けものフレンズ+i (けものふれんずぷらすあい)は、同人作家・クイック賄派が執筆していたテレビアニメ『けものフレンズ』の二次創作シリーズの総称。
『けものフレンズ+i』の呼称はニコニコ大百科の単語記事から用いたものである。
クイック賄派が2017年5月24日から2020年11月18日にかけてpixivで連載していた二次創作作品。
「+i」という符号はアニメ1期ファンから「愛」という意味があるとされる。
頒布された同人誌などでは「けものフレンズ+i話世界線シリーズ」、pixivでは「irodori作品+i話シリーズ」と題されている。
テレビアニメアニメ『けものフレンズ』第12話の後を想定しており、サーバル・かばん・アライグマ(*1)・フェネックの一行がゴゴクエリア(ゴゴクチホー)に上陸して旅する内容となっていた。
初回となる「-1+i話「おうち」」は、キャプション文によると「irodori版が終わって寂しかった」ことをきっかけとして「アライさんとフェネックの馴れ初め漫画を描きました。」としている。
初回を投稿した2017年5月24日から年を跨いだ2018年3月29日に「13+i話「うなばら」(その1)」が公開され、シリーズ化に至った。
2021年6月27日、「二次創作から足を洗いたい」とのことで『けものフレンズ+i』の在庫を「全数廃棄する」とのツイートがあり、『けものフレンズ+i』は終了となった。(*2)
作者のクイック賄派は熱烈なアニメ1期ファン・たつきファンであり、アニメ1期を「irodori版」と称していた。
たつきショック以後のクイック賄派はたつきを擁護し、『けものフレンズ2』の炎上時には反KFPのスタンスを鮮明にしたこともあり、KFPアンチやけものフレンズ2アンチから同シリーズは「アニメ1期を尊重する二次創作」として称揚された。
本シリーズはたつきショック以前から執筆されており、その作品の内容自体にはKFP・『けものフレンズ2』などへのヘイト要素は含まれていないものの、作者の主張や思想からけものフレンズファンには敬遠されている。
掲載日時 | タイトル |
2017年5月24日 01:35 | -1+i話「おうち」 |
『けものフレンズ(テレビアニメ)』の本編開始以前の時系列で、アライさんとフェネックの馴れ初めと、アライさんとフェネックがさばくちほーに潜む大型セルリアンと対峙する様子が描かれている。 | |
2018年3月29日 01:35 | 13+i話「うなばら」(その1) |
『けものフレンズ(テレビアニメ)』の本編より後の時系列。バスで海を渡っていたサーバルたちがマイルカ、バンドウイルカ、シナウスイロイルカと出会う。海の底にある火山による噴火でバスが水没しそうになるも、マイルカたちの協力でごこくエリアに辿り着く。そこで発電設備を発見し、バスの電池を充電するためにかばんとサーバルが探索をすることになる。 | |
2018年4月20日 00:17 | 13+i話「うなばら」(その2) |
発電施設でバスの電池を充電するサーバルとかばん。充電に1時間かかるため、近くにあった灯台を探検する。灯台の望遠鏡からは『けものフレンズ(テレビアニメ)』の舞台となったきょうしゅうエリアやマイルカたちの姿が見えた。灯台を降りるとアオツラカツオドリと出会うが、アオツラカツオドリはすぐに飛び立ってしまった。バスの充電が完了するが、日が落ちてきたので砂浜で野宿をすることに。夜、サーバルとかばんはアライさんとフェネックから『ばすてき』での経緯を聞くことになった。しかし、その話が終わるとサーバルとフェネックがなにかに勘付く。 | |
2018年5月31日 00:50 | 13+i話「うなばら」(その3) |
