核兵器

かくへいき

概要

核兵器とは、核分裂反応や核融合反応による放射エネルギーを利用した兵器である。
原子爆弾や水素爆弾、中性子爆弾などの核弾頭とそれを運用する運搬兵器で構成されている。
主に核分裂反応を利用する原子爆弾と、核融合反応を利用する水素爆弾に分類される。
また、生物兵器・化学兵器・放射能兵器といった大量破壊兵器と合わせ、近年では「CBRN兵器」として分類されている*1

歴史

核分裂反応に関しては1930年代から仮説が立てられ、オットー・ハーンの核分裂の発見などを受けて世界各国で原子炉研究が行われるようになった。
当初は全てが全て兵器として使用するつもりではなかったが、第二次世界大戦が勃発すると枢軸・連合問わず核兵器開発が行われた。

結局、第二次世界大戦中に組織的に核兵器開発を進め製造・実戦使用にまで至った国はアメリカ合衆国だけであった。戦時中、アメリカは交戦中だった日本に対し、開発したばかりの核兵器である原子爆弾2発を広島市と長崎市に1発ずつ投下したことは、日本人なら誰しもが知っているであろう。

だが、第二次世界大戦終結の僅か4年後である1949年にはソビエト連邦によって核実験が行われた。
それ以降もイギリス・フランス・中国・インドなど様々な国が核実験を行い、冷戦最末期の1980年代には実に60,000発を超える核兵器が米ソを中心に保管されていた。
その後は冷戦終結およびソビエト連邦の崩壊によって核兵器の総数は激減したものの米露を中心に9ヶ国で1万発近い核兵器が現在も保管されている。

日本での開発の試み

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世界で唯一、戦争で核兵器を使用された被爆国であるこの日本でも、開発が試みられたことがある。

古くは第二次世界大戦中、旧日本陸軍と旧日本海軍がそれぞれチームを立ち上げて研究に取り組んだことに始まる。陸軍では理化学研究所の仁科芳雄博士を中心とし、博士の頭文字をもじって「ニ号研究」と命名。海軍では京都帝国大の荒勝文策教授を中心とし、核分裂を意味する「Fission」をもじって「F研究」と命名し、研究に取り組んでいた。
しかし、研究資金から原料のウランまで、あらゆるものが米国などとは比べものにならないレベルで不足しており、とても開発できたものではなかった。さらに戦況悪化とそれによる終戦により、研究は頓挫した。

戦後は、核武装論がたびたび話題に上げられるものの、表立った開発計画など一つもない。さらに1967年の非核三原則によって核兵器を作らない方針が内外に示されており、核拡散防止条約(NPT条約)により、条約を無視して核開発すれば経済制裁が科せられ莫大な損失が発生する。国内に常駐するIAEA国際原子力機関の監視の目もあるので、開発は不可能に近いだろう。

さらに唯一の被爆国かつ原発事故などの記憶から、国民世論も政治的にも反核感情が非常に根強いため、どっかの国から「殲滅戦で全日本国民を抹殺する」とか言い渡される程の一大事でも起きない限り世論が認める状態でもなく、核開発が計画される可能性は皆無に近い。

しかし戦後日本は、原子力発電によって着々と核技術を培ってきたこともあり、今ではネジを一つ占めるだけ(screwdriver's turn)で核兵器を作れるとも評されている。乏しい国内資源を補うべく原子力発電を重視し、一時期は50基超の原子炉を国内に抱え、さらには非核兵器保有国で唯一、試験的にだが核燃料サイクルにも成功させたほどなのだから、そう評されるのも無理はない(と言いつつも福島第一やJCO臨界事故など洒落にならないやらかしをしまくってるのも事実で、こんなんで核技術を誇るのもアレだが……)。

また、2006年の北朝鮮による核実験の直前、日本政府内部の専門家グループが「核兵器の国産可能性について」なる報告書をまとめたとされるが、それによると国家を挙げて開発に取り組めば、小型核弾頭の試作には3~5年の開発期間と、2,000億〜3,000億円の開発費用を要すると試算されたという。当時で考えればあたご型護衛艦2隻分といったところか。

ただしこの試算は核弾頭の運搬手段である弾道ミサイルなどの開発費用は含まれておらず、かつ試作の段階なので、本当に開発するとなれば核弾頭の運搬手段と核弾頭の量産が必要となり、数兆円の開発コスト年間で数千億円の維持コストがかかると見込まれる。仮にやるとしても、南アフリカのように核実験だけして保有まではしない、程度になると見込まれる。

