第二回定時放送◆PJfYA6p9PE
古人曰く
始まりの時、まず混沌を創造した絶対者が、次に生み出したものは光であった。
光は昼と名づけられ、続く闇は夜と名づけられた。
光陰は巡り、世界に二度目の朝が来る。
始まりの時、まず混沌を創造した絶対者が、次に生み出したものは光であった。
光は昼と名づけられ、続く闇は夜と名づけられた。
光陰は巡り、世界に二度目の朝が来る。
古人曰く
この日、絶対者は混沌を二つに割り、天上と天下の別を生み出した。
しかし、この世界において、絶対者はそんなことをしたりはしない。
何故なら、天上と天下を分けるのは混沌自身に課せられた役目なのだから。
この日、絶対者は混沌を二つに割り、天上と天下の別を生み出した。
しかし、この世界において、絶対者はそんなことをしたりはしない。
何故なら、天上と天下を分けるのは混沌自身に課せられた役目なのだから。
世に放たれし86の混沌。
既にそのうち50と9が天の上へと召されて消えた。
天の下に存在を許されるそれは、たったの1。
既にそのうち50と9が天の上へと召されて消えた。
天の下に存在を許されるそれは、たったの1。
神聖なる運命が最後の裁きを下すまで、絶対者はその手を下さない。
行なうは、ただ囁くこと。
優しく、厳かに――――そして何より、残酷に。
行なうは、ただ囁くこと。
優しく、厳かに――――そして何より、残酷に。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――夜の帳を潜り抜け、朝の光に浴する幼子たちよ。
私は君達に、心からの称揚と労いの言葉を贈ろう。
私は君達に、心からの称揚と労いの言葉を贈ろう。
おめでとう。
君達は過酷な運命に打ち克ち、この試練の島で一昼夜生き残った。
流された聖別の血は、その類希なる魂をより一層輝かしいものへと変えただろう。
君達は過酷な運命に打ち克ち、この試練の島で一昼夜生き残った。
流された聖別の血は、その類希なる魂をより一層輝かしいものへと変えただろう。
そんな君達だからこそ、これから私が放つ言の葉を、すなわち、第二回目の定時放送を聞く権利がある。
言うまでもないことではあるが、二度同じことはない貴重な機会だ。
心して聞きたまえ。
言うまでもないことではあるが、二度同じことはない貴重な機会だ。
心して聞きたまえ。
まずは、向こう半日で追加される禁止区域を発表しよう。
7時より A-4
9時より H-1
11時より B-8
13時より H-6
15時より F-2
17時より E-5
9時より H-1
11時より B-8
13時より H-6
15時より F-2
17時より E-5
――以上だ。
これから一時間後に次の禁止区域が発動し、以後は二時間毎に数が増えていく。
前の放送の時とルールは変わらない。
禁止区域に踏み込む危険さも、今までと同様だ。
せっかく残った尊い命だ。愚昧な方法で散らしてしまわないことを祈っているよ。
前の放送の時とルールは変わらない。
禁止区域に踏み込む危険さも、今までと同様だ。
せっかく残った尊い命だ。愚昧な方法で散らしてしまわないことを祈っているよ。
――――次に前回の放送から今までの間で、不幸にも命を散らしてしまった者の名前を発表する。
03番 アルルゥ
08番 一休
17番 金糸雀
20番 キルア
21番 ククリ
22番 グリーン
33番 白レン
36番 鈴木みか
38番 蒼星石
45番 ニア
46番 ニケ
49番 野上葵
52番 野比のび太
55番 雛苺
62番 古手梨花
66番 ベルフラウ=マルティーニ
70番 メロ
73番 吉永双葉
74番 李小狼
77番 梨々=ハミルトン
78番 リルル
79番 リンク
86番 ヴィクトリア=パワード
08番 一休
17番 金糸雀
20番 キルア
21番 ククリ
22番 グリーン
33番 白レン
36番 鈴木みか
38番 蒼星石
45番 ニア
46番 ニケ
49番 野上葵
52番 野比のび太
55番 雛苺
62番 古手梨花
66番 ベルフラウ=マルティーニ
70番 メロ
73番 吉永双葉
74番 李小狼
77番 梨々=ハミルトン
78番 リルル
