【あらすじ】
宇宙世紀0001年、軌道エレベータ「ラプラス」にて西暦から宇宙世紀への改暦記念式典が行われていた。
しかしその裏では、テロリスト達がコロニーのミラー角を変更し太陽光を一点に集中させる破壊工作を実行する。初代大統領の演説中に突如分解し始め大統領を含めてその場にいた人々は全員死亡してしまう。その中で、口封じに宇宙船を爆破されたものの、奇跡的に生き延びた実行犯の青年がある物を見つける…
そして時は進み宇宙世紀0096年。
0093年の第二次ネオ・ジオン抗争にて、白き流星の白い
ガンダムの力により地球園が平和となってから3年が過ぎた。
建造中の工業コロニー「インダストリアル7」に住む少年
バナージ・リンクスは、
オードリー・バーンと名乗る少女との出会いから後に第三次ネオ・ジオン抗争(またはラプラス紛争)と呼ばれることになる「UC計画」「ラプラスの箱」をめぐる戦いに巻き込まれることになる。
開放すれば連邦を転覆させるとまで言われている「ラプラスの箱」の正体、そして「箱」を開く鍵となる
ユニコーンガンダムとその導き手となったバナージが選ぶ道とは。
U.C.0096――生き延びることは出来た。君は今、何を為すのか?
君の中の可能性(ニュータイプ)が、目を覚ます――
【作品解説】
小説版『
∀ガンダム』や『亡国のイージス』『終戦のローレライ』の福井晴敏氏が手がけた長編小説で、2007年から2009年までガンダムエース誌で連載。2010年春からガンダム30周年作品としてOVA(1話50分・全6話、後に全7話に変更)でアニメ化が決まった作品であり、VSシリーズには異例のアニメ公開前に登場した作品である(アーケードでは
ユニコーンガンダムが登場したがパイロットはいなかった)。
『
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から3年後を舞台に、連邦政府を揺るがす最高機密「ラプラスの箱」をめぐる熾烈な抗争を描く。タイトルのUCには、「
ユニコーンガンダム」の"ユニコーン(UniCorn)"と"Universal Century"(宇宙世紀)の意味がかけられている。
コンセプトは「大人の
ガンダム」とされており、アナザーガンダム開始以前の宇宙世紀シリーズを視聴していた世代(主に3、40代)に向けて描かれている。従来のOVA作品では主に一年戦争前後における事件が題材となり、以後の歴史や「ニュータイプ」について触れられることは無きに等しかった。
一方、本作では終戦から16年が経過し、ジオン共和国が自治権を連邦政府に返還する宇宙世紀100年を控えている地球圏にて、ジオニズムやニュータイプ論が風化しつつある状況を真正面から取り上げており、そうした意味でも異例な新作と言える。
その他、「父と子の絆」が物語の根幹を支える要素の一つとして据えられているが、これには著者自身が子を持つ親となった心境が深く影響しているとの事。
単に「小説」として挙げられる事が多いが正確には「コミック小説」という媒体で、書店などでの登録は「書籍」や「文庫」ではなく「コミック」に属する。書店においてある時も大抵コミックスパンに置いてある事が多いため、事前情報を得ず、ふと興味を示して買った人が『普通のコミックだと思って買ったら、実際の中身は小説でビックリした!』という人も少なくない。
ガンダムエース2010年3月号から漫画版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』が連載開始。作者は漫画版『00』および『追憶のシャア・アズナブル』を手がけた大森倖三氏で、ストーリーが小説版・OVA版とも違う展開になるとの事。また、同氏はスニーカー文庫版の挿絵も担当している。
また、OVA版のEP3までを収録したゲームにはDLCミッションとして劇中で語られた
シナンジュ強奪事件や本戦争の裏で起きていたガンダムデルタカイを巡るエピソード等が収録されている。
ちなみに第三次ネオ・ジオン抗争というのは小説最終巻より。
余談だが、
ネェル・アーガマはロンド・ベル発足当初は旗艦として(
