『明日』
更新日:2020/07/17 Fri 22:41:55
「どう?私とでち鼠の名コンビネーション」
ボロボロになったのじゃロリ猫を見て、だもん梟は勝ち誇る。
「……ヤバい」
その光景を隠れて見ていた少女が一人。愛歩のクラスメイト、天降号姫だ。
「のじゃロリ猫ちゃんがピンチだ……」
震える手を必死に押さえて、天号は自分に出来ることが無いか必死に考えた。
ーーーチューチュートレイン、未来を読み取る君の女児符号とホーの能力なら、負ける事はない!ーーー
あの化け物はさっきそう言った。
化け物が掴んでいる小さな鼠が女児符号を使ったのだろうか?
だとしたら……
天号は閃く。
でも怖い。あの場に出たら死んでしまうかもしれない。愛歩はどこにいるのだろうと目を凝らして見てみると、吹っ飛ばされて大分遠くにいるが、頭から大量に血を流しつつ梟と猫の戦いを見守っているのが分かった。
「宿題はいつやるの?」
頭の中で今日おばあちゃんに言われた言葉が反復して来た。
「明日やるよ!」
夏休みの宿題はいつやるのか?初めはそう言われたと天号は思っていた。でも、おばあちゃんの言った宿題はこの気持ちの事なのかもしれない。
愛歩に迷惑をかけてしまったのに、彼女はそれを気にする所か、友達として接してくれた。
「私だって何かしなくっちゃな…」
天号は呟く。その瞳にはもう、迷いはなかった。
「おばあちゃん!明日って今さ!」
天号は駆け出す。
「天号?!」
「だぁれ?」
猫と梟は新たな登場人物に驚いた。
鼠が我を忘れたようにだもんロリ梟の手の中で暴れだし、中々抜け出せないと悟るとだもんロリ梟の手にガブリと噛み付いた。
だもんロリ梟は、急に噛んだでちロリ鼠を驚いて放り投げてしまった。
天号はそのでちロリ鼠に向かって女児符号を発動させた。
「永遠の日常!」
『永遠の日常=エターナル・エブリデイ』
他の子の女児符号を打ち消す能力。効果は永続する。
「なんだ?!」
だもんロリ梟は突然の事態に慌てた。こんな事、でちロリ鼠から聞いていない。
肝心の鼠を探そうにも、目の前のガキに気を取られて見失ってしまった。
「は!どうやら名コンビだと思っていたのはお主だけのようじゃの」
のじゃロリ猫の嘲笑に、だもんロリ梟は逆上した。
「きさッ!」
だもんロリ梟が挑発に乗る前に、のじゃロリ猫は顔面パンチを叩き込んだ。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァ!!!」
「ふげぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
だもんロリ梟は絶叫を上げながらぶっ飛んでいく。
それでものじゃロリ猫は攻撃の手を緩めなかった。
ボロボロになったのじゃロリ猫を見て、だもん梟は勝ち誇る。
「……ヤバい」
その光景を隠れて見ていた少女が一人。愛歩のクラスメイト、天降号姫だ。
「のじゃロリ猫ちゃんがピンチだ……」
震える手を必死に押さえて、天号は自分に出来ることが無いか必死に考えた。
ーーーチューチュートレイン、未来を読み取る君の女児符号とホーの能力なら、負ける事はない!ーーー
あの化け物はさっきそう言った。
化け物が掴んでいる小さな鼠が女児符号を使ったのだろうか?
