― メメント・モリ ―
― 人は、いつか必ず死ぬ ―
―――死を想え。
生とはすなわち死することであり、死あるからこそ人は生きる。
それでは生とは何か。死とは何か。
生とは人が自らの『役割』を見出すこと、そして役割をまっとうすること。
死とは……その役割を終えること。
そして、人は他人なくして生きられない。
生とは、ほかの誰かのために自らの役割を演じること。
死とは、自らの役割を果たすこと。
それが、人の使命。
人は、それぞれの役割を見つけ、終わりまで演じ続けねばならない。
その役割を果たすのに、生きた時間は……関係ない。
―――杜王町内、カメユーマーケット。
タタタタタタッ!
アッコは店内のエスカレーターを駆け上がっていった。
アッコ(『トウヤ』はクレハが、『ヴァン・エンド』はリクねえちゃんがついてイルとしたラ、ディエスを除けバ残っているのは
『弓と矢の男』ダケ、ソレは間違いナイ………。ゴダイとクドウとアタシの3人で戦えバ大丈夫ノはずなんだけど……。)
建物内に入ったときから感じていた不穏な空気が、アッコの胸中の不安をいっそうかき立てた。
おぼろげに浮かんだその不安は、上の階へ上るにつれて強まっていった。
アッコ(ゴダイ……クドウ………!!)
最上階へ上ると、そこにいたのはアッコが予想したとおり、五代と九堂、そして『弓と矢の男』……キル・シプチルだった。
だがしかし、目の前の光景はアッコが思いもよらなかったものだった。
目にも留まらぬ速さで攻撃を仕掛ける五代と、それをかわし続けるキル。
そして、それをただじっと見つめている九堂の姿……。
アッコは戦いの前に立ち尽くす九堂に駆け寄った。
アッコ「クドウ!!」
九堂「……………」
九堂はアッコに応えず振り向かず、じっと戦いを見つめていた。
アッコ「クドウってば!!何が起こってルノ!?」
九堂「…………」
それでも九堂は動かなかった。目を見開き、目の前の戦いにまるで見入っているようだった。
アッコ「ゴダイをサポートしなきゃ……『ファイン・カラーデイ』!!」
アッコはスタンドを発現させ、キルのもとへ向かおうとした。
ガシッ!!
アッコ「!?クドウ?」
アッコの両肩を九堂が後ろから抑えた。
アッコ「ナニするんだ、クドウ!」
九堂「だめだ……!」
アッコ「なにガ!!」
九堂「あの中に……はいっちゃいけない。俺たちは、この戦いを、見続けなければいけないんだ。」
アッコ「ナニいってるノ……!」
九堂「五代は俺たちに、何かを伝えようとしている。そして同時に……アイツのために、俺たちは入ってはいけないんだ!!」
アッコ「ソンナこと言ったって……」
五代は5階に入ってきたアッコに気づいているのかいないのか、それにかかわらず脇目も振らずにキルと戦い続けていた。
しかし、キルには傷一つ見られないのに対し、五代にはラクリマ・クリスティーの攻撃によるものか、こめかみや脇腹など、切り傷がいくつも見られた。
アッコ「コノママじゃ……ゴダイが死んじゃうよ!」
五代は腕を伸ばしてのズームパンチ、脚を伸ばしての蹴りなどして、攻撃を仕掛け続けていた。
休息をはさむ間もない中続くキルとの攻防は10分以上も続いていた。
五代の体力はすでに限界を超えているはずだった。
疲労で倒れてもおかしくはないのだが、攻撃のスピードは一向に衰える気配を見せない。
キル(なぜだ五代……策もなく無我夢中に攻撃をつづけているうちには決して勝ち目はない……常に冷静なおまえが、それがわからないはずはない!)
ブオンッ!
ワン・トゥ・ワンの拳が、キルの顔面に迫る。
……しかし、ラクリマ・クリスティーの『すり抜ける』能力により、拳は空を切ったように振りぬかれる。
キルがその隙に攻撃を仕掛けようとしても、五代はすぐに体勢を立て直し、再び攻撃を仕掛ける。
だが、それもラクリマ・クリスティーの能力によりかわされてしまう。
長く続く攻防の中でキルは無傷でいつづけたが、五代を攻めきれないのには理由があった。
ディエゴ・ディエスの右腕として働き続けてきたキルは、百戦錬磨の実力を誇る。
戦闘の経験は一般の戦闘員はおろか、幹部の棟耶輝彦さえもはるかに凌ぐ数だ。
それにもかかわらず、いま戦っている五代はこれまで感じたことのない迫力を放っていた。
かつてディエゴ・ディエスと戦ったときでさえも感じなかった迫力を。
五代は以前河川敷で対面したときから成長しているとはいっても、それだけでは説明のつかないほどの覇気が、いまの五代の全身から発せられていた。
キル(何だ、これは……?今、五代を何が突き動かしているというのだ……?)
グオオッ!!