ラー・カイラム就役以降はその座を譲ったが)配備されているのだが、UCに登場したのは全くの偶然とのこと。
この際、独自規格が多かった部品の連邦軍艦船との共通化やソフトウェア更新等の近代化改修が行われている。
プラモデルがバンダイの意向で「全機商品化」と掲げているため非常に充実している。
ドライセンや
ドーベン・ウルフといった存在期間の割にプラモ化に恵まれなかった機体も出ているのだが、
オリジナルは出ておらず、オリジナルカラーを望む層からはやや不満が出ている。(色変えで済むだけなのに中々出さないのもバンダイにしては珍しいともいえるが…)ちなみに先述の2機と(プレバン限定だが)ズサは後にオリジナル版が発売された。
2016年4月3日より毎週日曜日午前7時、テレビ朝日系列(テレビ朝日系列でのガンダムシリーズの放送は、機動新世紀ガンダムX以来、なんと20年ぶり)で古橋監督が物語を再構成、新規映像や音楽を採用した「機動戦士ガンダムUC RE:0096」の地上波放送が決定、告知された。
本作の設定資料集に同梱された小説「不死鳥狩り」が後に再構成されて
新たな物語になっている。
【VSシリーズ登場勢力】
民間
- 軍隊に属していない民間人。
- バナージも一応民間人という扱いだが父親はビスト財団の当主であり幼少時に訓練を受けていた事を考えると民間人扱いで良いのだろうか…。
- 本編ではその他バナージと同じアナハイム工専の純粋な民間の学生たちが登場して戦争に巻き込まれ、少なくともバナージの友人や講師はタクヤ・イレイとミコット・バーチを残して全員死亡、生存した2人はリディ・マーセナスに保護され、なし崩し的にネェル・アーガマに参加する事になる。
地球連邦軍
- 地球連邦政府の軍隊。
- 逆シャアで登場したブライトをはじめとするロンド・ベルやロンド・ベルのエースパイロット集団トライスター等が登場している他、かつてガンダム強奪事件が発生したトリントン基地が再び戦場として登場する。
- MSもジェガンの配備が完全ではないらしく、地上ではジムIIやネモなどの過去作の主要機体が旧式機として配備運用されている状況。
- 一方で、旧ティターンズのMSの改修機や後の動乱で投入されるグスタフ・カールが登場するなどのミッシングリンクも行われた。
ネオ・ジオン軍
- シャアの反乱後にフル・フロンタルが纏め上げたネオ・ジオン残党軍。
- 所属MSの腕部に袖を模した装飾が施されている為、「袖付き」の名前で呼ばれる。
- 一応ギラ・ズールが新型機として配備されているが、こちらもこちらで台所事情が厳しく、親衛隊以外は遡ればグリプス戦役時代はいいとしても下手をすれば一年戦争時代のジオンのMSまで使用している。
ジオン残党軍
- ヨンム・カークスをリーダーとする一派が登場。袖付きの支援を受け、シャンブロの完成に漕ぎつけたりゼー・ズールを提供されている。
- これでもかとばかりにMSVも含めた過去作の機体が主力機として登場。劇中でも「動く戦争博物館」と表現されていた。
- カークスの招集で各地から残党軍が集結し、トリントン基地を襲撃する。
- 余談だが、招集を受けた残党軍の機体の中に「グフ重装型」がいたが、本機のみトリントン基地には現れなかった。このグフのパイロットは『ガンダムトライエイジ』にて「迷子になっていた中いつしか連邦への復讐心が消え、知らない間にトリントン基地に辿り着き復興を手伝っていた」という奇想天外な運命を辿っていた事が明かされた。
【VSシリーズ関連使用BGM】
Everlasting
- EP2のエンディングテーマ、歌うのはアメリカ出身の歌手Kylee。
- この曲を歌った時は16歳で女子高生だった、現在はアメリカ在住で日本での活動はしていないようである。
merry-go-round
- EP3のエンディングテーマ、歌うのは2人組有名ユニットCHEMISTRY。
- 作詞も2人で行っており原作小説を読んだ上で書き下ろしたそう、因みにCHEMISTRYは以前にも機動戦士ガンダムSEED DESTINYのOP曲「Wings of Words」を歌っている。
RE:I AM
- EP6エンディングテーマ、歌うのはAimer。
