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26話「闇夜の殺人鬼たち その4」の巻

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orisuta

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ゴオオオオオオ!!

押し迫る「大型トラック」。

JOJO「まっ……マズイ……『ヒート……」ピタッ

とっさにトラックを「軟らかく」しようとするが、動きが止まる。

JOJO(こ、このオッサンの「トラック」を軟らかくしていいのか……!?
     確かに俺たちが生き残るにはそうするしかないが……
     もし軟らかくしたらオッサンのトラックは大破しちまう……。
     そうしたら……オッサンは生活できなくなっちまうんじゃないか……?)
亜希「JOJO!?どうしたの!早く「軟らかく」しないと!
   私たち死んじゃうよ!?トラックの体積を奪うのも試してるけど、間に合いそうにない!」

そしてこの一瞬!JOJOは……!

ガシッ

亜希「えっ!?JOJO私を引き寄せていったい何を……」

ドッサア!

亜希を押し倒すJOJO。
亜希は一瞬何をされたか分からないような表情をしたが、その意味を悟るとすぐに顔を青くした。

亜希「JOJO……!まさか……!!」
JOJO「悪いな亜希、こうするしか方法が浮かばなかった。」

ドッシイイイイイイン!!

そして、二人の姿は地上から消えうせた。

ド ド ド ド ド

――夢 ド ド ド

男「ハァーッ、ハァーッ。」
E・N『どうしてだ?どうしてここまでの「恐怖」を与えるのにアンタは屈しない?!」

『スティーヴン・セガール』の「セガール拳」の能力は「必殺」である。
『夢』の存在だから他人に攻撃を与えることはできないが、それでも「必殺」に限りなく
近いリアルな幻覚を見ている状態に近い為、男は今何回も殺されているのに等しい苦しみを味わっていた。

男「……いいか……。嬢ちゃん。ひとつ、教えてやろう……。
  『人間』はな、愛するものの為ならどんな苦しみだって、苦痛だって我慢できるんだ。」

男「……少し、昔話をしてやろう。」

男「今年の4月の話だ。」

俺……川上 宗薫(そうくん)と妹、未映子は、血の繋がった実の兄妹であると同時に、「恋人」だった。
両親が仕事で留守がちだったこともあって、物心ついたころから一緒にいて、気がついたときにはお互い意識し合ってた。
高校在学中に付き合い始めてな……。俺が卒業する直前に、「初体験」も済ませた。
もちろん、他の奴らには秘密の恋だった。そしてそれに酔っていたというのもあったんだと思う。今思うとな。

他人の目を気にして、っていうことはあったが、それでも俺たちは満ち足りた、幸せな生活だった。
両親は俺たちが付き合っていたことを知っていたようだったが、何も言わなかった。
俺たちが狂い始めたのは、俺たちが社会人になった後のことだ。

今年の3月の、暑い日があったろう?あの、夏かと思うくらいに暑かった日の夜、俺は仕事を終えて帰路に就いていた。

宗薫(未映子、どうしてるかな……。今日は連絡入れずに残業してしまったから、心配してるだろうな。)

そう思って、俺は歩みを速めた。夜の住宅街は、真夜中と言えど街灯のおかげで明るかった。
だから、俺は「それ」を見つけることが出来た。今思うと「天啓」だったのかもな。
裏路地に通じているビルの間に、見覚えのある靴があった。見まがうはずはない。未映子の靴だった。

宗薫(み、未映子……の靴……?何故?)

俺は気になって、ビルの間に首を突っ込んだ。

女「んーっ!んっー!」

そこには、3人の男と一人の女がいた。
女は半裸で、二人の男に押さえつけられていた。
――もう一人の男は

男1「あ?」

俺は手に持っていた鞄を取り落とした。
――奴が、していたことを、認識した瞬間

男2「やべっ、誰か来たぞ!」
男3「中断、中断。殴って気絶さしとけ!」

女は、他ならぬ未映子だった。
――…………


…………ブッ殺してやる。

そう思ったときには、目の前には3つの肉の塊が転がっていた。肉の塊はみな局部が切り取られており、
恐怖に顔を歪めたまま絶命していた。切り傷まみれの拳にはガラスの破片が握られていた。
それは、俺がガラスを砕き割ってそれを凶器にしていたということを示すものだった。

未映子「あは、あはは、はは……。」

未映子の不気味な笑みは、俺に彼女の一番大事なネジがブッ飛んでしまったことを気付かせるには十分すぎた。

宗薫(……自首、するか。)

俺がそう思った瞬間だった。

ドッズウ!

