信太の狐(伝承)

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&font(#6495ED){登録日}:2011/08/17 (水) 15:18:42 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){アニヲタ昔話 信太妻} 今から1300年とちょっと昔、村上天皇が世を治めておられた頃。 河内国(現在の大阪府東部)に石川悪右衛門という男がおったそうな。 悪右衛門は病気の妻を治すため、兄であり高名な陰陽師でもあった蘆屋道満(道摩法師)に相談することにした。 「狐の生き胆があれば、お前の妻を治すことができるだろう」 道満にそう言われ、悪右衛門はさっそく和泉国(現在の大阪府南西部)にある信太の森へ向かった。 ちょうどその頃、阿倍野に住む安倍保名という男が、信太の森を訪れていた。 保名が信太の森を訪れたのは、武運長久を祈願するために"信太明神(現在の聖神社)"に参拝するためであった。 その際、酒宴をしていると悪右衛門率いる狩人が狐を追うところに出くわした。 狐を可哀想に思った保名はそれを助けてやるが、そのために狩人と争い怪我を負ってしまい悪右衛門に捕まり殺されそうになった。 そこに悪右衛門が檀家をしている和尚がやってきて殺生を咎め保名を助けた。 この和尚の正体は狐であり、元の姿になって去っていった。 その後、谷川にてそれは美しい一人の女と出会った。 「お怪我をなさっているようですが、お力になれないでしょうか?」 女は保名を自分の家まで案内した。 保名の父安部の郡司保明は信太でのことを聞いて保名は殺されたと思い、悪右衛門に敵討ちしようとするが返り討ちにあった。 その後、保名は父の仇である悪右衛門を討つことに成功した。 それからも、保名は信太に暮らし、やがて二人の間に息子が産まれ「安部の童子」と名づけた。 それから七年ほど経ったある日。 それまで隠し続けていた妻の正体が、童子にばれてしまった。 それは、あの信太の森で保名が助けた狐であった。 真実を知られた葛の葉は、最後に一首の歌を書き置いて去って行った。 恋しくば 尋ね来て見よ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉 途中、童子の母は狐罠に惹かれ化衣装を脱ぎ捨てて狐の姿になりながらも、信太の森へと帰っていった。 書き置きを読んだ保名は、信太の狐が恩返しのために女の姿をとって現れたことを理解し、息子を連れて信太の森へと向かった。 すると二人の前に妻が現れ、金の箱と水晶玉を手渡した。 それ以来、葛の葉も信太の狐も二度と姿を見せることはなかったという。 残された息子の童子は後に晴明と改名し、母から譲り受けた能力と法具で出世し続け、 後世「日本最強の陰陽師」と謳われることになるが、それはまた別の話。 おしまい 日本における所謂「[[異種結婚譚>異類婚姻譚]]」の中でも、雪女、鶴女房と並んで代表的な存在。 葛の葉、信太の狐という名を知らなくとも、[[安倍晴明]]の母親が狐であったという伝承を知っている人は多いはず。 物語としても異種結婚譚の基礎は踏襲しており、 ・[[命を助けられた動物が美女に化身し妻となる>化け狐・化け狸]] ・正体が発覚すると姿を消す ・間に産まれた子供は人ならぬ力を持つ そのため古くから創作の原典に使われ、信太妻をモチーフにした小説・浄瑠璃・浮世絵・漫画・映画・ライトノベルはそれこそ無数に存在する。 まぁつまり、日本人は昔からHENTAIだったということだろう。[[狐っ娘>狐娘(属性)]]萌えー的な意味で。 最近では息子を再び身籠るために京都で大暴れしたり、島根で流行り神として魔法少女姿で現れて管理役の息子を嘆かせたりしているが、それもまた別の話。 *『泉州信田白狐伝』での信太の白狐 江戸中期にも武州川崎の僧道誉によって編纂された『泉州信田白狐伝(せんしゅうしのだびゃっこでん)』という仏教説話では、 系統の異なる伝承がまとめられてカオスなことになっている。 **前日譚 この物語より数世代前、遣唐使の''吉備真備''は唐人の嫌がらせで「[[鬼>鬼(妖怪)]]が出る」と噂の建物に向かわされる。 