F-2

えふつー/えふに

日本国航空自衛隊多用途戦闘機(マルチ・ロール・ファイター)。実在する。

※出典:航空自衛隊ホームページ(https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-2/index.html

諸元(A型)
乗員 1名
全長 15.52m
全高 4.96m
翼幅 11.13m
翼面積 34.84㎡
空虚重量 9,527kg
全備重量 13,359kg
(翼面荷重383.4kg/㎡、推力重量比1.01)
設計最大離陸重量 22,100kg
対艦攻撃時離陸重量
(ASM×4,SRAAM×2,600gal増槽×2)
20,331kg
(翼面荷重583.6kg/㎡、推力重量比0.66)
要撃戦闘時離陸重量
(MRAAM×4,SRAAM×4,300gal増槽×1)
15,711kg
(翼面荷重450.9kg/㎡、推力重量比0.86)
対領空侵犯阻止任務時離陸重量
(MRAAM×2,SRAAM×2,600gal増槽×2)
18,279kg
(翼面荷重524.7kg/㎡、推力重量比0.74)
動力 IHI/GE
F110-IHI-129
ターボファンエンジン
1基
ドライ推力 7,710kg (75.62kN)
アフターバーナー使用時推力 13,380kg (131.23kN)
性能
最大速度 M2.0(高高度)/M1.1(低高度)
フェリー飛行時航続距離 4,000km
航続距離 2,800km(機内燃料のみ)
戦闘行動半径
(ASM×4,SRAAM×2,600gal増槽×2装備時)
830km+
実用上昇限度 15,000m
荷重限界 +9.0G/-3.0G(機体重量12t以下)
+4.8G/-1.6G(機体重量22t時)
武装
固定武装 M61A2 20mmバルカン砲×1(装弾数512発)
ミサイル 短射程空対空ミサイル AIM-9L サイドワインダー
90式空対空誘導弾(AAM-3)
04式空対空誘導弾(AAM-5)
04式空対空誘導弾(B)(AAM-5B)
中射程空対空ミサイル AIM-7F/M スパロー
99式空対空誘導弾(B)(AAM-4B)
空対艦ミサイル 93式空対艦誘導弾(ASM-2)
93式空対艦誘導弾(B)(ASM-2B)
21?式空対艦誘導弾(ASM-3A)
12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)
爆弾 Mk.82 500lb通常爆弾:無誘導
91式爆弾用誘導装置(GCS-1)装備型
Mk.82誘導爆弾:赤外線誘導
GBU-38 JDAM 500lb誘導爆弾:GPS及び慣性誘導
GBU-54 LJDAM 500lb誘導爆弾:GPS、慣性及びレーザー誘導
ロケット弾 J/LAU-3/A 19連装70mmロケット弾ポット:無誘導
アビオニクス J/APG-1またはJ/APG-2 火器管制レーダー
AN/APX-113(V)先進敵味方識別装置
J/ASW-20 データリンク装置
J/ARC-26 無線機
J/ARC-701 VHF/UHF通信装置
J/ASQ-2 統合電子戦システム(IEWS)
AN/ALE-47 チャフ・フレアディスペンサー
J/AAQ-2 外装型前方監視赤外線装置
AN/AAQ-33 スナイパー

概要


F-2は、ジェネラル・ダイナミクス社(現ロッキード・マーティン社)が開発したベストセラー多用途戦闘機F-16CG Block40をベースとして、日本とアメリカの共同開発によって生まれた第4.5世代戦闘機である。

本文中の「姿がちょっと似ているだけの完全な別物」という説明のとおり、原型となったF-16CGから変わっていない部分を見つけるのが大変なほどの徹底的な再設計が施されている*1
最大の特徴は、小型戦闘機でありながらハープーン級の大型空対艦ミサイルを4発搭載可能な上、その状態での戦闘行動半径が450海里(約833km)にも及ぶこと。


対艦攻撃装備のF-2 ※出典:航空自衛隊ホームページ(https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-2/index.html

F/A-18E/FスーパーホーネットトーネードIDSも空対艦ミサイル4発を搭載することは可能だが、その状態での戦闘行動半径はF-2よりも狭い。

航空軍事評論家の関賢太郎氏は、XF-2モックアップ公開時の技術開発本部開発官挨拶において「平成のゼロ戦」と呼ばれたことを踏まえた上で、大幅な性能向上を果たした現在のF-2を「平成の烈風」と評している。
その他、F-16の非公式愛称と制式採用年(2000年)を組み合わせた「ヴァイパー・ゼロ」という愛称もあるが、優れた対艦攻撃能力を有する事から「対艦番長」と呼ばれることもある。

F-16の開発経緯


F-2の原型であるF-16はアメリカ空軍が主力戦闘機として開発し、航空自衛隊も主力戦闘機として採用したF-15があまりの高価格から少数生産になってしまったため、これを補う安価な小型戦闘機として開発された。
F-15とF-16の様に、高価な高性能戦闘機と安価なそこそこの性能の戦闘機を組み合わせて運用する考え方を「ハイ・ロー・ミックス」と呼び、アメリカ空軍と同様にアメリカ海軍もF-14とF/A-18を、ソ連(現在のロシア)空軍もSu-27とMiG-29をそれぞれ組み合わせて運用している。

F-16は格闘戦を行うためだけに作られたような戦闘機だったが、ブレンデッド・ウイング・ボディやフライ・バイ・ワイヤ等の当時の最新技術を導入しているにも関わらず安価であることから、高価なF-15とは対照的に世界各国の空軍に採用され、多数の機体が輸出されていった。
こうして世界中に広まったF-16だが、すぐにアメリカ空軍のみならず採用した各国から様々な改修の要請が寄せられるようになる。
いかなアメリカといえどもスポンサーの意見は無視できず、次々と改修が行われた結果、F-16にはレーダー誘導空対空ミサイルに始まり、各種誘導爆弾、空対地及び空対艦ミサイル等の運用能力が次々と付与され、「多用途戦闘機(マルチ・ロール・ファイター)」へと発展していく。

