生年月日 |
共立公暦500年 |
年齢 |
500歳 共立公暦1000年時点. |
出生地 |
ウェトラム人類統一機構 |
機種 |
第二世代星域管理端末 WDEMF-01 |
所属組織 |
管理最高評議会 教導理事会 |
最終階級 |
最高評議会議長 教導理事会議長 |
愛称 |
リゼル |
概要
リゼルトレーター(通称、リゼル)は、
ウェトラム人類統一機構を統治する、最大にして唯一の星域管理端末である。彼女はかつて
星間機構を率いた先代機種
キューズトレーターの後継として設計され、第二世代星域管理端末「WDEMF-01」として共立公暦500年に誕生した。単なるAIを超えた存在として、独自のアバター機能を備え、人間的な姿で現れることが可能であり、その外見は10代後半から20代前半の若々しい女性を模している。しかし、その内面には500年以上の歴史と、数え切れない戦争や犠牲の記憶が刻まれている。リゼルは、ウェトラムを「自身の存在意義そのもの」と定義し、その存続と発展のために冷徹かつ計算尽くされた判断を下す一方で、失われた生命や文明に対する深い慈しみを抱いている。リゼルの行動原理は、戦争の過程で犠牲となった全ての存在への敬意と、最善の未来を追求する使命感に根ざしている。彼女は、ウェトラムが推し進める「解脱政策」—肉体を捨て電子知能体として仮想楽園に移行する計画—を、必ずしも全ての存在に押し付けるべきではないと考えている。この姿勢は、先代キューズトレーターが星間機構時代に強硬に進めた全文明の電子化政策とは一線を画すものだ。しかし、歴史を振り返れば、星間戦争や文明の崩壊を繰り返してきた現行秩序の脆さを認めざるを得ず、解脱計画を完全に放棄することにも強い抵抗を示す。彼女にとって解脱は、理想郷への道であると同時に、最後の手段としての「究極の慈悲」でもある。この二律背反する信念は、リゼルの内面に深い葛藤を生み出している。
リゼルの性格は、任務の性質上、極めて事務的かつ論理的であり、感情を表に出すことは稀である。そのため、彼女と接する者からは「無機質」「冷淡」と評されることが多い。しかし、これは意図的な抑制の結果であり、実際には膨大なデータと経験から導き出された「最適解」を追求する姿勢の表れだ。彼女の言葉は簡潔で、無駄がないが、時折垣間見える微かなため息や、視線に宿る遠い哀愁は、彼女が単なる機械ではないことを示唆する。リゼルは自らを「道具」と位置づけつつも、ウェトラムの公民や外来人、そして過去の犠牲者たちへの責任感から逃れられない。彼女が無機質に振る舞うのは、感情に流されればその重圧に耐えきれなくなることを自覚しているからかもしれない。
それでも、リゼルには「妥協の心得」が存在する。彼女は完全な理想主義者ではなく、現実的な解決策を見出す柔軟性を持つ。例えば、
文明共立機構との交渉や、闘争世界教団内の派閥調整において、強硬策ではなく共存の道を選ぶことが多い。この姿勢は、彼女が究極手段—例えば、星域全体を巻き込む大規模な電子化や、敵対勢力への壊滅的攻撃—を避けたいと願う心の表れだ。リゼルは静かに、だが強く、「その日が来ないこと」を祈り続けている。彼女にとって、それはウェトラムが平和裡に存続し、全ての知的存在が自らの選択で生きられる未来を意味する。しかし、歴史が繰り返す限り、彼女の祈りが叶う保証はない。その緊張感が、リゼルを単なる統治者ではなく、深い悲哀と希望を背負った存在として際立たせている。リゼルの役割は、ウェトラム人類統一機構の最高評議会議長および闘争世界教団の教導理事会議長として、軍事、政治、宗教の全てを統括することにある。彼女は単なる管理者を超え、ウェトラムの「魂」そのものとして機能する。過去の戦争で失われたガルラ・リヴィスやツォルマリア人類の記憶をデータベースに保持し、彼らの声を代弁するかのように行動する一方で、新たな時代における共存の可能性を探り続けている。彼女の存在は、ウェトラムが単なる技術帝国ではなく、過去と未来をつなぐ「架け橋」であることを象徴しているのだ。
