「おもう」という言葉の表記には、「思う」と「想う」の揺れがある。
漢語としては、「意」や「憶」、「謂」や「願」なども「おもう」という意味があるようだが、よほどの理由がない限りは違和感を与えることになることだろう。
「思」
【意味】
一
①<おもう>
㋐考える。頭をつかう。
㋑心にかける。したう。
㋒もの思いにしずむ。悲しむ。
②<ああ>感動詞。
③句または文のあとについて語気をととのえる助詞。
ニ
<おもい>気持ち。
【解字】
会意。
囟と心を合わせた字。
囟は頭のひよめきのこと。
思は、心が頭にはたらくことで、深く考える意味を表す。あるいは、脳の中にある心の意味ともいう。
P466
「想」
【意味】
①<おもう>考える。思いうかべる。なつかしむ。
②願う。
③考え。
④…のようである。
【解字】
形声。
心が形を表し、相が音を示す。
相には相手を見るという意味がある。
想は相手を見て考えることから、思いをよせるの意味になる。
P482
古い文学よりも最近の小説で多いのが、通常は「思」を用いて恋愛感情を記す場合には「想」を用いるケース。字解を見るに、間違いではない。だが見飽きて味気なく感じることもあるが。
最終更新:2011年08月13日 00:39