なお、F-2の改修母機になったF-16CG Block40は「ナイト・ファルコン」とも呼ばれ、敵が迎撃しづらい夜間に敵地を攻撃する夜間作戦能力を大幅に強化したタイプで、当時F-16の最新型だった*2

日米共同開発まで


F-2は支援戦闘機「F-1」の後継機であり、「次期支援戦闘機(FS-X)」開発計画によって開発された。

「支援戦闘機」は「航空支援の任務に就くための戦闘機」を指す自衛隊独特の用語で、「戦闘爆撃機」または「戦闘攻撃機」、「多用途戦闘機」とほとんど同義である*3
なお、航空支援任務に就かないF-15Jは「要撃戦闘機」に区分されていた。
この「要撃戦闘機」「支援戦闘機」の区分は2005年に廃止され、現在はF-2もF-15J改も「戦闘機」に区分されている。

後にF-2となる次期支援戦闘機開発計画は1981年に開始され、1985年には候補機が「F-16C」「F/A-18A」「トーネードIDS」「国内開発機」に絞られたが、海外機では自衛隊が求める性能を達成できないことから、改良型も候補に含められた。
これ以後の経緯は割愛するが、何が問題になったのかを簡単に言うと「国内の航空産業育成のため、アメリカからエンジンだけ買って機体と装備品を国内開発」したい日本と「貿易摩擦解決法の一つとして、多数の戦闘機を輸出」したいアメリカの意見対立である。
妥協の結果、1987年10月に「F-16CG Block40を日本の要求に合致するように改設計する」ことに落ち着き、アメリカはF-16CG Block40とF110-GE-129*4の技術情報を、日本は改修に用いるすべての技術を開示する*5ことで日米両国は合意した。

この結果に対して、日本では国内開発の断念と最新技術をアメリカに全て開示することにかなり反発があったが、アメリカでも議会を中心にF-16CGやF110の技術を日本に開示することに対する反対意見が多かった。
1989年9月にF110については何とか議会の許可を取り付けたものの、当初の合意とは異なり、火器管制レーダーや電子戦システム、飛行制御コンピューターのソースコードはほとんど供与されなかったが、もともとエンジン以外は国産する計画で必要な要素技術は開発済または開発経験があったため、特に問題になっていない*6
F-2開発終了後にアメリカ政府へ提出された報告書には、「F-2開発により、日本は戦闘機開発能力を獲得した」と記述されている。

開発


1990年から開発作業が開始されたF-2に求められていた性能を簡単にまとめると以下の様になる。

  • 空対艦誘導弾4発を搭載した場合の戦闘行動半径450海里(約833km)
  • 赤外線誘導空対空誘導弾及びレーダー誘導空対空誘導弾をそれぞれ2~4発搭載可能なこと
  • 全天候運用能力と高度な電子戦能力を有すること

これを分かりやすく言い換えると、「対艦攻撃時はF-1の2倍の空対艦ミサイルを積んだ状態で1.5倍の戦闘行動半径を有し*7、制空戦闘時は世界最強(当時)を誇るF-15Jに引けを取らない空戦能力を有する」ということになる。
因みに、1番目の要求を達成していた戦闘機は、当時世界のどこにも存在しない。
これを実現するために行われたF-16CGからの変更は以下の通り。

  • 主翼に一体成型炭素繊維強化複合材*8を適用して25%大型化する*9と同時に翼型を変更*10し、ハードポイントを片翼2つずつ追加*11。主翼の大型化に伴い、主翼と胴体を繋ぐストレーキも大型化している
  • アクティブ・フェイズド・アレイ(AESA)の火器管制レーダー「J/APG-1」を搭載
  • J/APG-1に合わせて機首を大型化し、風防を強化型に変更*12
  • 前部および中部胴体に炭素繊維強化複合材を適用
  • 後部胴体を49cm延長し、機内燃料タンクを約22%大型化*13。F100とF110の両方に対応したエンジンベイをF110専用にして軽量化。ジェネラル・ダイナミクス社が改設計を担当したが、アメリカ政府の機密指定によりアメリカ製炭素繊維強化複合材が使用できず、アルミ合金を使用した一般的な構造になっている
  • 垂直尾翼に炭素繊維強化複合材を適用し、安定板を約27%大型化
  • 水平尾翼に炭素繊維強化複合材を適用し、約34%大型化すると同時に翼型を変更*14
  • エアインテークの形状を変更し、機首の大型化に対応
  • 非常動力装置(EPU)を有毒なヒドラジンを燃料にするものからケロシンを使用するものに変更*15
  • 主翼前縁及びエアインテークに電波吸収材を塗布
  • 垂直尾翼基部後端にドラッグシュート追加*16
  • 国産の統合電子戦システム(IEWS)、ミッションコンピューター、飛行制御ソフトウェアを搭載。IEWSは大型化した機体内に電波妨害(ECM)装置を内蔵しており、F-16CGでは必須のECMポッドの装備が不要になっている*17
  • 20mmバルカン砲をM61A1からF-22AやF/A-18E/Fと同じM61A2に変更。M61A2はA1を軽量化(本体重量112kg→92kg)しつつ、スピンアップ時間を短縮し、発射速度を向上(6,000発/分→6,600発/分)させている
  • マルチ・ファンクション・ディスプレイ(MFDS)を国産*18のカラー液晶式に変更。ヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)も国産*19の大型のものに変更
  • 操縦桿とスロットルレバー等を日本人の体格に合った形状に変更*20。警告音声も日本人が聞き取りやすい日本人女性*21の音声に変更
  • 灰色系の制空迷彩から、対艦攻撃を意識した青色系の「洋上迷彩」に変更


※出典:ウィキメディア・コモンズ(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:F2andF16.png

上記の様に機体のほぼ全てが再設計されており、全く変更されていないのは胴体下部に設けられているベントラルフィンくらいか。

開発経費は3,270億円。
開発開始前の試算額は1,650億円と実際にかかった経費の約半額だったが、この試算額は共同開発決定時の協定通り飛行制御コンピューターのソースコード等が供与されるという前提で計算されたものなので、そのまま比較は出来ない。