果たして現れた鬼は、その昔、出世を妬まれ唐人に陥れられた同じ遣唐使''阿倍仲麻呂''であった。((もうこの時点でカオスである)) 仲麻呂は「子孫に渡してほしい」と自分が手に入れた秘伝書『金烏玉兎集』を真備に託し、引き続き唐で嫌がらせを受ける真備をサポートする。 その中に、[[囲碁]]の名人''玄東''と勝負というものがあった。真備は仲麻呂の導きで玄東の特訓をスパイして勝利する。 集計中に負けを悟った玄東の妻''隆昌女''が石を飲みこみ、石が足りないことで真備の不正を疑った唐人たちが道士に術で石を探させたために 逆に隆昌女の不正がばれて恥をかかされた唐人たちに処刑されかかるが真備のとりなしで救われ、 恩を感じた隆昌女は真備の帰国の際に送られてきた刺客から身を挺して彼を救うのだった。 こうして帰国した真備だが、阿倍仲麻呂の子孫の行方はつかめず、秘伝書は吉備の流れを汲む賀茂家に伝えられた。 **阿倍保名 朱雀天皇の頃、摂州阿倍野に住む安倍希名は、家の再興を信太明神に祈願すると、「賀茂保憲に師事せよ」とのお告げを受ける。 夢でお告げを受けた保憲は、希名に『金烏玉兎集』を継がせることを決め、 さらに娘の葛子との結婚を認め、自分の名前の一字を与えて''安倍保名''と改名させた。 葛子と結婚した保名が信太明神にお礼参りしたとき、橘元方の部下が白狐を追ってきたため、白狐を救う。 **葛の葉 だが帰ってくると保憲と葛子は相模国の藤沢に流されることになっていた。 橘元方が高明親王に取り入るために美女で評判の葛子を高明親王に嫁がせようとしたが、断られたので濡れ衣を着せたのだ。 保名は『金烏玉兎集』を携え、人目を忍んで阿部野に帰った。 だが保名の前に葛子が現れる。葛子は一人だけ抜け出してきたという。 葛子は正体を隠すため葛の葉と名を変え、やがて二人の間に子供が生まれた。 この頃葛の葉は、保憲から「吒枳尼天の秘法が記されており、特に狐に知られると全能の力をもたらすので軽々しく開いてはいけない」 と固く禁じられていた『金烏玉兎集』をしきりに見たがったり、童子は虫を食べたりと奇行が目立つようになる。 **発覚 そこへ無実が証明された保憲と葛子が帰ってくる。喜ぶ一同だが、ならば保名の家にいる葛の葉は? 疑問を覚え、保名と保憲が家に向かうと観念した葛の葉は、自分はあの時助けられた年老いた白狐であると童子に明かし、 更に玄東の妻隆昌女の生まれ変わりだと言う。吉備真備の意志が果たされるか『金烏玉兎集』を追ってきたが 日本に来ると人間に生まれ変わることが出来ず狐に生まれてしまい、『金烏玉兎集』が加茂家外に出たことで化けることができるようになり、 『金烏玉兎集』を完全に自分のものにしようとしたと懺悔し、障子に書き置きをして去っていった。[[&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){オイ人妻。}}>寝取られ]] ((後に闘う安部泰親の先祖と[[白面金毛九尾の狐]]が同じ船に乗っていたことになる)) 恋しくば 尋ねても見よ 和泉なる 信田の杜の 怨葛の葉 保名は童子を伴って信太へ行き、葛の葉との別れを済ませた。 しかしそれ以降も葛の葉は夜のうちに保名の田に苗を植えることで保名を助けた。 **竜宮童子 本物の葛子が自分の子として育てていた童子は、天暦8年、助けた亀に連れられて龍宮城で珠を授けられ、動物の声を聴けるようになる。 帰ってくると9年が経って応和元年となっており、童子が水死したと思った葛子と保憲は病死し、保名も老いて新興の[[芦屋道満]]に押されていた…… そして物語は安倍晴明へと移っていく。 *【創作の信太の狐】 -『[[ウルトラマンレオ>ウルトラマンレオ(作品)]]』 第29話「[[運命の再会!ダンとアンヌ>ウリンガ]]」の話のベースになった昔話&bold(){「狐がくれた子」}はこの「信太妻」だと言われている。 -『[[ぬらりひょんの孫]]』 詳細は[[羽衣狐]]を参照。 -『[[あやかしランブル!]]』 「葛の葉」として登場。陰陽寮(主人公らが属する組織)の顧問であり、創設当初から所属していた幹部。 