「偽」の解字


新選漢和辞典 第7版(小林信明 編、小学館 刊)


意味

一.ギ
 ①<いつわり(いつはり)><にせ>
  ㋐うそ。にせ。「真偽しんぎ
  ㋑つくりごと。作為。
  ㋒正統でないもの。
 ②<いつわ・る(いつは・る)>だます。ふりをする。
二.カ
 ①変わる。改められる。=訛
 ②舟がゆれるさま。

解字

形声。亻が形を表し、爲が音を示す。亻は人。爲には作りなす意味がある。僞は人が後天的に作りなすこと。とくに悪い方の意味が強くなって、「いつわり」の意味になった。音ギは爲の音ヰの変化。


説文解字

人部:僞:詐也。从人為聲。

(部首:人 偽は詐である。人からなり、為が音である)


Wiktionary

発音

音読み:ギ
訓読み:いつわ(る)・にせ

異体字:僞(繁体字、旧字体)、伪(簡体字)




 偽の旁(つくり)である為(爲)はの解字は以下となっている。

象形。母ざるの形。爪と母ざるのからだを表した字。一説に会意。古い形を参照すると、爪と象ぞうを合わせた字。爪は手。手で象を引いている形。また、象を手なづける形で、人手を加える意味とも、象は似ていることで、手振りをまねする意味ともいう。
(新選漢和辞典)

 為の意味は、単独では「為なす(~をする)」、「為なる(~になる)」、「たり(~である)」、「ために(~のために)」、「る・らる(受け身)」となる。

 また為という言葉自体に「いつわる」という意味があり、「佯為いつわりてしらざるまねす」と新選漢和にはある。
 佯の後に動詞を繋げると「~するふり」という意味になるようで、Google翻訳で試してみたところ「佯為不知」で「知らないふりをする」となり、不を抜いた「佯為知」では「知っているふりをする」となった。だからここの為は、為なすなどの行為そのものを示す言葉、英語でのdoに近いものと考えられる。(厳密にいえば「為佯不知」と「do like ~」のようにするべきかもしれないが)



 説文解字では、「偽は詐である」とあった。詐とは、

①<いつわ・る(いつは・る)><あざむ・く>
 ㋐だます。
 ㋑たぶらかす。
 ㋒ふりをする。
②<いつわり(いつはり)>「詐故さこ
③ふいに。突然に。=乍「詐晴させい

形声。言が形を表し、乍が音を示す。乍には、作と同じく、つくるという意味がある。詐は、作りあげたことばで、ことばであざむくことをいう。

とある。






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最終更新:2012年05月14日 09:04
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