの作品中のNTを巡る争いは、メタフィクションとしてガンダムシリーズそのものに対する幻想を揶揄しているとも取れ、その内容の是非には様々な反響がある。
「Gガンダム」が低年齢層に、「ガンダムW」が女性層にヒットした影響を受けて作られたのだが、その派手さを抑えた作風に当時は振るわず、ガンダムWの時点で問題視されていた視聴率の低迷も、TV局の都合で何の予告も無く早朝に時間帯移動するまではガンダムWと同等で、改善には至らなかった。話数が少ないのは、テレビ局の方針による所謂「大人の都合」である。当初予定からは短縮されているものの、打ち切りではなく、展開がやや駆け足にはなりつつも、ストーリーが破綻する事なくきちんと完結している。
スタッフの裏話を見るとWからそのまま製作していたためむしろ制作環境的に短縮されなかったら死人が出かねないくらいの過酷な環境だったらしい。
荒廃した世界設定の都合が参戦の障害となり「スーパーロボット大戦」シリーズへの参戦が少ないこと、放送開始から9年も経過してからDVD化されるなど扱いも不遇だったが、スーパーロボット大戦への参戦を機に再評価の機会が増え、現在では一定の評価を得るに至り、近年発売されたGXやダブルエックスのガンプラの売り上げも好調だった。
原作ファンからは「見なければ損」、初めてこの作品を見た人は「実際に見てみると面白い」という意見も多い。
ストーリー展開は短縮されたにもかかわらずガンダムシリーズ中でも堅実で完成度は高い。
一見するとジャミルがガロードを導いているように見えるが、実は互いに影響を与えながら作中で成長してゆくガロード(子供)とジャミル(青年)とそれを見守り、時にはアドバイスを与える医療スタッフのテクス(大人)の姿等、子供達だけでなく、大人にも見てほしい部分が多々ある。
特に医療スタッフのテクスの大数々の名言は、我々視聴者側の心にも訴えかけてくるだろう。
未視聴の人は、是非一度目を通してみてほしい。
本シリーズでの扱いは悪く、テレビ放映作品勢の中ではVガンダムの次に新規追加機体が少ない。
NEXT稼働開始の時点で新規追加が無いテレビ放映作品は本作のみで、解禁機体として
ガンダムDXは出たが、
EXVS2に
ベルティゴが出るまで、
ガンダムX系とヴァサーゴ系と代わり映えのしない面子しかいなかった。
(しかも両系とも改修前の純粋なアッパーバージョンという感じで目新しいギミックがあまり無いのも辛いところであった)
NHKで行われた「発表!全
ガンダム大投票」では何故か「ギャグテイストを取り入れた」などと解説され、ファンからは首を傾げられた。
ちなみに、キャラの人気投票ではガロード、ティファの順位が間にZZのプルを挟んだ順位となっており、Xファンを大いに沸かせた。
【VSシリーズ登場勢力】
フリーデン
- ジャミル・ニートが艦長を務める船の名前、及びジャミルの船のチームを指す。数多くいるバルチャーの1チーム。
- なお、バルチャーとはハゲタカの事で、古い軍事施設等を漁って兵器や電子部品を手に入れて生業にするものたちである。戦艦やMSで武装してるものが殆どで盗賊まがいのことをして世間から嫌われているが、フリーデンの様に平和的に活動しているものもいる。また用心棒や情報屋の様な事をしているものもおり、バルチャーと言っても活動・形態は多岐にわたる。
フォートセバーン市
- アフターウォーの後に誕生した北米大陸北部の地方都市。
雪と山に囲まれた都市でMSによる自衛を行っている。
- カリス・ノーティラスの出身地であり、彼もこの土地の自衛に関わっている。
- 余談だがカナダに同名の町がある。同一なのかは不明だがカナダは何かとMS戦がある国なのだろうか。ちなみに英語版WikipediaのフォートセバーンにはガンダムXに名前が出てくることが書かれている。
新地球連邦軍
- アフターウォー以後に地球をまとめるために新たに創設された連邦軍。強引な手法で小国を制圧していったので多くの反発を生んでいる。フロスト兄弟はここに在籍。
- 本編の最後には好戦的な指導者が戦死して宇宙革命軍と停戦・和平交渉を行う。
【VSシリーズ関連BGM】
DREAMS
