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第11話『フー・ザ・ファック・アー・アークティック・モンキーズ?(Who The Fuck Are Arctic Monkeys?)』その②

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orisuta

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「受けるよりも、与える方が幸いである」

昔、こんな言葉をどこかで読んだ。聖書だったか、小説だったかそれは覚えていない。
俺には理解できない言葉だ。人に何かを与えるのは見返りを求めているからであって、行為自体に幸福感を覚えたことはない。

『試練』を受けたあの日、親父は言った。
子供の頃、俺がホームレス達にキャンディを配っていたと。歳を重ねるにつれて子供の純粋無垢な感情と感覚はなりを潜め、
打算的とまでは呼ばずにしても人並みの利害感覚は持つようになった、今の俺では到底ありえない記憶だ。

こうも言っていた。
この経験こそが、俺の『能力』の原点であり、力の本質であると。
俺は慈愛と冷酷を兼ね備えていて、自由に使い分けることができる・・・らしい。

キャンディを『与えて』愛を振り撒き、ナイフを突き刺して命を『奪う』。
それが俺の『チカラ』。自分でもさっぱりわからない話ではあるが。


何故こんな話を急に思い出したかと言うと、今さっき俺の隣に座っている『女性』が前述の格言をボソリと呟いたからである。
たくさんの十字架をぶら下げた黒い装束に身を包んだ、キリスト教信者の女性。
警官達でごった返すアジトの中、明らかに場違いで一際目立つこの女性こそ、今日の作戦で互いの運命を共有しあう俺のパートナーだ。

丈二「・・・・」

女「・・・・ブツブツ」カリカリ

丈二「・・・・・・」

イスに座って机に向かい、聖書を開いて熱心に引用した聖句をノートに書き留めている。
もう二時間くらいはずっとこの調子だ。この後礼拝にでも行くのだろうか。

女「ブツブツブツ・・・・・・」カリカリカリ

丈二(だ、大丈夫かよこの人・・・)
 
 
 




作戦当日

数時間前
~天野のアジト AM1:44~

ギシギシ、アンアン

未来「・・・・」じーっ

丈二「どう?結構いいだろ?」

未来「しっ!黙って」

丈二「はーい・・・」

ガラガラッ

天野「丈二、いるか・・・ってうわ!何見てんだお前ら!」

丈二「何って・・・AVだけど?ノックしてから入れよな」

天野「こんな大事な日になんでAVなんか見てんだ!」

未来「大事な日だからですよ・・・考えたくないけど、死んじゃったらもう見れないですから」

丈二「そういうこと。天野さんも座りなよ」

天野「私はいい!AVは一人で見るものだ!」

丈二「そ、ならいいけど。
   いいだろこの女優、すげえよな」

未来「確かに・・・これは素晴らしい素材だ。さすが丈二、御見それいたしました」

丈二「俺のコレクションはすげえんだぜ。なめんなよ」

天野「いいから来てくれ丈二、会わせたい人がいるんだ」

丈二「?」
 
 
 




天野「知り合いのスタンド使いが到着した。挨拶しておけ」

丈二「ああ・・・わかった。
   未来、次のヤツ再生し始めといて」

未来「了解」

ガラガラッ

未来「どれ、次は・・・洋物か。なになに・・・
   『マージィ・ハリソン 俺の下はスタンドだ!』・・・」

未来「すごいなアイツ とんだエロ外交官だ」


作戦決行は数時間後。準備で忙しい体育館内にいるのは、書類を持って駆け回る者、外部と連絡を取る者、買出しに行く者、仮眠をとる者達。
天野に連れられ、丈二は彼らを横目に館内を突き進み、体育館ステージ脇の小部屋に入る。
中では初めて見る四人の若い男女が、テーブルを囲んで紙コップのコーヒーを啜っていた。