ワン・トゥ・ワンの拳がキルの肩をすり抜け、勢いで五代はキルの背後へ移動した。
キルが振り返ると、五代はすでに裏拳をまわしている。
キルはそれをすり抜けさせるのでなく、右腕でガードした。
五代の拳でなく手首を防ぎ、ダメージを防いだ。
しかし、それでもキルが追撃する隙はなかった。
五代はすぐさま脚を振り回し、キルにそれを弾かせて距離を置く。
そして、息も切らさず、足も止めず、五代はキルに突進していった。
その様子に、九堂だけでなく、アッコも見入ってしまっていた。
助太刀しようにも、むしろ五代の邪魔をしてしまうのではないかと思うほどのレベルだったのだ。
アッコ(こういうコト、思っちゃいけナイことなんだろうケド……)
アッコ「なんて、綺麗なんだろう………」
近くにいる九堂も、それに応えはせずとも同じ気持ちだった。
攻撃し続ける五代は仲間のほうに脇目も振らず、ただキルだけを見ていた。
キル「なぜだ五代……なぜここまで戦える?四宮の復讐心だけでは説明がつかない……!!」
キルの問いかけに五代は答えず、攻撃をつづけた。
キルが感じたように、五代の攻撃は冷静さに欠けてはいたが、激情に身を任せた暴力でもなかった。
アッコ「ネエ、クドウ……ゴダイはどうしちゃったの?ドウシテ……あそこまでできるの?」
九堂は目の前の戦いを見つめたまま、アッコの問いかけに答えた。
九堂「五代は……いま、命を燃やして戦っているんだ……。」
アッコ「いのちを……もやして……。」
キル(五代……衛……!ここまでとは、予想していなかった。だが……このままでは、いずれ終わりは来る……!)
五代は意識と無意識の狭間で、攻撃を繰り出し続けていた。
脳内麻薬が大量に分泌されて覚醒状態の五代は、キルの行動が手に取るようにわかった。
能力によりすり抜けても、ガードされても、五代は次々と最善の一手を繰り出していた。
何が五代をここまで突き動かすのか……。
……それは、五代がはじめて仲間のために戦っていたからだ。
めまぐるしく続く連撃の最中で、五代は思った。
――四宮。
おまえは言ったな。『今度は、おまえを救ってやれた』と。
そして、笑って死んでいった。
それが何故か、俺にはわからなかった。
自分のためでなく、俺を助けるため……他人のために死ぬなんてよ。
だが、今……
なぜ、おまえが死の間際に笑っていたのかわかったような気がする。
『だれかのために戦うことが、これほど嬉しいことだとは、知らなかった。』
だれも信用できなかった俺たちが、だれかのために戦えることが、こんなにも……
あいつらに出会えて、よかった。
………四宮と同じく、俺も仲間のため戦おう。
『九堂が、こいつに勝つことができるように』、
たとえ、命を投げうつことになろうとも……俺が仲間のため、道を拓こう。
仲間達に、勝利のカギをわたすこと……それが、俺の役割なんだ!
五代「う お お オ オ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛! ! !」
五代の全身が膨れ上がった。高さが5m近い天井に頭がぶつかりそうになるほど体が大きくなり、
猛牛のような咆哮をあげる。
キル「体のすべてを、『2倍』にしたか……!ここまでの精神力とは………!!」
ブオオオオオオオ!!!
丸太のような腕と巨大な拳が、キルに向かって振り下ろされる。
キル「だが……だが、それでもなお、私を倒すことはできないッッ!!」
ズガアアァァン!!
拳はキルの体をすり抜け、床を粉々に砕いた。
床下の砂埃がフロア中に舞い散り、五代からキルの姿が見えなくなった。
しかしそれでも、五代はキルの居場所をしっかりと把握していた。
五代は床の上をなぎ払うように、大きな腕を振った。
ドガガガガガガ!!
段ボール箱、棚などがなぎ払われるが、キル・シプチルに当たった感触はない。
ガクン!
膝の力が抜け、五代は身を崩した。
体力の限界などとうに超えているのだ。
キル「五代……衛……!!」
片膝をつく五代の前に、キルがスタンドを発現させて立っていた。
五代「ウオオオオオオオオオオオ!!!」
五代は右腕を振りかぶった。
しかし、その直後、五代の体は徐々に元の大きさへ縮んでいった。
意思に関わりなく、スタンド能力を使う気力は五代の体にはもう残っていなかった。
キル「これで……終わりだッッ!!」
キルは五代に向かって一直線に近づき、ラクリマ・クリスティーの拳を五代に向け突き出した。
ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!
模、紅葉……
おまえたちがここにいなくてよかった。
いればきっと……
よけいなことを、言ってしまいそうだから……。
五代「四宮……そこにいたのか……。」
ズバァッ!!
砂煙が晴れ、九堂とアッコからも、二人の姿が見えた。
しかしそこに見たのは、最悪の光景だった。
五代の足元に広がる、大量の血……
五代の腹から背中に向け突き出た、ラクリマ・クリスティーの腕……
九堂「五代ィィィィィィィィィ!!!!!」
【カメユーマーケット内】
× 五代衛 - キル・シプチル ○
【名前】
五代衛
【身長】
193.0cm
【血液型】
B
【好きな食べ物】
ミソラーメン
【嫌いな食べ物】
海藻類
【趣味】
筋トレ
【好きなマンガ】
『蒼天の拳』『サンクチュアリ』
【スタンド名】
ワン・トゥ・ワン
【タイプ】
近距離型
【特徴】
真ん中から左右対称でカラーリングが違う人型
【能力】
物を『2倍』にする
長さや重さ等本体が認識出来る物事を2倍にする。
倍に出来るのは1つだけで1つの物への連続使用や
複数の物を同時に倍にする事は出来ない
長さや重さ等本体が認識出来る物事を2倍にする。
倍に出来るのは1つだけで1つの物への連続使用や
複数の物を同時に倍にする事は出来ない
破壊力-A
スピード-B
射程距離-C
持続力-D
精密動作性-C
成長性-A
to be continued...
当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用、AI学習の使用を禁止します。