- 前期OPで、ガンガンとNEXTはこちらが使われている。タイトルバックが物語が進むに連れてX型スラスターを展開したGX→シルエット姿のガンダムDXと変わってゆく他、OP終盤もGXがライフルを構えながら銀河へ飛んでゆく→フロスト兄弟とレオパルド・エアマスターの戦闘中、画面奥からGXディバイダーが登場してハモニカ砲のランダムシュートと変わってゆく。
- 歌うのは3人組ユニットのROMANTIC MODE。残念ながら現在は解散しているがボーカルは現在も活動しており、ソロでも当時の歌を歌っているようである。
Resolution
- こちらは後期OPでEXVS.から変更された。タイトルバックは一貫してガンダムDX、エアマスター・レオパルドの改良やGファルコンの登場で少しずつ映像が変わっていった。
- こちらも歌うのはROMANTIC MODE。
【VSシリーズ関連ステージ】
フォートセバーン
- NEXT PLUSからの追加ステージで登場。背景には開いた状態のパトゥーリアが描かれており、町が廃墟と化していて全体的に暗い。パトゥーリアから放射状にビルがいくつかあり移動する際はその隙間を通って戦うステージ。
ニュータイプ研究所
- 中央アジアにある新地球連邦軍の研究所。フロスト兄弟にカテゴリーFの烙印を押した、カロン・ラット所長が研究していた。最後はフロスト兄弟に偽の情報を流され、新地球連邦の攻撃を受けてニュータイプ研究所は消滅している。
- 破壊可能な建物が多数存在するステージ。軽い傾斜があるが段差は一切無く、地走タイプが侵入できない場所も殆どない。
- しかし、建物が破壊されると途端に隠れることができる建物の数が激減するので、着地には細心の注意を払う必要がある。特にゲロビ持ちには注意。
- EXVS家庭版では一部天井の見えない壁がなく、そこからステージ外に出ることが可能。一定以上外に出ると床の判定がなくなり、永遠に落ちていくこととなる。
- FB以降はステージがボロボロになっているが、特に変わりはない。
マイクロウェーブ送信施設
- 月面にあるスーパーマイクロウェーブをガンダムに送るための施設。
- EXVSのミッションモード限定ステージで登場する。ガンダムVSガンダムのXステージもこのマイクロウェーブ送信施設をイメージしていると言われている。
【本シリーズ関連Gクロスオーバー】
かつて戦争があった
- ガンガンにおける「機動新世紀ガンダムX」枠のGCO。GXビットが上空に並び細いサテライトキャノンを撃って来る。範囲が意外と狭く、中々当たらないが派手なので見え難くなる事を利用してサテライトキャノンやメガソニック砲を撃ったり敵の分断に利用したりされる。当たると思い切り吹っ飛ばされる。
- 名前の由来は恐らく、第1話アバンのナレーションからだと思われる。原作内でGXとGXビットがコロニー落としを阻止するためにサテライトキャノンを斉射するシーンの再現。皮肉にも、この攻撃がコロニー落としの強行に繋がってしまった。
- EXVS以降はGXビットの打つサテライトキャノンはガンダムXとガンダムXディバイダーの1回切りのアシストと覚醒技として残っている。
【ガンダムVS.シリーズにおけるステージタイトルとの関連】
ガンダムXはサブタイトルが各キャラの台詞から採られている。
- 「まるで夢を見てるみたい」(ノーマルコースBルートSTAGE6)…第19話サブタイトル(ルチル・リリアント)
- 「月は出ているか?」(ノーマルコースDルートSTAGE3)…第1話サブタイトル(ジャミル・ニート)
- 「私の愛馬は凶暴です」(ハードコースAルートSTAGE1)…第3話サブタイトル(シャギア・フロスト)
- 「あなたに、力を…」(アナザーコースSTAGE3)…第2話サブタイトル(ティファ・アディール)
- 「月はいつもそこにある」(トライアルミッション)…最終話サブタイトル
- サテライト×サテライト×サテライト(トライアルミッション)
- カテゴリーF(トライアルミッション)…NTではないフロスト兄弟の事
- 月の娘(トライアルミッション)…ティファの異名
- 炎のモビルスーツ乗り(フルブーストミッション)…ガロードの異名
最終更新:2024年12月25日 00:25