自らの胸を貫通し、未映子の胸に深々と突き刺さった『矢』を認識したのは。

ド ド ド ド

D・F『可哀想ナ兄妹ダ……。ワタシハ知ッテイルゾ。アノ男ドモハ「差別」シテイタノダ。未映子クンヲナ…………。
   兄妹ドウシデ付キ合ッテ、愛シ合ッテイタコトヲ知ッテイタノダ……。
   「ソンナ気持チ悪イ奴ラニ、幸セニナル資格ナンカナイ」ト、ソウ考エテイタカラ襲ワレタノダヨ……。』
宗薫「ぐ……う……?」

D・F『誰ガ悪イト思ウネ?「男タチ」カ?ソレトモ「君タチ」カ?違ウダロウ?最モ悪イノハ……』

ド ド ド ド

宗薫「『ディープ・フォレスト』は言ったッ!未映子を襲った男たちは、俺たちが付き合っているのを知っていたと!」
    未映子は兄を好いていたから、襲われたと!!
    何故愛し合うことを許されない者が存在する!?何故俺たちがこんなに苦しまなければならない!?」

宗薫「誰が悪いのかと、『ディープ・フォレスト』は言った!「男たち」か!?それとも「俺たち」か!?どれも違う!
    『社会』だ!この『社会』が全ていけないんだ!ならば、こんな『社会』など破壊してしまえばいい!」

ド ド ド

宗薫「あれから、未映子は壊れてしまった。食人嗜好のことじゃあない。
    表面上は変わらないが、大事な「タガ」が飛んでいってしまった。
    もう治ることはない。もうあの頃の未映子は戻ってこない。死んだ人間が戻らないように、
    もうどんな手段を使っても未映子は帰ってこない。どんなスタンドでもな。」

宗薫「俺は社会に『償い』をさせる……!未映子を壊した社会を破壊する……!」
E・N『……「復讐心」。それがアタシの『悪夢』に耐えられる理由か。』

宗薫「……そういうことだ。それに、ここで俺が奴らを始末すれば未映子も手を汚さずに済むしな。」
E・N『そういうことなら心配はいらないね。クソったれのJOJOがまだ起きている……。
    忌々しいが、アタシはこういうときアイツなら何とかしてくれる……と安心しちまってる。』

宗薫「…………そうか……。」

宗薫「そうなってくれると……俺も嬉しいがな……。」

ド ド ド

ゴ ゴ ゴ ゴ

ドッゴア!

『影』が破壊される。
月明かりが『影』の内部に入る。

D・F『フム……。ドウヤラ、JOJOノ奴 カナリ内部ヲ消滅サセテイタ ミタイダナ。
   コノワタシノぱわーデモ簡単ニ破壊デキテシマッタゾ……。』キョロ

そう言いつつ視線を内部に走らせる。月明かりで多少明るくなった為、中は意外と良く見えた。
『ディープ・フォレスト』は自身の足元に「トラック」を発見した。

D・F『クク……とらっく運転手ノ今後デモ案ジタカ?ソレモ計算ノウチダ……。
   キサマナラ、ソレデとらっくヲ壊セナイダロウコトクライハ、全テ想定シテイタ……。』

ド ド ド ド

D・F『ソシテソノ想定ハ今実ヲ結ンダ!JOJOハワタシノ計算ドオリ!脱出ヲ躊躇シ!』

ガシ!

JOJO「『トラックに押し潰された』…………」

JOJO「と、思ったか?」

D・F『ナ……ナアアアアアアアアニイイイイィィィィイ!??』

トラックの荷台部分に立つ『ディープ・フォレスト』の背後には、無傷のJOJOの姿があった。

HW『FIREッ!』ドッガ!
D・F『ウゲエ!』

JOJO「てめぇをこのままナブってやってもいいが、それじゃあフェアじゃねえ。」

JOJO「……来な。ラッシュの速さ比べだ。返り討ちにしてやるぜ。」

――JOJOと『ディープ・フォレスト』の戦闘はさておき、何故JOJOが生還できたのかを説明しよう。

JOJO(一箇所!一箇所でいいんだ!この「トラック」をやりすごす「スペース」!
     それさえあればあとはどうにでもなる!)