天野「昨日話した知り合いの『スタンド使い』達だ。左手前から、神田、新藤。右が木村、石井だ。」

丈二「よろしく。城嶋です」

木村「よろしく~」

石井「よろしくな」

新藤「よろしく」

神田「・・・・・・」

金髪でシルバーアクセが目立つチャラ男系の木村、黒短髪でこの真冬にTシャツとジーンズの体育会系・石井。
大学生風で、優男的な雰囲気を醸し出す新藤。そしてこちらの挨拶が届いていないのか、返事もせず一心不乱に聖書を読む女性、神田。
予想していたよりは普通かな、というのが丈二の最初の感想だった。

丈二「あ、あの~・・・」

神田「・・・・・・」ペラッ

木村「ああ、気にしないで。この娘こういう子だからさ」

丈二「はぁ・・・」
 
 
 




天野「丈二、お前のスタンドはもういい。きっと無理だ、間に合わない。」

丈二「! そんな、でも・・・」

天野「わかってる、作戦には出たい。そうだろ?気持ちはわかる。
   だからこいつらの内の一人を、お前に同行させようと思う。」

丈二「え?でもそんなことしたら人数が・・・」

天野「残り一つの給水所は警官の数を増やしてなんとかする。心配するな
   個人的にはこの子を連れて行ってもらいたい」

神田「・・・・・・」ペラッ

丈二「俺はいいけど、決めるのはこの人だぜ」

天野「神田!聖書を閉じろ!」

神田「!! わっ、す、すみませんっ」

急に大きな声を出され、神田がビクリと体を竦ませる。
神の下へ飛んでいた意識は呼び戻され、神田はようやく体を二人の方へ向けた。

天野「午後の作戦だが、こいつに同行してもらいたい。城嶋 丈二だ。
   『スタンド使い』だがワケあって今スタンドが使えない、いいか?」

神田「は、はい・・・いいですけど・・・」

天野「決まりだな。では残りの三人は先ほど話したとおり、各自指定のポイントへ向かってくれ。」

三人「了解」

丈二「よろしく、神田さん」

神田「『神田 愛莉』です、よろしくおねがいします・・・」
 
 
 




~天野のアジト PM3:33~

午後3時を過ぎ、いよいよ作戦決行の時間となった。
世田谷の6つの給水所に、それぞれスタンド使いと警官隊が5、6人のチームを組んで向かう。
突入作戦を行うにしては人が少なすぎるが、『組織』の目を掻い潜ってやるにはこれ以上人員を増やせなかった。

天野「目標は『ウイルス』の確保!私はここに残って各隊との連絡を取り仕切る!
   作戦遂行に関して、私の指示を仰いでくれ。では第一陣、出発!」

未来と警官隊を乗せたバンが、校庭を進んで校門から車道に出る。
後に続いて第二陣、三陣とバンは次々に車道へ進入していった。
丈二がサイレンサーを装着した拳銃を一丁懐にしまい、神田、4人の警官と共にバンに乗り込む。

コンコン
天野「丈二」

ガーッ
丈二「?」

天野「死ぬなよ」

丈二「・・・努力はする」
ガーッ

ブロロロロロン・・・

天野「・・・・・・」

榎木「天野さん、回線が開けました」

天野「よし、体育館へ戻ろう」

榎木「上手くいくでしょうか・・・この作戦」

天野「やることはやった。後は祈るだけだ」

榎木「そうですね・・・」
 
 
 




~駒沢給水所 PM4:05~

丈二ら6人を乗せたバンは、世田谷の給水所の一つ、駒沢給水所へ到着した。
住宅地のど真ん中にそびえ立つ城のような二つの給水塔を車窓から覗き、高鳴る胸を抑えながら丈二がバンのドアを開ける。
駒沢給水所は無人の施設だが、水道局の厳重な警備のおかげで一般人の立ち入りは不可能となっている。
しかし『組織』は既に侵入を済ませていた。表に『組織』で使用されている黒のSUVが駐車してあったのだ。

丈二「行こう」

警官達を引き連れ、丈二は施設内に足を踏み入れた。


~和田堀給水所 PM4:05~

同時刻、未来らもまた指定されたポイントへの到着を済ませていた。
和田堀給水所は世田谷への給水を行う施設であるとともに、駒沢給水所をはじめとした都内7箇所の無人施設の管理も行っている。
それらで発生した不法侵入等のトラブルは、全てこの和田堀給水所に通知されるのだ。
つまりこの場所こそが東京水道の要。ゆえに必ず柏は自らこの要塞の制圧に乗り出すだろう、と天野は考えていた。