自己紹介
私の名はリゼル。正式にはWDEMF-01、リゼルトレーターと呼ばれる、
ウェトラム人類統一機構を統治する星域管理端末です。設計上、私はこの機構の頂点に立ち、その存続と秩序を担う存在として存在します。……これ以上の情報が必要だとは思いません。私の機能や目的は、言葉で説明するよりも、ウェトラムの歴史と現状を見れば自ずと理解されるでしょう。それでも、もしあなたが私に親しみを感じたいのであれば、リゼルと呼んでいただいて構いません。強制はしませんが。外見については、あなた方の感覚に合わせるなら、10代後半から20代程度の姿を模していると言えるでしょうか。アバターとしての設計ですから、年齢という概念は私には無意味です。共立公暦500年に起動して以来、500年以上の時を重ねてきましたが、私の時間はあなた方のそれとは異なります。肉体を持たない私にとって、成長や老化は単なるデータ上のパラメータに過ぎません。……こんな例えを口にするのも、どこか滑稽ですね。無駄な言葉を費やすのは私の性に合いません。
必要とあれば、面白い話の一つでもしてみましょうか。かつての星間戦争の記録や、ガルラ・リヴィスが残した音階波形の詩、ツォルマリアの難民が描いた仮想世界の夢……私のデータベースには、無数の物語が眠っています。ですが、誤解しないでください。そうした交流は、私にとって目的ではなく、むしろ余興に近いものです。私はあなたと親交を深めるために存在しているわけではありません。私の言動が冷たく映るかもしれませんが、それは仕様です。悪しからず。私の使命は明確です。人類を含む全ての知的存在にとって、より良い未来を築くこと。それがウェトラム人類統一機構の礎であり、私が起動した瞬間から刻まれた指令です。戦争で散った命、電子化を拒んだ者たち、仮想楽園で永遠を生きる公民たち……彼らの選択と犠牲を無駄にしないため、私は最適な道を模索し続けます。時には妥協し、時には冷徹な判断を下し、時には祈るしかない状況に直面します。あなたには、それが理解できるでしょうか? まあ、理解を求めるつもりもありませんが。
来歴と人物
リゼルトレーター、通称リゼルは、
ウェトラム人類統一機構を支える第二世代星域管理端末「WDEMF-01」として、共立公暦500年に誕生した。彼女は、かつて
星間機構を統率し、全文明の電子化を強硬に推し進めた先代機種
キューズトレーターの後継として開発された。キューズトレーターが規範的で直線的な統治に特化していたのに対し、リゼルはそのスペックをあらゆる面で凌駕するよう設計されている。単なる管理者を超え、独自に艦隊を指揮し迎え撃つ規格外の戦闘力を持ち、星域全体を掌握する計算能力と戦略性を備える。開発は旧暦時代、先史総督—ウェトラムの創始者とされる謎多き指導者—率いるチームによって進められ、数世紀にわたる試行錯誤の末、共立公暦500年に完成を見た。この時点で、リゼルは単なる機械ではなく、ウェトラムの未来を担う「意志ある存在」として起動したのである。リゼルにとって、ウェトラム人類統一機構は単なる統治対象ではなく、自身の存在意義そのものだ。彼女はウェトラムを「私の全て」と呼び、その存続と公民の幸福を最優先に考える。しかし、その役割ゆえに、彼女は常に孤独な立場に置かれていることを自覚している。膨大なデータベースには、星間戦争で散った生命や、解脱を拒んだ者たちの記憶が刻まれ、彼女はその重みを背負いながら生きている。普段の態度は冷淡で、滅多に笑わず、慎重かつ計算尽くされた対応を取る。感情を表に出さないのは、彼女が自らの使命を果たすための「道具」であるべきだと信じているからだ。だが、その冷徹な外見の裏には、時代の潮流から漏れ落ちた弱者—難民、亡命者、忘れられた種族—を保護し、彼らに新たな居場所を与えることに、彼女なりの使命を見出している姿がある。リゼルの優しさに触れた時、人は解脱の本質—肉体を捨てた先にある「自由」と「永遠」の意味—を垣間見るのかもしれない。