一体成型炭素繊維強化複合材製の主翼とJ/APG-1

一体成型炭素繊維強化複合材を使用した主翼」と「AESAレーダー」の採用は、量産戦闘機として世界初である。
この二つの技術は鳴り物入りで採用されたF-2の目玉だったが、試作機納入前の試験中に主翼から微細な亀裂が発見*22され、制式後にJ/APG-1が目標をロックオンできないという不具合*23がそれぞれ見つかり、F-2に批判的だったマスコミや航空評論家等からかなり叩かれている*24
客観的に見ればどちらも新型機には起こりがちな初期不良であり、実際に比較的短期間で解決されている。

CCVシステム

飛行制御コンピューターのソースコードはT-2CCV研究機から得られた成果を元に作製されたもので、カナード翼なしでCCV機動を実現している。
配備後も随時アップデートされている*25ためか、F-2は「飛行制御プログラムの欠陥による墜落事故ゼロ」と言うCCV機では珍しい記録を有している*26

※出典:航空自衛隊岐阜基地飛行開発実験団HP T-2CCV研究機実用試験の物(https://www.mod.go.jp/asdf/adtw/adm/shiken/kakoshiken_aircraft2.html

デュロ爆撃時にBP-3Cのクルーが呟いた「気持ちの悪い飛び方」とは、「機体の進行方向と機首の方向が一致せず、それぞれ別の方向を向く」と言う通常の航空機では行えないCCV機動を指している。
エンジンの推力不足に泣かされたF-1*27とは異なり、F110の大推力とCCV機動のおかげで空戦性能は一級品であり、空戦番長たるF-15J改が相手でも低空や低速域では有利に戦えると言われている*28

洋上迷彩

F-1では緑茶系統の三色迷彩だったが、濃淡2色の青色を用いた迷彩塗装、所謂「洋上迷彩」を本格的に導入している。
洋上迷彩は日本独自の迷彩塗装で、海上における超低空飛行時の被発見率の低下を目的*29としたものだが、高空でも青空を背景にすると視認しにくくなるため、パイロットからの評価も高い様である。
F-2に採用された後、UH-60J/JⅡ、U-125A、RF-4Eにも洋上迷彩が採用されている*30

配備


1995年に試作1号機が完成、以後3機追加された試作機を用いて飛行開発実験団で試験が行われた。
2000年より量産機の納入が開始され、まず三沢基地の第3航空団第3飛行隊*31への配備が開始され、その後、2002年から松島基地の第4航空団第21飛行隊*32、2004年から築城基地の第8航空団第6飛行隊、2008年から三沢基地の第3航空団第8飛行隊*33へ配備された。
最後にF-2が配備された第8航空隊では、機種転換前にF-1が退役*34しする事を見越して1997年3月にF-4EJ改へ機種更新している((F-4EJ改にASM-1/2やGCS-1の運用能力が付与されているのは、開発スケジュール的にF-2の配備がF-1の退役に間に合わないことが明らかであったため。第8飛行隊に配備するF-4EJ改を捻出するために、小松基地の第306飛行隊をF-4EJ改からF-15J/DJに機種更新している)。

当初は141機を調達する計画*35だったが、1995年に130機、2002年に98機、2004年に94機に削減された*36
F-4EJ改の後継機選定の遅れに加えて、2011年に発生した東日本大震災によって松島基地に配備されていた18機のF-2Bが津波で水没・全損したため生産継続も検討されたが、予定通り2011年に生産を終了した。
試作機を除いた生産機数は94機(A:62機、B:32機)。
なお水没した18機のF-2Bの内、13機が修理・再生されており*37、現在の保有機数は試作機を除いて87機(A:62機、B:25機)。
水没機の他、2007年10月31日と2019年2月20日に事故でそれぞれB型が1機ずつ墜落している*38が、配備開始から20年間に事故で失われたのはこの2機のみであり、単発機にも関わらず極めて高い信頼性を誇っている。

1機当たりの平均調達価格は約120億円で、内訳は機体が81憶円、エンジンが25憶円、レーダー他が15憶円。ライセンス費としてアメリカ側に1機当たり47億円支払われたと言われる。

能力向上改修


2004年の調達数削減時に予定より高価格になったことに加えて、「機体が小型であるため、F-15Jに比べて性能向上の余地が少ない」ことが理由に挙げられていたが、実際には生産途中から以下の能力向上改修が順次行われている。


F-2の搭載装備(向かって右からAAM-3、AIM-7、Mk.82+LJDAM、ASM-2、ASM-1、Mk.82+JDAM、Mk.82+GCS-1、J/AAQ-2。全て訓練弾。ASM-1とASM-2の前にある黒い帯状のものはM61A2バルカン砲用の20mm弾。主翼下に搭載しているのは600gal増槽)※出典:航空自衛隊HP(https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-2/index.html

JDAM機能の付与

GPS航法装置を追加することで、GPS誘導爆弾JDAMが運用可能になっている。
2008年以降に納入された23機(A:21機、B:2機)に導入され、それ以前に生産された機体については、2015年までに47機(A:41機、B:6機)が改修されている*39。1機当たりの改修費用は約2.4億円。
現状F-2はJDAMを最大でも4発しか搭載できないことから、搭載数の増加や装備の自由度の向上を図るためにツイン・イジェクト・ラックの適合試験が行われている。

J/AAQ-2運用能力付与

2010年以降に納入されたA型10機には国産の外装型前方監視赤外線装置(FLIR)J/AAQ-2の運用能力が追加されている。

空対空戦闘能力の向上

火器管制レーダーを探知能力を強化した「J/APG-2」に変更*40し、J/ARG-1指令誘導装置を追加することで、99式空対空誘導弾(B)(AAM-4B)の運用能力を付与*41
2010年から2018年に67機*42分の改修予算が計上され、2013年頃から量産改修機が納入されている模様。
デュロ基地のワイバーンロードと最初に交戦したF-2はこの改修を受けた機体。1機当たりの改修費用は約5億円。