だとしたら……
天号は閃く。
でも怖い。あの場に出たら死んでしまうかもしれない。愛歩はどこにいるのだろうと目を凝らして見てみると、吹っ飛ばされて大分遠くにいるが、頭から大量に血を流しつつ梟と猫の戦いを見守っているのが分かった。
「宿題はいつやるの?」
頭の中で今日おばあちゃんに言われた言葉が反復して来た。
「明日やるよ!」
夏休みの宿題はいつやるのか?初めはそう言われたと天号は思っていた。でも、おばあちゃんの言った宿題はこの気持ちの事なのかもしれない。
愛歩に迷惑をかけてしまったのに、彼女はそれを気にする所か、友達として接してくれた。
「私だって何かしなくっちゃな…」
天号は呟く。その瞳にはもう、迷いはなかった。
「おばあちゃん!明日って今さ!」
天号は駆け出す。
「天号?!」
「だぁれ?」
猫と梟は新たな登場人物に驚いた。
鼠が我を忘れたようにだもんロリ梟の手の中で暴れだし、中々抜け出せないと悟るとだもんロリ梟の手にガブリと噛み付いた。
だもんロリ梟は、急に噛んだでちロリ鼠を驚いて放り投げてしまった。
天号はそのでちロリ鼠に向かって女児符号を発動させた。
「永遠の日常!」
『永遠の日常=エターナル・エブリデイ』
他の子の女児符号を打ち消す能力。効果は永続する。
「なんだ?!」
だもんロリ梟は突然の事態に慌てた。こんな事、でちロリ鼠から聞いていない。
肝心の鼠を探そうにも、目の前のガキに気を取られて見失ってしまった。
「は!どうやら名コンビだと思っていたのはお主だけのようじゃの」
のじゃロリ猫の嘲笑に、だもんロリ梟は逆上した。
「きさッ!」
だもんロリ梟が挑発に乗る前に、のじゃロリ猫は顔面パンチを叩き込んだ。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァ!!!」
「ふげぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
だもんロリ梟は絶叫を上げながらぶっ飛んでいく。
それでものじゃロリ猫は攻撃の手を緩めなかった。
「あ、あなたは」
「ご、ごめなさい、隠れさせてくださいでち」
頭の痛みに耐えながら攻防を見守っていた愛歩は、指を舐められる感覚にハッとした。
「あなたは私を食べないの?」
「とんでもないでち、アタチ、あいつに脅されてたんでちよ。申し訳ないでち」
でちロリ鼠は即答し、また愛歩の手を舐め始める。
愛歩はその言葉に安心したものの、心のどこかにしこりが残っていた。
「ご、ごめなさい、隠れさせてくださいでち」
頭の痛みに耐えながら攻防を見守っていた愛歩は、指を舐められる感覚にハッとした。
「あなたは私を食べないの?」
「とんでもないでち、アタチ、あいつに脅されてたんでちよ。申し訳ないでち」
でちロリ鼠は即答し、また愛歩の手を舐め始める。
愛歩はその言葉に安心したものの、心のどこかにしこりが残っていた。
「くそ!」
だもんロリ梟は渾身の力で蹴りをかまし、のじゃロリ猫から距離を取った。
真っ赤な血が全身を濡らし、髪はボサボサになって、今にも倒れそうなのに、その目だけは不気味にランランと輝いている。
その瞳が奥に避難していた天号を捕らえる。
「よくも邪魔してくれたね……君、名前はしらないけど顔は覚えたもんね」
ドスの聞いた声で脅すだもんロリ梟。のじゃロリ猫はだもんロリ梟の目線を邪魔するように移動した。
「いつか絶対復讐してやるぞ……覚えておけよ!」
「ハッ!復讐より先にコミュ力を上げてこい。お前に仲間なんていなかったんじゃからな鳥頭」
「あ、あ、あ、あんまりだぁぁぁぁぁぁぁ」
なんだかちょっと情けない捨てぜりふを吐き、だもんロリ梟は夜空に消えていったのだった。
だもんロリ梟は渾身の力で蹴りをかまし、のじゃロリ猫から距離を取った。
真っ赤な血が全身を濡らし、髪はボサボサになって、今にも倒れそうなのに、その目だけは不気味にランランと輝いている。
その瞳が奥に避難していた天号を捕らえる。
「よくも邪魔してくれたね……君、名前はしらないけど顔は覚えたもんね」
ドスの聞いた声で脅すだもんロリ梟。のじゃロリ猫はだもんロリ梟の目線を邪魔するように移動した。
「いつか絶対復讐してやるぞ……覚えておけよ!」
「ハッ!復讐より先にコミュ力を上げてこい。お前に仲間なんていなかったんじゃからな鳥頭」
「あ、あ、あ、あんまりだぁぁぁぁぁぁぁ」
なんだかちょっと情けない捨てぜりふを吐き、だもんロリ梟は夜空に消えていったのだった。
「愛歩ちゃん!大丈夫?」
「天号ちゃん、ありがとう。ちょっと頭が痛いけど……このねずみちゃんが舐めてくれたら血が固まってきたよ」
愛歩はまだ指を舐めている鼠を二人に見せた。 「あ、こいつ」
