概要
戦闘に至るまでの背景
リアリッピ川の上流は険しい山地で、戦略的にも戦術的にも無視される土地であった。
アルビス国軍は上流で砦を作り、これを分解し木材を川で流してコルスタ地域にて組み立て、未開の地にかろうじて部隊駐屯が可能な砦を作ると、木々でカモフラージュさせ密かに部隊を駐屯させていた。
それを知らない
バーン国軍は、いよいよ
アルビス国との決着を付けるべく、大軍を動員してストリアブ砦へと向かった。
これに対して
アルビス国は、ストアリブ砦で篭城するのではなく全軍を西に出陣させた。
守備に徹すると思っていた
バーン国軍はこの出陣に驚き、リアリッピとストリアブの中間地点であるラストリアの地まで
アルビス国軍が進軍することを許してしまう。
こうして両軍はラストリアにて対峙、
アルビス国軍は主力をにらみ合わせて時間を稼いでいる間に、別働部隊をコルスタ地域の砦から出陣させ、
バーン国軍の背後から襲わせようとしていた。
両軍の戦力
戦闘経緯
密かにリアリッピ川上流に伏せていた別働隊は、計算を得意とする
ラギの出した時間を信じて筏を出発させた。
普通の進軍と違って筏を使って川を下るため、到着時間を変更することはできず、早くても遅くても作戦は成功しないという、重要な決断での出発であった。
バーン国軍は決して
アルビス国軍をなめていた訳ではないが、それでも前回の大勝もあり、
アルビス国軍があえて篭城を捨て野戦に打って出たのは、単に「奇跡を信じての一か八かの勝負」くらいだろうと考えていた。
それでも
サザンクロスは、慎重を期して全軍が集結するまで攻撃を仕掛けず、自らの到着をもってこの最終決戦の火蓋を切った。
サザンクロス自身は、これが両国の最後の決戦になるであろうと考えていたこともあり、部下に手柄を譲る為自らは積極的に動かなかった。
だが、決戦が始まってからしばらく経つと、
ラギの計算通りに筏が到着、
アルビス国軍別働隊が
バーン国軍本陣の背後から襲いかかった。
しかし、そこに智謀ではなく「戦士の勘」で前線に出なかった
ガミランが待ち構え、
サヌアを足止めする。
挟撃奇襲作戦はこの足止めによって失敗かと思われたが、第二陣の
エリシアが予定より早く到着し
ガミラン部隊を食い止め、その隙に第一陣は本陣の
サザンクロス部隊を目指した。
後方の混乱が前線にも伝わり
バーン国軍は浮き足立つ、その隙を逃さず
アルビス国軍の本隊も防御から一転、攻撃に出た。
しかしこの攻撃を、
ライウンが獅子奮迅の采配によって食い止める。
しかし、
ライウンが後退した時、代わりにそこをふさぐべき
グノーが自らの保身に走って撤退、これにより
バーン国軍の前線が崩壊を始める。
この時点ならまだ引き分けで終われると判断した
サザンクロスは全軍に撤退を命令、その際逃走中の
グノーは、
ヴィルを捨て駒にしようと殿軍に任命されたと嘘の伝令を送る。
撤退を開始した
バーン国軍が
リアリッピ川を渡河しようとしたその時、上流で川の水を堰きとめていた
レイス将軍が一気にその堰を切る。
怒涛の如く流れくる水によって、
バーン国軍の兵士は多くが流されていった。
その光景を見た猛将
ディルギオフは、「全てが
アルビス国の掌の上だったか……こんな筈は…こんな筈はないっ!!!我等が
アルビス国を追い詰めた立場にいたはずっ!!前回の勝利は何のためかっ!!
三国同盟は何の為かっ!!全ては
アルビスに華を持たせる前座だったとでもいうのかっ!」と憤慨した。
戦いの結末
周辺諸国の誰もが、危急存亡の
アルビス国に止めを刺す
バーン国の遠征だと信じていたこの戦いで、
バーン国軍は敗れた。
更に、撤退中の
バーン国軍にせき止められた
リアリッピ川の水が一気に襲い掛かり、渡河中の兵士は一瞬にして流され、渡河前だった部隊は恐怖に竦み、戦意を喪失した所を追いつかれた
アルビス国追撃部隊によって散々に撃ち破られた。
アルビス国の中でも特に勲功の高かったのは、勝利を導く策を編み出した
エリシア、自軍が半壊しながらも
バーン国軍に撤退を決意させる止めの一撃を与えた
ルティエ、そして前衛部隊をよく指揮した総大将の
カルディナであった。
三人が「
アルビス三麗将」と呼ばれるのは、この日からであった。
関連項目
最終更新:2024年07月06日 14:55