ある基本音を起点として、音程が協和する(周波数の比が簡単な整数比になる)ように音階を決定していく音律。
音階の各音を幾何学的に決定できる。
ピタゴラス音律と完全純正律が代表的であり、この2つの音律の弱点である、純正から外れた不安定な音程(ウルフ)の存在などを修正した音律(中全音律)も含まれる。
一般に純正律といえば、完全純正律を指すことが多い。
完全5度を2:3、長3度を4:5に取って長音階を、完全5度を2:3、短3度を5:6に取って短音階を得る方法。
長所:協和する音の組がたくさん存在すること、調律が容易なこと、特に協和音程は耳に聴いて心地よいこと。
短所:音の組によっては、周波数比が複雑な比になるために音が響き合わないこと、場合によってはウルフと呼ばれる特徴あるうなりが明らかになること。
同じ音程であっても幅(周波数比)にばらつきがあり、音の並びが不均等であるために、転調・移調がしづらいこと。
短所を解決して、純正な音程と幅広い楽曲に対応する実用性のバランスを保とうとするものが、中全音律やウェル・テンペラメントなど。
純正律と対照的に、純正な音程を全く考慮しないのが、
平均律である。
主要三和音(I, IV, V)を構成する長3度が4:5、短3度が5:6となる音律。
純正律長音階ではI, IV, Vの和音が4:5:6となり、純正律短音階ではI, IV, Vの和音が10:12:15となる。
これ以外の和音の長短3度は必ずしも4:5あるいは5:6とならない。
例えば、長音階のIIの和音は本来は短3和音だから10:12:15となるべきだが、純正律長音階では27:32:40となってしまう。
純正律といってもすべての和音が純正(単純な整数比)ではない。
すべての和音の長3度を4:5、短3度を5:6にできるような単一の調律法は存在しない。
ハ長調の純正律を作るには、まずFから完全5度を2:3としてc→g→d'を求め、次にF、c、gの各音から上方に長3度を4:5とし、それぞれA、e、hを求める。
こうして求めた7音を1オクターブ内に配列することにより、ハ長調の純正律長音階が得られる。
純正律長音階では、長調で最も用いられるド-ミ-ソの和音、ファ-ラ-ドの和音、ソ-シ-レの和音が、それぞれ4:5:6の周波数比で鳴らせるように置かれる。
ファ-ラ-ド-ミ-ソ-シ-レが、
2/3 : 5/6 : 1: 5/4 : 3/2 : 15/8 : 9/4
となり、これらをオクターブ内にド-レ-ミ-ファ-ソ-ラ-シと並べると、
1 : 9/8 : 5/4 : 4/3 : 3/2 : 5/3 : 15/8
となる。
この音律を、先の3つの和音だけを使って演奏すれば、非常によい音色がするはずであるが、
これら3つの和音の次によく使われるレ-ファ-ラの和音は
9/8 : 4/3 : 5/3 (=27 : 32 : 40)
となり、非常に濁った響きとなる。
この音律だけを使って音楽を作曲・演奏することは困難を伴う。
最終更新:2009年08月17日 20:20