モニカ・アノー

登録日:2025/06/13 Fri 15:33:12
更新日:2025/06/18 Wed 07:28:57
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モニカ・アノー機動戦士ガンダムF91の登場人物であり、主人公シーブック・アノーの母親である。

CV:荘司美代子


【概要】

上述の通り主人公の母親であり、息子シーブックの他、娘のリィズも産んでいる。
サナリィの技術者であり年齢は44歳。その割には若々しいけど結構いい年である。なお息子もいい年齢になっても若々しかった。
背格好はなんというか女装したシーブック。というよりかはシーブック(とリィズ)が彼女の顔立ちそのまま過ぎるというべきか。
そして一応家族とは同居しているものの、どうやらかなりの仕事人間であり、家を長く開けることも多いとか。
ガンダムF91の開発者でもあり、機体に搭載されたバイオセンサーを主に担当していた。

……と、ここまでなら今までのガンダム主人公、特にヒルダ・ビダンを想定させるが、夫のレズリーはモニカのそんな気質を理解し、家を守ったり家事一切を切り盛りしている。
子供達は家に帰らない母親のことは複雑に思っていたが、少なくともシーブックが母親のことで愚痴るとリィズが注意するなど、仲が悪いながらもまだ家族としては維持できていた。
また子供達に「あやとり」を教えたのは彼女であり、仕事最優先ながらも子供達と遊んだりすることもあったようだ。


だが、それはあくまでF91の映像中の話であり、小説版の彼女は良くも悪くも理想に燃えすぎていた。
「女性の社会進出」に固執し、子供達に対しても「産みたくて産んだわけじゃない」と言い放つほどであった。
しかし結婚したレズリーが本当に人間出来まくりのすげぇ人だった為に、そういったモニカの態度も少しずつ軟化していったのだと思われる。
そういう意味では配偶者に恵まれて女体化しテム・レイとも取れる。
とはいえこの小説版の設定がどこまで本編と合致するかは不明である。
なんといってもガンダムの小説版はどれもこれもオリジナル色が強いので……


本編でも「仕事人間」と揶揄されることはあれど、初登場の時点でクロスボーン・バンガードがフロンティアコロニーを襲撃した際には子供達を探していたり、また自分の開発したガンダムF91に息子が乗っていることに衝撃を受けたりと、親としては真っ当な言動を見せている。
F91の回線に「あやとり」の要素を取り入れたり、シーブックの説得に耳を貸したりと、頑迷なだけの人間ではない。
結果的に親子間の確執は割とすぐに解決した。
……それが戦時中で、なおかつ人格者である夫を亡くした結果というのが悲しい結果であるが。

それでもモニカは最終決戦にて息子に「アドバイス」を送る。
「F91のバイオコンピューターを使う」というアドバイスの他、母親としての言葉を掛け、彼を導いた。

こうして息子は愛する人間を救い出した……のだが、後に宇宙海賊でブイブイ言わせる頃になるとモニカの行方は知れない。
恐らくは娘のリィズと共に平和に過ごしているのだろう。
息子が死亡したと思ったら生きてると知ったらどう思うか。
このあたりについてクロスボーン・ガンダムの原案となったクロスボーン版トミノメモ(クロスボーン・ガンダムメカニック設定集に収録)では
「F91よりの積み残し分についての考え方」という項目でモニカ(とリィズ)に触れているが、
「リィズも、モニカが何とかしたとして、忘れる」と極めてあっさりとした記述になっている。
なんというかドレル・ロナの扱いに近い。


【余談】

U.C.0123年で44歳ということは単純計算でU.C0079年生まれ。
シャアの反乱の際には10歳前後であるが、そう考えると幼少期は壮絶な戦争と隣合わせだった事となる。
彼女が過剰なまでに戦争を嫌うのもやむなしと言ったところか。

そしてこのモニカさん。F91だけでなくそれに搭載されたバイオコンピューターの開発者でもある。
だがこれを開発した経緯は兵器に使うためではなく、元々は身体的にハンデを負った人の為の補助の為である。
曰く「雨や風を感じられるように」というものらしい。
そしてこのバイオコンピューターは対象者の思考をある程度読み取り、答えを導き出すというもの。
要するに優しいゼロシステム。もしくはGUND医療である。
本編でもF91がシーブックの思考を読み取り「ビームライフルが通じない?ならヴェスバーを使え」と、具体的に言葉に出したわけではないがひっそりと誘導している。コイツは危険すぎると言われたけど。
結果的に戦争に使われてしまうこととなったが、だからこそ最後のように「息子の愛する人を探す」為に使われるその姿は技術者として本懐をなし得たと言えるだろう。
尤も資料によるとそのバイオコンピューターはMSの標準装備となっていくのだが……。
レズリーも元は妻と同じ技術者だったが、自分たちの作ったものが戦争に使われることを嫌がって退職したらしい。
仕事人間の妻を理解したというが、やはり気質は同じだったのだろう。

またシーブックも色々あり手を失い義手となる。
「サナリィに助けられた」事以外は作中で語られてはいないが、もしかしたらモニカの培った技術が使われているのかもしれない。

このように息子と和解し、更に導いたことから、富野作品の母親で「かなりマシな方」という名誉?な評価を得ている。
彼女本人に問題は皆無とは言い切れないが、そういった自分の気質を反省し歩み寄れた事は素直に称賛するべきだろう。
人格者なのは確かであり、母親としてもまだ巻き返しが出来る。

しかし後の設定にて技術者としての問題が出てきていた。
事実、企画を統一させなければならない兵器に「あやとり」なんてドマイナーな遊び心を入れたせいで戦争状態にあるのに起動すら出来ない状態に陥ってた。
更にそんな状態でも「息子を戦わせたくない」と一度は協力を拒否している…等、かなり問題行動を起こしている。
無論モニカがいなければF91は完成すらしていないのし、彼女が他人のことを考えていないわけではない、むしろ情は深いのは事実であるが、良くも悪くも理想家過ぎたきらいがある。
だがそんな彼女が折れたのが息子の説得。離れ離れでもしっかりと「家族」をやろうとしていたおかげで、蹂躙されるだけの連邦軍に一筋の希望が灯ったのであった。

……という見方もあるのだが、それはあくまでF91公開から30年以上かけて積み上げられた後付け設定によるものも大きい。
公開時の設定はシャアの反乱から30年、特に大きな騒乱もなく経過しており、モニカの視点からすれば戦争など子供のころの話であり、息子が戦争に参加するなど考えられなかったことであろう。
「息子を戦わせるために開発したのではない」という言葉も、その後の整備クルーの「ほかの子であればいいのか」という揚げ足取りに
ハッとする描写があるから彼女が間違っているように見えるだけであり、本来民間人の学生を戦わせているスペース・アークの軍人の方が問題ある軍人である。
『八掛けの吊橋』に関しても、劇中で問題になったのは正規の整備マニュアルが届いていない状態のF91を戦わせないといけないくらいに連邦軍がふがいないからであり、
以降の歴史で使い続けられたとも使われなくなったとも言及がない以上、バイオコンピュータの構成上必要なものであったと見ることもできる。
なんというか、今後逆シャア~F91前後の歴史が埋められて、騒乱が全然途切れていなかったり、バイオコンピュータの扱いが変わるたびに後付けで評価が落とされていきそうな人になってしまっている。

ちなみにシーブック君。
父親からは子どもを育てるセンスを、母親からは目的のためなら突き進む苛烈さを受け継いでいる。
「見本」と称された彼は親を「見本」とし、やがて永きに亘って宇宙世紀を戦い続けることとなるのだった…。





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最終更新:2025年06月18日 07:28