新世界諸国の核開発状況

  • 日本国 - 現時点で容易に核武装が可能な技術力を有している。コア魔法を含む強大な軍事力を持つ魔法帝国の復活に備え、国内では核保有を含めた軍備の大増強を支持する声が上がっている。また、政府が国民には極秘で開発を行なっている。
  • グラ・バルカス帝国 - 地球における第二次世界大戦レベルの科学力を持ち、核保有の可能性があることが日本国民に周知されている。しかし実際は保有しておらず、朝田外交官との会話で日本側もそのことを知った可能性が高い。
  • 古の魔法帝国 - 異世界諸国で唯一実用化させ、ICBMのコア魔法として保有。但し地球よりは質で劣る。
  • インフィドラグーン - 魔法帝国と同等の力を持つとされるが、現状では保有していたかどうかは不明。

+ 日本は具体的にどう核開発するのか?
『日本国召喚』で新世界(異世界)へと飛ばされた現代日本は、具体的にどうやって核兵器を製造するだろうか。
まず、新世界へと飛ばされた以上、地球のNPT条約を順守する必要は無くなり、IAEAによる監視の目も無いので、国際的には核開発に踏み切っても問題ない状態となっている。パーパルディア皇国戦後は国内世論も積極的防衛に乗り気であり、世論的なハードルもかなり低い状態である。

となると、残る課題は技術的な問題である。
核兵器の製造にはウランかプルトニウムのどちらかを使うことになるが、ウランでの核兵器製造はウラン濃縮に高い技術が必要とされるため、難しいだろう。日本にも原発用にウラン濃縮工場はあるものの、原発用の純度3%程度の濃縮と、核兵器用に必要となる純度90%以上のウラン濃縮とでは訳が違う。

そうなるとプルトニウムが原料となるだろう。プルトニウムによる核兵器製造は各国でも主流だ。日本は約46トンのプルトニウムを所有するが、日本国内に保管しているのは約9トン(残りは海外に保管)なので、『日本国召喚』の世界でプルトニウムから核兵器を製造する場合はこの9トンだけが原材料となる。

手っ取り早く核兵器を製造する場合、黒鉛減速炉からの使用済燃料を再処理してプルトニウムを製造するのが最も合理的だ。黒鉛炉はアメリカが最初に核兵器開発を行ったマンハッタン計画において、プルトニウム生産炉として開発された。しかし、日本唯一の黒鉛減速炉である東海発電所(Wikipedia)は1998年に営業運転を停止、とっくに廃炉化されているので難しい。それでも本格的に核兵器を量産するのなら、黒鉛減速炉の再設置は必要になるはずだ。発電に使わない小規模な黒鉛減速炉の新設くらいならアリだろう。

日本の原発で主流の軽水炉からの使用済み燃料も、化学処理すればプルトニウムは製造できるものの、軽水炉から出るプルトニウムは所謂「原子炉級プルトニウム」と呼ばれるもので、これで核兵器を作ろうものなら不安定すぎて、起爆しても威力が非常に低い上に大型化する。作れないこともないが、威力は1キロトンがせいぜいであり、広島や長崎に落とされた原爆並みの破壊力は無い。ちなみに過去には「日本には原爆5,800発分のプルトニウムがある」なんて報道されたこともあるが、そのほとんどがこの「原子炉級」であり、こんなもので核兵器を作ろうものなら5,800発作れるといっても威力1キロトン前後のカスみたいな威力の核にしかならない。そのクセに大型なので、弾道ミサイルや戦闘機への搭載は不可能になり、弱いし運べないしで核兵器として全く使い物にならないので現実的ではない
というか、プルトニウムを化学処理するための施設である、青森の六ヶ所再処理工場(Wikipedia)もまだ完成していない(試験的には何度か動かしてはいる)。

元来の核兵器で使うプルトニウム……所詮「兵器級プルトニウム」ならどうか。これは一応無いことも無い。日本の高速増殖炉の実験炉「常陽」(Wikipedia)と高速増殖原型炉「もんじゅ」(Wikipedia)の使用済み燃料から回収されたプルトニウムは準兵器級とでも言えるくらいには純度が高く、核兵器製造に使える。
問題点としては国内に400kgしかないので、これまた製造できる核兵器が限られることだろう。ただし廃炉が決まった「もんじゅ」はともかく「常陽」は現実でも再稼働が予定されているので、量産しようと思えばできなくもない。