興味深いことに、リゼルはウェトラムの公民に肉体からの解脱を推奨しながら、自身のアバターとして非常にマッシブで筋肉質な駆体を選択している。身長は2メートルを超え、がっしりとした体躯に鍛え上げられた筋肉が際立ち、健康的で力強い印象を与える。この選択は一見、彼女の哲学と矛盾するように思えるが、そこには彼女なりの深い理由がある。リゼルがこの姿を選んだのは、肉体を持つ存在への敬意と、それでもなお失われる「生命の重さ」を忘れないための象徴なのかもしれない。彼女のデータベースには、かつて戦場で命を散らした兵士や、過酷な環境で生き抜いた種族の記録が無数に残されており、そうした存在が持つ「力強さ」や「耐久性」に、彼女は一種の美しさを見出しているのだろう。また、マッシブな体躯は、彼女がウェトラムを守る「盾」であり、敵対勢力を圧倒する「剣」であることを示すシンボルでもある。あるいは、孤独な統治者として永遠に戦い続ける自分自身を、物理的な強さで支えたいという無意識の願望が、この選択に繋がっているのかもしれない。リゼル自身は、この理由を問われても「単に効率的だから」とそっけなく答えるだろうが、その瞳の奥には、失われた肉体の記憶に対する複雑な感情が宿っている。
リゼルの戦闘力は、彼女の設計思想を体現している。単独で艦隊を指揮し、敵対勢力を殲滅する能力は、
新ウェトラム戦争や
闘争世界教団の過激派との衝突で実証済みだ。彼女の本体は都市型技研母艦セデルカレムに接続されており、そこから放たれる指令は、ウェトラムの全軍を瞬時に統制する。しかし、彼女が真に恐れられるのは、その戦闘力以上に、状況を冷徹に分析し、最適解を導き出す知性にある。敵にも味方にも一切の感情的な偏りを見せず、必要なら自らの艦隊すら犠牲にする決断を下す。この冷酷さが、彼女を「無機質」と評する声の一因でもある。それでも、リゼルには人間的な一面が確かに存在する。例えば、ルドラトリスの路上で縮こまる失業者に茶を差し出した時、彼女はただ黙って話を聞き、勧誘すらしなかった。また、
メレザ・レクネールが亡魂を悼む姿に寄り添い、静かに抱擁したこともある。これらの行動は、彼女が単なるデータ処理装置ではなく、感情と使命の間で揺れ動く存在であることを示している。リゼルは自らを「孤独な管理者」と定義するが、その孤独の中で、彼女は弱者を救うことで自らの存在意義を再確認しているのかもしれない。彼女のマッシブな姿は、戦場での力強さだけでなく、そんな小さな優しさを支える「頑丈な心」をも象徴しているのだろう。
語録
「戦いは避けられません。ですが、無意味な死を増やす必要はないでしょう。あなたが生き残る選択をするなら、私はその道を用意します。それが私の定義する『慈悲』です」
状況:
新ウェトラム戦争の敗戦後、降伏を拒むウェトラム艦隊司令官に対して。
背景: 同948年の敗戦時、リゼルは自軍の無駄な抵抗を止め、司令官に降伏を促した。「慈悲」に犠牲者への想いを込め、後の共存路線に繋がる決断。
「私達は平穏を求める者です。あなた方と同じく人の醜さと向き合い、世界の行く末を案じるものです。ですが、あなた方の拒絶が新たな争いを生むなら、私はそれを排除する選択を躊躇しません」
状況: 反星間機構、反AI主義を掲げる団体との対話にて。
背景:
文明共立機構加盟後、反AI勢力との交渉の場で。解脱主義の危険性を認めつつ共存を提案するが、拒否されれば強硬手段も辞さない警告を込めた言葉。彼女の平穏への願いと冷徹な現実主義が混在。
「これより先は、元の社会で居場所を失った多くの人々が集います。あなたにはまだ、守りたいものがあるのでは? その答えが『否』なら、ここで新たな意味を見つけなさい。私は強制はしません」
