全音のみで1オクターブを6等分した音階。
ポピュラー音楽ではホールトーン・スケールと呼ばれる。
C, D, E, F#, G#, A#, C
一般に馴染まれているドレミファソラシドといった音階では、全音と半音の両方が使われているが、全音音階では、全音(長2度)しか使われない。音階を構成する音の数は6個である。
ドレミの次はファではなく、ファ#、ソ#、ラ#、となる。ラ#の次はドになってしまう。
同様に半音ずらすとド#、レ#、ファ、ソ、ラ、シとなる。
主音をどれに持ってきてもこの2種類しか存在しない。
古典的な意味での和声の調和を、全く目標としていない音階である。
全音と半音の配置から決定される
全音階における主音のような音階の中心音を認識することが不可能となり、古典派やロマン派の音楽の大前提であった調性を崩壊させることにもつながった。
独特の印象のある音階である。勿論どんな音階もそれぞれ独特の印象を持っているのだが、全音音階は(普通のピアノで表現可能な範囲での)他のどの音階とも似ていない。
オクターブを単純に等分することによる平坦さは、
平均律と相性が良い。
また調性感覚をぼかすのにも都合が良く、ドビュッシーはそれを目的に多用した。
オクターブの単純分割と言う意味では、減七和音(ディミニッシュ・コード)も同様である。
こちらは短3度によって4分割され、転回を除けば3種の移調のみが存在する。
ベートーヴェンが好んで多用したが、西洋音楽の理念では基本的には3度の積み重ねは和音として認識されるため、これは音階とはみなされない。
最終更新:2009年08月11日 07:48