relations sister×sister
ストーリー
オープニング
シーン構成が、あまり巧くない。まず香織と千里が一緒に暮らしている状態を見せておいてから、父親が再婚する前の回想に入るが、回想を基準に前後するのが、「香織と千里と兄弟姉妹になって一緒に暮らす」だけでなく、「春佳と仲直りする」もあり、「美沙と仲良くなる」も含まれる。つまり、「攻略ルートのあるヒロインをすべて紹介しつつ、最低限、攻略可能な状態まで底上げする」というのが目的なんだろうけど、回想に入るまでのシーンと、回想が終わるまで(オープニングのほとんど)との単純なボリュームの差が極端で歪に感じる。同じような導入で始まるものとしては「つよきす」が挙げられるが、あっちは特に違和感がなかったと記憶している。形骸化してる感もあるので、いっそ回想をなくして、ヒロインたちとあまり仲よくない状態→ヒロインたちと仲よくなる、という差し障りのないシーン展開でよかったと思う。
あと、回想に入るまでの登校シーンで、通過儀礼的というか、ありきたりというか、「登場人物の名前を知らせるための、わざとらしい名前の提示」が面倒だと感じた。「~だよな、浩平」みたいに、わざわざ呼びかけの形で名前を別のキャラが云う、それが初見のプレイヤーにとっては「あ、このキャラこういう名前なんだな」と理解することになる、という製作者の意図が丸見え。ちなみにこれは、俺も昔使ってた方法で、地の文やモノローグなどで「こいつは、春佳。俺の幼馴染だ」みたいに、主人公が他キャラ紹介するのが嘘くさくてやっていた。どちらももはや嘘くさく、逃れようがないようにも思う。そもそもゲームに限らず物語において、序盤はえてしてキャラクター紹介に時間を譲るもので、それを回避しようとするのもしらじらしく、かといってこんなところで策を弄する問題でもないから。つまり構造的に、序盤はキャラクター紹介をせざるをえない、そしてその方法には、地の文――つまり現実的には、会話などのような多人数のコミュニケーションで自然を装ってキャラクターの名前や特徴を提示するという方法――を使うか否か、以外にはないみたいなんだよな。もしこの既に構造に組み込まれた嘘くささを回避するには、「ギャルゲってこういうもんでしょ」という枠組みを崩さないといけない。思うに、以前プレイした「euphoria」には、そんな嘘くささは感じなかった。そこを考慮すると、「ギャルゲってこういうもんでしょ」、つまり普通の高校生(もしくは大学生)の男子生徒が主人公で、同じ年代の女子などと仲良くなり、攻略キャラはだいたい6キャラ前後、甘酸っぱい青春の恋物語を追体験できる、というテーマのゲームであるかぎりは避け得ない気がする。こうした傾向は、攻略キャラの多さを謳って、1クラスの女子を攻略キャラに入れたりすると、より顕著になるようにも思う。もうその段階では、「このキャラはこういう属性の娘で……」という形式・機械的な、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるの作業にすら感じる。
ちなみに、オープニングが過ぎて、選択肢が登場する辺りで、すでに全員デレに近い状態。
概評
ギャグというか、ストーリーの笑いどころというか、むしろライターの思う「ここ面白いところですよ!」的な緩急は、スベリ気味。なんというか、おざなり? 適当? お笑いやコントみたく、ネタを本気で盛り込んでいる感は皆無で、「こういう具合でようござんしょ?」みたいな大体の相場を下回らないギリギリの程度って感じ。
システム
特色これといってなし。作画はけっこう好きなほう。
