【初出】
VIII巻
【解説】
“
紅世の王”。
真名は“嵐蹄”(らんてい)。
炎の色は臙脂。
外見は、背中に蝙蝠の羽を一対畳み、尻尾が後ろに細く伸び、手の爪は長く、耳は尖り、二本の角があり、湾曲刀型
宝具『
オレイカルコス』を腰に提げる、黒髪の男。
ここまでだと典型的な悪魔のように見えるが、顔は押しの弱そうな小役人とでも表現されるべき中年男の顔。細く垂れた目と削げた頬、微妙に広い額に後れ毛がかかっている。
性格も至って低姿勢。服装は平凡なスーツ姿。
しかし、そんな見た目に反して、
禁衛員として参謀
ベルペオルの副官を務め、平時から[
仮装舞踏会]の本拠地『
星黎殿』の防衛と管理を一手に任されていた、強大な“王”にして恐るべき力の使い手。鉄壁の防御系
自在法『
マグネシア』を操る。
その実力たるや、将軍
シュドナイを除く[仮装舞踏会]の将帥達を同時に相手取っても互角に戦い得る、とまでされる途轍もないもの。その為、いかに貫録のない風貌や態度であろうと、彼を知った上で侮るような者は“徒”・
フレイムヘイズ共に誰一人として存在しない。
“王”としての強大さだけでなく、『
三柱臣』が余計な気を回す必要のない忠実さと、ベルペオルの知略についていける有能さを併せ持つ得難い存在。
立場を隠して『星黎殿』の案内役をしていたり、『
銀沙回廊』を使って要塞内を巡察して回ったりと、部下の把握に熱心であった。
“嵐蹄”として[仮装舞踏会]構成員の前に姿を現さねばならない時は、『マグネシア』で自分の身体を直方体状に包み込み、姿を隠していた。
『
大命』第二段階でも、
盟主“
祭礼の蛇”と『三柱臣』不在の間の『星黎殿』の守護を任され、全軍を動かす
デカラビアと同格の要塞司令官として、要塞全体の統制を取り仕切っていた。
そして、
フレイムヘイズ兵団の襲撃に乗じて突如『星黎殿』内部に侵入し、『
秘匿の聖室』を破壊しようとした
カムシンと
レベッカの攻撃すらも、一瞬で張り巡らした『マグネシア』で完璧に防ぎきった。
プルソンに二人の迎撃を、
ウアルに他の侵入者の探索を命じ、自身は『祀竃閣』で敵の侵入経路の検討を続けたが、正解にほぼたどり着いたところで
主を求めて彷徨う“
天目一個”に襲われ、直後に『マグネシア』が消失した。
それを見た誰もがフェコルーは死亡したと思っていたが、XIX巻にて瀕死の重傷を負いながらも要塞の尖塔に現れて
ゾフィー・サバリッシュの『
神門』への攻撃を『マグネシア』で防ぎ、戦況に影響を与えた。
その後、
創造神“
祭礼の蛇”たちが帰還し、ベルペオルにその留守中の出来事を報告し、自分の務めを最後まで果たして消滅した。
【
アニメ版】
原作でイラストが描かれるよりも早く、その姿を視聴者の前に現した。
基本的に設定などは原作と変わらないが、登場するのは
第2期からだった。
第一期の『星黎殿』攻防戦などの時期に何をやっていたかは不明。
第二期ラストの戦いではベルペオルと共にことの推察を遠く離れた場所から見ていただけで参戦しなかった。
第三期では、この世に帰還した『三柱臣』たちに戦況報告を行うことなく消滅した。
【由来・元ネタ考察】
アナラゼル、ガジエルとともに地下の財宝を守る悪魔フェコル(Fecor)と思われる。大嵐を起こし、大気中に幽霊を顕すことができるという。
「嵐」も「蹄」もおそらくそのままの意味で、真名全体で「嵐の蹄」という意味だと思われる。
馬の蹄の如く敵を踏み潰す粒子の嵐である自在法『マグネシア』を振るう彼の本質を表した真名になっていると思われる。
最終更新:2024年05月07日 07:53