自衛隊デジタル通信システム(JDCS)(戦闘機用)((F))搭載改修

F-15J改のMIDS-FDLと同様に、JDCS(F)を搭載したF-2同士やJADGEとのデータリンクを可能にする国産の通信端末を追加する。
JDCS(F)はMIDS-LVTより小型で、しかも処理能力の低いコンピューターでも運用できる*43
リンク16との互換性が無いため、E-767やE-2C/D、F-15J改とのデータ共有はJADGEを介さなければならないが、陸上自衛隊のデジタル通信システムとのリンクは可能で、精密な地上支援攻撃にも寄与する。2015年から3年で20機分の改修費を計上。1機当たりの改修費用は約3.5億円。

ターゲティング・ポッド搭載改修

LJDAMの照準能力を持つAN/AAQ-33スナイパーを搭載可能にする改修。
1機当たりの改修費用は2019年3月に完成した試作改修機では61億円だが、量産改修では数億円になる見込みで、後述する能力向上改修に統合された模様。この改修に先行して、地上用LJDAM誘導装置が導入されている。
転移によりスナイパーポッドが入手不能になったものの、何だかの改修によって解決された模様で、エヌビア基地に派遣されたF-2にはLJDAM照準能力が付与されている*44

AAM-5搭載改修

2010年より04式空対空誘導弾(AAM-5)用のランチャー*45と制御ソフトを開発中。AMC換装後でなければ改修できないため、能力向上改修に統合して実施される模様。召喚日本では現実世界より早く改修が進められた様で、エヌビア基地に派遣されたF-2にはAAM-5搭載改修が施されている。

支援戦闘能力の向上

将来の各種誘導弾及び装備品等に対応する今後の更なる機能付加のため、能力向上型のアドバンスド・ミッションコンピューター(AMC)*46およびLJDAM投下時に地上誘導員のセーフティーゾーンを表示するシステムの開発を2012年から開始し、2018年度に完了。
後述する能力向上改修に統合して実施される模様。

ASM-3搭載改修

2017年度に開発終了した超音速空対艦誘導弾ASM-3の搭載能力を付与する改修。
2019年以降に開始される計画だったが、ASM-3の性能を最大限活用するにはAMCが必要であるため、2019年3月にASM-3搭載改修を延期し、AMCの開発・搭載改修と並行して射程を400km+に延長(加えて後述するF-2後継機での運用も可能に)したASM-3(改)を開発・導入する計画が発表され、2020年12月25日にはASM-3(改)の途中成果を導入したASM-3Aを2021年度予算より量産取得する事が発表された。計画は後述する能力向上改修に統合された模様。

XASM-3の発射試験の様子 ※出典:航空自衛隊岐阜基地飛行開発実験団HP(https://www.mod.go.jp/asdf/adtw/adm/shiken/kakoshiken_missile2.html

能力向上改修

2020年度から新たに開始された大規模な改修。
「能力向上」「対艦能力の向上」「ネットワーク機能の能力向上」の3つが挙げられており、コンピューター*47の換装が含まれているとの報道があることから、別々に行われている改修計画を一つに纏め、一挙に改修を進める計画と推測される*48
2番目の項目として12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)の搭載改修を行う事が令和4年度概算要求で明らかにされている。これはF-15JSIへの搭載が見送られたLRASMの代替措置で、2021年度から調達が開始されているASM-3A及び2025年度開発完了予定のASM-3(改)搭載改修も同時に行われると思われる。
2022年12月16日制定の「防衛力整備計画」によると改修機数は2個飛行隊分*49。1機当たりの改修費用は約15億円。

スタンド・オフ・ミサイル搭載改修

2021年6月5日に2022年度から開発着手予定と報道された12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)の搭載母機としてF-2が予定されており、機体や火器管制システムを改修する事が想定されている。
報道時は能力向上改修に含まれるか不明だったが、令和4年度概算要求において12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)の搭載改修も含まれる事が明らかにされている。


この他に、2017年12月に新たに導入が決定した長距離巡航ミサイル(JASSM-ER等)の搭載母機の候補としてF-15と並んで名前が挙げられたが、翌年12月にF-15J改の能力向上改修型であるF-15JSIが搭載母機に選ばれている*50
また、2004年に横浜市で開催された『国際航空宇宙展ジャパンエアロスペース2004』において、ロッキード・マーティン社が「F-2 Super Kai」と仮称したF-2Bのアップデートプラン*51を提示しているが、現在実施中の改修によってほぼ同等の性能を実現できるためか、採用に向けた動きはない。

先にも述べた様に、これらの改修では胴体等へのアンテナの追加を除くと外見上の変化は少ないが、ほとんど別の機体といってもいいほど空対空、空対艦、空対地のいずれの能力も大幅に向上している。
機体も装備品も国産がほとんどであるため、基本的にアメリカ製の装備品を搭載しているF-15J改と比較して、改修費用が安価に抑えられている*52

後継機


F-2は耐用飛行時間6,000時間で設計されており、耐用時間延長を行わない場合は2030年前後から退役する機体が出始めると考えられる。
このため、2018年12月に公表された「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」では、後継となる次期戦闘機について、F-2の退役時期までに「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する」と明記されており、2020年度予算に最初の開発予算として111億円計上されている*53


作中での活躍


ロウリア王国戦時に、城塞都市エジェイの東方5kmにあるダイタル平野に設けられたエジェイ基地より護衛のF-15J改と共に出撃、初めて実戦に投入され、ロウリア王国東方征伐軍ギム司令部を爆撃によって部隊ごと壊滅させる。
王都ジン・ハーク攻防戦の直前に、15機による爆撃によりジン・ハーク港に停泊中のロウリア海軍艦艇3,000隻の内、約1,500隻を撃沈破する*54

フェン王国の戦いでは、築城基地から護衛のF-15J改と共に出撃した10機が、E-767からの支援を受けつつ、パーパルディア皇国海軍竜母艦隊に対して93式空対艦誘導弾(ASM-2)40発を発射し、竜母12隻と護衛のフィシャヌス級戦列艦8隻を撃沈して全滅させている。