結論すれば、プルトニウム製造用に黒鉛減速炉を建設するか、再稼働させた「常陽」の使用済み燃料を回収するのが一番手っ取り早いと思われる。

最大の難点は核弾頭の運搬手段。
弾道ミサイルや、それを搭載する弾道ミサイル搭載潜水艦などの建造が必要になる。新世界日本は航空護衛艦(空母)の建造を計画していることから、フランス海軍のように空母に核弾頭を搭載して攻撃空母にする手もあるだろう。


関連項目
兵器コア魔法日本グラ・バルカス帝国

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過去のコメント
  • 核兵器のページを作成しました。不足している点や間違っている点の改定・加筆をお願いします。 - 作成者 (2018-12-12 23:14:54)
    • んだば、物理学についての説明を付け加えた方が判り易いかもですな。根本には核力という物理的な力があってコレが原子核を小さく固めている事、桁違いに大きなエネルギーの出所は原子核の構造が組変わってこの核力の余計になった分が排出される事に由来する点、核分裂では電荷を持たない中性子が媒介となっている為にコレが原子核や電子殻のクーロン力に妨げられず容易に次の原子核に侵入し、核力のバランスを崩して第二・第三の反応を引き起こすことで”例外的に”連鎖反応が成立し得るという点。 - ハインフェッツ (2018-12-13 22:48:18)
    • 魔法技術を利用したレーザー水爆とか実戦配備するんかな? - 名無しさん (2019-03-13 01:31:33)
      • 単純に効率が悪い上に、戦争相手の土地の汚染なんか気にしてないからでは? まあ、再三言われてるマジックジェットの技術水準とか考えると、単に技術が冷戦中期レベルであくまでも構想段階ってのもありそうだが。 - ハインフェッツ (2019-03-13 10:16:31)
  • もし、クワ・トイネの例の大地に核物質を置いた場合、神様の力で無害化されたりするのだろうか? - 名無しさん (2019-05-30 20:06:56)
    • やめなよそういうの。何かの本にも書いてあるだろ「神を試してはいけない」ってさ。って言うか、今この瞬間もみのろうさんは対魔帝戦を核兵器・コア魔法無しで片付ける為の知恵を絞ってるに違いないんだぞ。…魔帝本土を水爆で焼き払ったらさすがにフルボッコだろうから。 - ハインフェッツ (2019-05-30 22:54:30)
      • はい? - 名無しさん (2019-05-30 23:03:12)
        • だから、メタい話をしちゃうとあの世界の創造主はみのろうさんなのね。 …で、話の中とはいえ実際に日本に核を使わせるかねぇ?多分やらんでしょ。 - ハインフェッツ (2019-05-31 09:15:17)
          • コメ主は核を日本が使うかどうかでは無く、核物資が置かれたらどうなるかって言う過程の話をしてるじゃん。真面目に病院行くことをオススメします - 名無しさん (2019-05-31 11:45:54)
            • だから、そんなもん「神に訊け」以上に言い様があるとでも?神森の力と放射性物質を綱引きさせようってのは、つまりそういう事だぞ。 - ハインフェッツ (2019-05-31 13:14:18)
              • その理屈で言うと不確定な要素を含むあらゆる考察をするなって事になるんですがそれは - 名無しさん (2019-05-31 13:44:20)
                • 考察をしてほしくないからこそ、日本人は魔力0で魔法のメカニズムも大まかな所しか分らないって設定にされてるんだと思うぞ。でなきゃ、二次創作みたいに本家でも日本人が簡単な魔法ぐらいは習得できるようになってますがな。 - ハインフェッツ (2019-05-31 14:44:43)
                  • 一読者が勝手にみのろうさんが考えてることを断言するな。 - 名無しさん (2019-05-31 15:31:48)
                    • 悪いが、書いてる内容読みゃ”これがみのろうさんのスタンスだ”という部分はイヤでも透けて見えるわけでな。二次創作の人が普通に踏み込んでる科学と魔法の融合という領域に敢えて立ち入らない事、本人はこの作品を基本的にファンタジーではなく仮想戦記だと考えてるって件。こういった現状で出揃っている情報から読み解く限り、そもそも”科学と魔法は基本的に交わらない”というルールを大前提に書いてる可能性の方が高いのよ。 - ハインフェッツ (2019-05-31 15:53:51)