未来(・・・行きます)クイックイッ

警官達(・・・・・・)コクリ

未来が指で合図を送り、警官達がそれに頷く。
見たところ敷地内に人影はない。おそらくこの施設の中枢部に奴らがいる。
銃を下に向けて構え、未来たちは目標の建物まで一気に駆け出した。
 
 
 




~天野のアジト 同時刻~

たくさんの通信機器に囲まれた館内で、天野・榎木ほか数名の警官が各隊からの状況報告を待っていた。
簡易で質素な設備だが、この場所こそが本作戦の頭脳であり脊髄である。
複数の隊が別々の場所で同時に行動を起こす本作戦では、突入隊間の連携が最も重要であり、
情報伝達に少しでも『ひずみ』が生じれば、それだけで全隊全滅なんてことも十分にあり得る。
そのため垂れ流しにされつつある情報を一纏めにする機関が必要であり、その役目をこの体育館に居る人間が全うするというわけだ。

プーッ、プーッ

ガチャリ
天野「天野」

木村『玉川班、指定ポイントに到着。』

天野「了解、玉川班。合図を待て」

プーッ、プーッ

ガチャリ
榎木「榎木だ」

新藤『大蔵班、準備完了』

榎木「了解。合図する」

班の名前は、保護対象の各水道施設から取られている。
天野の下へそれぞれの情報が集まり、着々とコマの配置は進められていく。

未来『和田堀班、指定位置に移動中』

石井『こちら石井、砧浄水場に到着』

警官達『砧下班、浄水場に到着。指定ポイントにて待機』

天野「了解、各隊指定ポイントにて待機せよ」

榎木「各隊、突入準備完了です」

天野「あとは丈二の班からの連絡を待つだけだ・・・」
 
 
 




~駒沢給水所 PM4:11~

『試練』のとき、父(の幻影)から受け取った図面は、この施設のものだった。
だからとてもスムーズに行動できた。図面にはありとあらゆる駒沢給水所の情報が網羅されていたから。
問題はこの後である。各隊指定の待機ポイントに、図面には記載されていない新たな要素が見付かった。
『人間』だ。

丈二(・・・やべえ・・・)ゴクリ

神田(・・・・・・)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

工作員「・・・・・・」

無人の施設に人がいるということは大きな問題ではない。『組織』の攻撃が始まりかけているのだから、当然付いて回る要因である。
だが想定していたより遥かに数が多い。丈二らの指定地に立ち尽くす『組織』の男はマシンガンを肩からぶら下げ、無線機を握っている。
しかも厄介なことに、男は2分毎に無線機を使い仲間と連絡を取り合っていた。

丈二(気絶させて侵入するか・・・?だが無線・・・
   仲間の連絡が途絶えたら奴らは俺達に気付く・・・どうする・・・?)

神田(丈二)ボソッ

丈二(?)

神田(私の『能力』なら突破できます。援護してください)

丈二(・・・・)

付近の物陰から、第二ポンプ所前の男の様子を伺っていた神田が、小声で丈二に提案する。
そういえば自分はこの娘の『スタンド能力』について、何も情報を持ち合わせていなかった。スタンド名も知らない。
いや、そもそもその他のことに関しても自分は致命的に無知だった。知っているのは名前と、何が心の神なのかということだけだ。
少し考えたのち、それ以外に方法が見付からないので丈二は神田の閃きにノることにした。

丈二(待機)クイッ、クィッ

警官達(・・・)コクリ

丈二が警官らにサインを送り、その場に待機させる。
物陰から飛び出した2人は、男が気付くより先に距離を詰めて、銃を引き抜いた。

バッ!

男「!!」

丈二「・・・・」カチャッ

ビシュンッ!