世界観こそ現実世界からはかけ離れたものではあるが、かつてはウカノミタマという名の神に仕えていた事や、捨て子だった童子丸こと後の安倍晴明の保護者であった事、他の妖狐系キャラクターとは異なり髪や尻尾は白色となっているなど原典をよく意識したキャラクター設定となっている。 -『まほろば妖女奇譚』 「葛の葉」として登場。等々力に所属する妖怪の一人。 右手に金の箱、左手に水晶玉を持っており葛の葉自身も強大な妖力を持つが、戦うよりも誰かのお世話をしたり家事をする方が好きという母性溢れる女性。 メインストーリー内での出番は無かったものの、イベントストーリーでは自作の水着姿を披露していた。&color(#f5f5f5){すごく…エッッです…} 主様(このゲームの主人公)の事は「主くん」と呼んでおり、まるで自分の息子かのように甲斐甲斐しく接する。 それでいて主様には単なる好き以上の感情も抱いて&color(#f5f5f5){おり、X指定版だと寂しさから主様と事に及び、クライマックスで子作り願望まで吐露して}いる。 &color(#f5f5f5){これについては主様がいつ命を落とすか分からない状況下で日々戦っているのが葛の葉にとっては不安で生存本能が爆発したものと見られる} そんな母親属性を持つ葛の葉だが、自身の過去については一切語らない。 …強いて言うなら向かわせると&color(#f5f5f5){エロい}えらい事になるらしいパワースポット内にいる時「(こんなにされると)昔を思い出して……切なくなってしまいますわ……」と口にする程度。 このセリフから経験(意味深)はあると思われるが、それ以上の事は語られず安倍晴明などとの関係性も不明となっている。((そもそもこのゲームでは安倍晴明のあの字すら出ていなかったが…)) -『ふるーつふるきゅーと!』 まほろば妖女奇譚の葛の葉がコラボイベントにて登場。 各種ボイスやキャラストーリーで母親属性が強まっており主婦仲間が増えたり、真面目な従者からママと呼ばれたりしていた。 …やはりと言うべきか葛の葉自身の過去についてはコラボ先でも言及される事はなかった。 追記・修正よろしく #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 何か、息子より人気ありそう &br()この狐様 -- 松永さん (2013-08-05 10:53:04) - 悪右衛門の病気の妻は結局どうなったんだ -- 名無しさん (2014-01-02 10:27:48) - ↑「浅茅が宿」の妻みたいに寂しく惨めに死んでしまったんだろうな。合掌(-人-) -- 名無しさん (2014-03-30 20:28:00) - 悪右衛門の名付け親の意図が知りたい。悪は強いの意味か? -- 名無しさん (2015-05-25 20:51:33) - 江戸期の伝承だとこのとき保名は師匠の娘の葛子と結婚して師匠とも冤罪で離れ離れに流されてきていて、狐は葛子の姿になって訪ねてきて葛の葉と名を変えたと語られているらしい。ちなみに後日師匠と一緒に本物が来て正体がバレる -- 名無しさん (2016-10-29 22:56:54) - ↑2 『悪』は勇猛さの意味らしい。源平討魔伝の主人公やってる悪七兵衛景清もそんな感じだったはず -- 名無しさん (2017-08-17 00:35:58) - 吉備真備の船に同乗、というか誓誉さんの意図としては同一人物のつもりで書いたのかなあ、とかふと思った -- 名無しさん (2017-08-17 09:03:47) - 手塚治虫の『悪右衛門』ではこの伝承や『『泉州信田白狐伝』を基に捻って「悪右衛門の悲劇」が描かれている。 -- 名無しさん (2017-09-04 09:24:02) - 白面金毛九尾の狐に比べると、フィクションでモチーフとして使われてることがあんまりない気がする -- 名無しさん (2019-04-30 17:13:16) - 葛葉ライドウの苗字はここからきてたのか。 -- 名無しさん (2019-06-19 13:32:32) - ↑8 旦那のとばっちりで……汗 夫が冤罪を仕掛けたりしなければ助かったかもしれぬのに……。本当に悪右衛門は度しがたい。 -- 名無しさん (2020-07-31 18:16:41) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2011/08/17 (水) 15:18:42 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){アニヲタ昔話 信太妻} 今から1300年とちょっと昔、村上天皇が世を治めておられた頃。 河内国(現在の[[大阪府]]東部)に石川悪右衛門という男がおったそうな。 悪右衛門は病気の妻を治すため、兄であり高名な陰陽師でもあった蘆屋道満(道摩法師)に相談することにした。 「狐の生き胆があれば、お前の妻を治すことができるだろう」 道満にそう言われ、悪右衛門はさっそく和泉国(現在の[[大阪府]]南西部)にある信太の森へ向かった。 ちょうどその頃、阿倍野に住む安倍保名という男が、信太の森を訪れていた。 保名が信太の森を訪れたのは、武運長久を祈願するために"信太明神(現在の聖神社)"に参拝するためであった。 その際、酒宴をしていると悪右衛門率いる狩人が狐を追うところに出くわした。 狐を可哀想に思った保名はそれを助けてやるが、そのために狩人と争い怪我を負ってしまい悪右衛門に捕まり殺されそうになった。 そこに悪右衛門が檀家をしている和尚がやってきて殺生を咎め保名を助けた。 この和尚の正体は狐であり、元の姿になって去っていった。 その後、谷川にてそれは美しい一人の女と出会った。 「お怪我をなさっているようですが、お力になれないでしょうか?」 女は保名を自分の家まで案内した。 保名の父安部の郡司保明は信太でのことを聞いて保名は殺されたと思い、悪右衛門に敵討ちしようとするが返り討ちにあった。 その後、保名は父の仇である悪右衛門を討つことに成功した。 それからも、保名は信太に暮らし、やがて二人の間に息子が産まれ「安部の童子」と名づけた。 それから七年ほど経ったある日。 それまで隠し続けていた妻の正体が、童子にばれてしまった。 それは、あの信太の森で保名が助けた狐であった。 真実を知られた葛の葉は、最後に一首の歌を書き置いて去って行った。 恋しくば 尋ね来て見よ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉 途中、童子の母は狐罠に惹かれ化衣装を脱ぎ捨てて狐の姿になりながらも、信太の森へと帰っていった。 書き置きを読んだ保名は、信太の狐が恩返しのために女の姿をとって現れたことを理解し、息子を連れて信太の森へと向かった。 すると二人の前に妻が現れ、金の箱と水晶玉を手渡した。 それ以来、葛の葉も信太の狐も二度と姿を見せることはなかったという。 残された息子の童子は後に晴明と改名し、母から譲り受けた能力と法具で出世し続け、 後世「日本最強の陰陽師」と謳われることになるが、それはまた別の話。 おしまい 日本における所謂「[[異種結婚譚>異類婚姻譚]]」の中でも、雪女、鶴女房と並んで代表的な存在。 葛の葉、信太の狐という名を知らなくとも、[[安倍晴明]]の母親が狐であったという伝承を知っている人は多いはず。 物語としても異種結婚譚の基礎は踏襲しており、 ・[[命を助けられた動物が美女に化身し妻となる>化け狐・化け狸]] ・正体が発覚すると姿を消す ・間に産まれた子供は人ならぬ力を持つ そのため古くから創作の原典に使われ、信太妻をモチーフにした小説・浄瑠璃・浮世絵・漫画・映画・[[ライトノベル]]はそれこそ無数に存在する。 まぁつまり、日本人は昔からHENTAIだったということだろう。[[狐っ娘>狐娘(属性)]]萌えー的な意味で。 最近では息子を再び身籠るために京都で大暴れしたり、島根で流行り神として[[魔法少女]]姿で現れて管理役の息子を嘆かせたりしているが、それもまた別の話。 *『泉州信田白狐伝』での信太の白狐 江戸中期にも武州川崎の僧道誉によって編纂された『泉州信田白狐伝(せんしゅうしのだびゃっこでん)』という仏教説話では、 系統の異なる伝承がまとめられてカオスなことになっている。 **前日譚 この物語より数世代前、遣唐使の''吉備真備''は唐人の嫌がらせで「[[鬼>鬼(妖怪)]]が出る」と噂の建物に向かわされる。 果たして現れた鬼は、その昔、出世を妬まれ唐人に陥れられた同じ遣唐使''阿倍仲麻呂''であった。