のじゃロリ猫がそう言い、鼠を覗き込むと、鼠は飛び上がって逃げ出した。
「あ、ねずみちゃん…」
少し残念そうな顔をみて、のじゃロリ猫は面白くなさそうな顔をする。
「愛歩は鼠の方が良いのか、ふーん」
「え、あ、違うよ?!別にそういう訳じゃなくて」
まるで嫁と旦那のようなやり取りだ、と天号は思った。
「あ、あのさ」
天号は二人の漫才の波に飲まれないように話を切り替えた。
「あの時は本当にごめん!私、愛歩ちゃんがどんな思いをするか、分からなかった!」
天号は頭を下げた。愛歩はその姿を見つめる。
「アルコールランプとか、火とか、私が持っていたせいで……」
(そも"火を使って何か悪戯しよう"と考え行動させたのは、あのクソ狐なんじゃが……)
のじゃロリ猫は思ったが、黙って様子を見守ることにした。
「天号ちゃん。謝ってくれてありがとう。私はあの時の事とかあんまり覚えてはいないけれど……やっぱり火は危ないからやめよう?火とか凄く危険じゃないなら、イタズラもいいんじゃない?」
愛歩はにこりと笑った。
「天号ちゃんのイタズラ、楽しくて好きだよ」
「愛歩ちゃん……ありがとう!」
天号と愛歩は、心の底から笑いあったのだった。
「天号ちゃん、ありがとう。ちょっと頭が痛いけど……このねずみちゃんが舐めてくれたら血が固まってきたよ」
愛歩はまだ指を舐めている鼠を二人に見せた。 「あ、こいつ」
のじゃロリ猫がそう言い、鼠を覗き込むと、鼠は飛び上がって逃げ出した。
「あ、ねずみちゃん…」
少し残念そうな顔をみて、のじゃロリ猫は面白くなさそうな顔をする。
「愛歩は鼠の方が良いのか、ふーん」
「え、あ、違うよ?!別にそういう訳じゃなくて」
まるで嫁と旦那のようなやり取りだ、と天号は思った。
「あ、あのさ」
天号は二人の漫才の波に飲まれないように話を切り替えた。
「あの時は本当にごめん!私、愛歩ちゃんがどんな思いをするか、分からなかった!」
天号は頭を下げた。愛歩はその姿を見つめる。
「アルコールランプとか、火とか、私が持っていたせいで……」
(そも"火を使って何か悪戯しよう"と考え行動させたのは、あのクソ狐なんじゃが……)
のじゃロリ猫は思ったが、黙って様子を見守ることにした。
「天号ちゃん。謝ってくれてありがとう。私はあの時の事とかあんまり覚えてはいないけれど……やっぱり火は危ないからやめよう?火とか凄く危険じゃないなら、イタズラもいいんじゃない?」
愛歩はにこりと笑った。
「天号ちゃんのイタズラ、楽しくて好きだよ」
「愛歩ちゃん……ありがとう!」
天号と愛歩は、心の底から笑いあったのだった。
もう辺りがすっかり真っ暗になった午後9時。
愛歩はのじゃロリ猫の肩を借り、血を流しすぎてフラフラになった足を必死に動かして帰宅した。
「あ、悪い。わしここで帰るわ」
「え?」
「なんと言うか……お主の両親に顔見せしづらいというか……」
「そっか…」
自分の分身が娘を襲ったのだから、顔を見せづらいと言う事か?
愛歩は少し残念に思いながら家のチャイムを鳴らした。
お母さんとお父さんはひどく動揺し、狼狽えながら愛歩を出迎えた。
「ああ、頭を怪我してるじゃないか?!」
「一体何があったの!?」
愛歩はなんと言ったらいいか分からなかった。
妖怪に襲われていると言うべきか?でも心配はかけたくない……
「友達と河川敷で遊んでてさ、躓いて石に頭ぶつけちゃってさ。でも大したことないよ。既に血は止まったし」
そう誤魔化すと、お母さんが愛歩の顔をひっぱたいた。
「お、お母さん?」
「こんな時間に帰ってきて、何が対した事ないよ……あんたどんなに心配かけたか分からないの?!」
愛歩はお母さんの顔を見つめた。涙を流している。
「最初に言ったよね!どこにもいかないでって、石にぶつかって死んでたかもしれないのよ!その傷から菌が入って死んじゃうかもしれないのよ!」
お母さんの絶叫が心に響く。愛歩はどうすればよかったのか分からなかった。
本当の事を言っていれば、お母さんは(お父さんも)もっと心配するだろう。
「ごめんなさい……」
泣きながら項垂れると、お母さんがギュっとハグしてくれた。
「大切な子なんだから……もう危険な事はしないで」
血の繋がらない母子が身を寄せあって泣く。
完全に叱ったり怒ったりするタイミングを逃したお父さんは、少し悩んでから救急箱を取りにリビングに向かうのだった。
愛歩はのじゃロリ猫の肩を借り、血を流しすぎてフラフラになった足を必死に動かして帰宅した。
「あ、悪い。わしここで帰るわ」
「え?」
「なんと言うか……お主の両親に顔見せしづらいというか……」
「そっか…」
自分の分身が娘を襲ったのだから、顔を見せづらいと言う事か?