バスッ
男「ぐ、ああああああああ」

サイレンサーの付いた拳銃から放たれた無音の弾丸が、男の右ひざを正確に抉る。
悲痛な雄叫びを上げ、男はその場に倒れこんだ。
 
 
 




丈二「で、この後どうするんだ?」ザッ

丈二がひざを抱える男に近づき、無線機とマシンガンを足で払い除け、背後の神田に問う。
男はぐるぐると獣のように低い呻きを漏らしながら、負の視線を2人に注ぎ続けていた。

神田「この人に、『仲間が配置されていないルート』を案内してもらいましょう。」

丈二「・・・待ってくれ、こいつが教えてくれるってのか?『警備の抜け道』を?
   仲間を裏切って?案内って言ったが、こいつのヒザを見ろよ。これじゃ歩けもしないぞ」

神田「この人の案内に従います」

丈二「だ、そうだけど・・・協力してくれるか?」

工作員「バカじゃねえのか・・・?く、クソ・・・オラ、さっさと殺せよ!どうした撃てッ!」

丈二「こいつは仲間を裏切らない!どうするんだ、あと30秒で仲間からの定時無線連絡が入るッ!」

神田「・・・・・・」

カチャッ
丈二「無線機を取れ!『問題なし』と言うんだッ!」

工作員「へッ・・・ゴメンだね くたばりやがれ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

神田「人は・・・」

丈二「!?」

神田「人は誰もが『罪』を背負っています。多かれ少なかれ・・・
   貴方にもあるでしょう?誰かの信頼を『裏切った』経験はありますか?『親の期待』ですか?『友の誓い』ですか?」

工作員「・・・・・・」

丈二「何してるッ!あと15秒だ、間に合わない走ろうッ!」
 
 
 




神田「『モノブライト』!」

ドバァァーーーン!

工作員の頬に手を伸ばした神田が、突然高らかに声を上げる。
直後、神田の隣に十字架を背負った黒い『小人』が出現した。彼女のスタンドである。

丈二「!?」

神田「引きずり出しなさい、モノちゃん!」

モノブライト『REEEEEEEEE!』

ガシィッ!

工作員「!? う、うおおおおお!な、何だ・・・?」

神田が男に触れた瞬間、男の体から真っ黒なオーラのようなモノが浮き出した。
それを『モノブライト』が掴み、後方へずるずると引きずり出していく。
男の体から完全に離れた黒いオーラ体の物質は、ぐにゃぐにゃと形を変えていき、工作員本人の姿となった。
さながら、ドッペルゲンガーのように見える。

神田「『あなた』は裏切らないかもしれないけど、『こっちのあなた』は裏切りますよ。
   だって、これはあなたの『裏切りの記憶(罪)』が形となったのですから。」

丈二「い、一体これは・・・?」

神田「丈二、無線機をこの『黒い人』に」

丈二「・・・・・・」スッ

神田「さ、お願いしますね。『問題なし』とお伝えください」

無線機を受け取った工作員の『魂』に、神田が両手を合わせてニッコリと微笑みながら命じる。
コクリと頷いた『黒い魂』は、無線機から発せられる仲間の問いかけにハッキリとした口調で応答した。

ピー・・・ガガッ
仲間『どうだ?以上はないか?』

工作員(黒)「・・・問題はない。」

仲間『そうか、ならいい。サボるんじゃないぞ、終わったら飲みに行こう』
プツッ

ツー、ツー・・・

神田「・・・どうですか?うまくいったでしょう?」

工作員「バ、バカな・・・それは、そいつは・・・『俺』なのか・・・!?
    『声』も『姿』も・・・!」

丈二「そうみたいだな、俺も初めて知ったが・・・
   ま、とりあえず寝てろ」ドゴッ!

ドサッ

神田「ではまいりましょうか。この方が案内してくれます」ニッコリ

工作員(黒)「・・・こっちだ、付いて来い」
 
 
 




~天野のアジト 同時刻~

プーッ、プーッ

天野「! 丈二か!」ガチャッ

丈二『駒沢班、指定ポイントに到着だ』

天野「よくやった・・・!
   おい、全回線を開け!」

部下に命じ、天野が各隊との回線を一度に開放する。

天野「突入開始ッ!!」

天野のみんなの背を押すような力強い声が、体育館内に響き渡った。
無線越しにそれを聞いた突入隊のメンバーが、一斉に行動を開始する。

天野(頼んだぞ・・・!)