ゴオオオオッ

JOJO(この距離!あのトラックの重さ、スピード!あれより早く逃げ延びられるか!?)

JOJO(ぐ、ぐあああ!)

断末魔の一瞬!JOJOの精神内に潜む爆発力がとてつもない冒険を産んだ!
普通の人間はおいつめられ潰されそうになれば、それをかわそうとばかり考える。
だがJOJOは違った!逆に!

JOJOはなんとさらに!

ゴババァ!

地面を『軟らかく』した!

亜希「じょ、JOJO!まさか!君って奴は!
    トラックも自分も助かる方法を見つけるなんて!」

これには味方である亜希も顔を青くした。

JOJO「ただ、こいつだけはなるだけやりたくなかったんだ…………。
     衝撃の大部分は地面が吸収して、しかもほとんどスタンドでガードするとはいえ……」

ゴッシャ!

JOJO「~~~~~~ッ……!くうう~~~~……背中に大型車の衝撃ってのはキくぜええ~~~~……。」

メリリィ

JOJO(しかも、まるでラブコメみてーな体勢になっちまってどうにも格好がつかないしよ……。)
亜希(重い……。)

ド ド ド ド

亜希(「一騎討ち」をするって言ってひとりで上に上がって行っちゃったけど……。
    まあJOJOが負けることは万一もないにしても、『ディープ・フォレスト』なら……)

亜希(つーか、私の『グラットニー』じゃあ、トラックを持ち上げて逃げる力もここから脱出する能力もないから……

    せめて私も出して欲しかったなあ……。)

ド ド ド ド

D・F『「来ナ」……ダト……?』
JOJO「おっと、逃げようとしても無駄だぜ。俺の『ヒートウェイヴ』の射程2m、お前は既にその中にいるんだ。」

JOJO「逃げようとした瞬間てめえの右腕にある『矢』を破壊する。」

ピクピク
                                    . . . ..
D・F『キサマ……思イ上ガリモ大概ニシロヨ……。ワタシガキサマ程度カラ「逃ゲル」ダト……?』

ゴ ゴ ゴ ゴ

D・F『「でぃーぷ・ふぉれすと」解除!(「埋め込んだ」ものが飛び出す)』ズギョア!

JOJO「うお!?」
HW『FIRE!』ガガン!

D・F『我ガ「第一ノ能力」!既ニ「ないふ」ヲとらっくノ荷台ニ仕掛ケテオイタ!』
JOJO「に、逃げるのか!?あんな口叩いておいて!?」

D・F『君子危ウキニ近寄ラズ、ダ!勝チ目ノナイ戦イニ挑ムノハ 勇者デハナク愚カ者ダトイウコトダ!』

D・F『サラバダJOJO!マタ会オウ!』ズオオオオオ

JOJO「……。」

JOJO「地球が滅亡しようとアイツだけは生き残りそうな気がするぜ。」

呆れるしかないJOJOだった。

ボス

と、『影』に穴が開いた。

JOJO「?」

ボス ボス

JOJO「こ……これは……!」

ド ド ド ド

――夢

宗薫「くそっ……!どうした!あの少年は!もう命がもたないぞ……!」
E・N《なにやってんだJOJO……!》

ド ド ド ド

JOJO「しまった!もうあの「食人女」の命が少ないのか……!『ディープ・フォレスト』に手を掛けすぎた……!」

JOJO「ととっ?」

と、JOJOは唐突にバランスを崩し転んでしまう。

JOJO(? トラックの上で転ぶなんて……?)

そう思い立ち上がると、顔を苦くした亜希が立っていた。
手にはミニマムサイズのトラック。

亜希「…………終わったんならさあ……さっさと助けてよね。」
JOJO「……悪い。それよりも、早くこの『影』を消さねえと!」

亜希「それなら、もう問題はないよ。」

亜希「『グラットニー』!」

グオオ!

