(黒は虹色に似合わないけれど)
更新日:2020/03/27 Fri 22:53:16
「今日の給食はオムライス!無藤さんはオムライス好き?」
「……はぁ、まぁ食べられるものは基本好きです」
私はよく声をかけてくれるこの女性を見ながら言った。
ここは保健室。私は体調が悪くなって、時々ここに駆け込む。
この人……虹富玲亜さんとは、偶然にもこの場所で出会ったんだった。
数週間前引っ越してきた私は、学校に通いこそすれ、授業にはそんなに出ていなかった。
世間体だけは気にする母に押し込まれたのだが、同級生と言う物が怖いので、ちっとも嬉しくなく、苦痛ばかりだ。
ずっと保健室にいると、保健の先生から母さんに告げられてしまうから、ここも安心はできないけど、沢山の目がある教室よりは、幾分か気は楽だ。
「おーい玲亜!いつまで保健室にいるんだよ!」
「今そっち行く!それじゃあ無藤さん。またお話ししましょう」
「うん、ありがとう虹富先輩」
声の主……多分水無月先輩に呼ばれた虹富先輩は、私に笑いかけて去っていった。
私は枕に頭をつける。他人と話すのは疲れるけど、ちょっと楽しい。
自分の考えを言うのは苦手。殴られるかもって思ってしまうから。でも、殴らないで話を聞いてくれる人は好き。そう言う人となら、話すのも楽しい。ちょっとだけだけど。
だから、気まぐれでいい。また次も話してくれないかな、なんて、虹富さんに言うのは悪いことだろうか?
「……はぁ、まぁ食べられるものは基本好きです」
私はよく声をかけてくれるこの女性を見ながら言った。
ここは保健室。私は体調が悪くなって、時々ここに駆け込む。
この人……虹富玲亜さんとは、偶然にもこの場所で出会ったんだった。
数週間前引っ越してきた私は、学校に通いこそすれ、授業にはそんなに出ていなかった。
世間体だけは気にする母に押し込まれたのだが、同級生と言う物が怖いので、ちっとも嬉しくなく、苦痛ばかりだ。
ずっと保健室にいると、保健の先生から母さんに告げられてしまうから、ここも安心はできないけど、沢山の目がある教室よりは、幾分か気は楽だ。
「おーい玲亜!いつまで保健室にいるんだよ!」
「今そっち行く!それじゃあ無藤さん。またお話ししましょう」
「うん、ありがとう虹富先輩」
声の主……多分水無月先輩に呼ばれた虹富先輩は、私に笑いかけて去っていった。
私は枕に頭をつける。他人と話すのは疲れるけど、ちょっと楽しい。
自分の考えを言うのは苦手。殴られるかもって思ってしまうから。でも、殴らないで話を聞いてくれる人は好き。そう言う人となら、話すのも楽しい。ちょっとだけだけど。
だから、気まぐれでいい。また次も話してくれないかな、なんて、虹富さんに言うのは悪いことだろうか?
「今日はね、ちょっと提案があるんだけど」
また別の日、同じ場所。いつもの位置。私はベッドに腰かけて、虹富さんは椅子を運んで隣に座ってる。
「無藤さん、女児符号って知ってる?」
「ガール……ズ…コード?」
聞きなれない言葉だ。
「知らないんだね。女児符号って言うのは……」
虹富先輩が話してくれたのは、全く現実味の無い話だった。
「そんな物が……」
私をからかっているのかと思ったけど、虹富さんの目は本気だ。
「私の女児符号は『自愛空間』防御壁なんだけど、傷を治す力もあるの」
私は虹富さんの考えた事が分かった。
「だから、無藤さんの傷も治せるんじゃないかと思って」
「それなら是非…その……よろしくお願いします……」
私の返答に、虹富さんは安心したかのように微笑んだ。
また別の日、同じ場所。いつもの位置。私はベッドに腰かけて、虹富さんは椅子を運んで隣に座ってる。
「無藤さん、女児符号って知ってる?」
「ガール……ズ…コード?」
聞きなれない言葉だ。
「知らないんだね。女児符号って言うのは……」
虹富先輩が話してくれたのは、全く現実味の無い話だった。
「そんな物が……」
私をからかっているのかと思ったけど、虹富さんの目は本気だ。
「私の女児符号は『自愛空間』防御壁なんだけど、傷を治す力もあるの」
私は虹富さんの考えた事が分かった。
「だから、無藤さんの傷も治せるんじゃないかと思って」
「それなら是非…その……よろしくお願いします……」
私の返答に、虹富さんは安心したかのように微笑んだ。
「よかった、ちゃんと入れたね」
若干薄い水色の光に包まれた虹富先輩が、嬉しそうに言う。
「確かに凄いです……もう痛くなくなってる」
「……そう」
私は腫れていた腕をさすり、煙草を押し付けられて出来たお腹の火傷跡を見ながら言った。
本当に光のドームが出てきた事は驚いたが、だよロリ犬だったり、オウマがトキだったり、非日常的な事もあるんだと知った私は、さほど驚く事はなかった。
それにしても、この場所は居心地がいい。
まるでだよロリ犬の腕の中みたいに気持ちが穏やかになる。
「虹富先輩は……」
気づくと、私は声に出していた。
「虹富先輩はなんで私なんかに優しくしてくれるの……?」
それは出会った時から感じてた疑問。虹富さんは傷だらけで薄汚れて無愛想な自分なんかに、どうして優しく声をかけてくれるんだろう。
虹富さんの行動は、介抱する自分に酔っているお母さんとも違うし、元々人間が大好きなだよロリ犬とも違う気がした。
虹富さんの目が丸くなり、悲しげに閉じ、また開けられた。
「無藤さんが助けて欲しそうだったから……かな?」
虹富さんの発言に、今度は私が驚いた。
「話し相手が欲しい。誰かと友達になりたい。誰か私を見て!……って言ってるみたいだったから」
虹富さんは私の目を見て微笑んだ。
「私で……良かったかな?ムムちゃん」
私の目に、自然と涙が溜まっていた。
「はい……勿論です……玲亜先輩」
私はまた他人に救われた気がした。
若干薄い水色の光に包まれた虹富先輩が、嬉しそうに言う。
「確かに凄いです……もう痛くなくなってる」
「……そう」
私は腫れていた腕をさすり、煙草を押し付けられて出来たお腹の火傷跡を見ながら言った。
本当に光のドームが出てきた事は驚いたが、だよロリ犬だったり、オウマがトキだったり、非日常的な事もあるんだと知った私は、さほど驚く事はなかった。
それにしても、この場所は居心地がいい。
まるでだよロリ犬の腕の中みたいに気持ちが穏やかになる。
「虹富先輩は……」
気づくと、私は声に出していた。
「虹富先輩はなんで私なんかに優しくしてくれるの……?」
それは出会った時から感じてた疑問。虹富さんは傷だらけで薄汚れて無愛想な自分なんかに、どうして優しく声をかけてくれるんだろう。
虹富さんの行動は、介抱する自分に酔っているお母さんとも違うし、元々人間が大好きなだよロリ犬とも違う気がした。
虹富さんの目が丸くなり、悲しげに閉じ、また開けられた。
「無藤さんが助けて欲しそうだったから……かな?」
虹富さんの発言に、今度は私が驚いた。
「話し相手が欲しい。誰かと友達になりたい。誰か私を見て!……って言ってるみたいだったから」
虹富さんは私の目を見て微笑んだ。
「私で……良かったかな?ムムちゃん」
私の目に、自然と涙が溜まっていた。
「はい……勿論です……玲亜先輩」
私はまた他人に救われた気がした。