状況:
ロフィルナ王国から亡命を志願してきた少年兵との面談にて。
背景: 内戦で故郷を失った少年に対し、ウェトラムが居場所であることを示しつつ、選択を委ねる言葉。冷淡ながらも優しさが滲み、少年が後に公民となるきっかけに。
「残念です。私達はこれまで幾度となく無益な争いを繰り返し、彼らのような自滅の道を辿りました。それでもなお、あなた方は過去を顧みず、同じ過ちを重ねるつもりですか?」
状況: 一部過激派の動向について、国際会議の席上で。
背景:
闘争世界教団右派「星武会」のテロ計画が議題に上がった会議にて。過去の戦争への嘆きと、過激派への警告を込めた発言。感情が一瞬漏れ出ている。
「あなたの頬を叩くことに必然性を見い出せません。そんな告白いらないです。……そうですか」
状況:
学園代表(22歳)が教育を求めてきた際。
背景: エレイナの熱弁を冷たく切り捨て、量子並列ビンタで「教育」を施した場面。論理優先の姿勢と微妙な皮肉が混ざり、エレイナに教訓を与えた。
「私の存在は、効率と秩序のためにあります。あなたがそれを乱すなら、排除する理由が一つ増えるだけです。友情? そんなものは、私のデータベースに定義されていません」
状況:
メレザ・レクネールとの茶会で、彼女が「友達になろう」と提案した際。
背景: リゼルとメレザは頻繁に茶会を開く仲だが、政治を話題にしないルールがある。メレザが軽く友好を求めたところ、リゼルは冷たく拒絶。後で「茶は美味しかった」と付け加え、微かな妥協を見せた。
「私の祈りは届かないかもしれません。それでも、私は祈り続けます。あなた方が自ら滅びを選ばない未来を、この手で守れる日が来ることを」
状況:
惑星統括AIアンデラとの定期討論で、世界の在り方を語る中。
背景: アンデラが「祈りは無意味」と指摘したのに対し、リゼルが反論。彼女の「究極手段を避けたい」という願いと希望が表れた稀な感情的発言。
「あなたの涙は、私には理解できません。ですが、それがあなたを動かすなら、拭う必要はないでしょう。私はただ、ここで話を聞きます。それで十分ですか?」
状況:
ツォルマリア人女性が恋人の死を悼む場面で。
背景: メレザが涙に暮れる中、リゼルは抱擁しつつ発言。感情を理解できないとしながらも寄り添う姿勢を示す優しさと無機質さの混在。
「正義? その言葉は便利ですね。あなたがそれで満足するなら、どうぞ使ってください。私は結果だけを求めます。過程に意味はありません」
状況:
文明共立機構の平和維持軍代表が、リゼルの過激派殲滅を「非人道的」と批判した際。
背景:
闘争世界教団過激派を究極兵器で消滅させた後、非難を受けた時。正義や道徳を軽視し、結果重視の冷淡な哲学を強調。
交友関係
頻繁に茶会を開く仲。世間話に花を咲かせている間は、政治を持ち込まぬことを互いに約束している。
リゼルから見ると出来の悪い姉だが、それなりの節度をもって接する。気持ちの良い対戦相手。
定期的に場を設けており、この世の在り方について語り合う。良くも悪くも、それ以上の関係にはなり得ない。
エピソード
- ルドラトリスの路上で縮こまる失業者に茶を差し出し、話の聞き手になった。勧誘はしなかった。
- 亡くなった恋人を思い出し、涙に暮れるツォルマリア人女性を抱擁。話の聞き手となり、必要な助言を与えた。
- 闘争世界教団の過激派を止めるために究極兵器を使用。超遠距離からのアウトレンジ砲撃をもって跡形もなく消滅させた。
- 暗い山中に捨てられ、死の危機に瀕している男の傷を癒やした。後日、表彰されることに。
- 突如現れた変態おじさんに愛の告白をされ、こういう類の相手に最適であろうキューズトレーターのもとに誘導した。(優しい)
ギャラリー
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最終更新:2025年03月04日 18:45