((もうこの時点でカオスである)) 仲麻呂は「子孫に渡してほしい」と自分が手に入れた秘伝書『金烏玉兎集』を真備に託し、引き続き唐で嫌がらせを受ける真備をサポートする。 その中に、[[囲碁]]の名人''玄東''と勝負というものがあった。真備は仲麻呂の導きで玄東の特訓を[[スパイ]]して勝利する。 集計中に負けを悟った玄東の妻''隆昌女''が石を飲みこみ、石が足りないことで真備の不正を疑った唐人たちが道士に術で石を探させたために 逆に隆昌女の不正がばれて恥をかかされた唐人たちに処刑されかかるが真備のとりなしで救われ、 恩を感じた隆昌女は真備の帰国の際に送られてきた刺客から身を挺して彼を救うのだった。 こうして帰国した真備だが、阿倍仲麻呂の子孫の行方はつかめず、秘伝書は吉備の流れを汲む賀茂家に伝えられた。 **阿倍保名 朱雀天皇の頃、摂州阿倍野に住む安倍希名は、家の再興を信太明神に祈願すると、「賀茂保憲に師事せよ」とのお告げを受ける。 夢でお告げを受けた保憲は、希名に『金烏玉兎集』を継がせることを決め、 さらに娘の葛子との結婚を認め、自分の名前の一字を与えて''安倍保名''と改名させた。 葛子と結婚した保名が信太明神にお礼参りしたとき、橘元方の部下が白狐を追ってきたため、白狐を救う。 **葛の葉 だが帰ってくると保憲と葛子は相模国の藤沢に流されることになっていた。 橘元方が高明親王に取り入るために美女で評判の葛子を高明親王に嫁がせようとしたが、断られたので濡れ衣を着せたのだ。 保名は『金烏玉兎集』を携え、人目を忍んで阿部野に帰った。 だが保名の前に葛子が現れる。葛子は一人だけ抜け出してきたという。 葛子は正体を隠すため葛の葉と名を変え、やがて二人の間に子供が生まれた。 この頃葛の葉は、保憲から「吒枳尼天の秘法が記されており、特に狐に知られると全能の力をもたらすので軽々しく開いてはいけない」 と固く禁じられていた『金烏玉兎集』をしきりに見たがったり、童子は虫を食べたりと奇行が目立つようになる。 **発覚 そこへ無実が証明された保憲と葛子が帰ってくる。喜ぶ一同だが、ならば保名の家にいる葛の葉は? 疑問を覚え、保名と保憲が家に向かうと観念した葛の葉は、自分はあの時助けられた年老いた白狐であると童子に明かし、 更に玄東の妻隆昌女の生まれ変わりだと言う。吉備真備の意志が果たされるか『金烏玉兎集』を追ってきたが 日本に来ると人間に生まれ変わることが出来ず狐に生まれてしまい、『金烏玉兎集』が加茂家外に出たことで化けることができるようになり、 『金烏玉兎集』を完全に自分のものにしようとしたと懺悔し、障子に書き置きをして去っていった。[[&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){オイ人妻。}}>寝取られ]] ((後に闘う安部泰親の先祖と[[白面金毛九尾の狐]]が同じ船に乗っていたことになる)) 恋しくば 尋ねても見よ 和泉なる 信田の杜の 怨葛の葉 保名は童子を伴って信太へ行き、葛の葉との別れを済ませた。 しかしそれ以降も葛の葉は夜のうちに保名の田に苗を植えることで保名を助けた。 **竜宮童子 本物の葛子が自分の子として育てていた童子は、天暦8年、助けた亀に連れられて龍宮城で珠を授けられ、動物の声を聴けるようになる。 帰ってくると9年が経って応和元年となっており、童子が水死したと思った葛子と保憲は病死し、保名も老いて新興の[[芦屋道満]]に押されていた…… そして物語は[[安倍晴明]]へと移っていく。 *【創作の信太の狐】 -『[[ウルトラマンレオ>ウルトラマンレオ(作品)]]』 第29話「[[運命の再会!ダンとアンヌ>ウリンガ]]」の話のベースになった昔話&bold(){「狐がくれた子」}はこの「信太妻」だと言われている。 -『[[ぬらりひょんの孫]]』 詳細は[[羽衣狐]]を参照。 -『[[あやかしランブル!]]』 「葛の葉」として登場。陰陽寮(主人公らが属する組織)の顧問であり、創設当初から所属していた幹部。 世界観こそ現実世界からはかけ離れたものではあるが、かつてはウカノミタマという名の神に仕えていた事や、捨て子だった童子丸こと後の[[安倍晴明]]の保護者であった事、他の妖狐系キャラクターとは異なり髪や尻尾は白色となっているなど原典をよく意識したキャラクター設定となっている。 -『まほろば妖女奇譚』 「葛の葉」として登場。等々力に所属する妖怪の一人。 右手に金の箱、左手に水晶玉を持っており葛の葉自身も強大な妖力を持つが、戦うよりも誰かのお世話をしたり家事をする方が好きという母性溢れる女性。 メインストーリー内での出番は無かったものの、イベントストーリーでは自作の水着姿を披露していた。&color(#f5f5f5){すごく…エッッです…} 主様(この[[ゲーム]]の主人公)の事は「主くん」と呼んでおり、まるで自分の息子かのように甲斐甲斐しく接する。 それでいて主様には単なる好き以上の感情も抱いて&color(#f5f5f5){おり、X指定版だと寂しさから主様と事に及び、クライマックスで子作り願望まで吐露して}いる。 &color(#f5f5f5){これについては主様がいつ命を落とすか分からない状況下で日々戦っているのが葛の葉にとっては不安で生存本能が爆発したものと見られる} そんな母親属性を持つ葛の葉だが、自身の過去については一切語らない。 …強いて言うなら向かわせると&color(#f5f5f5){エロい}えらい事になるらしいパワースポット内にいる時「(こんなにされると)昔を思い出して……切なくなってしまいますわ……」と口にする程度。 このセリフから経験(意味深)はあると思われるが、それ以上の事は語られず[[安倍晴明]]などとの関係性も不明となっている。((そもそもこのゲームでは[[安倍晴明]]のあの字すら出ていなかったが…)) -『ふるーつふるきゅーと!』 まほろば妖女奇譚の葛の葉がコラボイベントにて登場。 各種ボイスやキャラストーリーで母親属性が強まっており主婦仲間が増えたり、真面目な従者からママと呼ばれたりしていた。 …やはりと言うべきか葛の葉自身の過去についてはコラボ先でも言及される事はなかった。 追記・修正よろしく #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 何か、息子より人気ありそう &br()この狐様 -- 松永さん (2013-08-05 10:53:04) - 悪右衛門の病気の妻は結局どうなったんだ -- 名無しさん (2014-01-02 10:27:48) - ↑「浅茅が宿」の妻みたいに寂しく惨めに死んでしまったんだろうな。合掌(-人-) -- 名無しさん (2014-03-30 20:28:00) - 悪右衛門の名付け親の意図が知りたい。悪は強いの意味か? -- 名無しさん (2015-05-25 20:51:33) - 江戸期の伝承だとこのとき保名は師匠の娘の葛子と結婚して師匠とも冤罪で離れ離れに流されてきていて、狐は葛子の姿になって訪ねてきて葛の葉と名を変えたと語られているらしい。ちなみに後日師匠と一緒に本物が来て正体がバレる -- 名無しさん (2016-10-29 22:56:54) - ↑2 『悪』は勇猛さの意味らしい。源平討魔伝の主人公やってる悪七兵衛景清もそんな感じだったはず -- 名無しさん (2017-08-17 00:35:58) - 吉備真備の船に同乗、というか誓誉さんの意図としては同一人物のつもりで書いたのかなあ、とかふと思った -- 名無しさん (2017-08-17 09:03:47) - 手塚治虫の『悪右衛門』ではこの伝承や『『泉州信田白狐伝』を基に捻って「悪右衛門の悲劇」が描かれている。 -- 名無しさん (2017-09-04 09:24:02) - 白面金毛九尾の狐に比べると、フィクションでモチーフとして使われてることがあんまりない気がする -- 名無しさん (2019-04-30 17:13:16) - 葛葉ライドウの苗字はここからきてたのか。 -- 名無しさん (2019-06-19 13:32:32) - ↑8 旦那のとばっちりで……汗 夫が冤罪を仕掛けたりしなければ助かったかもしれぬのに……。本当に悪右衛門は度しがたい。 -- 名無しさん (2020-07-31 18:16:41) #comment #areaedit(end) }

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