サーバルとフェネックは海の方角から誰かがセルリアンに襲われていることに気付いたのであった。サーバルとかばんは灯台へ向かい、フェネックとアライさんはバスに乗って海へ向かう。海では大きなセルリアンにアオツラカツオドリが捕まっていたが、かばんが灯台の灯りをつけセルリアンの注意をひきつけたことで救出に成功する。サーバルに海にいた理由を訊ねられたアオツラカツオドリは、泳いでいるマイルカたちを空から見ていた、一緒に泳ぎたかったと答える。アオツラカツオドリは「うなばら」(その1)の海底火山の噴火で誕生したフレンズだったのだ。かばんはアオツラカツオドリにフレンズによって得意なことは違う、今のままでいいと諭した。翌日、マイルカたちがセルリアンに襲われるもアオツラカツオドリの攻撃によってセルリアンは撃破される。これをきっかけにアオツラカツオドリはマイルカたちと親交を深めることができた。サーバルたちはバスに乗って陸路を進むが、ラッキービーストがサーバルたちの前に現れる。 | |
2018年6月30日 00:44 | 14+i話「ちくりん」(その1) |
+i話シリーズの位置付けについて
クイック賄派の2019年2月27日のツイートより抜粋(魚拓)
【改訂版v2.00】+i話シリーズの世界の位置づけについて
クイック賄派の2019年2月27日のツイートより抜粋(魚拓)
クイック賄派の認識では、『けものフレンズ』(ゲームアプリ)は「irodori版けものフレンズ」の一部とされ、そこに『ケムリクサ』(自主制作版)から「わかばんちゃん」(*3)とともに「たつきのエッセンス」とされる諸要素が持ち込まれた作品が「irodori版けものフレンズ」であるとされている。(*4) (*5)
そのため、作品に登場するキャラクターはアニメ1期に登場したキャラクターのほか、「irodoriのけものフレンズの一部」と認定したネクソン版のキャラクターに限定すると明言していた。このような方針をとった理由としては、吉崎観音デザインのフレンズは「irodori版けものフレンズとは無関係」と思い込み、使用しないとする考えがあった。
このような思想から、『けものフレンズ2』はテレビアニメ・コミカライズともども「無関係」として、その存在を認めていないほか、舞台版や『けものフレンズぱびりおん』などといった他コンテンツも「irodori版けものフレンズ」とは認めていない。
上記の図解は、図解に描かれた「irodori版けもフレ宇宙」の形状から「コンドーム」という蔑称が付けられている。
『けものフレンズ2』の放送終了後、クイック賄派は過去のPixivに投稿した作品のキャプション文に以下の文章を追記した。
『けものフレンズ2』およびその制作陣に対する激しい怒りの内容であり、「私はあの世界に救われた方々の心と、そしてあの世界の尊厳を守るために、この作品に自分の命と尊厳を捧げたい」とまで発言している。
クイック賄派の主張は、当時勢力を誇っていた『けものフレンズ2』アンチやKFPアンチから激賞された。
-1+i話「おうち」(魚拓)、13+i話「うなばら」(その1)(魚拓)よりキャプション文の一部から抜粋
【追記】
作者はirodoriを100%支持します。
向こうがやったことはファンが大切にしてきた作品世界を悪意をもって踏みにじりファン同士の憎悪を煽る道具にするような、言語道断の行為です。あらゆる創作行為に対する侮辱であると思うし、反社会的な、明確な「悪」であると考えます。私はそのような行為をはっきりと明確な意志をもって否定し、軽蔑し、敵視します。
どうしてただ作品世界を好きだっただけの人たちが、作品世界に心を救われたファンの人たちが作品を嫌いになるまで傷つけられなければならないのか。
そんなことはもう二度と繰り返してはならないし、そのためにも向こうがやったことを絶対に許してはならないと思います。誰かを傷つけたり踏みにじったりするものに対して寛容は成立しません。きちんと否定しなければならないと思っています。
私はあの世界に救われた方々の心と、そしてあの世界の尊厳を守るために、この作品に自分の命と尊厳を捧げたいと思う。
しかし、クイック賄派は「irodoriを100%支持する」姿勢を表明しているが、irodoriは「けものフレンズプロジェクト、『2』製作スタッフが作品世界に対して悪意を持って踏みにじった」という主張、またはそれに近い発言はしていない。