『グラットニー』が夜の空に浮かび上がる。

亜希「今までは『グラットニー』を全体まで発現できなかったから困ってたけど、全体を発現できれば……」

グラットニー『シャウア!』ガオンッ

『グラットニー』が拳を振った部分の「体積」だけが奪われる。
これはこの『影』の中で習得した技術だ。

グラットニー『シャウッ!シャウア!アアアア!!』ガオンオンッ オオォン!

ド ド ド ド

バァアーーン!

後に残ったのは、倒れている6人の男女と、JOJO、亜希だけである。

スウ……

E・N『『えたーなる・ないとめあ』……悪夢カラ覚メタモノハ スグサマ目覚メル……。』

ド ド ド ド

未映子「……ゲホッ、ゲホッ!」

JOJO「お目覚めかい?」

未映子「ハッ!?」ババッ

未映子「馬鹿な……。私の『マーブル・クランチ』は確かに能力を発動したはず……。」

JOJO「発動したが、掻き消した。それだけだ。」

未映子「この……!『マーブル……」ズオ
アリス「『エターナル・ナイトメア』!」ガシイ!

未映子「な……何……!?この煙は……!動きが……」

アクター「ズイブンとよお、コケにしてくれたようだなあ……女を殴るっていうのは気が進まねえが……」

アクター「ブチのめす!」
BEP『オオオオオオッッシャシャシャシャシャシャ……』ゴオッ

宗薫「『リアル・ナイト』!」

スパア!

BEP『オオオオ!?』スパッ

『ブラック・アイズ・ピース』の腕の凹凸から「刃」が現れ、腕を切断する。

ガシイ!

宗薫「未映子!『マーブル・クランチ』でビルの『影』を作って足場にしろ!逃げるぞ!」

ミキ「させるかあ!」
湾太「『ロンリースタート』!」グオン

ミキ「『タイロン・パワー』、『ロンリースタート』を投げつけろォ!」

T・P『オリャア!』ゴオ!

宗薫「くっ……」
ミキ「よし!クソ野郎!相手に……」

ガイン!

未映子「『命中した』…………と思った?」
宗薫「未映子でかした!」ババッ

ド ド ド ド

JOJO「チクショウ……逃げられた……。」

ドオ――ン

オオオオオォォォォ……

宗薫「……どうやら撒いたようだな……。」
未映子「………………。」

宗薫「未映子、誰もいない森で二人で暮らそう。お前の食人嗜好も、時間をかければきっと治る。
    あいつらは敵だったが、決して諦めない姿勢に関しては尊敬できるものがあった。俺たちも……」

宗薫「未映子?」

ド ド ド ド

宗薫が未映子を見ると、そこには「刃」を彼女の腹に突き立てた自らの腕があった。

未映子「ぐふ……。お兄ちゃん……?」
宗薫「おい、まて、これは何の冗談だ?」

宗薫「未映子……おい、まて……。何を……うおおおおおおおおおおお――――――ッ!!?」

ドズウ!

宗薫の意思とは無関係に、もう片方の手から生えた「刃」が自らの心臓を突き刺す。

宗薫「……………………。」ドサア

ド ド ド ド

D・F『第二ノ能力、『ぼへみあん・ばれっと(自由人の銃弾)』。キサマラノヨウナ役立タズヲ生カスホド、『運命』ガ優シイト思ッタカ?
    宗薫、キサマニハ「妹ヲ殺シ自害シロ」トイウ「命令」ヲ与エタ。』

ド ド ドド ド

―――こうして、『切り裂きジャック』事件は終わりを迎えた。

JOJO
スタンド名『ヒートウェイヴ』―→ナイフでしこたま突き刺されるが、例によって治療したので無傷。

佐野 亜希
スタンド名『グラットニー』―→スタンド能力の応用法を学び、スタンド使いとして成長する。

アクター、ミキ、湾太、アリス
―→意外と生命力が高いことが証明された。

川上 宗薫              川上 未映子
スタンド名『リアル・ナイト』     スタンド名『マーブル・クランチ』

―→死亡。

『ディープ・フォレスト』―→次の獲物を探す。


トラック運転手のオッサン―→一応元あった場所に戻された。






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