~駒沢給水所 PM4:16~

工作員(黒)「・・・・・・」ザッザッ

警官達「・・・・ヒソヒソ」

『黒い魂』に従い、給水所内を進む一行。
神田のスタンドが引きずり出した精神体は一般人にも視認できるようで、後ろを歩く警官達の戸惑いの囁きが聞こえてくる。
自分達の理解と認識を超えた存在を目の当たりにし、動揺を隠せないようだ。

手厚な警備と警備の間の、か細いスキマを通り、丈二らはようやく給水場構内の配水池までたどり着いた。
この先に、『組織』の人間たちがいる。『ウイルス』をバラ撒き、たくさんの人命を磨り潰そうとしている。
きっと数名の『スタンド使い』が待ち構えているのだろう。

丈二「準備はいいか?」

神田「ええ」

警官達「大丈夫だ、行こう」

丈二「よし・・・行くぜ」

丈二の問いかけに、頷く一同。意を決し、丈二が扉に手を伸ばす。
そして、扉は開かれた。
 
 
 




~各給水所 同時刻~

未来・木村・石井・新藤「突入ーーーーッ!!!」

警官達「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお」ダダダダダダダダッ!

天野の指示を皮切りに、各配水池にて待機していた『スタンド使い』たちが堰を切ったように駆け出した。
警官らもそれに続き、銃を構えて中枢部へ突入する。

各自がそれぞれ、扉を破り中へ押し入った。
今まさに、『組織』の連中が『ウイルス』を拡散させようとしてる現場へ。
だが・・・

バァァァーン!

未来「・・・!?」

警官達「!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

石井「な・・・なんだ、いったい・・・?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

木村「ここは・・・」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

新藤「い、いない・・・」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

~天野のアジト 同時刻~

プーッ、プーッ

ガチャッ
天野「私だ、もう『ウイルス』は確保できたのか!?」

未来『い、いないんです・・・』

天野「? なに?」

未来『誰も『いない』んだッ!柏も、『組織』の連中も!
   何もないッ!もぬけの殻だッ!』

天野「なんだって・・・!?」
 
 
 




バァァーーン!

配水池への扉を開け、銃を前方に構えながら突入した丈二ら、駒沢班。
丈二の視線の先には、この手で体中を引き裂いてやりたいほど憎くてたまらない、『ヤツ』の姿があった。
『ウイルス』の容器を手に持ち、こちらに微笑みかける男・・・

柏「城嶋 丈二・・・か。やはりお前が来たか」

丈二(!!! な、何故この男が・・・ここに・・・・!?)

警官1「武器を捨てろォッ!容器を下に置くんだァッ!!」

柏「いや・・・捨てるのはお前達のほうだ」

ザザザザッ!

神田「!!!」

その瞬間、配水池の周りに身を潜めていた『組織』の工作員たちが一斉にその姿を現し、丈二らを取り囲んだ。
ざっと見て、40人近くはいる。おかしい。こんなに人員がいるわけがない。他の給水所だって襲撃しているはずなのに。
360度、40もの銃口に包囲され、丈二らは体の芯が急に冷え込んでいくのを感じた。

柏「銃を捨てろ、跪け。両手は頭の後ろだ」

工作員達「・・・・・・・・・」カチャリ・・・

神田「ひ・・・ひぃぃ・・・」

柏「さっさとしろグズどもが!」

警官達「・・・・!」

完全に萎縮しきった警官達が、柏の怒号に慄き、銃を地面に置いて跪いた。
神田、丈二もそれに続き、両手を後頭部に回して地にヒザをつく。

柏「それでいい さて、丈二・・・」

丈二「・・・・!」

柏「何をしようか?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

天野(まさか・・・そんな・・・!これは・・・・柏!)

天野(やられた・・・・・・!)




第11話・中編 終了


使用させていただいたスタンド


No.727
【スタンド名】 モノブライト
【本体】 神田 愛莉
【能力】 触れた生物の「罪」を形にして引きずり出す




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