概要
戦闘に至るまでの背景
この頃、大陸中に奇妙な噂が流れた。
それは、
カルディスが生きているという噂である。
この噂の真相については
蜉蝣時代最大の謎とされているが、
アルディア著の
蜉蝣戦記にも噂の事ははっきりと書かれている為、当時実際にその様な噂が流れたが、その後
カルディスが歴史の表舞台に立つことがないことから、単なる噂だったという説が有力である。
しかし、近年
アルディアの日記が発見され、全身に傷を負いながらも奇跡的に生還を果たした
カルディスが山奥で隠遁生活を送り、たずねてきた
アルディアと接触する。
その時、まるで憑き物が落ちたかの様に彼の性格が穏やかになっていたこと、二度と乱世の表舞台に立つつもりのないこと、更にはその後
アルディアの従者として共に旅をしたこと等が書かれている。
これが本当に
アルディアの日記ならば、彼の生存は間違いないものであり、
カルディス本人の希望によって歴史には書き残さなかった、ということが想像できるが、日記が発見された場所が
アルディアと所縁のない土地だったことから、名もなき作家が
アルディアの名前を借りて作った後世の創作という説も否定できず、結局のところ真相は謎のままである。
両軍の戦力
戦闘経緯
この頃、
シャリアル国との国境に駐屯していたのは
ボルゴスであったが、同僚であった
アリガルが次々と戦功を重ねるのに対して、自身は国境の城の城主にすらなれなかったことに不満を述べ、駐屯先の城主オーバストの失脚を密かに謀るものの、それよりも前にオーバストが病没したため、労せずして後任として城主に任命されていた。
この様に
ボルゴスは野望に忠実な性格ではあり、後に
ロードレアの内乱で挙兵する人物の一人だが、
レイディック存命中の忠誠と実力は本物であり、主力部隊が到着するまでこの地を守り抜いた。
しかし、今回はそれまで彼らが相手をしてきた敵将とは、格そのものが違っていた。
アリガルは、軍師
ヴェリアからあらかじめこうなることは聞かされていた為、慌てる事もなくそのまま
ドラグゥーン部隊への突撃を継続。
普段なら敵軍は混乱を起こすのに、一向に動じない
アリガル部隊の前に、彼を包囲しようとした
サイリオス、
リガリオン両将の方が動揺するが、そこに、これまで国境の激戦区を渡り歩いた勇将
シルヴァス、更に
ボルゴス部隊が突撃を仕掛け、
シャリアル三牙王による包囲網を崩そうとする。
一度は混戦に持ち込むが、流石は
シャリアル国の誇る三牙王と軍師
ディグドであった。
これ以上の戦いは不利になると悟ると、すばやく撤退命令を下し、損害らしい損害も出さずに一線下がった場所で再布陣、
ロードレア国軍も追撃をせず、こちらも一旦後退し、両軍はにらみ合いの体勢をとった。
8月15日、このにらみ合いに耐え切れなくなった
ナッシュ部隊が、独断専行して
バンガーナ部隊への奇襲を敢行した。
ナッシュを副将として預かっていた
ラディアは、その無謀さを指摘するが、一方でその動機を聞かされて悩んでいた。
ナッシュはかつて
リディアニーグの策により、
ラディアの祖国
アゾル国を滅亡させている。
その後、紆余曲折を経て二人は
ロードレア国の将として並ぶ事となるが、過去のいきさつから、
ラディアは
ナッシュとの会話を職務上の最低限に留めていたが、
ナッシュは「いつか手柄をたててそれを
ラディアに献上し、過去の罪滅ぼしとしたい」と他者に洩らしていた。
その事実を知った
ラディアは、
ナッシュ救援の部隊を率いて出陣する。
だが、罪滅ぼしの覚悟があったとはいえ、
ナッシュの将としての器は、三牙王には遠く及ばず、彼の奇襲は看破されて反撃を受けていた。
そこに
ラディア部隊が現れ、突撃により敵軍を一瞬混乱させると、そのまま
ナッシュ部隊を回収して後退していく。
二人は帰還後、
レイディックに呼ばれ査問を受ける。
軍令にそむく事は重罪ではあるが、戦乱の時代においては軍令に背いたとしても手柄を上げれば相殺、場合によっては恩賞の対象ともなる風習があった。
しかし、今回の件は完全に
ナッシュの失敗であり、軍令違反は免れないと思われたが、これを
ラディアが弁護して彼を救う、ここに二人の過去は清算され、以後二人は私情を挟むことなく互いの職務に打ち込むこととなる。
また、全てを承知で罪なしとした
レイディックも、器の大きさを見せた。
消えた指揮官
その後も両国の軍勢は数度にわたり激突するが、ついに決着が付かないまま8月29日を迎える。
このまま戦いは続くかと思われたが、最初の戦い以後、軍勢の采配を副軍師
アレスに任せ、戦場から姿を消していた軍師
ヴェリアが密かに行っていた策がここにきて動き始め、
ディグドは戦いの最中、突如本国に召集命令を受ける。
メスローの元に駆けつけた
ディグドが目にした光景は、処刑された自らの妻子の亡骸であった。
ヴェリアの反間の計によって、
ディグド反乱の噂を国主
メスローは信じてしまったのだ。
ヴェリアや
アレスは、常時いかなる策でも実行できる様に、子飼いの
隠密、または共に
エザリアンの元で学んだ
隠密達を、各国の将やその身の回りの世話をする者、更には一般市民にまで潜ませていた。
そして彼らを使って「
ディグドが国境で長期戦の構えを見せたのは時間稼ぎであり、自らの息のかかった部隊を用意し、時がくれば
ロードレア国軍と同時に
シャリアル本国へ攻め込む」という噂を流させた。
噂だけならば
メスローも信じる事はなかったが、
ヴェリアは
ディグドの家に
ロードレア国からの使者を送りわざと捕らえさせたりと、周到に状況証拠を数多く作り上げた。
元々部下に対して猜疑心を持つ独裁者タイプの
メスローは、これを
ヴェリアの策と見破れずに
ディグドの反乱を信じ込み、見せしめのために一族を処刑し、召集に応じて帰国した
ディグドを捕らえた。
しかし、幼き頃の自らの兵法の師であった
ディグドを即刻処刑することはさすがに躊躇したのか、とりあえず牢内に閉じ込めることとした。
三牙王といえども、炎に飲み込まれていく運命からは逆らえず、
サイリオスは
アリガルに討ち取られ、
リガリオンは全身に槍を受けて戦死、
ドラグゥーンは兵士達の裏切りにあい、背後から矢を受けて命を落とした。
味方を撤退させるため戦場に残った
ファクトは、
ボルゴスに敗れて捕虜となるが、その度量を買われて以後は彼の配下となる。
戦いの結末
最終更新:2024年07月12日 13:49