『けものフレンズ+i』にはアニメ1期で登場していないフレンズが多数登場している。
そもそも、サーバルをはじめとしたアニメ一期のアニマルガールのほとんどは吉崎観音がデザインしたキャラクターであるため、「たつきがデザインした」とされるかばん以外のキャラクターを使用したことは、自身で課した方針を自ら破っていることとなってしまう。
さらに、クイック賄派の主張する「ネクソン版がirodoriのけものフレンズの一部に含まれる」という論説について具体的な論拠は示されたことがなく、クイック賄派自身の個人的認識に基づいており、その内実を読者側が窺い知るのは不可能である。
余談だが、ネクソンは『ようこそジャパリパーク』の製作に協力している他、『マビノギ』『テイルズウィーバー』等で『けものフレンズ』とのコラボを行う(*6)、『けものフレンズ3』スタッフと対談しているなどKFPから離脱した後も好意的な関係を保っている。
上記の通り「けものフレンズ+i」においては「『けものフレンズ(テレビアニメ)』と『けものフレンズ(ゲームアプリ)』に登場したフレンズは全てirodori版として取り扱う」と定義されているが、当シリーズに登場するアニマルガールはほとんどがクイック賄派が定義する「irodori版」から外れた吉崎デザインの物である。ナミチスイコウモリもネクソン版ではなく吉崎がリファインしたEX版(*7)となっており、アカギツネ、アオツラカツオドリ、イエイヌ(シバイヌ)などネクソン版、アニメ双方と無縁のアニメルガールも存在する。
作者曰く「たーのしー」世界から引用された「ネクソン版フレンズ」はイヌワシのみ。また、最終エピソードである「18+1話 らぼ」に登場するチンパンジーのみネクソン版とは異なる作者の完全なオリジナルデザインとなっている。(*8)
ネクソン版に登場したアニマルガールについてはイラストが小さいながらも書籍「けものフレンズ オフィシャルガイドブック プロジェクトの軌跡」で纏められている他に稼働している当時の攻略サイトも残っており、ネクソン版とリファイン版のデザインの差異を確認する事は難しくなく、なぜ敢えて作者が「irodori版に連なる『たーのしー』世界」であると認定したネクソン版ではなく「irodori版から要素を引用しただけの無関係な世界」である吉崎によるリファイン版を採用したのかは謎である。
余談だが、本作に登場するフレンズは前述のナミチスイコウモリ、イヌワシ、チンパンジー以外全て吉崎観音デザインの「けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック」に収録されているフレンズ(*9)である。
*1 以降、アライさんと表記。
*3 アニメ1期の主人公「かばん」と『ケムリクサ』の主人公「わかば」の合成語と思われる
*5 最終巻『18+i話 「らぼ」』には『傾福さん』を思わせる背景にかばんとサーバル、りんとわかばが立っているイラストが描かれているが、これが只の読者サービスなのか『傾福さん』『ケムリクサ』とのクロスオーバーを予定していたのかは今となっては不明である。
*6 「マビノギ」コラボはサーバル、カラカルの他キュルル、かばん(2)をフューチャーした事実上の『けものフレンズ2』とのコラボであり、『テイルズウィーバー』コラボもミライ、キュルル、かばん(2)など一期の要素が薄いコラボとなった。
*7 ナミチスイコウモリに限らずネクソン版のコウモリのアニマルガールは全て羽が背中から生えており、吉崎によるリファインで腰から生える形に改められている。本作に登場しているのは羽根の位置が腰に改められたEX版である。
*8 ネクソン版では前髪が左右に分けられており白衣と片眼鏡を着用しているが、本作では前髪が切り揃えられており後ろ髪が纏められお下げになっている他、服はビキニの水着の上からアロハシャツを羽織った様になっており、メガネは着用していない。
*9 言うまでもないが、全て吉崎観音デザインのキャラクターである。