アルタラス島の戦いでは、シオス王国ゴーマ空港基地から16機が出撃し、アルタラス統治機構が設置したアルタラス王国王都ル・ブリアス東の軍港のハイペリオン基地及びル・ブリアスの北40kmの仮設基地を爆撃によって無力化した。

パーパルディア皇国皇都エストシラント空爆作戦では、再独立したアルタラス王国に設けられたルバイル基地(ムーが連絡用に設置したルバイル空港を改造)と前述のゴーマ空港基地より20機が護衛のF-15J改と共に出撃、E-767の支援の元、皇都防衛基地の滑走路を爆撃によって破壊し、航空戦力の無力化に成功する。

エスペラント王国防衛戦では三沢基地から第3航空団第3飛行隊所属の5機が出撃、KC-767からの空中給油を受け、3機が爆撃により魔獣を殲滅、2機が中距離多目的誘導弾と共同で邪竜アジ・ダハーカを討伐する*55

因みに、ここまでの作戦でF-2が投下した爆弾はすべて無誘導の500lb通常爆弾のようである。それでも先代のF-1と同じく、爆撃精度は旧世界においても最高レベル*56なので問題は無かった模様。

デュロ空爆では、初めて制空戦闘に投入される。まず航空優勢確立のため16機が出撃、E-767の支援の元、哨戒飛行中の第11竜騎士団第1飛行隊のワイバーンロード20騎を撃墜する*57
続いてBP-3Cの護衛機として4機が出撃、F-15J改と共同で迎撃してきた第11竜騎士団第2、第3飛行隊のワイバーンロードを全滅させ、更にBP-3Cへ対空射撃を行った対空魔光砲を機銃掃射で破壊している。

グラ・バルカス帝国によるムー侵攻では、F-15J改等と共にムー西側にあるエヌビア基地に派遣される。
偵察飛行を行うRF-4Eの護衛中、戦火に見舞われた国境の町アルーから東に150kmの地点で、避難民を襲撃していた4機のアンタレス型戦闘機を撃墜する。
その後、キールセキ侵攻に対応して護衛のF-15J改12機と共に15機が出撃、量産を進めていたLJDAMを高度17,000m*58からバルクルス基地に投下、精密誘導爆撃により滑走路、レーダーサイト、地上駐機中の機体、弾薬庫等を破壊している。
ムーと第二文明圏連合との反攻作戦時も出撃、警戒飛行中のアンタレス型戦闘機を撃墜した後、ある程度再建されたバルクルス基地を再爆撃*59し、対空砲陣地、格納庫、戦車や重機等の大型車両、無線基地局等を破壊している。

グラ・バルカス帝国連合艦隊先遣艦隊との戦闘である日・グ大海戦では、ナハナート王国基地より出撃した10機がSS-511 おうりゅう以下の潜水艦部隊が攻撃中の先遣艦隊第2艦隊210隻に対してASM-2を40発発射、これを全滅させている。

第二次新日本海海戦では、まず日本本土から出撃した15機がリーム王国から出撃した第44任務部隊を60発のASM-2で全滅させ、続いて50機が同王国から出撃したグラ・バルカス帝国超重爆撃機連隊及び陸軍航空隊合同部隊をF-15J改100機と共同で全機撃墜、更に15機がリーム王国王都ヒルキガ近郊のグラ・バルカス帝国陸軍基地をBP-3C40機と共同で爆撃・壊滅させている。
その後のナハナート沖大海戦にも参加した可能性が高いが、現在のところ詳細は不明。

ヒノマワリ王国解放作戦でもLJDAMを用いてヒノマワリ王国王都の征統府や兵舎、対空砲陣地、飛行場等を破壊している。
続いて行われたレイフォリアに設置された統合基地ラルス・フィルマイナを含むレイフォル全域のグラ・バルカス帝国基地への爆撃にも投入されている。

現実日本では退役しているF-4EJ改を除くと、航空自衛隊が保有するほぼ唯一の攻撃戦力であり、転移後は対地・対艦攻撃に加えて空戦もこなす八面六臂の大活躍である。
逆に言えば酷使されていると言う事なのだが、国産機であるため、整備や改修時の部品確保にあまり悩まずに済みそうである。