      • ICBM相当の兵器を保有するレベルの戦力を持つ魔帝相手に、日本が水爆攻撃して一方的大勝利なんてあり得ないんだから前提がおかしい - 名無しさん (2019-05-31 13:59:20)
        • そもそも、それ以前に”日本を”活躍させたいってスタンスで、転移に確実に巻き込まれてる筈の在日米軍を敢えて出さないという時点で、核戦争の話だけは書かれない可能性が高いと今からでも言えてしまうわけでな。 - ハインフェッツ (2019-05-31 14:56:07)
  • なんで米軍を根拠に核が使わないになるんだよ…使わないなら作中で作ったりしないだろ - 名無しさん (2019-05-31 16:54:05)
    • ”抑止力の概念”ってのは基本中の基本の筈だがな?十年ちょいくらい前に流行った核武装論も、あくまでも抑止を大前提にしたモノだったし、そもそも作中でもコア魔法の存在が意識されてから核武装の準備を始めようという話になってただろうがよ。 - ハインフェッツ (2019-05-31 23:14:07)
      • バックで同格の相手と全面戦争する宇宙怪獣みたいな奴らに抑止力が働くわけないだろ。バアルと同じだよ魔帝は - 名無しさん (2019-06-01 08:25:31)
        • グ帝に地球人の外交常識を求める日本って時点で、作中で魔帝戦になってもそうは考えないお約束になってるくさい事も、今から推測可能な話でな。・・・と言うか、バアルって何? - ハインフェッツ (2019-06-01 10:17:19)
          • 意識も変わって魔帝の異常性は既に色々と判明してるし同じミスはしないだろ。後バアルが何かって?対話不可能な厄災って意味だよ - 名無しさん (2019-06-01 11:01:26)
            • それはあんま一般的な表現ではないですね、イナゴとか言い換えた方が判り易いのでは? そうでなくとも、バアルって一般的に複数の架空の人物を指す固有名詞として扱われていて、最もメジャーなのは、伝説上ソロモン王が召喚・使役したとされる魔王の一柱。”使役可能な悪魔”だという事は、一般論として対話不能な存在だとは考えないモノだけどな。 - ハインフェッツ (2019-06-01 11:33:36)
  • 魔帝が躊躇無く撃ち込んで来た場合は別な気が。 - 名無しさん (2019-06-01 00:16:10)
    • ロウリア戦やパ皇戦のパターンを見る限り、その場合でもまず敵の矛を折る為に運用するだろうね。無論、代替手段があるのならそっちの方を使うという形にするでしょうさ。 まあ、ギムの件やフェン王国の件を考えると、作者はどうも日本がミ帝グ帝と連合軍組んで魔帝に攻め込むためのフラグ立てとして、魔帝にコア魔法というモノを与えたようにも見えるけどな。 - ハインフェッツ (2019-06-01 10:42:43)
  • グ帝は核を持っていないと断言されているけど、広島以前に米国人の何%が核を認識していたかを思えば、パルゲールが知らないだけでグ帝が秘密裏に開発した核を所持している可能性は残るんじゃないか? - 名無しさん (2019-06-05 17:42:45)
    • そーでもない。あの研究って普通にノーベル賞取って全世界に知れ渡ってるし、戦時下の日本の少年誌にもアメリカに核落とす話が出て来るレベルだし。 - ハインフェッツ (2019-06-05 21:41:01)
    • 細かい兵器研究ならともかく流石に外務省の事務次官が戦争を根底からひっくり返しかねないレベルの兵器の存在を認知すらしてないってのは厳しいんじゃないかな、、、、 - 名無しさん (2021-09-11 04:13:51)
  • 核兵器の開発ってあるけど、対魔帝の想定としては核弾頭搭載用のICBMの研究開発も行ってるのかな? - 名無しさん (2021-08-03 07:10:32)
  • 魔帝前に使う描写出ますかね?まさかそのためのヤマタノオロチか? - 名無しさん (2022-05-22 21:25:37)

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〔最終更新日:2025年08月13日〕

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最終更新:2025年08月13日 13:45

*1 かつてはABC兵器、NBC兵器とも呼ばれた。