79番 リンク
86番 ヴィクトリア=パワード
――以上23名だ。
聞いてのとおり、選定の儀は已然、滞りなく運んでいる。
3人殺しのご褒美を求める声はますます高く、こちらの支給が追いつかないほどだ。
私もまさか、このルールがこれほどの好評を勝ち得ることになるとは、思ってもみなかったよ。
勇気を持って提案してくれた少年には、この場を借りて感謝を述べておくとしよう。
ああ、無論、支給が遅れている者の元には、この後、すぐにQBを派遣する。
好きな褒美を受け取ってくれたまえ。
それから、あと少しでご褒美に手が届くという者は、急いだ方がいいかもしれない。
当然のことだが、人数が減れば、他人を殺せる機会も減ってしまうことになる。
今なら殺せるという状況に出会ったら、早めに実行に移すことだな。
3人殺しのご褒美を求める声はますます高く、こちらの支給が追いつかないほどだ。
私もまさか、このルールがこれほどの好評を勝ち得ることになるとは、思ってもみなかったよ。
勇気を持って提案してくれた少年には、この場を借りて感謝を述べておくとしよう。
ああ、無論、支給が遅れている者の元には、この後、すぐにQBを派遣する。
好きな褒美を受け取ってくれたまえ。
それから、あと少しでご褒美に手が届くという者は、急いだ方がいいかもしれない。
当然のことだが、人数が減れば、他人を殺せる機会も減ってしまうことになる。
今なら殺せるという状況に出会ったら、早めに実行に移すことだな。
最後に。
君達は選ばれた人間だ。誇っていい。
開始直後にはあれほどいた君達の同胞も、今や三分の一以下の人数になった。
その時間の分だけ、その犠牲の分だけ、君達は確実に救世主に近づいている。
ついに救世主が現れたあかつきには、私は跪き、最上級の礼をもってこれを迎え、
然る後に、その願いを寸分の違いもなく成就させるであろう。
世界を救う道のりは辛く、険しい。
君達もその途上で焼けるような苦しみを味わうことだろう。
しかし、その魔境を越えた先には、只々救世の福音のみが待っているのだ!
救済の時は近い。
君達は選ばれた人間だ。誇っていい。
開始直後にはあれほどいた君達の同胞も、今や三分の一以下の人数になった。
その時間の分だけ、その犠牲の分だけ、君達は確実に救世主に近づいている。
ついに救世主が現れたあかつきには、私は跪き、最上級の礼をもってこれを迎え、
然る後に、その願いを寸分の違いもなく成就させるであろう。
世界を救う道のりは辛く、険しい。
君達もその途上で焼けるような苦しみを味わうことだろう。
しかし、その魔境を越えた先には、只々救世の福音のみが待っているのだ!
救済の時は近い。
次の放送は午後六時だ。
そのときには、更なる練磨を積んだ君達にまた会えることを願っているよ。
そのときには、更なる練磨を積んだ君達にまた会えることを願っているよ。
――今回の放送は以上だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
岩盤を刳り貫いたような荒々しい広間に、再びの静寂が戻る。
豪奢な玉座に身を沈めたまま、この世界の絶対者――冥王ジェダは満足げに唇を歪ませた。
滲み出る喜悦の所以は、先刻終えたばかりの放送か。それとも、右手が弄ぶ銀の輪か。
か細い蝋燭の炎が揺れて、一瞬、輪の表面を照らし出す。
鈍い光沢を返す金属の表には、確かに、“太刀川ミミ”の銘が刻まれていた。
豪奢な玉座に身を沈めたまま、この世界の絶対者――冥王ジェダは満足げに唇を歪ませた。
滲み出る喜悦の所以は、先刻終えたばかりの放送か。それとも、右手が弄ぶ銀の輪か。
か細い蝋燭の炎が揺れて、一瞬、輪の表面を照らし出す。
鈍い光沢を返す金属の表には、確かに、“太刀川ミミ”の銘が刻まれていた。
古人曰く
光や混沌が創造されるより以前、始まりの時よりさらに昔、
そこには闇だけがたゆたっていた。
光や混沌が創造されるより以前、始まりの時よりさらに昔、
そこには闇だけがたゆたっていた。
天上と天下が別れ、
この世の全てが生まれ出て、
幾星霜の時が過ぎても、
この世の全てが生まれ出て、
幾星霜の時が過ぎても、
闇は今も、ここにいる。