愛歩は少し残念に思いながら家のチャイムを鳴らした。
お母さんとお父さんはひどく動揺し、狼狽えながら愛歩を出迎えた。
「ああ、頭を怪我してるじゃないか?!」
「一体何があったの!?」
愛歩はなんと言ったらいいか分からなかった。
妖怪に襲われていると言うべきか?でも心配はかけたくない……
「友達と河川敷で遊んでてさ、躓いて石に頭ぶつけちゃってさ。でも大したことないよ。既に血は止まったし」
そう誤魔化すと、お母さんが愛歩の顔をひっぱたいた。
「お、お母さん?」
「こんな時間に帰ってきて、何が対した事ないよ……あんたどんなに心配かけたか分からないの?!」
愛歩はお母さんの顔を見つめた。涙を流している。
「最初に言ったよね!どこにもいかないでって、石にぶつかって死んでたかもしれないのよ!その傷から菌が入って死んじゃうかもしれないのよ!」
お母さんの絶叫が心に響く。愛歩はどうすればよかったのか分からなかった。
本当の事を言っていれば、お母さんは(お父さんも)もっと心配するだろう。
「ごめんなさい……」
泣きながら項垂れると、お母さんがギュっとハグしてくれた。
「大切な子なんだから……もう危険な事はしないで」
血の繋がらない母子が身を寄せあって泣く。
完全に叱ったり怒ったりするタイミングを逃したお父さんは、少し悩んでから救急箱を取りにリビングに向かうのだった。
大石一家が寝静まった頃、台所でピチャピチャと音がしていた。
一匹の鼠が、野菜屑や残り物を漁っていた。
「うまく行ったでち」
でちロリ鼠はシチューが入っていた鍋の底に張り付いていた人参をモゴモゴと食べた。
「確かにあの女の子のせいで女児符号は使えなくなったでちが……」
一匹の鼠が、野菜屑や残り物を漁っていた。
「うまく行ったでち」
でちロリ鼠はシチューが入っていた鍋の底に張り付いていた人参をモゴモゴと食べた。
「確かにあの女の子のせいで女児符号は使えなくなったでちが……」
「鐘明の血を飲む事は出来たでち」
と言っても、心臓ではなかった為、のじゃロリ猫のように動けるわけでは無いが。
「アタチは未来がちょっと見れればそれでいいでち」
でちロリ鼠は目を光らせる。今までのように沢山の未来が見れる訳では無いが、それはもうよしとしよう。大切な事はだもんロリ梟と離れられた事である。うまく利用できて良かった。
「おや、これは……」
女児符号チューチュートレインでは無くなった能力……妖術・子沢山確率未来で見た景色に、でちロリ鼠は興味をそそられた。
緑色の女の子がこちらを疑わしげに見つめている……
「面白そうでちね、暫くここに留まってみるでちか」
ああ、今日は人生最良の日!
でちロリ鼠は邪悪に笑った。
と言っても、心臓ではなかった為、のじゃロリ猫のように動けるわけでは無いが。
「アタチは未来がちょっと見れればそれでいいでち」
でちロリ鼠は目を光らせる。今までのように沢山の未来が見れる訳では無いが、それはもうよしとしよう。大切な事はだもんロリ梟と離れられた事である。うまく利用できて良かった。
「おや、これは……」
女児符号チューチュートレインでは無くなった能力……妖術・子沢山確率未来で見た景色に、でちロリ鼠は興味をそそられた。
緑色の女の子がこちらを疑わしげに見つめている……
「面白そうでちね、暫くここに留まってみるでちか」
ああ、今日は人生最良の日!
でちロリ鼠は邪悪に笑った。