雨が降る下校途中、1人でシャッター街を通る。
私は最近引っ越してきたのでよく知らないけれど、ニュータウンやモールができた影響ですっかり寂れてしまったのだと言う。
私もそのメリットを受ける立場だけれど、なんだか物悲しく感じるな。
昔は色とりどりの看板や人が連なっただろうここも今ではモノクロの空間になっている。
私もそこに溶けるような黒い格好に茶と白の髪なので、ボロボロのビニール屋根の下の赤い頭巾の女の子はよく目立った。
頭巾で影になっているせいか、暗い顔に見える。
私は最近引っ越してきたのでよく知らないけれど、ニュータウンやモールができた影響ですっかり寂れてしまったのだと言う。
私もそのメリットを受ける立場だけれど、なんだか物悲しく感じるな。
昔は色とりどりの看板や人が連なっただろうここも今ではモノクロの空間になっている。
私もそこに溶けるような黒い格好に茶と白の髪なので、ボロボロのビニール屋根の下の赤い頭巾の女の子はよく目立った。
頭巾で影になっているせいか、暗い顔に見える。
「君、どうしたの?」
「雨に降られてしまって…傘がないので困っているんです」
「雨に降られてしまって…傘がないので困っているんです」
天気予報では降水率30%って言ってたっけ。傘を持つか持たないか微妙なところだな。
多分この雨は空模様からしてあと数時間は続くだろう…とエフィさんが言っていた。
彼女の天気に関する勘は外れたことがない。
多分この雨は空模様からしてあと数時間は続くだろう…とエフィさんが言っていた。
彼女の天気に関する勘は外れたことがない。
「そうだな、私の傘あげるよ。安いビニールだし、折り畳み傘も持ってるから」
私の提案を聞いた女の子の顔がぱあっと明るくなる。
やっぱり相当困ってたんだな。
「いいんですか! ?でも…そうだ!私が居候してる家の人がお菓子屋をやるんです!」
女の子は満面の笑みで「お菓子工房あおひ」と書かれたチラシを手渡してくる。
掲載された写真には1階がカフェを備えたスイーツショップ、2階より上が住居になっているいかにも個人経営といった雰囲気のお店が写っていた。
場所はニュータウンの私の家から比較的近い位置だ。
やっぱり相当困ってたんだな。
「いいんですか! ?でも…そうだ!私が居候してる家の人がお菓子屋をやるんです!」
女の子は満面の笑みで「お菓子工房あおひ」と書かれたチラシを手渡してくる。
掲載された写真には1階がカフェを備えたスイーツショップ、2階より上が住居になっているいかにも個人経営といった雰囲気のお店が写っていた。
場所はニュータウンの私の家から比較的近い位置だ。
「へぇ…友達を連れてってもいい?」
「はい!是非いらしてください!『青陽美桜に貸しがある』と言ってくださればお礼しますから!」
美桜、という女の子は私に丁寧に一礼をして傘を開くとまるで嵐のようにモノクロ空間を走り去っていく。
一瞬、あの子の頭巾の中、うちのちゃばでいうと耳のある部分が大きく動いたような気がした。
「はい!是非いらしてください!『青陽美桜に貸しがある』と言ってくださればお礼しますから!」
美桜、という女の子は私に丁寧に一礼をして傘を開くとまるで嵐のようにモノクロ空間を走り去っていく。
一瞬、あの子の頭巾の中、うちのちゃばでいうと耳のある部分が大きく動いたような気がした。