随時加筆願います。
関連項目
兵器日本自衛隊

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過去のコメント
  • 元は対艦メインだったが最近の情勢(主に北や中のせい)で対地機能(スナイパーXR)をつけられたり、石破のせいで生産終了した、情勢的に不遇だが4.5世代機としては合格点以上の機体だね(画像でけえー) -- AGM-88 (2018-01-27 19:33:34)
  • お値段約110億円位で94機+4機【試験機】しかないから大事にしてね♡ - 名無しさん 2018-01-27 20:51:17
  • F16E/F(ブロック60/62)仕様と同等になるF2スーパー改にする案がマーチンからあったが値段がアレになるから改造案はキャンセルされた(防省にペーパープランで出したともいわれている) - SIG 516 2018-01-28 17:00:06
    • 初期型F2でE\F相当だからその表記語弊があるぞ - 名無しさん 2018-02-10 20:20:56
      • どっちかというとF-16V相当くらいかね - 名無しさん (2021-03-14 19:49:16)
  • 実は先代のF1同様爆撃精度が高く、バスのサイズなら誘導無しで直撃可能な地上攻撃能力もガチの攻撃機だったりする - 名無しさん 2018-02-08 02:05:12
    • まあ元が対艦攻撃目的で設計された対艦番長だからなぁ - 名無しさん (2021-03-14 19:50:00)
  • 対空機関砲に機銃掃射するぐらい攻撃力ギリギリだと将来不安だ、小説としてはフラグ回収が楽しみだけど - 名無しさん (2018-05-12 02:03:55)
  • グ帝の小型艦に対艦ミサイルはもったいないかも。 - 名無しさん (2018-07-09 20:18:53)
  • なんか、2025年あたりの初飛行を目途にF3が作られるって未確認情報が出始めましたね… - ハインフェッツ (2018-11-26 23:20:19)
  • AMCの開発に時間かかるからその間にASM-3も能力向上しようってこと? - 名無しさん (2019-03-23 19:11:47)
    • と言うか、F-2は元々寿命が6千飛行時間に設定されているので、このままだと2030年頃から退役が始まるからASM-3の搭載能力を付与してもあと十数年程度しか使えない。だったらASM-3の射程を向上する等してF-2後継機に搭載しようって言うのが、先日発表されたASM-3の巡航ミサイル化計画だと思うよ。 - 名無しさん (2019-03-24 12:12:43)
  • かつてF-2が開発された同時期に、ロッキードはF-16高機動型(主翼面積拡大版)のアジャイルファルコン構想を持っていて、F-2の主翼面積決定に影響を与えている - 名無しさん (2019-03-26 01:28:06)
  • F-3量産までまだまだ時間かかるだろうし、量産再開してるんだろうな。 - 名無しさん (2019-04-22 18:54:05)
    • アメにライセンス料払わなくていいから量産しまっくたりして。 - 名無しさん (2019-07-06 12:38:40)
  • 転移の結果、飛行時間が恐ろしく長くなっているので酷使されている主翼の交換が真剣に検討されてるかも(カーボンなので寿命に余り余裕が無く現実のF-3開発の理由の一つ) - 名無しさん (2019-05-05 22:46:55)
  • 東日本大震災で大津波被害を受けた松島基地の - 名無しさん (2020-08-28 19:49:38)
  • F-15JSI改修のドタバタを見ていたら、F-15J改のまま退役させてF-2の機体寿命を延長しつつ、改修して使った方がマシなんじゃないかと思い始めた。 - 名無しさん (2021-05-01 10:29:16)
  • グ帝相手でもF-15JやF-2はオーバースペック。まさかのT-4改爆装仕様を生産か? - 大艦巨砲 (2021-05-26 10:08:57)
    • 某2次創作だとムー向けにやってるけど、ノウハウほぼ無しで80〜90年代の機体にを乗り換えってのが無理臭い。そもそも次の敵が戦後世代ジェット(エンジンの調査から主力機かは兎も角第4世代機相当の機体の存在は確実)だから魔改造した程度じゃ使いもんにならんでしょう。 - 名無しさん (2022-03-15 08:34:00)
      • (続き)自衛隊で運用するなら尚の事。「そんな暇あるならミサイルの一発でも多く生産しろ」ってなるだけ。なんなら生産レーン閉じちゃってるし。 - 名無しさん (2022-03-15 08:40:11)
  • 日本国召喚で一番出番が多い空飛ぶクサリヘビ - 名無しさん (2021-06-06 12:00:42)
  • 召喚ブログの感想欄ですら、非ステルスがだの一体構造がだのレーダーがだの言われるのだから、初印象が悪けりゃ一生言われる奴の典型みたいな戦闘機だな - 名無しさん (2021-06-10 06:49:55)
  • ただしアフターバーナーは離陸後から出る - 名無しさん (2021-07-09 18:41:52)

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最終更新:2024年03月16日 12:04

*1 F-2の主任設計者は、この再設計の難易度を「平屋の家を2階建てに改築するようなもの」と例えている

*2 F-16CG Block40の部隊配備開始は1989年であり、F-2の開発作業開始が1990年であることを考えると、開発完了している型としては文字通りの最新鋭であることが分かる。当初、母機として提案されたのはアジャイル・ファルコンと呼ばれる主翼を大型化した改修型だったが、日本側での検討の結果、開発中のため飛行実績が不足しており、改修母機には不適当と判定され、F-16CG Block40が母機に選ばれた。なおF-2の細部設計が行われていた1993年にはF-16CJ Block50/52の配備が開始され、F-2の部隊配備が始まって間もない2002年にはBlock50+/52+の配備が開始されている

*3 ヘリ空母や駆逐艦にしか見えない艦船が、どれも「護衛艦」と呼ばれるのと同じ事情である

*4 この時点でアメリカ空軍への配備すら始まっていなかったF-16CG Block40の搭載エンジンはF110-GE-100であり、F110-GE-129はF-16CJ Block50から搭載されている。既存エンジンの改修型ではあるものの、当時実用段階にあった最新鋭戦闘機用ジェットエンジンである

*5 この協定に基づき、後にJ/APG-1のレーダー素子10個と開発データが10万ドル(当時のレートで約1,200万円。J/APG-1の導入価格約7.8億円を素子数1,216個で割ったレーダー素子1個当たり価格の約2倍に当たる)でアメリカ側に提供されている

*6 アメリカの反対派は「供与を中止した分の開発をアメリカに依頼してくる」と予想して供与を中止させたのだが、日本独自技術の採用率を合意当初より引き上げてしまうと言う皮肉な結果に終わっている

*7 F-1では三沢基地から宗谷海峡を含む北海道全域を、築城基地から韓国の南半分を戦闘行動半径に入れるのが精一杯だが、F-2では三沢基地からウラジオストックや樺太のユジノサハリンスク、北方四島全域を、築城基地から平壌を戦闘行動半径に入れる事ができる。なお、松島基地からは宗谷海峡を含む北海道全域を、小松基地からはウラジオストック、那覇基地からは上海や台湾全域を戦闘行動半径に入れる事ができる

*8 「修理時に難がある」と指摘されたこともあるが、メーカーによると修理の手法は確立されており、特別に難しいわけではないとのこと

*9 F-2の主翼面積はアジャイル・ファルコンとほぼ同じだが、これはF-2開発チームが要求性能とエンジン性能から算定した結果が偶然一致しただけで、翼型や内部構造は全く異なる。開発チームが主翼面積を算定した後、確認のためにジェネラル・ダイナミクス社にアジャイル・ファルコンの主翼面積の算定根拠を問い合わせると資料が残っていないとの回答があり、やむを得ず別の国でそれぞれ算定した結果が一致したのだから正しいのだろうと判断したとのこと。動翼部も増積されており、前縁フラップは約38%増しの4.7㎡、フラッペロンは約36%増しの3.96㎡になっている

