【初出】
XVI巻
【解説】
真名は“蠱溺の盃”(こできのはい)。
炎の色は菖蒲色。
[
仮装舞踏会]に所属する
自在師。戦時平時を問わず恐れられ、忌避されている“徒”。世界屈指の悪名高さを持つ
自在法『
ダイモーン』を使用する。
姿はやぶにらみの子供。袖が地に着くほどのぶかぶかのローブに、盗人のような大袋を背負っている。名の知れた
捜索猟兵であり、相方の
巡回士リベザルとともに挙げた大功も多い。
巡回士に見下される者が多い捜索猟兵所属の“徒”でありながら、
参謀直属の“
王”
リベザルとも対等に付き合っている。
ウィネや
ザロービが、
オルゴンや
ビフロンスから真名での呼びかけを要求されるのとは大きな違いである。
御崎市決戦までは、リベザルと共に『
大地の四神』とまともな交戦経験のある唯一の[仮装舞踏会]の将帥であった。『四神』からの
呼び名は『忍び寄る毒』。1864年に、リベザルと共に『
内乱』の最中の北米大陸に東から入り込んでいたことから、『
大地の四神』と交戦したのはこの時期だと思われる。
盟主お披露目の式典では、盟主に挑もうとするリベザルを
ストラスと共に止めようとした。その後、将帥・部隊長クラスが出席する御前会議に参加し、
デカラビアの態度に激昂する
リベザルをなだめていた。
決戦前の酒保では、
リベザルに掴み上げられて振り回され遊ばれたりしていた。
御崎市決戦では、市東部の御崎市駅を拠点として、リベザルとともに『大地の四神』の一人
イーストエッジと交戦に入った。
その最中、盟主より[
百鬼夜行]の捜索を命じられ、
リベザルと別れた。
『
真宰社』周辺で『
極光の射手』
キアラ・トスカナらと交戦する
マモンが致命傷を受けた現場に遭遇し即座に救出するが、
マモンは残された力で自らの責務を果たして散った。
そして、新世界『
無何有鏡』創造によって戦火が止んだ後、『
非常手段』でベルペオルらの前に呼び出され、新世界に渡る呼び水として、リベザルと共に一番乗りを命じられた。リベザルが上官と些事の確認をした後は、彼と共に『
天梯』を通って新世界『無何有鏡』へ旅立った。
新世界へ渡り来た後も
リベザルと行動を共にしており、一年後の春には日本で
坂井悠二を丁重な態度で
人化したリベザルのいる定食屋へ案内するが、坂井悠二に対しては
レライエ以上に警戒心を抱いているようで、案内後はすぐに悠二と別れて周囲を警戒していたようだ。
【由来・元ネタ】
名前の元ネタは、ソロモンの72柱の悪魔 “賢明公”グシオン(Gusion)の異称のひとつ、ピルソイン(Pirsoyn)と思われる。
グシオンは、序列11番の悪魔で、サフラン色のローブを着た頑強な男の姿をしている。
召還されると、現在・過去・未来のあらゆる質問に答えるという。
また、他者の敵意を好意にすり替えることが出来るという。
「蠱」は迷わし乱す、また(毒)薬の意、「溺」は液体に浸かって死ぬ様を、「盃」は酒や毒薬を仰ぐ際のグラスを指す。総じて、「心を惑わす毒に浸して殺す杯」という意味だと思われる。その本質を、悪名高い
自在法『
ダイモーン』として顕現させている。
最終更新:2025年05月08日 18:19