概要

ロイアの戦いとは、蜉蝣時代の戦乱の中で、アルファ693年2月、ベルザフィリス国軍とアル国軍の間に起きた戦いである。
艦隊が戦いに大きく絡んでいるが、戦いの主役が陸上戦だった為「ロイア海戦」とは呼ばれない。


戦闘に至るまでの背景


▲693年2月における勢力図

3月10日、ベルザフィリス国が最も恐れていたアル国の新造艦隊「ルッダリザ艦隊」がついに完成。
水軍指揮官として右に出るものはいないと言われた名将フェザリアードがその地位につく。
彼は、セルシアゼスザーブといった子飼いの将を呼び寄せ、最強の艦隊と最強の水軍指揮官という、まさしくベルザフィリス国撃破の切り札がここに用意された。
しかし、フェザリアードは、ルドリアの政変時に反対の意思を見せて中央から地方へと自ら異動した経歴があり、ルドリアは彼を心底信用してはいなかった。

これに対して艦隊の数でも火力でも明らかに劣っているベルザフィリス国軍は、かつてディアル時代に一度行った艦隊奪取作戦(ベルザフィリス建国記におけるザガ初登場の戦い)に全てを賭けるしかなかった。


両軍の戦力

攻撃側 守備側

アル国軍
軍勢
ベルザフィリス国軍
総兵力8500 兵力 総兵力2300
フェザリアード 総指揮 ザガ
軍師
主要参戦者

フェザリアード

ゼス

ザーブ

セルシア

シレン

ザガ

イェーガ

ガイヴェルド

アルシェ

スタンス

ラミア

メリア

バドン

ベイン


戦闘経緯


3月35日深夜、ベルザフィリス国に向けて出陣したルッダリザ艦隊に対して、ベルザフィリス国軍の反抗がはじまった。
海岸線をムーン艦隊が北上する傍ら、ザガが指揮する隠密部隊が、ロイア港に停泊していたルッダリザ艦隊に迫っていた。
ザガが闇夜に乗じて艦隊を乗っ取り、イェーガ率いるムーン艦隊が接近して乗員を移して艦隊を奪取、取り逃がした艦は一斉放火により沈めるという作戦であった。

この時、ロイア港はアル国の領土であり、ベルザフィリス国艦隊がそこまで侵入してくるとは思わず、警戒も薄いというのがザガの主張であり、エィディスの戦いにおいて山頂の敵陣を次々と奪取したという自負も彼の強気の発言に繋がった。
ルーディアは、この作戦に乗り気ではなかったが、現実問題として迫り来る最強の艦隊をなんとかしなければならず、ザガの説得に負けて承認した。

しかし、名将フェザリアードは、過去の戦いから、まともに海戦を仕掛けるより停泊中の艦を乗っ取りに来る可能性の方が高いだろうと既に警戒していたため、ザガの隠密行動はすぐに発見される。
ザガは、奇襲を仕掛けようとした瞬間に逆にラミアメリアバドンの強襲を受け討ち取られた。

更に、フェザリアードは、艦隊を奪取した場合、それを運用するための敵艦隊が近くにいると読み、ルッダリザ艦隊を出航させ、待ち構えたムーン艦隊を発見、主砲の嵐を浴びせる。
この最初の砲撃で完全に戦いの支配権を握られ、作戦の失敗を悟ったムーン艦隊は、損害を最小限にとどめて撤退するのが精一杯な状況となり、奇襲部隊は壊滅した。

一方、ザガの後詰めとして待機していたガイヴェルドは、作戦の失敗を悟り、撤退を決意する。
そこに、追撃としてシレンが襲い掛かるが、ガイヴェルドスタンスアルシェに撤退の指揮をまかせると、自らは戦場に留まり、シレンと激しい一騎打ちを繰り広げる。
シレンは、国に対する忠誠よりも、自分の矜持と遊戯のために戦っている男であり、ガイヴェルドとの戦いを存分に楽しむと、それ以上の追撃に興味を示すことなく、部隊を引上げさせた。


戦いの結末

ルッダリザ艦隊の脅威に加えて、ルーディア包囲網による他方面同時攻撃によって徐々に追い詰められてきたベルザフィリス国だが、光明もあった。

このまま南下するかと思われたルッダリザ艦隊だが、しばらくロイアに逗留した後、突如として本国に引き返していく。
艦隊の力を知ったザグルスが、この最強の艦隊を自分の政変に否定的だったフェザリアードにこのまま使わせるのを惜しいと思いはじめ、妹婿であるネイゲイに与えると決めたためである。
フェザリアードにはサイリオン艦隊を与え、これらの再編成のため、ベルザフィリス国に時間を与えることとなった。

また、ルーディア包囲網の脅威は続いていたものの、既に内部でほころびが見え始め、メスローが、ボルゾックベルザフィリス国の矢面に立たせるために領土移動を命じる。(バルドの国替え
かつてバルディゴス討伐連合軍の盟主を勤めた彼にとって、これは耐えがたい屈辱であった。
しかし当時と今では立場は完全に逆転、メスローに逆らう力は今のボルゾックにはなく、この領土交換を呑まざるを得なかった。
怒り狂ったボルゾックは、アル国、シャリアル国、バルド国によるベルザフィリス国包囲網が完成されつつあるこの時期に、極秘裏に包囲網から抜け出そうとベルザフィリス国へ友好の使者を送った。
その使者は、かつてルーディアの命を狙ったレニィラであったが、レニィラは、逆にルーディアのの説得を受けて懐柔され、今度は埋伏ではなく、心底からベルザフィリス国の将となってしまう。

4月14日、アル国との国境に駐屯していたガイヴェルドは、対峙しているアル国の将がシレンだと知ると、単身敵陣に赴きシレンを説得する。
たった一人で敵陣にやってきたガイヴェルドの豪胆さとアル国に未来はないと語る彼の弁論に心を動かされたシレンは、ベルザフィリス国への寝返りを決意する。
ここに、ラゴベザスデイロードヴィルガスガイヴェルドシレンの「ベルザフィリス国五舞将」が生まれる事となる。

更に5月1日には、ルーディア自身が流浪の軍師ディルセアを見出し、配下として迎る。
こうして、アル国、バルド国、シャリアル国によるルーディア包囲網に対して、ルーディアは人材という城を築きつつあった。


最終更新:2024年08月05日 18:13