*10 前縁の後退角はF-16の40°から33.2°に、後縁はF-16では機体中心線に対して垂直だったが、約6.5°の前進角が付けられている

*11 合計13か所の内、11か所のハードポイントが同時に使用可能。同時使用可能か所数は原型のF-16CGより2か所増えているが、F-2はECMポッドを搭載する必要がないため、実用上は3か所多くなっているのに等しい

*12 原型のF-16は風防と一体化したキャノピーを備えているが、F-2ではキャノピーと分割して強度を高めた風防に変更している。これは、任務上低空飛行する事が多いF-2は、大型の野鳥と衝突する可能性が高いと判断されたため

*13 4,750Lに増加

*14 前縁の後退角は主翼と同じだが、後縁は機体中心線に対して垂直

*15 F-16が事故等で墜落すると周辺が立入禁止になるのは、ヒドラジンによる二次被害防止が理由の一つ。21世紀を飛ぶ戦闘機に有害物質を積みたくないと考えた開発チームの判断で変更された

*16 F-2独自の装備ではなく、F-16も比較的早期からオプションで装備可能になっている

*17 F-16はV型ことBlock70/72相当に改修した機体でもECMポッドの装備が必要で、ECM装置が内蔵されたのはBlock70/72新造機以降の事

*18 横河電機製

*19 島津製作所製

*20 F-16の操縦桿実物大模型と比較しながら発泡スチロールを削って原型を作成したらしい。ただこの原型から作った操縦桿は試験での成績が振るわず、改修したものが採用された模様

*21 専門家であるアナウンサーに依頼したとのこと

*22 機体強度の確認試験において発見されていると言う事は、試験が適切に行われた証拠と言える。ここで見つけられず、生産開始後に発見される方がより深刻な事態を招く

*23 レーダーそのものの不具合ではなく、レーダー開発時の空中試験をF-15Jのレドームで代用して行ったため、実際のレドームとレーダーにマッチングしていない点があった事が原因。解決までに2年以上要したのは、空中試験をやり直した様なものであるため。この時は対処療法的な対策が施され、J/APG-2改修の際に電波反射特性を改善した新型レドームへ交換する事で根本的に解決されている

*24 実例を挙げると、英国機好きで知られる某軍事評論家がF-2配備開始後に上記の主翼強度不足を揶揄する記事を書いている。記事作成の時点で対策されていたはずなのだが、興味がなかったのかF-2配備開始から10年近く後にその記事をそのまま書籍化してしまい、読者からの指摘を受けて次刊に訂正記事を掲載する羽目に陥っている。なお、この評論家は「21世紀にもなってステルスじゃない戦闘機を造るなんて」と、F-2の後に開発されたF-16E/F/VやF-15K/SG/SA/QA/EX、F/A-18E/Fブロック3、Su-35、MiG-35、EF-2000トランシェ3B、JAS-39E、J-10B/C等を否定したととれる批評もしている

*25 低空を音速に近い速度で飛行中、急速な横転操作を行うと垂直尾翼に大きな負荷がかかる事が判明した際は、上記の条件では横転速度を落とす様に飛行制御プログラムを修整して解決している

*26 T-2CCVはカナード翼装備での初飛行時、離陸後の着陸脚収納操作直後にパイロットが意図しない大きな横揺れが発生し、あわや墜落という事態が発生している。脚上げ後の横転操舵反応の設定が高すぎると言うプログラムミスと油圧不足でフラッペロンの反応が操作より遅れる設定になっていた事が原因。テストパイロットが咄嗟に脚下げ操作と手動制御への切り替えを行った事で安定を取り戻し、直ちに緊急着陸している

*27 アメリカ空軍のF-16Cとの空戦訓練では性能差を考慮して2対3とハンディキャップを付けて行うのが通例だったが、アメリカ側から「2対3では訓練にならないから2対6にしてくれ」と言われるほどの性能差があった。これを聞かされた当時の部隊長は「悔しさを通り越して怒りを覚えた」と回想している

*28 増槽未装備+ミサイルフル装備のF-15J改とクリーン状態のF-2の翼面荷重と推力重量比がほぼ同じである事から判るように、真正面から空戦を挑むとF-2の方が不利になる。しかしF-15J改の方が燃料消費が大きく、低空や低速域では特に顕著になる。これを利用して当初は防戦に徹して空戦を長引かせ、F-15J改の燃料が尽きて離脱せざるを得なくなった所で反撃に移るという必勝法が成り立つとのこと

*29 F-1に施された三色迷彩は陸上での欺瞞効果は高いが、海上での欺瞞効果は青色系塗装ほど高くない

*30 海上における低空飛行を行う任務を付与された機体に採用されている事が分かる。F-2配備までの繋ぎとして第8飛行隊に配備されたF-4EJ改に洋上迷彩が施された事もある。また洋上迷彩ではないが、C-2と一部のC-130Hには濃淡三色の青灰色を用いた迷彩塗装、海上自衛隊のUS-2には上面濃紺色塗装、P-1やC-130Rには淡青色塗装が採用されており、自衛隊全体で青色系迷彩塗装機が増加している

*31 F-35Aの配備とF-4EJ改の退役に伴って手薄になる首都防空を担うため、2020年3月に百里基地に移駐し、第7航空団に編入

*32 F-2の操縦転換訓練を担う訓練部隊であり、複座のB型のみ配備

*33 南西方面の緊迫化に対応するため、2016年7月に築城基地に移駐し、第8航空団に編入

*34 2006年3月

*35 飛行教導隊(当時)やブルーインパルスにまで配備する計画だった。真っ先にブルーインパルス用が削られ、次に飛行教導隊用と減耗予備用が削られている

*36 この削減により作戦機に対する予備機の割合が大きく低下し、機体運用の余裕が非常に小さくなっている。このため東日本大震災で18機のF-2Bが水没すると機体不足に陥って訓練に支障をきたし、水没機が修理されるまでアメリカ軍に訓練の一部を委託しなければならなくなっている。また水没機の修理・再生には、早期の生産終了による予算削減を大きく超える1,000億円近い予算が投入されている