静ルートで、スパに行った後の静と美沙の感謝の電話がかかってくるシーンで思ったことがある。たぶん、ルートとしては静と美沙は途中まで一緒なんだろうけど、選択肢によってフラグのon・offがあって、細かい分岐をするわけじゃん? で、俺は静の好感度が上がる選択肢をとってたわけなんだけど、このシーンでは、静から電話がかかってきて、美沙からも電話がかかってきて、タイミングがズレてたらどっちかが通話中になってたかもなー、って主人公のモノローグが入るんだけど、その後3度めの電話がかかってくる。そこで、よくわからないシーン転換をしたわけ。いわゆる、画面が一度ブラックアウト(暗転)して、背景が変わるヤツ。今回は、背景が変わらなくてブラックアウトしかしなかったから、変に思ったんだけど、これってたぶん「フラグによるシーン転換」なんだよね。俺は静のフラグを回収してたから、その3度めの電話は静だったんだけど、美沙のフラグを回収してたら、3度めの電話は美沙だったんだろうな、と。つまり、静&美沙共通ルートから単独ルート(ルートというよりフラグonで文章が変わってるだけだから、当然すぐ共通ルートに戻るんだろうけど)に移行するときに、わざわざブラックアウトさせてるってこと。
これって、俺は不必要だと思ったのよね。だって、プレイヤーにとっては、なんの意味もないブラックアウトじゃん? だから、制作サイドが判別するための記号でしかない。だったら要らないじゃん? もちろん共通ルートから単独ルートに移行するとき、毎回ブラックアウトするわけじゃないんだろうけど、構造的に回想が入るわけでもなし、時間軸も同じ、場所も同じ、登場人物も同じなんだから、ブラックアウトの意味がないんだよね。むしろこういう疑いをプレイヤー(一応俺もプレイヤーだしね)にもたせるってのは、有害ともいえるしね。
キャラルート
ルートは、まず静から。
オープニング後、とりあえず好みで静の攻略を目指す。どうやらバイト仲間という関係からか、美沙の攻略ルートとも交差してそう。というか、いつのまにか「静と美沙、どちらを選ぶか迷っている状態」にいつのまにか主人公が陥っていた。選択肢も「静を選ぶのか、美沙を選ぶのか、どっちなんっだいっ!」と、きんに君ふうなものが。フェイクの選択肢を設けるとか、ゲーム性を考えるとかはないみたいだね。
わりとすぐのイベント、プールで水着。恥じらう女性2人に「どっちがカワイイ?」と聞かれて照れる主人公。こういうシチュは、恥ずかし笑いが止まらないw 未だにこの笑いがどういった種類のものか判断しかねる。青臭いのがくすぐったいってだけかな? セリフのクサさにライターの姿が薄ぼんやりと見えて腹が痛いというのは、少しながらあると思う。
若干ながら、デレが早すぎるかな、ともったいなさを感じる。
これをいっちゃお終いではあるんだけど、バイト先の先輩と同輩と後輩と一緒にスパに行くって、ありえないよね。ゲームだからアリ、とは素直に云えないんです><
キャラクター
主人公
フツーの高校生、イベント絵に差し込まれる顔から、かなりのイケメンであることは疑い得ない。そして自活能力はあり、人柄もいい、鈍感な男。テンプレ通りだが、むしろ鈍感なのが顕著でわざとらしい。
静が美沙に嫉妬した後、仲直りして静と美沙が2人だけで帰宅するシーンがあった。このシーンには主人公は介在しておらず、主観視点ではなく第三者視点になっていた。これは主人公が知りえない情報をプレイヤーに知らせることができる(実際、美沙は静に「浩平が好きなの?」という質問をする)が、主観型のギャルゲーにおいては、主人公=プレイヤーという擬似的な設定を崩すことになるので、拙いよね。
春佳
幼馴染かつ比較的軽度なツンデレ。
香織
奔放な年上。
千里
純真な妹キャラ。
静
クーデレ。
美沙
完全なツンデレ属性。
亮太
ブッ飛んだ親友。テンプレ。イケメンなのにモテない。しかしプレイヤーの投影たる主人公をお膳立てするためとはいえ、カッコよすぎ(絵が)。
テンプレエロゲの親友キャラでは、「つよきす」のスバルが一番かな?
最終更新:2011年11月29日 21:09