- 実はタイトルがAimerのアナグラムになっている(作詞・作曲の澤野氏のAimerへの感謝の意とのこと)。
Into the Sky
- TV版OPテーマ。劇判担当の澤野氏と様々な歌手によるコラボユニット第一弾「SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle」の曲。
- 澤野氏とコラボしたTielleであるが「ニューヨークに在住したことがある」位しかプライベートが分からない謎の多い歌手である。
UNICORN
- 劇中曲。『ガンダムUC』が出演する作品では必ずと言っていいほど使われる、フルオーケストラとコーラスによる壮大な曲調が特徴的な名曲。曲名が示すようにゲームではユニコーンガンダムの専用曲として使われることが多い。
- 原曲は5分弱とかなり長いためか、ゲームでは一番盛り上がる後半部分をループさせている。よく使われるのは3:30あたり~ラスト。本シリーズでは2:59付近~ラストが使われている。
- 細かい説明はしないが色々と風評被害を受けている楽曲である。
MOBILE SUIT
- 劇中曲。ゲームではユニコーンガンダム以外の機体の戦闘曲として使われることが多い。
RX-0
- 劇中曲。「UNICORN」と比べて明るめな曲調で、こちらはNT-D発動状態のユニコーンガンダムの専用曲として使われることが多い。
【VSシリーズ関連ステージ】
インダストリアル7
- 物語の始まりの舞台となる工業コロニーで、ユニコーンガンダムはここでテストを行っていた。その傍ら、ビスト財団はラプラスの箱を譲渡しようと、袖付きとの謀議を開いていた。これを察知した地球連邦軍とアナハイムが軍事介入を開始し…
- 高地と低地がはっきりと分かれているステージ。破壊可能な低めの建造物と中央を通路のようなもので分けるような軽い高低差が存在する低地と、スロープと低地で繋がっており狭めだが一切障害物が存在しない高地で構成されている。固定で戦うのなら高地と低地のどちらを中心に戦うのか決めておくといい
トリントン基地周辺
- 0083当時コウ・ウラキらが所属し、Episode4にてジオン残党軍が襲撃をかけた街。サイコミュの暴走もあって虐殺を行うロニのシャンブロを止めるため、バナージはユニコーンガンダムに乗り込み出撃する・・・
- インダストリアル7とは逆に、中央を走る道路以外はほぼまっ平らな地面に破壊可能な障害物が散在するステージ。特徴が無いのが特徴といったところ。ステージも広めで、格闘機は組み立てをしっかりしないと苦戦を強いられる。
- ボスのシャンブロはここで出現するため、ゲロビを障害物を盾にして回避するという戦法が使えないために苦戦を強いられる。
メガラニカ
- episode7でバナージの叫びによってユニコーンが現れた場所の再現ステージ。
- FORCEの小隊戦ステージ。
ラプラス跡地
- episode3でダグザが名誉の戦死を遂げたラプラスの残骸を再現したステージ。
- FORCEの艦隊戦ステージ。
【ガンダムVS.シリーズにおけるステージタイトルとの関連】
この作品は
ガンダムVS.ガンダムNEXTからの参戦であるので無い。
ここでは、本作品に関連するEXVS以降のミッションモードに付いているタイトルを記載する。
- ユニコーンの日(トライアルミッション)…EP1サブタイトル
- インダストリアル7強襲(トライアルミッション)…クシャトリアがインダストリアル7に出現したユニコーンガンダムと対決
- ニュータイプ・デストロイヤー(トライアルミッション)…ユニコーンガンダムに搭載されている対NT用システム
- ロンド・ベル防衛部隊(トライアルミッション)…デルタプラスが率いるロンド・ベルの防衛部隊のこと
- シャアの再来(トライアルミッション)…フル・フロンタルの異名
- 黒いユニコーン(フルブーストミッション)…EP5サブタイトル
- 海の亡霊(フルブーストミッション)…シャンブロの異名。読みは「シー・ゴースト」
- 宇宙と地球と(フルブーストミッション)…EP6サブタイトル。読みは「そらとほしと」
最終更新:2023年09月21日 21:19