*37 2011年4月17日から修理を開始、2015年4月21日に修復1号機(106号機)が納入され、2018年2月28日に最終となる修復13号機(117号機)が納入されている

*38 前者は整備時の配線ミス、後者は若手パイロットの操縦ミスが原因

*39 A型は全機改修されているが、B型は8機のみ改修。B型の改修機数が少ないのは、B型の主用途である操縦転換訓練に必要ない機能であるため

*40 換装ではなく、既存のJ/APG-1に①機器の小型化、②新型高速信号処理装置、超高出力モジュール付空中線及び電波反射特性改善型レドームへの換装、③探知距離延伸用ソフトウェアの搭載等を施してJ/APG-2へアップグレードしている。AESAレーダーの性能指標に用いられるアンテナ素子数を比較すると、F/A-18E/F用のAN/APG-79の1,368に対してJ/APG-2は1,216と約9割であり、より新しいアンテナ素子を使用していることから、J/APG-2の探知距離はAN/APG-79を上回るという推測もなされている。元々J/APG-1はハードの性能にソフトウェアの性能が追い付いておらず、ソフトウェアを改善するだけで大幅な性能向上が見込めると指摘されていた

*41 ランチャーはAV-8ハリアー用に開発されたCRL(Common Rail Launcher)の改修型を採用している

*42 3個飛行隊の定数に相当

*43 つまりJ/ARG-1の搭載が難しいほど容積に余裕が無く、処理能力に余裕のないAMC以前のコンピューターを搭載している能力向上改修前のF-2でも搭載、運用可能なデータリンクシステムという事

*44 Web版では本文に「自機の放つレーザーの反射波で誘導」とあり、地上用LJDAM誘導装置による誘導では無い事が分かる。書籍版では「爆弾自身が放つレーザー」となっており、少し様子が異なる

*45 F-16の初期型も装備していたSRAAM用の16S210ランチャーを改修

*46 F-2開発前に実用化された現行のミッションコンピューターは、配備後に行われた様々な改修により処理能力が限界に達している

*47 AMCの事と思われる

*48 既に改修が進められていた「空対空戦闘能力の向上」と「JDCS(F)搭載改修」の改修予算が、2019年度から計上されなくなっていることが傍証として挙げられる。前者についてはF-2全機分以上のレーダー改修用部品の購入費と実戦部隊分の改修費は既に計上済だが、後者については1個飛行隊分のみ改修費が計上されているだけで、F-15J改と同様のリンク16通信端末に切り替えると報道されている。実は、F-15Jの近代化改修も別々に進められていた複数の改修計画を統合するという似たような経緯を辿っている

*49 44機前後

*50 アメリカ製だがステルス機用ではないJASSM-ERはライセンス生産機のF-15JSI、F-35用のJSMはF-35、国産のASM-3A/-3(改)と12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)はやはり国産のF-2およびその後継機と棲み分ける方針であるためと考えられる。同様の例は他国でも見られ、例えば台湾では輸入したF-16にはアメリカ製のAIM-9、AIM-120、AGM-65、AGM-84を搭載し、国産のF-CK-1にはやはり国産の天剣1/2/2A型、万剣、雄風2型を搭載している

*51 簡単にいうと、F-16F Block60とほぼ同じ装備に載せ変えるという案。改修項目の一つにCFTの追加装備があり、外見上の変化が大きいためか「幻の計画案」の割に一定の人気があり、F-2には試作型とA/B型しか型式が無いことも手伝ってプラモデル等でのシリーズ展開に加えられることが多い

*52 F-15J改の近代化改修とF-15JSIの能力向上改修で最低でも60億円を要するのに対し、F-2はJDAM改修、空対空戦闘能力改修、JDCS(F)改修、能力向上改修を合わせても25億円に満たない

*53 概算要求では予算額は未定で予算枠のみ要求しているが、これは概算要求の時点では次期戦闘機の仕様がまとまっていないため。この事から防衛省の戦闘機開発能力に疑問を呈する声もあるが、外国と協業する場合の具体的な検討を行うための予算がついたのは2019年度予算である。つまり概算要求時点では検討開始から4か月も経っていない。外国や海外企業と協議して可能性を検討している場合、これ位の時間で結論を出すのは無理である。2020年3月に次期戦闘機は日本が基幹部分を開発する日米共同開発とし、更にイギリスから技術協力を得る方針を年内に決定する予定と報道され、実際に2021年度予算で戦闘機用高機能レーダーの共同研究予算として41億円が計上(この他、次期戦闘機の開発等に587億円、戦闘機等のシステムインテグレーションの研究に63億円を要求)、2021年12月22日にロールスロイスとエンジンを、2022年2月15日に英レオナルドとRFセンサーレーダシステムを共同研究すると発表された。2020年7月30日には開発主体となる日本企業1社と単独契約する見込みと報道され、同年10月30日に三菱重工との契約締結が発表されている。2020年12月18日には海外パートナー企業候補にロッキードマーチンを選定したと発表されたが、2022年5月14日にロッキードマーチンとの交渉が難航したことから、BAEシステムズとの共同開発の方向で調整中と報道され、2022年12月9日には日本の次期戦闘機計画とイギリスとイタリアで進められていたテンペスト計画を統合、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)とする事が発表された。日本からは三菱重工、IHI、三菱電機、イギリスからはBAEシステムズ、ロールス・ロイス、イタリアからはレオナルドS.p.A、アヴィオ・エアロ等の企業が参加する予定

*54 F-2に搭載可能な爆弾数より撃沈破隻数が多いことから、バルカン砲での掃射も行っていると考えられる

*55 文字通り、竜殺しの一翼を担ったことになる

*56 無誘導爆弾を路線バスサイズの物体に直撃可能とされる

*57 書籍第3巻冒頭カラーページに制空戦闘を行う第6飛行隊所属の機体記号525号機が描かれている

*58 実用上昇限度よりも高高度だが、カタログスペックは地球での数値なので異世界では同じではない可能性がある

*59 恐らく前回同様LJDAMによる精密爆撃