お話の始まりは?
更新日:2021/03/21 Sun 02:10:33
これはある少女にとっての始まりの物語。
昔々ある所に、夏目恵と言う名前の女の子がおりました。
恵は植物が大好きなお母さんと動物を癒すのが大得意なお父さんと三人で、幸せに暮らしていました。
ある日この家族は、近くの森にピクニックに行きました。恵は、森の奥がフェンスで行けなくなっている事に気づきました。
どうしてこんな場所にフェンスがあるんだろうと疑問に思い、近くに寄ってみると、フェンスの向こう側に一人の女の子が立っていました。
恵は植物が大好きなお母さんと動物を癒すのが大得意なお父さんと三人で、幸せに暮らしていました。
ある日この家族は、近くの森にピクニックに行きました。恵は、森の奥がフェンスで行けなくなっている事に気づきました。
どうしてこんな場所にフェンスがあるんだろうと疑問に思い、近くに寄ってみると、フェンスの向こう側に一人の女の子が立っていました。
恵「あなたは誰?」
アナスターシャ「アナスターシャだよ。友達はナーシャって呼ぶけど。あなたは?」
恵「あたしは恵。友達からはナツメグって呼ばれてるの」
そんなことを話していると、突然ナーシャが飛び去ってしまいました。
後ろからガサガサ音がして、お母さんとお父さんが現れました。
母は娘の身体に沢山葉っぱがついている事に驚き、父はここは危険だから入るなと言っただろと怒りました。
しかし、恵は両親の心配の声を聞いてはいませんでした。
恵「お母さん、お父さん、友達が出来たの!お願い!またここに連れてきて!」
恵はお父さんの言いつけを守るどころか、森の奥に友達まで作って帰っていきました。
それからと言うもの、恵は度々あの山に行きたいとねだり、そこに行くと親の目を盗んでずっと森の奥のあの子と話していました。
恵「いつかフェンス越しじゃなくて、ちゃんと会ってお話ししたいな」
ナーシャ「奇遇だね!わたしもそう思ってたの!」
恵「それでね、渡したいものがあるんだ」
ナーシャ「え?本当?実は私もなの!」
その言葉はどちらが言ったのか、あるいは二人同時に発したのか、分かりませんでしたが、二人はまたしても間違いを犯すのでした。
二人同時「会ってみる?」
二人は初めてフェンスの中で会いました。二人は色々な話をし、色々な遊びをし、恵が帰る頃にはすっかり親友になっていました。
二人同時「これ!贈り物!」
恵は赤と黄色の石で出来たベルトを。ナーシャは大きな兎の装飾がついた黄色の髪飾りを渡しました。
ナーシャ「今度、わたしの友達も連れてくるよ!」
恵「わぁ!楽しみだな!」
二人は幸せでした。
アナスターシャ「アナスターシャだよ。友達はナーシャって呼ぶけど。あなたは?」
恵「あたしは恵。友達からはナツメグって呼ばれてるの」
そんなことを話していると、突然ナーシャが飛び去ってしまいました。
後ろからガサガサ音がして、お母さんとお父さんが現れました。
母は娘の身体に沢山葉っぱがついている事に驚き、父はここは危険だから入るなと言っただろと怒りました。
しかし、恵は両親の心配の声を聞いてはいませんでした。
恵「お母さん、お父さん、友達が出来たの!お願い!またここに連れてきて!」
恵はお父さんの言いつけを守るどころか、森の奥に友達まで作って帰っていきました。
それからと言うもの、恵は度々あの山に行きたいとねだり、そこに行くと親の目を盗んでずっと森の奥のあの子と話していました。
恵「いつかフェンス越しじゃなくて、ちゃんと会ってお話ししたいな」
ナーシャ「奇遇だね!わたしもそう思ってたの!」
恵「それでね、渡したいものがあるんだ」
ナーシャ「え?本当?実は私もなの!」
その言葉はどちらが言ったのか、あるいは二人同時に発したのか、分かりませんでしたが、二人はまたしても間違いを犯すのでした。
二人同時「会ってみる?」
二人は初めてフェンスの中で会いました。二人は色々な話をし、色々な遊びをし、恵が帰る頃にはすっかり親友になっていました。
二人同時「これ!贈り物!」
恵は赤と黄色の石で出来たベルトを。ナーシャは大きな兎の装飾がついた黄色の髪飾りを渡しました。
ナーシャ「今度、わたしの友達も連れてくるよ!」
恵「わぁ!楽しみだな!」
二人は幸せでした。
次の日、ナーシャは友達を連れてきました。
半魚人のタイム、猫娘のセージ、小人のローズマリー
恵と四人は仲良く遊びました。
小人の子供とチャンバラごっこ、魚人の子供とモデルさんごっこ、獣人の子供とオウマさんごっこに大好きなナーシャとおままごと。
半魚人のタイム、猫娘のセージ、小人のローズマリー
恵と四人は仲良く遊びました。
小人の子供とチャンバラごっこ、魚人の子供とモデルさんごっこ、獣人の子供とオウマさんごっこに大好きなナーシャとおままごと。
恵はいつもお母さん役です。子供役のナーシャに美味しいご飯を作って上げます。恵は幸せでした。
ナーシャ「お母さん!お腹すいた~!」
恵「待っててね、今すっごく美味しいご飯を作って上げるから!」
…ナーシャも始めは仲良く遊んでいましたが、ある時期から困ったことが起こりだしました。
友人らが美味しそうに見えるのです。
食べては行けないと思いつつ、でも美味しそうで…。
ある昼下がり、皆でお昼寝していた時の事、ナーシャは、無意識のままに行動に出ます。
ナーシャ「お母さん!お腹すいた~!」
恵「待っててね、今すっごく美味しいご飯を作って上げるから!」
…ナーシャも始めは仲良く遊んでいましたが、ある時期から困ったことが起こりだしました。
友人らが美味しそうに見えるのです。
食べては行けないと思いつつ、でも美味しそうで…。
ある昼下がり、皆でお昼寝していた時の事、ナーシャは、無意識のままに行動に出ます。
まずスナック感覚で小人をつまみ、おやつ感覚で魚を食べ、獣を捌いてお腹にいれると、最後に人間の子を食べました。
その肉のあまりの美味しさに、ナーシャは飛び起きてしまいます。
するとそこには友人達はおりません。
ナーシャ「セージ…タイム?ローズマリー!ナツメグ!どこにいるの?!」
べちゃっと音がして、ナーシャは地面を見つめます。
当然そこには友達なんかいません。
あるのは血と肉片と骨、あとあの兎の髪飾り……『食べカス』だけです。
ナーシャ「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ナーシャはあまりのショックで気を失います。
最後に視界に映ったのは、赤黒い血液……『美味しそう』な色にデコレーションされた兎の髪飾りでした。
ナーシャ「う、うーん、私はどうしてここに……あれ、何をしてたんだっけ……確か木に登って遊んでた筈だけど……部屋にいるし……夢でも見てたのかな?」
次に目覚めた時は、友達の事をすっかり忘れ、とても大人しい、穏やかで無害な娘に変わっていたのでした…。
その肉のあまりの美味しさに、ナーシャは飛び起きてしまいます。
するとそこには友人達はおりません。
ナーシャ「セージ…タイム?ローズマリー!ナツメグ!どこにいるの?!」
べちゃっと音がして、ナーシャは地面を見つめます。
当然そこには友達なんかいません。
あるのは血と肉片と骨、あとあの兎の髪飾り……『食べカス』だけです。
ナーシャ「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ナーシャはあまりのショックで気を失います。
最後に視界に映ったのは、赤黒い血液……『美味しそう』な色にデコレーションされた兎の髪飾りでした。
ナーシャ「う、うーん、私はどうしてここに……あれ、何をしてたんだっけ……確か木に登って遊んでた筈だけど……部屋にいるし……夢でも見てたのかな?」
次に目覚めた時は、友達の事をすっかり忘れ、とても大人しい、穏やかで無害な娘に変わっていたのでした…。
それから時は流れ…。
母「喫茶オウマがトキ、ここでならきっと友達が沢山出来るわ」
アンコ「でも、私怖い…」
母「大丈夫。もうきっと大丈夫よ。ほら、ぜんざい、好きだったでしょ?」
アンコ「うん、これ落ち着く…ありがとう、お母さん」
ナーシャ、いや、アンコは、そう言って飛び立ちます。
母「喫茶オウマがトキ、ここでならきっと友達が沢山出来るわ」
アンコ「でも、私怖い…」
母「大丈夫。もうきっと大丈夫よ。ほら、ぜんざい、好きだったでしょ?」
アンコ「うん、これ落ち着く…ありがとう、お母さん」
ナーシャ、いや、アンコは、そう言って飛び立ちます。
これからどんな事がアンコを待ち受けているのでしょう?
アンコは不安になりながらも、必死に翼を動かしました。
アンコ「友達…いたことなんて無いけれど、ちゃんと出来るかな?もし嫌われたらどうしよう…いや、お母さんが送り出してくれたんだ!私は出来る!大丈夫!お客さんに、すっごく美味しいスイーツを出して上げるんだから!そ、それと友達を作って、お母さんを安心させて上げる!私なら出来る!」
白と黒の翼が抜け落ち、茶色で出来た地面に落ちました。
夕暮れに一番星が輝き、町に灯りがぽつぽつと灯っています。
甘い香りがふんわり漂ってきて、前を見たアンコの目に、一軒の家が映ります。
さあ、もうすぐ喫茶オウマがトキ。
見習いパティシエアンコの、初めての出勤です。
アンコは不安になりながらも、必死に翼を動かしました。
アンコ「友達…いたことなんて無いけれど、ちゃんと出来るかな?もし嫌われたらどうしよう…いや、お母さんが送り出してくれたんだ!私は出来る!大丈夫!お客さんに、すっごく美味しいスイーツを出して上げるんだから!そ、それと友達を作って、お母さんを安心させて上げる!私なら出来る!」
白と黒の翼が抜け落ち、茶色で出来た地面に落ちました。
夕暮れに一番星が輝き、町に灯りがぽつぽつと灯っています。
甘い香りがふんわり漂ってきて、前を見たアンコの目に、一軒の家が映ります。
さあ、もうすぐ喫茶オウマがトキ。
見習いパティシエアンコの、初めての出勤です。